2020/05/02 のログ
■アルファ > 「眷属じゃないね。人間と妖魔の間に産まれただけ。人里で育った。
魔界も知らなければ闇の繋がりもない――この国のただの冒険者さ。
君も人と違う雰囲気があるから理解あると思ったんだけれど」
首を正して素っ気なく告げて。そして唇が尖ってゆく。
「むぅ、おかしなことを言うなぁ。女を買いに来たんじゃないなら何をしにここに来るのさ」
驚いたようにも肩透かしのようにも、意外といわんばかりの表情を見て少し拗ねたように言葉を告げたす。
そして座した相手の側に胡座を組んで腰を落とした。
「ノリ気じゃなさそうだね。それじゃお試しでどう?
試して気分が合わないなら俺は別の場所にいくよ」
失礼な物言いにも表情1つ変えず。掌の上に黒々とした闇を創り出した半妖は
そこから重たげな金属音を立てる金貨袋を取り出して差し出した。
■乙姫 > 「敏いな。さすが……まぁ……やめておくか。」
己を見抜く力にはさすが魔の血を――と言いかけて、皮肉と受け取られそうでやめておいた。
まさか前髪で隠した角が見えているのだろうか、なぞと前髪の分け目を気にしつつ。
バレて困るわけではないけれど、いずれバレるかもしれないけれど。
「自覚がないのじゃな。あまり飢えているようには見えぬという意味じゃ。
それと……そういった反応がどうにも……駄々っ子のように見える。」
背丈も体躯も一人前の男に見える一方で、まだ落ち着いた男には成長しきっていないことが鬼にもわかった。
それよりいくつも年下のなりをした己が言うのも重ねて無礼な話だが。
「ああ……ううん、そなたに気乗りがせぬと言っているのではなくてだな……。
―――わらわは軽輩であるからして、そう気張った額は要らぬ。
そなたの“買い物”を邪魔するつもりもなかったのだが……。」
女を買う男に見えないと言ったことが勘違いを生んだようで、ばつが悪そうに視線を床に落とし。
本当に買うつもりでここを通ったのならと、その視線は襖へと流れた。
まるで誰かが奥で開けたようにスッと開いた先に、ベッドではなく東国で馴染みのある布団。
異国出身の少女に合わせ、娼館が用意してくれた落ち着く寝床であった。
■アルファ > 「敏いのは君の方だね。ただ股を開くだけの女は飽きてるんだ。
何かこう、心の琴線に触れるような人とね。まぁお喋りしながらアレする、みたいな?
駄々っ子は嫌いかな」
受け取る様子がないから金貨袋は二人の間に置いた。
そして胡座の上に肘を置いて頬を預けながら相手の言い分を聞いて。
「あんな裏通りの窓でしゃぼん玉で遊んでいたのは自分が軽輩だったから?
俺には洒落たお誘いに見えたけれどなぁ。
それと買い物するのは俺。卑下するより後悔させないって言ってほしいな」
ゆっくりと立ち上がり座した相手に手を伸ばす。
「俺の名前はアルファ。よろしくね」
手を取るならば繋いで一緒に寝所に向かっていく。
■乙姫 > 「辛辣な話じゃ。そも、そなた飽くほど女を抱いているのか。見かけによらぬとはこのことか。」
飽くほど女を知っているのに駄々っ子に見える不思議な存在に、鬼も困惑。
ただしふっと笑えば、少し前まで流れていた気まずい雰囲気は薄くなろう。
「仰せの通り軽輩なわらわの手に負える駄々であれば良いけれども。
卑下などしておらぬ。わらわのようにちまっこい娘が好きじゃと言う者もおる。
そなたは姉姫さま達に手ほどきを受けたほうが良い御仁じゃと思うただけじゃ。」
事実だ。
こういった行為にはやはり経験と技術が大事で、それにより満足度は全く違うはず。
最も新入りの己と共寝するより姉姫達が合いそうだと思っただけなのだけれども、本人いわく飽くほど女を知っているのなら余計な世話だっただろうか。
まだ掴みきれない青年の手を取り、少女は立ち上がる。
波打つ白髪が流れた。
「名はない。……ので、乙姫と呼ばれる。」
駄々っ子のようだと言ってはみたが、身長差が結構あるな、との印象と共に。
ふたりの姿が寝所へと向かったなら、また誰かが閉めたような自然さで襖は閉まり――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 色里」から乙姫さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 色里」からアルファさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」に影時さんが現れました。
■影時 > ――毎日とは言わずとも、適宜顔を出さなければ得られないものがある。
己の走狗を四方八方に飛び回らせ、情報を集めさせることをすれば不可能ではない。
だが、それだけでは己が尺度や目線に偏ったものばかりになりかねない。
世間巷の情報は又聞きの域であったとしても、直に見聞きするものに限る。
何よりも、己が肩書の一つに於いても顔を出し、言葉を交わしておくのも重要だ。
それにひとつ、結果を報告しておかねばならない事案もある。
「……いよゥ、久しいな?」
そんな言葉を投げかけつつ、平民地区の一角にある冒険者ギルドの建物の扉を開く姿がある。
装いはこの辺りではあまり見かけない類だ。
知る人ぞ知る侍という剣士、戦士の類であればこのような恰好をしているだろうか。
だが、冒険者となれば異邦の流れ者や奇を衒ったものが多い。
冒険者ギルドは数こそあるが、このギルドに於いては奇異の目を向けられるということは、昨今となれば多くはない。
本来の己の生業や素性は別のものだが、忍者も侍も成り立ち云々を考えれば根っこは同じだ。
「時間がかかってすまンな。以前頼まれてた薬種を納めにきた。何分、天候が整わなくてな」
主に請けるのは採取、ならびに低位の魔物の動向の調査だ。
手数が足りないのであれば、多少は名のある魔物を刃を交えることもあるが、深山に勝手知った風情で踏み込み、帰還できるものとなればどれ程居ることか。
建物の奥にあるカウンターに至れば、会釈と共に顔見知りの事務員に報告と取り出した革袋を差し出そう。
依頼の品は、特定の条件で生育するキノコだ。
適切に加工すれば後遺症の少ない媚薬や活力剤となるものだが、如何せん天候に左右される。
即金で報酬を得たいものにとっては、見向きされない類だ。
請けるとなれば暇を持てましたものか、或いは変わり者の類だろう。
■影時 > 「依頼にもあったがな。出来る限り湿らせンように気を付けてくれ。
湿らせるとこいつは胞子を吐き出しちまう。そうすると、薬効が覿面に落ちる。
袋に乾燥剤は入れちゃぁいるが、早々にちゃんとした保管箱に仕舞った方がいいぞ」
報酬の支払い、受け取りのための手続きを始める事務員に釘差すように言葉を紡ぐ。
天候もそうだが、保管の面でも面倒が多い納入物だ。
数を納めなくてもいい、翻って大量納品が難しい品物とは最終的な引き渡しまでの扱いが難しいコトも多い。
思い出したような素振りで頷く姿に、ほっとしながら即金で報酬を受け取るかどうか考える。
取り敢えず、受け取っておこうか。暫し待てば、報酬が入った小袋を受け取る。
どうも、と会釈を共にその場を順番待ちの冒険者に譲る。
「……――嗚呼、この辺りの張り紙もつくづく変わらねェなぁ。
朝の張り出し時と比べちゃ数は減っているが、張り変わらん奴は始末に負えんのかね」
時は、夜。酒場を併設するが故に受け取った報酬で飲み食いし、散在するものも多い。
そういった声を吟遊詩人の歌声も交じりで聞きつつ、無精髭が生えた顎を摩ってロビーの壁際に歩む。
其処に設置された掲示板に張り出されたものは、良くも悪くも玉石混交だ。
駆け出し向きやら、内容の渋さに見向きされないものも多い。
即金となりうるものは腕に覚えがあるものから、大概取り合って受諾、出発となる始末だが。
■影時 > 「……闇商人の討伐、ねェ? 肉親でも殺されたかね。認可を出した奴も出した奴だが」
内容によっては、重いものがある。
大概、そういうものは生命を賭けるにしても割に合わないと敬遠されるものだ。
いっそ殺し屋でも雇う方が、まだ達成する余地があるだろう。
それでも少なくない金銭を集めて募るのは、公沙汰に出来ない云々もあってのことだろうか。
思っていたよりも、発行日が近い依頼文を見遣って胸の前で両腕を組む。
「タナール砦で跋扈する名のある魔族の討滅、もしくは捕縛。
捕縛した際は報酬は倍額。――気にはなるが、喰い甲斐のある女だったら引き渡す前に犯しやしねェかな」
この類もまた然り。奴隷か苗床か。
如何なる狙いかは、それこそ発布した物好きな貴族の家名に聞かねば分かるまい。
おっ勃つような良い女型魔族であれば、その場で犯してしまいがちなものだが、それを前提にしての依頼か。
それを狙って砦に赴くと、大概空ぶるものだ。
覚えておけば、臨時の高額報酬になる――かもしれない。生きて帰ることが出来れば。
できずして、命からがら逃げかえった者が懺悔の果てに廃業するという事例も偶に聞く。
■影時 > 「……――で、運び屋か。
おいおい。足は自分で調達しろ、か。徒党組んで馬車なぞ持っている奴ら向きだな」
張り出された日取りは数日前だが、依然として残っている張り紙を一瞥して苦笑を刻む。
棺桶サイズの荷物を王都から離れた或る街まで運んでくれ、というものだ。
中身は不明。詮索無用。単なる運搬の仕事として考えるとすれば、お得感はある依頼額である。
しかし、生憎とこの身は徒党を組んでいない。
ましてこの仕事を鑑みるならば、ある程度は裏取りをしておかないと依頼額に見合わない手間になること、請け合いだ。
「おゥい。この依頼を受けたいと思う奴は他に居るか?ン?」
小さく息を吸い、よく響く声音で目についた依頼の張り紙を引き剥がしつつ、問おうか。
闇商人の討伐。
禁制の薬毒類や奴隷の遣り取りで財を成したことを厭う、あるいは警戒した商人達の支援もあったのだろう。
個人で発布するにはこの報酬額は高めだ。恨みを買う、生命の保証が出来ないなどのリスクを除けば。