2020/04/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメグさんが現れました。
メグ > うららかな陽気のお昼時、商店が立ち並ぶ平民地区のメインストリートを、藤籠をぶら下げた少女が足取りも軽く進んでいく。お腹も空いた頃合い、どこかで食事もしたい。

「とは言うものの」

人差し指を下唇に軽く当てると、空を仰いで肩を竦めた。

「こんな陽気の日に室内でのご飯はもったいない。今日は冷たいワインにサンドウィッチで外のランチとしゃれこみたいところですね」

なんだか芝居がかった長台詞を吐いて、ぽんと諸手を打った。これは少女の癖であった。

メグ > 手に持った藤籠を見下ろすと、安物ながら中々に熟れた貴腐ワインが入っている。当然元々、仕事をおさぼりする気満々で持ち出した代物だ。わざとらしく『まあ』なんて呟くと、口角をぐいっと持ち上げて微笑んだ。

「なんて準備の良い事でしょう!」

ちゃぷん、と音を立てながら藤籠を揺すると、にっこり笑顔はそのままに近くの露店へとスキップ気味に向かう。
すでに店先に並んだ、素朴なハムのサンドウィッチはターゲットされている。何より値札を見れば大変リーズナブルだ。
露店の前に立つと、迷わず『これとこれ!』と告げて、硬貨と引き換えにランチを自分の籠に放り込んだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 長閑な蹄の音を立てて。街路に黒鹿毛の軍馬を歩ませる騎士は、手に何やら羊皮紙の紙片を持っていた。
街中にては、馬は緩歩でしか歩ませることは叶わない。それが、どうにもこの悍馬には物足りないらしい。ブルル、と鳴らす鼻は、いかにも踏まん層でり。

「今朝、随分と走ったろう?」

困ったようにそんな軍馬を宥めるように鬣を撫で、そしてもう片手は手にした紙片を見入っていた。
如何にこの街に慣れてきたとて、騎士はやはりよそ者だ。
まだまだ、街の詳しい街路など、頭に入っていよう筈はない。

困ったように愛馬を停めた騎士。
ぽりぽりと髪をかきつつ、傍らの露店で今まさに買い物中、という少女へと、躊躇いがちに声をかけた。

「馬上のままのご無礼のうえ、卒爾ながらお尋ねしたい。
 この店には…どう行けばよろしかろう」

随分とまた、古風なしゃべり方であるのは、どうやらこの国の言葉にまだ、慣れておらぬようだ。
そうして騎士が見せた紙片には…少女には馴染みの文字が躍っている。
そう、自分の店の名前だった…。

メグ > 「ありがとうおじさま、貴方の午後に祝福のあらんことを」

スカートの片端をつまんで露店の主に頭を垂れた後、くるりと踵を返す。さあ、さあ、これから何処へ参ろうか。
そんな思惑に入ろうという正にその時である。
振り向いた眼前に突如現れた大きな影に、元々大きめの瞳は更に丸くぱちくりと瞬いた。『わあ』と呟いて小さくぽかんと開けた口元が貴方からも見えているだろう。

「あの……ごきげんよう、騎士様。ふむふむ?」

とっとっと、と軽い足取りで彼の差し出した紙片に近寄り、中を覗き込む。すると、少女は、『あっ』と軽く声を上げ、彼の顔と見比べた。

「ええと、存じております。この店に何か御用ですか?仕立ての用命……とか?」

アルヴィン > これは、驚かせてしまったかもしれぬと、騎士は紙片を渡した後の手で、またも困ったように口許を掻いた。
そして、問われた言葉に頷いたのだ。
背後、鞍の後輪に布でくるんだ荷があった。
それを、騎士は後ろ手にぽん、と軽く叩いて示してみせる。

「場合によっては、仕立てをお願いすることになるかもしれぬが…まずは、繕えるか見ていただきたいのだ」

マントと、鎧下だ、と騎士は告げる。
マントの方は魔獣の皮革を使ったもの。なまなかな腕では針を通すのも難しい。
鎧下は、随所を皮革で補強された衣服だ。この上から鎖帷子などを身に着けて、甲冑が肌へと食い込むことを防ぐ。
いずれにしても、腕のある職人でなければ任せられぬと迷った騎士は、腕のよい仕立て屋と街の人に問い、ここを紹介されたのだ、という…。

「…先般、鎧を傷めてしまった。その時に…鎧下にもいくつも傷を作ってしまった。繕いが難しいなら仕立てるしかないのだが…」

また、値が張ろうなあ、と。騎士は溜息をつくのだった。

メグ > 彼の言葉を興味深く、ふむふむ、と頷いて聞いていたかと思えば、荷を眺めてぽんと諸手を打つ。
美しい青の瞳をしっかりと見上げて、にっこりと口角を上げた。つまりは、顧客だ。騎士なんてものには疎遠の少女に少しだけ浮かび上がっていた警戒心はあっさりと消え、手を合わせたままに頷きを一つ。

「まあ、それは随分とお困りでしょう。彼の店には強固な鞣し革にも、ぶすり!と穴を通す素晴らしい縫い針があると聞き及んでおります。必ずや騎士様にご満足頂ける筈ですわ」

ぶすり!なんて言う時には針で穴を穿つジェスチャーをしてみせた。

「案内してもよろしいのですが、どうか私の夢を一つ叶えては頂けませんか?というのも、私はぜひ一度、乗馬をしてみたいと思っていたところなのです」

彼の跨る馬の鼻先に寄り添うと、いかがですか、と、首を傾げた。好奇心は爆発寸前だ。

アルヴィン > 届いた言葉に、騎士はほっと胸を撫でおろした。
まずは、繕いの依頼ができるかもしれぬと、そう安堵したといわんばかりの表情だ。
…なにせ、甲冑一揃えとなればそれは、かなりの出費である。
一家四人が数年暮らしていけるほどの額が、場合によっては簡単に飛んでゆく。

案内を乞うからには、己も下馬せねば、と。
そう思っていた騎士は。届けられた言葉に今度は、夏空のような瞳をぱちくりと瞬かせ、そして…なんとも苦笑というには柔い笑みを刷いたのだった。

「なるほど…。では、お手を」

騎士は、そう言うと馬上から、娘へと向けて片手を伸ばした。

「この馬は…癇が強くてな。おれ以外の者を乗せると、振り落としてしまうのだ。であるゆえ…」

このまま、前にお乗りあるがよいと思うが、いかがだろうと、騎士はそう、問うのだった。
不躾とは思うが、乗馬をと仰せならばそれしかないと、やはり困ったように騎士は柔く笑み…。

メグ > 「やった!かような若輩の街娘如きの夢を叶えて下さるなんて、騎士様は優しい方です。ふふふふ」

迷い無く告げられた言葉と、向けられた手に、少女はそれはもう嬉しそうに破顔して声色を弾ませた。
こんな事も無ければ騎乗する機会など殆ど無いだろう。平民の少女にとっては物語の姫君を追体験出来るような大変に珍しい経験だ。
彼の手を取り、その身を任せる。抵抗なく少女は馬上に行くだろう。彼を背に取る姿勢となれば、普段から好んで使う花弁を漬け込んだ髪の椿油がほのかに香るはず。

「店はこのまま道を進み、王都外縁の西側に御座います。羊が列を成す看板が目印ですよ、さあ、さあ、参りましょう!」

紅潮した頬は横顔でもわかるだろう。それはもう嬉しそうだ。

アルヴィン > 鞍の前輪と、そう呼ばれる場所に。娘を横向きに座らせるよう、騎士は自らも身体を倒して抱え上げるようにと引き上げた。
春の陽気に温められて…。娘の髪の椿油は、ほのかに、けれどしっかりと匂い立つ。
その香気になんともくすぐったそうに。
騎士はやはりまた困ったように口許をかくと、緩く愛馬の馬腹を蹴った。
拍車は、つけていない。
そのようなものなど無くとも、この悍馬は騎士の言うことはよく聞くし、そもそも走りたくて仕方がない馬なのだ。
徒に傷つける必要などまったくない。

「なるほど。では…迷いそうになったらまた、案内を…」

ゆっくりと、馬は歩みを再開させた。
馬というものは、乗ってみるとわかると存外揺れるものだ。
そしてまた、随分と視界を高く感じるものでもある。

常は見慣れた街の景色が、娘にはどう映っていようかと、騎士はそれが微笑ましい…。

メグ > 「ええ、何かあればまた示し――――― わわ、わっ」

騎士然とした男性に馬上へと抱えられるのには、肝の据わった少女でも流石に少々思うところあるのか、喜びとはまた別の感情から少々頬に紅潮が浮かび上がった。
とはいえ人生初の騎乗の喜びは何よりも先に立つ。すでに視線は進行方向へと向き―――馬が動き出すと、思っていた以上の揺れに身体がややぐらつき、慌てたように彼の片腕にしがみつこうと片手を伸ばした。藤籠を落とさぬように腿の上で押さえながら、びっくりと見開いた瞳を騎士へとやり。

「……け、結構揺れるものなのですね!すごい、すごい…!」

もう恐怖よりも喜びが勝っている。周囲を歩く町衆の視線を感じながら、共に進んでいけば―――

何とも拍子抜けするくらいあっさりと看板は見えてくるだろう。
そもそも少女が歩きで来るような距離である。

アルヴィン > 【継続中断】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメグさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ 広場」にサチさんが現れました。
サチ > 昼日中の広場の一角ではほわほわと漂う甘い香りと――
「いらっしゃいませー。甘ーいワッフルはいかがですかー。焼き立てアツアツ。サクサクふわふわの蜂蜜ワッフルでーす」
よく通る売り子の声が響いていた。
噴水やベンチを備えた人々の憩うその広場では、飲み物や軽食、菓子を売るスタンドがいくつか並んでおり。その一つは焼き立てのワッフルを売る店だった。
やっているのは一人だけ。焼いては売り焼いては売り。子どももそこそこ多いので売れ行きは悪くない。
匂いで客を釣っては、出来立てを紙に包んで手渡して代金を受け取り。
その合間には、粉を練ってワッフル型に流し込んでじゅわあ、と焼き上げて甘い香りを漂わしていた。

サチ > バターと蜂蜜、卵に小麦粉が混ざり合って焼ける匂いは甘いもの好きの足を止めてくれたし、今日は好天気で爽やかな陽気。広場にやってくる人も多く焼いた端から売れて行ってくれて、一時は少し列もできた。
それも一旦落ち着いて、波のある客足は途絶え一息ついて。
「っはー。焼いてるとさすがに暑い……」
汗ばむ額を拭い、水分補給しつつ呟いて。尽きてしまった生地を練った。
「焼き置きはしとかない方がいいですねぇ……。お客さんを待って焼きましょ」
屋台では列を作ってもらうようにわざと捌かないものだ。お客がお客を呼んでくれる。故にすぐに焼けるように下拵えだけはしておいて、後は呼び込みだ。
「蜂蜜たっぷりの甘ーいワッフルはいかがですかー。焼き立てアツアツ。とっても美味しいワッフルでーす」
波が引いてしまうと、お客がさっぱり来ない。
うーむ。売れない……。誰かサクラでもやってもらおうか……。
しばらく売れない間が続くので、ワッフル報酬にしてサクラとして味を宣伝してもらおうか……そう考えて興味を持っていそうな人はいないか、見廻してみた。

サチ > サクラさん…サクラさん…ときょろきょろしていたが。
客のいない屋台に注意を向けている者はなく。
だめかー。と見切りをつけ。
匂いでの客引きを開始すべく、焼き始めた。
「美味しい美味しい焼き立てワッフル、いかがですかー」
晴れて賑わう広場で声だししながらその日は暗くなるまで営業していた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/ 広場」からサチさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区王都掲示板前広場」にリスさんが現れました。
リス > 王都の中平民地区の大通りに有る大きな掲示板、様々な掲示物が張られていて、色々な情報のある場所。
 本日もまた、色んな情報が張り出されていくのだ、王宮の内情、世間の風聞、噂や依頼、要望などなど。
 そんな中、オークションの開催日があと数日と言う話もあれば、逆に不穏な―――そう、城塞都市アスピダの件もあるのだ。
 あそこにも、トゥルネソル商会の支店を広げたいな、と常々思って居て、何度か足を運んだことも有る、理由は簡単で『近い』からである。
 それ以外にも、あそこの場所は交通の便が悪く、商人などが通うには少し厳しい場所である、ドラゴン急便のあるトゥルネソル商会の運搬力であれば、品物も豊富に取りそろえる事が出来るので、他の商店などには一歩差を付けられる。
 優位に立てて、売り上げが見込めると言う物なのである、それが、最近になって乗っ取られてしまったという。
 本当に、残念な話である、急ぎ、と言う訳ではないが、早く収束してほしい物ね、と少女は考えるのだ。

「――とはいえ、お父様、お母様はどう考えるのかしら。」

 ダイラスから考えれば、更に近く、アスピダには、ダイラスから売りに行けばいいという考えも有る。それ自体は悪くないと思うのだ。
 拠点を設けるというのは拠点に支払う資金も発生するし、従業員などかかるコストも発生する。
 其処も踏まえて計算しなければならないので、軽くあそこにしよう、建てましたなんてことはできないのである。
 場所が場所がら、此処よりも治安が悪いだろうし。

 掲示板の前で、ニュースを読みながら、少女はうーん、と空色の瞳を瞬いて見せるのだ。
 機能は温かかったが、今日は寒く、ストールを身に付けて、それでももう少し温かな方が良かったわ、と後悔しきり。

リス > 「それと、多分これの件、なのよね……きっと。」

 知己から腕の立つ護衛の奴隷を求められたことを思い出す、アスピダのような事があれば、誰だって怖くなるし、護衛が欲しくなるものだろう。
 ならばこそ、此処は普段よりも気合を入れて探すことにしよう、そう心に誓う少女である。
 後は―――嫁である、冒険者である彼女は、実力の高い戦士だ、こう言う事があると、名指しで依頼が来るとかよく聞くものである。
 其処に出ているのだろうか、音信不通なので、元気でいてくれているだろうか、不安に思う、娘だって会いたいと、全然会ってないと嘆いているし。
 彼女の妹や弟たちだって、不安に思うのだ、一度くらいは顔を出しても良いのではないかと思う。
 とは言っても、連絡を取る手段がないから、それで良いと思い少女はあえて連絡を取る方法を設定しなかった。
 はあ、とため息が零れてしまう。信頼しているけれど、でも、会いたい、そう思うのだ。

「他には。」

 何か、明るい話題でもないかしら、少女はアスピダの記事から目を離して、別の話題を探すことにした。
 このままでは際限なく落ち込んでもしまいそうだし。
 それとも、移動して誰かを探すのも良いかもしれないわ、と考えた。