2020/06/06 のログ
■シロナ > 「うんうん、正直なのはいーことだって、おもう。
……筋肉が好きじゃないなんて……っ!」
やはり……と言わんばかりに目を見開く少女、一人勝手になんか納得をして見せる、何をどう納得したのかは、言わない。
とはいえ、人の好悪に関して何かを言うほど少女も野暮ではないのだ、致命的なすれ違いがあるのだけれども。
今は、この先生との訓練を楽しむ事にする、久しぶりに、ぶつかり稽古的なことができるのだから、と思う存分に楽しまないといけないのだ。
一人で黙々と訓練したり、実力の劣る人との訓練とは違う、格上なんて、滅多にないのだ!
「え?そなの?
じゃあ、格上の人を読む事とか、出来るの?」
確かに、今は猪突猛進といって良いほどに判りやすく、勢いとパゥワーに任せた一撃を繰り返している。それを受け流す技術は、とてもすごい。
これは学んで帰りたいな、と思う位だ。だって、竜の一撃さえも受け流すことが出来うる技術なのだと。
ちなみに、彼の弟子と比べれば、スピードは5段劣り、パワーは2段くらい上という程度の体力。
「うにゃっ!?」
真面に組み合えば、恐らく今現存する一族では一番筋力はある娘、それを真正面から、一瞬とはいえ受け止められる。
勢いを殺しきれずに、少し押し込むが、それでも彼は体勢を崩さず、踏みとどまる状況に、目を見開いた。
え。まじで受け止められてると、思った瞬間の事。
―――それは、やはり素人ともいえる致命的な隙で、顎にぶつかる手の甲の一撃。それはまだ。
「っが!?」
人の形をしているという事は人と同じような弱点を持つという事であり、鳩尾に入り込む動きはまさにカウンターともいえるその一撃で。
自分の突撃の勢いがそのまま返されるようなダメージに、鳩尾に突き刺さる一撃に、呼気を吐き出す。
全身に響き渡る衝撃は、そのまま少女の意識を刈り取った、それで済んだのは、人外ならざる強靭な肉体があるが故。
それでも、少女は救護テントに運ばれて、お家へと、連れていかれるのだった―――
■影時 > 「野郎の筋骨愛でるより、好い女の胸尻愛で触れるほうが……なァ?」
男としてどちらかと云うなら、最早言うまでもない。
よく鍛えられている使い手の体躯は確かに見物ではあるが、四六時中見ていたいものかと問われると難しい。
傍に侍らせて、眺めるに値するものとなれば、考えるべくもないだろう。
こうも余裕ぶれるのは、今のところ若く、粗削りである処に付け入る、対処できる余地があるからだ。
このまま長じて、己が悟るよりも早く、悟っても返し手ごとぶち破ることができるようになったら。
「魔力やら妖力やらに頼らねえ範囲で有れば、読めはするなあ。
ヒトの形をしているなら、想像もしやすいだろう。そうじゃねェなら、暫く見に回らねぇとな」
受け止める勢いを両足を通じ、気息と共に大地に向け流すことで凌ぐ。
仮に空中に居る状態である場合、如何に練氣の業を積んだ己でも、今のように対処することはできるだろう。
ヒトの形の範囲に収まっている上に、己でどうにか出来る幅に収まっているからこそ、だ。
刹那の応酬はその実、僅かな均衡の元で成り立っている。危うい均衡の場数をどれだけ踏んでいるかどうかで定まる。
意思するよりも、身体が動く。意識を逸らし、生じる隙という虚を突いて――。
「……っ、ちゃぁ。遣り過ぎたか」
意識を刈り取った相手の有様に顔を歪め、手近で身に回っていた同輩に救護を要請しよう。
運ばれていった姿を見遣って、その後に交代にこの場を任せる。
名等聞いて、氏素性を悟れば頭を抱えたか。それはまた、別の話で――。
■シロナ > ―――余談。
戦闘訓練の感想は、もっとやりたい!という所であり彼の事にお怒りやおとがめはなく、むしろ、好評だったそうな―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区/訓練場」からシロナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/訓練場」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジェイクさんが現れました。
■ジェイク > 王都マグメールの平民地区。
富裕層でも、貧民層でもない、文字通り、平民の多くが生活する街は、
王都の中でも最も面積も広く、人口も多い賑やかな場所である。
上下の身分、多種多様な種族が往来する街並みは貧民街に比べれば、
一見すれば治安が良く、住みやすさを感じさせる事だろう。
衛兵の詰め所が存在する平民地区では必然的に街中を警邏する兵士の数も多く、
行き交う人々に彼等が目を光らせている。
だが、それが必ずしも治安維持のために輝いているとは限らない訳で。
「――――其処のアンタ、少し良いか?」
なめし革の胸甲を身に纏い、腰に剣を佩いた警邏中の兵士風の男が
道を行き交う女の後ろ姿へと声を掛ける。
ちらりと覗いた横顔が好みであったのか、或いは、顔見知りだったのか。
口端に滲んだ嗤みは、この後、彼女に降り掛かる災厄を象徴しているかのようであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジェイクさんが去りました。