2020/05/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区  公園」にラファルさんが現れました。
ラファル > 「誕 生 日 だぁぁぁぁ!!!」

 昼間の公園に、そんな声が響き渡る。周囲の目は幼女の方に向くも直ぐに興味を無くしたように逸れて行く。
 一部の大きいお兄ちゃんお姉ちゃんは違うかもしれないけれど、普通の人はそんな感じである。
 幼女は元々テンション高く、あちらこちらに移動しては、遊んだり遊んだり遊んだりしていた。
 今日は、殊更テンションが高い―――と言うのも、今言った理由が有るから。

「ふっふっふ……今日は、きっと何してもいい日……!」

 にまにまと笑う幼女、確かに祝いの日なので、少しくらいは許されるだろうが、何でも許されるわけでは無い。
 でも、幼女の思考からそんなことはスポーンと飛んでいる。

「そもそも、そんな日なのに、放置ってどーよ!」

 おとーちゃんもおカーちゃんも、おねーちゃんも、お仕事で忙しい。
 一つ上の姉は、引きこもって出てこない。
 義理の姉と、姪っ子ずは、多分冒険?居ない、グリムもいない。
 流石にシスカちゃんは……一生懸命お仕事してるの邪魔しちゃいけない。

 そんな理由から、野獣が、野に放たれたので、有る。

ラファル > 「――――」

 何をしようかな。幼女は白い雲を見上げながら考える、テンション上げて飛び出た割には何も考えてなかったから。
 今できることを考える。

・1、城に忍び込んで、色々悪戯する。
・2、海に行って、ダイオウイカの踊り食い。
・3、その辺のお店食い尽くす。
・4、人間さんパックンちょ。(物理)

 いつもと遣ってる事変わりがないような気がする。
 それと、なんか空に師匠のおっちゃんの顔が浮かんで、自重しとけ、言っている気もする。
 多分怒られ懸案だろう、特に1と4。
 一気に、やるの幅が減った気がする、じゃあ、何をしよう。
 パーティーとか……ドレス着るのやだ。

「何か、美味しいもの食べたい。

 何かと言って何が出てくるだろう。
 幼女はその場に胡坐をかいて座り、腕を組み考え始めた。
 うーんうーん。普段食べないような物とか。
 普段しないような事―――?

ラファル > 「冒険者ギルド……。」

 別にギルドに行っても祝ってくれるわけでは無かろう、そしてアスピダの件で依頼を掛けられるかもしれない。
 まあ、当年取って10歳の幼女であるから、彼らが、指名して依頼を受けさせるかどうかは、そのギルドの頭に掛かって来る。
 実力主義とかだとしれっと組み込みそうだ。でも、断るけれど。

「だって今。」

 とある貴族の護衛を、珍しくも姉から依頼されているだからおいそれ離れるわけにはいかない。
 因みに今は、と問われると、氣で作り上げた分身が彼女の周囲をカバーしている。
 今現在も問題はなく、護衛は行われているので気にしなくてもいい。
 くぅぅ、とお腹が鳴る。
 そろそろお昼の時間でもあるので、先ずは何かを食べたいな、と考え始めた。

「たまには、美味しい鉱石とか、良いかなぁ?」

 じゅるり、とよだれ垂らして、プレゼントホーミーと、言ってみる。
 しかし、誰もいない。

ラファル > 「―――むー。」

 少女の口から零れる声は、表情は、不満をあらわにして頬を膨らませる、子供によく見るそれである。
 いかな竜とて、いかな、才能有れど、子供は子供であり、幼い者だ。
 他の子供のように、誕生日には祝ってほしいし、遊んで欲しい。
 それだけの事だけれど、判らない人が多い。

 恵まれているのだろう、誕生日だからと祝ってくれる人が居ない子供も多い。
 そもそも、生きて行くのに必死な人も多い。

 ――――知っている、理解している、頭では。
 しかし、子供の感情としては、それは納得できるものでは無いのだ。

 唇を尖らせ、つまんない、と石を蹴る。

「いいもん。」

 ふてくされた少女は、歩き始める。
 誰もいないなら、何処に行っても構いはしない。

ラファル > 「にし。」

 だから、子供は子供らしく、遠慮なく遊んでしまおう。
 能力が有るから?知ったことではない。
 さて、どれにしようかな。

「お城に忍び込んで、書類悪戯して。」

 怒られてもいいもん。ちょちょいと、悪戯書きをして。

「海に行って、お腹を満たして。」

 ご飯食べてお腹いっぱいにして。

「人間、食べよ。」

 ―――アスピダの、暴徒なら、食べてもいいよね。

 にまにまと、少女は笑い、するり、と影に融けて消えて行く。
 公園にはもう、誰も、居ない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区  公園」からラファルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」にシロナさんが現れました。
シロナ > ―――叔母のラファルが不貞腐れて不穏な事をしているそのころ、姪の内一人は、商店街に来ていた。
 白い髪の毛に茶色のベレー帽を乗せて、白いシャツの上には赤のベスト、活発な蒼いパンツをはいて、靴は動きやすい革靴。
 肩掛けカバンをかけて、やって来たのは商店街。

 母親の命を受けて、叔母の誕生日プレゼントを買いに来たのである、今日は、叔母の誕生日なので、お祝いすることになっている。
 本人には内緒のサプライズパーティ、本来であれば、高位の探索者系冒険者である叔母から隠れるなどは無理な話と言えるが。
 そこはそれ、ドラゴンの巣―――じゃなかった、トゥルネソル商会の全力を持ってすれば不可能では無いのだ。
 母の持つネットワークパスに、家令長の目、その二つで叔母の動向をしっかりと見据えて、彼女の行動の逆を突けばいいと成ったのだ。

 だから、朝から叔母は誰にも会えずに居るのである。
 帰ってきたところで、みんなでお祝いすれば、きっと喜ぶだろう。
 ケーキなどは、誰の担当だったっけ。
 取りあえずアタシはプレゼントを任された。トゥルネソル商会を使わないのは、商会のものでは無いもので、贈り物をするため。
 だから、おこ……じゃなかった、軍資金をもらい、この商店街に来たのである。

 責任、重大……!

シロナ > 「ではでは、と、何を買おうかしら。……やっぱり、筋トレグッズ?」

 叔母さんは、アタシよりも長生きしてるけれど精神的に幼いというか見た目的幼女だし。
 此処は一つ、今後の成長を祈って、筋トレできるグッズが良いんじゃないだろうか、と思う。
 だって、腹筋が割れてるなんてかっこいいし、エロくない?と、思う物の誰かに同意を求める事が出来なかった。
 だって、今一人だもの、誰かが居ればこう、話を振ることできるけれど、居ないんだし。
 それで、その為だけに通信するのもなんだかなぁ、と思うアタシだった。

「―――。」

 さて、真面目に考えよう。筋トレは、私の趣味がとてもたくさん盛り込まれてる。
 本当にありなのか、無しなのか。
 あんななりで、アタシの何倍も強いから、筋肉要らないのかしら。
 他の物も、見て考えようか、と私は道を進み、お店を眺めることにした。

シロナ > 「武器とか……は。」

 先ずは武器屋を覗く事にする、冒険者には武器が必要だし。
 彼女の武器を思い出すが―――あれはやばい、何で彼女が持っているのだろう、ドラゴン特攻の力を持つ短刀、あれ奪われたら終わりじゃないのだろうか、恐怖がパ無いのですが。
 ドラゴンに通る武器という時点で武器としての強さは十分で、其れなら、別に武器は必要が無いだろうという結論が出るのだ。
 個人的には、お母さんのような凄い大剣とか、かっこよくていいな、と思うんだけれど。
 スタイルに合わないだろう、目立つし、却下して、次のお店へ。

「じゃあ、防具……。」

 思い出す、半裸。服を着る→不機嫌。
 あれ?だめじゃね、これ。というか、トゥルネソルは裸族多い気がする。
 ラファル叔母もそうだけど、家で服着ないのは他にも。
 まあ、基本ドラゴンだし、鱗があるし、肉体的防御は強い、かくいう自分だって、鱗を出さなくても鉄の剣などは余裕で弾ける。
 必要ないよなぁ、という思考。

「お菓子、とか?」

 それは別の人が担当、今日はパーティなので姉か、若しくはイスカちゃんか、誰かが用意するはずだし、其処でプレゼントお菓子はまずいだろう。

「あー!あー!」

 いざ、プレゼントを贈るとなると、見つからないもので。
 白い髪の毛をわしわしして、苛立ちと言うか思考を少し抑えよう。

シロナ > 「アクセサリーも……。」

 彼女は隠密をする系のクラスだし、隠れるためのアイテムなどが良いのかもしれないけれど、実際に、無い。
 そう言うのは盗賊ギルドとかに行かないと売ってないだろうし、さらに言えば、身に付けるもの=嫌いとなる。
 肌露出が減ると不機嫌になる、何処迄面倒くさいんだ叔母は!
 今更ながらに、マジかと、言いたくなるのだった、本気で筋トレグッズを渡してしまおうかという危険思考。

「え―……家に有るもので考えてみよう」

 彼女の部屋に遊びに行った時に見たのは。
 広い部屋の隅にぽつんと置かれていたバックパック。
 隅っこにベッド。クローゼットの中は空。

「お金持ちにあるまじき、何もなさ……!」

 思い出してショックを受ける、何処迄ショックを与えるんだ叔母……っ!
 こういう時、冒険者だというゼナ母が居れば、いいアイデアを貰えるだろうけれど。
 冒険者の方は、最近全然見てない、というか、物心ついてから一度も会ってない。


「さて、煮詰まった!」

 道具屋を覗きながら、見たことの無いアイテムを眺めてぼやく

シロナ > 「まだ、まだ時間はある、慌てるのはまだ早いぞアタシ。」

 そもそも、誕生日当日に誕生日プレゼントを買う時点で遅すぎるとそんな突込みが来てもおかしくはないかもしれない。
 でも、まだあきらめたわけでは無い、と意を決して、アタシは店をめぐるのだ。
 そして、とあるべき場所で、天啓を受ける事になる。

 これなら、きっとあの叔母さんでも喜んでくれるに違いない!
 そう確信をして、アタシは、買うべきものを買い、戻るのである。

 間に合った、と安堵したのち、ラファル捕獲作戦が発令し、大慌てで出かけるようになるのはまた別の話―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」からシロナさんが去りました。