2020/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 魔女の酒場」にリリアナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 魔女の酒場」にフィルさんが現れました。
■リリアナ > 平民地区 魔女の酒場
ジプシーとして流れた一団のうち、ベリーダンスと曲を奏でる奏者らの吹奏と打ち鳴らす打音が店内を彩っていく空間。
酒精は甘く香り、安酒の味ですら変えるように、この魔女の酒場で披露するよう依頼された一座は奏でる笛と皷に手拍子で合わせていく。
中央で踊るのは赤く透けたレースのニカブとストールで口元を、腰を隠す赤のビキニで胸元を隠したラミア種の踊り子。
黄金瞳の瞳は笑みを作るだけで妖艶に。
口元のニカブから透けて見える笑みがら零れる口元から覗いた小さな牙が色気を増やしていく。
酒場の空気は、踊り子の纏う香と腰のみで左右に小刻みに揺れていくリズムだけでも黙って眺められる視線が、盛り上がるを映す。
(―――今日は、お客様が多い。)
ラミア種が珍しいというのも手伝っているだろう。
踊り子があまりある胴体あれど、くるくると回り、両手を腰の両側に緩く下げながら振り躍る。
両の手を長い髪の後ろで組み、左右を前後に、胸元から腹部へ、そして蛇の胴体へとくねらせていく踊りで、店内は熱を帯び、酒精のグラスは空へとなり乾く。
酒を美味くさせ、目を楽しませる踊り子の仕草一つ一つ。 肌に浮かぶ汗が珠となり浮かんで、熱で浮く香の香りがある。
「ふふっ……。」
視線のあったまだ若い青年が、グラスのラムを盛ったまま眺めているのにウィンクを一つ。
周りの仲間が なぜおまえだけ というようにするのに、シィーッ と指を一つたてて周囲も口を紡いで頬を緩ませるのに、手をひらりと指の端から端へと弛ませ。
■フィル > 過ごしやすい夜になれば、酒を共にするお店の賑わいは燃料を放り込まれたように、増していくものである。
食事をメインにするものから、お酒のみを静かに楽しむ店まで様々だが、普段はあまり少年が自分から踏み込む世界ではないのは間違い中ないかも知れない。
お店への道具の運搬を兼ねて、場に合わせる様に青年に化けて踏み込んだ、噂が風に乗って届くお店は、刺激的な世界であったようであり。
「凄い…」
ちょっと背伸びを兼ねて、配達ついでにお店の盛り上がりを見ていくことにしたようである。
けれども、繰り広げられる音色のリズムに合わせて、激しさと艶めかしさを感じられる、異種族の踊りへと直ぐに見入ってしまったようだ。
異種族ということを全く気にすることのない青年は、より妖艶さをもって蠢く人と蛇の合間った、しなやかな動きにどこか幻想的なものでも見るような視線を向けていき。
一応とばかりに頼んだ、酒であるラムへと口を付けることも忘れ。
手の動きから、腰の動きへとすっかりと視線で動きを送っていくことに夢中になっていったようである。
「…っ!」
そんな中、視線が合うだけではなく、一つウィンクを送られれば、見入っていた意識への刺激となったようである。
目を瞬かせ、辺りのお客の様子へと視線を向ければ、ようやく自分へと向けられたことに気づいたようであり。
少しだけ、手に持ったままのラム酒を口へと含んでいけば、それは周りに合わせた少しの背伸びのつもりか。
「…素敵な踊りですね…」
少しだけ前に出る様に足を進めながらも、踊りの邪魔をしないように、程々のところをで足を止め。
より近くで見られる位置へと場所を取れば、ウィンクへ返すように、踊りの最中ということもあり、短く気の利いた捻った言葉ではないが。
素直に沸き上がった感想を零しては、その床から頭の先まで、妖しく揺らめく動きにより視線を滑らせていくが。
■リリアナ > 座って眺めるお客様から立ち見で回りに囲むようにとる方々までいく空間。
ニカブこそベリーダンスからすれば余計な装飾ながら、こういったアイテムが男性をくすぐるのだと嘗ての姉弟子が言っていた。
口元を隠し、レースで透ける肌が、その黄金瞳で視線を合わせながらリリアナは熱を浮かべて肌を染めていく。
踊りによる運動の熱といえど、それが寝台の上で彩る肌と連想する男性客達。
その熱が、同衾による閨の中己が生み出したものならば、と男の一種の想望が過っていく。
素敵な踊りですね、と立ち見をしていた先ほどの青年が、顔を染めて呟いた。
それに笑みを浮かべ、踊り子として目の前まで蛇の胴体がシュルリとうねり、近寄るのならば目の前でストールを手にくるり、くるりと。
目の前で踊って見せながら中央へと戻っていく。
打ち鳴らされる手拍子が、皷が締めくくりに入りながら、最後にリリアナは腰を折り曲げた礼と共に〆た。
ワッと贈られる手鳴らしの拍と賛辞。
奏者らにも好いものを見せてもらったとチップが入っていく。
酒場のスタッフの一人が、熱を帯びる身体を持て余すリリアナにタオルを差し出してくれた。
新品なのだろう、解れも荒れてもいない柔らかい布地だった。
軽く押し当てるようにして汗を拭い、地下で冷やしたのか喉をすんなり通っていくグラスの中の水を飲み干すと、笑顔で礼を延べ、カウンターの椅子に腰を下ろすようにして、しゅるりと余った尾が踏まれることもないよう、椅子に巻き付くようにゆるくとぐろを巻いていく。
―――いい熱気と反応だったなぁ。
―――久しぶりに踊り子として真っ当している気がする。
リリアナの中に充実感が満ちていく。
その視線が欲望であれ、賞賛であれ、踊り子は自身の踊りで魅入ってもらうことが証になれる。
冷たい水が、冷えることを嫌う体が帯びる熱を程よく覚まし、一息ついたころ。
奏者らが割と高い酒をグラスに注がれているのを見つめながら
、先ほどの青年が近づいてくるのが見えた。
休んでいるリリアナへと、ラミア種も相まってか寄ることを躊躇う男性客らの中で一人青年だけが、少しずつ近づいて声をかけてきたのだ。
それが褒めの言葉であれ、感想であれ。
リリアナはニコリと踊り子の笑みを崩さない。
「光栄ですわ、旦那様。」
殿方の客人は、旦那様。
奥方の客人は内儀様。
須らく踊り子と客の境界で呼び合う呼称で、青年をそう呼んだ。
■フィル > おおよそ、熱気と活気が溢れる空間は大人の楽しみといえるものであり。
配達とはいえ大人の姿に化けてきたのは、適切だったのだろう。
おおよそ踊りというものにあまり詳しくない青年であったが。
踊りというものの人気の理由の一端を理解するには、十分だったようである。
見せつけられるように返された動きからは、すっかりと周りの熱気や様子が気にならぬほどに、彼女の踊りへと身入りきってしまい。
その踊りが終われば、現実に連れ戻されるように周りから上がる歓声に乗せる様に、大きな拍手を送っていくのだから。
余り仕組みに詳しくないからということもあり。
奏者へとチップが捧げられていくのをみれば、少年も称賛を込めてチップを捧げていくのだが。
少々チップの量が多いのは、ご愛敬といえるかもしれない。
この場の主役である彼女が舞台から去っていけば、熱気の余韻に浸って酒を楽しみに戻る人々も多い中、カウンターに行くのを見送るままに青年は歩を進めていく。
何かを強く考えてから、というよりは思わず動いてしまったという感じは、その足取りからは拭えないのだが。
「ラミアの方の踊りって…こんなにしなやかで綺麗なんですね。
此方こそ、言いものを見せていただきました」
ミレーに厳しい視線が向けられやすい街である。
人の姿に公の場では、基本的に化けている青年だが、中身は同じく異種族である。
だからこそ、というところもあるかもしれないが。
一定の距離で戸惑うお客とは違い、さらに彼女に近づけば、改めて称賛の言葉を送っていくことにしたようである。
少々緊張気味なのは、背伸びをしているのだから、隠しきれてないようだが。
「隣の席失礼しますね…。
旦那様…なんて呼ばれるのは慣れてないので、不思議な感じですが。
何か一杯いかがですか…?」
青年にとっては、彼女のラミア種である下半身の長い尾は、むしろ素敵な特徴にすら見えているようである。
椅子に巻き付いた動きのしなやかさにも、つぶさに視線を向けていたわけであり。
少しだけ深呼吸をするように、隣の席に腰を下ろしていくが。
まだ半分は残っているラム酒と、熱気に当てられてか、少々頬には赤みがさしてしまっているようだ。
旦那という呼び方がここでは普通であっても、慣れてないのか少しだけむずがゆそうに笑みを零し。
会話を少し切り出すように、そんな言葉を切り出していく。
踊り終わってもまだ感じられる妖艶さに、視線を彼女へとしっかりと向けたまま、青年なりの彼女への称賛の贈り物といった様子で、お酒の一つでも奢ろうとしていくが。
■フィル > そうしてしばらく会話を交わしたのち、二人して席を立ち。
店の中を移動していったようである―
ご案内:「王都マグメール 平民地区 魔女の酒場」からフィルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 魔女の酒場」からリリアナさんが去りました。