2020/06/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 昼間の夏間近い日差しが傾いて、冷えた風が吹くようになる頃。
まだ夜の駆け出しともいえる時間なれど、ギルドに併設された酒場は大賑わいで、胴間声やら調子はずれな歌やら嬌声やらたまに楽曲やらが妙なハーモニーとなってその場を満たしている。
此処の誰もが陽気なのは、昨今の騒動お陰で冒険者たちの懐がそろって温まっていることもあるだろう。
その証とでもいえる募集の掲示板には、今日も所せましと様々な依頼が張り付いている。
曰く、件の砦についての調査やら潜入やら応援やら
曰く、件のオークションについての警備やら
曰く、その周辺で起こっている様々な影響にまつわるものやら
「―――嗯(フーン)…」
その掲示板の前、来ては内容を見て受付へと去るものが多い中、先から佇む女が一人。
手にした肉まんを時折ぱくつきながら依頼を真面目に検討するつもりがあるのかないのか
端から順に内容を眺めては細い目をさらに細めたり、丸くしてみたり、たまーに他の来訪者に邪魔にされたり邪魔されたりしながら
ちょっとずつ反対の端へと移動している。
■ホアジャオ > こういうがやがやした所は嫌いじゃない。
最近はず―――っと王城でアルバイトだったので、むしろ居心地がいい気さえする。
いや向こうでも楽曲とかはあったけれど
しゃらくさいダンスパーティーだとか食事会だとかで披露されるものよりも、こっちの方が皆生きがあってよろしい。
―――とそんな事を脳裏で思っていたかもしれないし気にも留めても居なかったかもしれない女は
取り敢えず食べ終わった肉まんの包み紙をくしゃっと手で握りつぶして、もぐもぐと頬だけを動かして端まで。
「―――嗯(フーン)…」
そこでもう一発、感心したのだか溜息なのだか解らない吐息を漏らすと紅い唇を尖らせて
一瞬、とても剣呑な視線を酒場の方に向けるけれど―――何かを我慢するかのようにごくんと頬の中を飲み込んで、今度は間違いなく溜息をひとつ。
後頭部の三つ編みを振り切る勢いで踵を返すと
ぽんと弾むように勢い付けて、たっと床蹴って人でごった返すギルド内を擦り抜けて―――すっかり夜の帳が降りた、外へ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からホアジャオさんが去りました。