2020/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミドリさんが現れました。
ティエラ > 扉を開けば、其処には沢山の冒険者がいる、と言ってもギルドの中なので、冒険者自体は居ても問題はない。
人数も……そこまで多いわけではなさそうだ、普段……と言うほど通っているわけではないが、普通の状態でしかないようにも思える。
あわただしさも余りないし、物々しさも、ピリピリした様子もない。

火急の要件で呼び出されたという訳ではなさそうだ、少しばかり安堵した。
さて、では、どういった用件で飛び出されたのか?
受付で聞けばいいかしら、と、女はゆるりと進むのだけれども、足を一度止めた。

「―――?」

ギルドの内部に、何某かの違和感を感じた気がしたのだ。違和感の招待が判らない、何かが違う気もする。
目を細めて、違和感に関して思いを馳せてみるのだけれども……、しかし、特に思い浮かばない気がする。
何かしら、と思いながら、歩みは遅い。気になった事を放置できないのは、魔女だから、か。
それとも、そう言った気質だから、なのか。

両方と言うのが、自分の中で出した答え、だから、女は苦く笑って見せて。
それでも、と、掲示板をなんとなしに見てから、受付へ向かい、進んでいった。

ミドリ > 王都に冒険者ギルドの数は多い。
だからか、ギルド同士で情報のやり取りとか、所属している冒険者の貸借りとか。
そういったことも決して無いわけではない。複数のギルドに所属している、という例も無いわけではなさそうだが…

その日は一人の長身の女がギルドに足を運び、報酬を受け取ったところだった。
人手が足りないということで、他ギルドから派遣された形。
ここの住人にとっては普段見慣れない姿だからか、周囲から何となく好奇の視線を感じる…

「……確かに。受け取ったわ」

袋の重みを掌で確かめてから頷き、懐に仕舞い込む。
くるりと踵を返したところで、受付に向かってくる踊り子の姿が見えた。
褐色の肌と、その美しい顔立ち。露出度の高い衣装に思わず数秒、目を奪われる。

…も、すぐに我に返ると彼女に場所を譲る為、少し横に退いた。

ティエラ > 受付に近づいていくと、先客がいた、槍を持つ女性戦士、私よりも頭一つ高い身長で、その肉体は、武術を本業としているのが判る。
私も自衛のために、格闘術を学んでいるが、彼女は専門職だということが判るようなしっかりとした体幹だ。
そして―――人を引き付けるような、黒瞳。この周辺の人ではなく、シェンヤンなどの方面から来たようなたたずまいにも思える。
若しくは東の国だろうか、そちらの方面は詳しくはないので、そうなのかしら、と思う程度だ。
彼女も近づく私に気が付いたらしく、場所を譲ってくれるようだ。軽く目礼し、隣を進み、受付へと。

「ティエラ・フローレスよ。召喚に応じたのだけれども?」

受付に名前と、ギルドの召喚状を差し出す。基本的にこのギルドの召喚状に中身は無い、情報が漏れることを厭うギルドらしく、召喚状という題名の手紙が届く。
そして、受付で実際に情報を聞く必要があるのだった。
ギルドの召喚状の理由は、ティエラの所在確認―――生死の認識だった模様。
確かに、ギルドにあまり来ないとなれば、何処かで死んでいる可能性もあるので、余りギルドに来ない冒険者には、一度召喚するらしい。
ああ、なるほどね、と軽く肩をすくめる。
依頼が欲しいなら優先して出してくれるらしい、拍子抜けしたので、今はいいわ、と。
ギルドの依頼を受けなくても生活できる下地はもう、作れているのだから。

「譲ってくれて、有難う。」

彼女の要件が終わったから、場所を譲ってくれたに過ぎないのは判っているが。
女は、先に場所を譲ってくれた女戦士、ミドリに軽く声を掛けて見せる。微笑んで見せてもよかったが、フェイスヴェールがあるから見えないだろうし。
好みのタイプ、そんな雰囲気がしていたから声を掛けたともいえる。

ミドリ > 受付に向け、召喚状らしき手紙を差し出す女性。
名乗った声は己の耳にもしっかり届いた。ティエラ、と声には出さず何となく口ずさむ。
内容は特段何の不思議もない、ギルド所属者とギルド同士のやり取り。
…まぁ立ち聞きする趣味は無いが、割と受付の近くに立っていたから聞こえてしまっていた。

「…どういたしまして。まぁ私は臨時雇いというか…ここの所属というわけじゃないから。
譲れと言われたら大人しく譲るしか無いわけだけど」

冗談めかして声をかけつつ、フェイスヴェールに覆われた顔を見つめる黒い瞳。
生憎とヴェールに邪魔されて顔はよく見えないが、やはり興味は湧く。
その下にある顔をしっかりと見てみたい気持ちがあった。

「ミドリ・グラーシャよ。ここで知り合ったのもちょっとした縁…ということで。
名前だけでも覚えて帰ってくれると嬉しいわ」

ふっ、と微笑みを向ける。
先程の会話の端々から察するに、彼女もまた、このギルドに通っているわけでは無いのだろう。
ここで会うことは多分もう無いかもしれない。

ティエラ > 「あら。でも、所属とか、関係ないと思うわ?貴女の行動に私がどう思ったか。そして、お礼を言うべきだと思ったから、お礼を言った。
所属だなんだ、などと言い張るのは、人としておかしいと思うわ。」

冗談に切り返す、言葉はフェイスヴェールの下からでもわかるだろう喜悦。彼女の返答に楽しみを持って返せば、真面目と言うには、気軽い印象を与えられただろうか。
フェイスヴェールは鼻から下を隠しているから、女の葡萄の色の瞳は彼女を見上げているのが判る筈。
自分の顔を、推測しようとみる視線にはなれているのか、目は楽し気に弧を浮かべるのだ。

「ミドリ・グラーシャ、ね。私は、ティエラ。ティエラ・フローレスよ。
基本は貧民区にあるBAR。マスカレードと言うお店で、踊り子をしてるわ―――と言っても、其処の所属なだけで、気まぐれにいろいろなところで、踊ってたりしてるわ。
冒険者としては……魔法を使う事にしてるわ、一応護身程度の格闘もしてる。」

自分のいる酒場を教えて、自分の技術を軽く教える。
彼女の実力ならば、女の実力は判る物だろう、格闘と言っても、メインで鍛えている拳士ほどではなく、メインは魔法。
魔法が尽きたときのサブ、後は体力作りとしての格闘なのだ、踊り子の延長ともいえる。専門家ほどではないと。

「お誘い、待ってるわ。」

ふふ、と甘く、言葉を向けて見せる。
女の葡萄の眼は、じっと、黒い瞳を見つめていて。そして、一歩近づく。
友達と話すにしては、少し、近い距離。相手と自分、同じものが潜んでいたことに、気が付いたから。

女を愛する女と言う共通点。
其れゆえの、お誘い。冒険者としてのそれか、それとも。

ミドリ > 「あら、そう? そう言ってくれるのは嬉しいわね。
まぁ、残念なことにそう主張する排他的な人も、この王都にはいるわけだけど…」

仕事は選り好みせず受けるから、様々なギルドを巡った経験上わかること。
自分達のギルドを守ろうとする故か、報酬を横取りされるのを避けたいが為か。拒絶されたことも何度かある。

それはさておき。
喜悦の声に誘われて視線はじっと、フェイスヴェールから出た葡萄色の双眸を見つめている。
踊り子の服を纏う褐色の肌によく合う色で、視線が引き付けられるような魅力があった。

「ティエラね。……成る程。踊り子、兼冒険者。…貴女が踊っているところ、是非見てみたいわ」

お店の名前、覚えた。と笑い、黒い瞳をすっ、と細める。
魔法はさておき、彼女の格闘の実力の程は、ざっとその肢体を観察して何となく理解できた。
本業は踊り子なのだろう。だが、冒険者としての実力も中々にありそうだ。

「……じゃあ、早速お誘いしてみても、良い? ここでこうして知り合うのも縁…ってことで。
貴女のこと、もっと知りたいわ」

女を愛する女。
そんな空気を、見つめ合う刹那にお互いが理解して、此方からも一歩、近づく。
此方の方が幾らか背が高いものの、こうして並び立つとあまり差を感じない。
すっ、と手を伸ばし……その褐色の手指を絡め握ろうとして、甘い声で誘いをかけよう。

ティエラ > 「残念なことに、貴女の言う排他的な人と言うのは、結構多い、という事も事実、ね。」

彼女の言葉に続きを紡いで見せて、片目をぱちりとウインク一つ。冒険者としてではなく、ジプシーとして。
様々な国を歩き回り、排他的な人々に追われる毎日、今はようやく、この国で一息付けていると言って良いのだった。
彼女の言いたいことは、完全にわかるとは言わない、でも理解できないわけでもないわ、と。

「あら、嬉しい。そうね。基本的には……大きく体を動かす踊りが多いわ、ほら、貧民地区はそういう娯楽少ないから。
おっさんたちが触れてこようとするの、避けるのが得意になっちゃって困るわ。
基本的には、踊りは一日2回くらい、夕方と、夜に。酒場に居なければ、其処で踊らないわ。
踊るときは基本カウンターでお水を飲んでるから。」

これは、内緒よ?と、女は笑って見せる。基本は、踊る酒場の隅でローブを身に纏って水などを飲む。理由は踊る前の水分補給。
踊った後はおひねりとかで食事をして帰る。
何処で踊るかを知るときは、このローブを探してね、と。

「手が、早いのね?そうね、この後の予定もないし。」

お誘い、と言う言葉、それなら、と女は笑って見せる。絡めようと伸びた手をそっと握り返し。
指を絡めて見せる。
しかし、直ぐに手を放して見せて。

「じゃあ、チームを組むための相談をしましょうか。お互いを詳しく知らないとね?」

そう、言って見せる。
此処はギルドだから、流石に人目が多い。
なので、人目の無い所でと、言葉にせずにして見せよう。

ミドリ > お互い、言うことについて完全に理解できたわけではなくとも、わかり合った点もあった。
こういう愚痴めいた話は、また酒の席ででも交わすとして。

「そうね。何分、そういう娯楽を見に来る殿方は手が早いだろうから。
避けているだけでも、ちょっとした鍛錬になりそうね」

"殿方"とは言うものの、そんな彼らに対する敬意は殆ど無い。
あくまで会話のちょっとしたスパイスとして、さらりと冗談を口にするようなノリ。
内緒の情報を受ければ、わかったわ、と片眉を上げて微笑んだ。ありがと、とも付け足すお礼の言葉。

「知り合った縁は、出来る限り大事にしておきたいのよ。…お互いこの後、予定が無いのなら尚更丁度良いわね」

一瞬だけ、指を絡めて握る手。
離れれば、よくわかっているという風に頷いてみせた。

「なら、行きましょうか。相談するのに丁度良い場所を知ってるわ」

そう言って彼女を促し、応じるなら二人でギルドを後にしよう。
その後の"相談"の内容は、二人のみぞ知ること―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミドリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にファイネアさんが現れました。
ファイネア > カウンターの席でくいーっとエールを呷り、ごとりと音を立ててジョッキを置く。
エールを選ばない事も多々あるが、ここで取り扱っているエールはなかなかの物であった。
エールもピンキリよねぇ、と思いながらカウンター内の店主にお代わりを注文する。
歳若い(ように見える)女性がぐいぐいと酒を呑んでいれば多少止めるのが店主や給仕ではあるが…。

「お待ちどう。」

慣れた様子で空いたジョッキを取りかえる。
ファイネア自身、ここの常連客であったしマスターもそれを知っていた。
なので止める様子もなく、黙ってチーズと燻製肉を小皿にとって肴として横に添えるのだ。
しかし、ふぅ、と酒精の混じった息を吐き出し、店内を眺める。
周囲はそれなりに賑わっており、成功を祝うものから失敗のヤケ酒まで多数だ。
一人飲み、も少なくはない。少なくはないのだが…。

なんかつまんないの、と正直思うわけで。

懐具合も上々。特にへこむ事もなし…娼館にでもいって可愛い女の子でも見繕おうかしら、などと不届きな事も考えてしまう。
そんな時に来店があればそちらへと視線を向けてしまうというもの。
やってきた客に、ふぅん、割といいじゃない、と思いながら向けた視線はちょっと艶やかな流し目にもなっているようで…。

ちなみにマスターは黙々とグラスを磨くのみである。

ファイネア > 「え?あれ給仕の子なの?」

不意にかけられた声。
黙々と仕事をしていたマスターからの一言であった。
ちょっとだけ目を丸くし、ふーん、とまたエールを呑む。

…飲み終わるまでは、まるで友人のように屈託なく声をかけていた、とか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からファイネアさんが去りました。