2020/04/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 騎士が王都へと辿り着いたのは、日もすっかりと暮れ果てた後のこと。街の街路には酔漢の姿がちらほらと見え始め、家路へとつく前にちょいと酒でも、という職人や商人達が現れる頃合い…。冒険者ギルドが最も混み始める頃合いのことだった。
呑気に蹄を鳴らしつつ、街の石畳に悍馬をゆかせて騎士は、こうして無事に帰りつけたことを労うように、悍馬の鬣を撫でるのだった。

「今日も助かった…。ありがとう」

どうということなどないぞ、あのような距離、とばかりに。黒鹿毛の軍馬は妙に人臭い仕草でブフン、と鼻を鳴らして首を振る。そんな仕草に笑みを深めて、騎士は常のようにその軍馬をギルドの厩へと預ける。馬番には、心付けも含めてたっぷりと硬貨を渡し、飼い葉の支度までを頼んで、それから。今宵もまた、混みあうギルドの一角の、壁際のテーブルへと落ち着いたのだ…。

アルヴィン > 依頼は無事、果たされた。それを証立てる砦の守将の署名が認められた書状を出して、騎士は報酬を手に入れる。無事、補給物資を砦に届けることができた。
砦では一夜を過ごし、夜半には夜警にも立ったが、幸いにして昨夜は小競り合い一つ起きなかったのだ。
武人としての騎士にははやり、逸るものがあったけれど。
それでも、人死にが出ぬことがやはり一番であるのは間違いにない。
そのあたり、この一見朴訥純朴な騎士はやはり、武の神にたる竜神に仕え、自らも剣と武とに生きる者だったのだ。
とまれ、依頼は無事に完遂した。
砦との往復の旅路と、前線での眠れぬ夜の疲れを癒すには、やはり冷たいエールに限るとばかりに。
今宵もまた、騎士はテーブルの傍らを通り過ぎた女給にオーダーを…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシュネーさんが現れました。
シュネー > 王都のとある冒険者ギルドの扉が大きく開かれた。
ぜぇぜぇ息を切らしながらずむずむと足を大股開きに進んでいった先には
一人の騎士がいる、金髪碧眼の白い鎧の帯剣をした男の騎士だ。
その者のすぐ前までズムズムと歩み寄って、周りに聞こえんばかりの声で妙なことを言い始めたのだった!

「激しい一夜を共に過ごしましたのにぃ あんなところに置いてけぼりをするなんて!
 なんてひどい騎士様なのかしら!?あんなに激しく抱かれて身も心も騎士様のものなのにぃぃぃ!!」

両手で顔を覆い めそめそと泣くような仕草をギルド内でし始める女。
なんだなんだとギルド内が別の意味でそら修羅場かと野次馬とかが視線を二人へと注ぎ始める…!

アルヴィン > 「…ぶっ!」

それは、丁度折よくエールを口に含んだ刹那であったろうか。
騎士もまた、女を見かけて瞳を大きく大きく見開いたのだ。なんとなれば、そもそもこうして壁際の席を壁を背にして座るのは、ギルドや酒場の全てが見渡せるからだ。
そして眼の前、それはもう音高らかに足音轟かせて至った女に、騎士はぽりぽりと困ったように口許を掻く。

「相すまぬことをした。謝罪する。…が、起きてくれなかったではないか。
 …激しい一夜というのはともかくとして、だ」

女のその言葉に驚きはしたようだが、騎士は素直にまず、詫びた。
なんとなれば、その夜の騎士は魔物の毒素か何事かにやられ、高熱を発して意識も朦朧としていたのだ。記憶などまったくあろうはずがない。とまれ、翌朝テントに眠る女を見て、驚いたことは筆舌に尽くしがたい。
丁寧に起こさんとしたけれど、まったくちっともきれいさっぱり…起きてくれずに途方に暮れたのだった。
が、ともあれ。騎士はジョッキを置くと立ち上がり、深々とそれはそれは律義に礼をした。

「いずれにしてもシュネー殿。御身に助けられたようだ。深く御礼申し上げる…」

さ、どうぞ掛けられよ、と。立ち上がり対面の席へと至った騎士はまたも椅子を引くと、こちらにどうぞと言葉を添えて、女が対面に座してくれるのを待つ様子…。

シュネー > 騎士にいきなり近づいてとんでもない事を口にして中にいた人たちの視線を一気に向けさせる女。
騎士は飲んでいたエールを噴いたし、壁際の席というのも手伝って視線は一気に二人に向くのも無理もない。
見渡せると同時に視線も一気に来ると注目しやすいともいうのだった。

「記憶がないで片付けるというの!?
 朝までノンストップで体中に赤い痕をつけたり首になんて歯形がくっきりはっきりついちゃって消えないわ!
 最後なんてもうお前は俺のものだなんて囁いちゃって! ひどいわ この…!」

言いたいことを言うとぜぇぜぇと息が切れたのか深呼吸を肩を動かしつつもしてる。
謝罪を受けてもそれは言葉だけのもの 誠意を見せてくれないと引き下がれないわ、と
事実を覚えているといいかねない女はスヤスヤと寝て起きたら誰もいなくって急いでそのあと追ってここに来たのだ。
礼は受けたが 騎士が椅子を引く様子に どかっとその席に腰掛けると調度対面になるのもあり、
背凭れに寄りかからずテーブルに頬杖を突き ジーっと不貞腐れたように見つめる。

「礼はいいのよ礼は! …で。身も心も俺のものって言うのだから、
 結婚を前提に付き合って下さらない?っていうか婿になって家継いで?」

男なら身を固めるのもあるわよね?とにっこり♪とその笑みが怖い…ものを騎士へと向ける。

アルヴィン > それはもう、立て板に水のごとくに並べ立てられる言葉に騎士は、やはり困ったように口許を掻く。
周囲の野次馬の視線が気にならぬと言えば嘘になるが、それよりも騎士としては、身に覚えのないこの一見痴話喧嘩めいた応酬を、どう誠実に対応できるかと、その方が大事であるらしい。
女が腰を下ろしてくれたなら、折よく通りかかった女給にまずは、冷たい水をと声をかける。

「シュネー殿。まずはこれを…」

そのように声を上げては、御身の喉が心配だ、と。騎士は告げ、頬杖をついて、幾分拗ねたようなその顔がむしろ微笑ましいと、小さく微笑んだ後に清水の満ちたグラスを差し出した。
そして、ゆっくりと己も席に着き、やはり困ったように今度は金色の髪を掻く。

「…おれは確かに、遍歴の身。身は草臥の騎士だ。だが…おいそれと他家の婿に入るなどとは、お約束はできかねる…」

まずもって、それが嘘のない誠実な答えと言葉であったろう。けれど、それで女が納得しないであろうことは騎士も弁えている。
一度、エールを口にしていかがしたものかなあ、とボヤいた後に。騎士はそれはもう、まじまじとこう問うたのだ。

「御身が我が物だなどと、おれは何時言ったのだろう?」

人というものは、何よりも自身が自身の主でなければならぬ。奴隷などもってのほかと、この騎士はやたらと開明的なことをそれは真面目腐って告げたのだ。であるから、己がそのような言葉を口にするとは考えが及ばぬ、と…。
つまりは、閨の中の甘い睦言で、相手を縛るということすら、この騎士の念頭にはまったく微塵も無い、ということなのだ。
…朴念仁、ここに極まれり、である。

シュネー > お外での行為を赤裸々に語っていた女は周りの野次馬に言いたい事をがーっと話すと酷いわよね!と締め括ろうと。
身に覚えがないで済ませようとする騎士、確かにあの時に意識があったら怖いわ!
あの毒の状態で意識があるのはかなりの奇跡ぶり、女としてはいつ
外堀から埋めに掛かるか虎視眈々と狙っている目つきを男へと注ぐ。

「水!? いただくわっ!」

冷たい水が入ったグラスをかっと受け取ると一気飲みをするように飲み干して こーんと勢いよくグラスが割れない程度にテーブルに叩きつける。

「ふーん。なら 周辺に事実を全部伝えてしまってもいいわね?
 呪いのせいにしてお女をお慰めものにして捨てたって。
 名のある騎士様が悲しいわ、あ、宣告めいた事言ってもいいかしら??」

到底納得ができないわ、誠意というものを見せてもらわないとならないわ、とキレ気味に呟く。

「明け方ぎりぎりのしじまに 首に歯型をつけてから囁いたのよ、
 あと孕めよとか!おまえはおれのものだとか言っちゃって!」

この痕を視なさいな!と包帯を取ればそこにはくっきりはっきりお歯形がしっかりあった。
照合をすれば恐らく男のものだと判明しそうなものだったり、幾重にもある赤い痕だったり消えていない。
最後にぼそっと言った言葉はとどめかも知れない。

「…出来ちゃったし。」

何がとは言わない…

アルヴィン > 「…できた?」

それまでの騎士は、女の言葉にただ困ったとばかりの色が濃かった。ただ身に覚えのないことの責めを、一体どうすれば負えようかなあと、その思考はどこまでも律義ではある。
が…女が最後に呟いた言葉に。騎士はぱちくりと瞳瞬かせた。

「…なるほど。それは是非もないな」

この朴念仁は、そんなにも一晩で子が成せる筈がないということを知らないのか、それとも魔法で判明できるとでも思ったのかは、わからない。が、しばしの沈思黙考の後、こんなとんでもないことをのたもうたのだ。

「…わかった。誠におれの子だというのならば是非もない。赤子が産まれ、旅ができるようになるまで、おれはこの国にとどまろう。赤子が旅ができるようになったら、我が旅に伴う。そして…無事人と成ったその時、御身にお返ししよう」

それくらいしか、今のおれには約束はできまいよなあ、と。こともなげに口にして、困ったように女に微笑みかけたのだった。

シュネー > 「出来ましたわ!子供が!! あれだけ注がれれば出来ないものも出来ちゃうわ!」

嘘ではないわ 数えきれないくらいに注がれてしまい決してできないと
高をくくっていたのに出来てしまってさあ大変。
人の国ではその辺の商人?なのだが故郷に戻ればそこそこの地位にいる身だ。
片親が行方不明の草です、て将来子供になんて説明をすればいいのかしら!?と。

「あんだけ注がれれば確実にあなたの子供よ。私は故郷に戻らないでここに留まった方がいいわね…
 育った子供を連れて旅に連れて行くの?っていうか子供意思は尊重してあげてね。
 子供と言えども強制されたらそれは私の教育方針に反するわ。」

ならば ちょっと婿になってね、とにっこりと言質とったわよ、とニヤリとほくそ笑むのだった。

アルヴィン > 「なるほど。それも一理あるなあ…」

子供の意思か、と。今度もまた騎士は真面目腐って考える。
どこからどう見ても、生まれ育ちの良い騎士が、百戦錬磨の女にカモにされかけているような状況に見えそうでは、ある。
少なくとも、女の方が本気でなければ、だ。

「…その、婿になると言っても…おれはシュネー殿、貴家のことを何も知らぬ。御身の…貴家のことを教えていただくことはできようか?」

これはむしろ、その家に直接赴き、誠意をもってあたるしかないだろうか、と。騎士はそのくらいのことまで考えているらしい。
ここに至って、逆上するでもなく逃げるでもないあたりは、さすがは武人と言ってもよいのかもしれない。少なくとも、常住坐臥、覚悟は据えられているのだろう。

「貴女の父上母上にも、おれはお詫びせねばならぬだろう?婿入りを軽々にはお約束はできぬ。が、筋は通さねばなるまい」

赤子があって、旅はできようか、などと。この騎士はそんなことまで真面目くさって尋ねるものだから。
ここに至っては周囲の野次馬の方が呆れかえっている始末…。

シュネー > 「真面目に考えて頂戴。」

自身の意思は自身で。女は普段はニヨニヨ不真面目なものだが
きちんとした所ではきちりと振舞う事がある。育ちがいいかはわからないが、
そこそこの苗字持ちだから家柄はどこぞの者なのだろうという目星はある。
女は本気で言質を取りあわよくば子供をだしに旅立たせなくするにはと考えてもいた。

「私の家?魔族の国のとある地域を統治している伯爵家よ?
 ラコォーリア伯爵家長子がヴァシュネーラ・べ・ラコォーリア。
 サンクトゥス薬事財団所属の一商人は仮初、次期当主だからそのうち財団の頭は私ね。
 まだまだどっちも継げないけど…そのうち。」

家は魔族の国なのでここから行くとなると船で往復一週間かかる辺鄙な場所にある。
行くのは構わないが 多分あたしより強烈だから確実に旅立てなくなるわね、と
退路を断たせられてしまう事は伝えない。婿入りさせる策略レベルは親の方が圧倒的に上なのだ、娘はそのおまけだ。

「まぁ 家にあいさつに行ったら私が行ったことは分ると思うけど 
 そのうち行きましょうね…?」

ふふふふ、獲物が罠にかかったわ、と女は女で妙な事を思っていたりするからその目つきは
野次馬の一人が後日語ったところ あれは捕食者の目だったっと…。

アルヴィン > 「…魔族?」

今度こそ、騎士はそれはもう、ぱちくりと瞳瞬かせた。
そして、しばしはさすがに絶句、という様子。

「…その、だ。シュネー…いや、ヴァシュネーラ殿?
 おれは…聖騎士だ。魔族というのは、その、さすがに…」

これはもう、色々と問題がある。
いくら女がどうのたまおうと、そもそも両親が許さないのではないだろうか、と。どこまでも真面目な騎士は考えるのだ。
とんでもない闖入者のおかげで、今宵のギルドの酒場は肴に事欠かなかったとも、とある野次馬は語ってもいたが…さて。
武神たる竜の神に嘉された聖騎士が果たして、魔族の婿に入れるものかは…その物語はどうやら、後日にまた紡がれることとなるようで…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からシュネーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > いまだに少々日々の寒暖差が安定しないことが多いものの、少しずつ過ごしやすい暖かさを夜でも保ち始めているのは気のせいではないだろう。
突然の雨というトラブルは常に付きまとうものの、過ごしやすくなれば日が落ちても大通り付近の賑わいが減るのは緩やかなものになり。
食事やお酒、湯舟にちょっとしたいい宿など、表も裏も夜の賑わいを感じさせる通りは、喧騒が周りの家にすら聞こえてきそうなほどに賑やかである。
そんな賑やかな通りも、少し奥へと踏み込めば、すぐにその人気は消え去ることになり。
先へ行くほどに静まり返る路地が続くのみとなるわけであるが。
そんな静まり返った路地の先に、静かにたたずむのは相変わらず人気のない雑貨店である。
平民地区といえど、路地裏は警戒するに越したことはなく。
そのような場所にあるのだから、人が少ないのは当然といえば当然かもしれない。

「入荷は特になし…ですね」

静まり返った店の中、紙の束をまとめる様にして、そんなことを少年はぽつりとこぼしていく。
店の中にいるのは相変わらず、店員である少年一人であり。
品物が特に売れた様子もなければ、相変わらず特にお客さんもこなかったのだろう。
少しため息とも苦笑交じりともいった様子で、紙の束を棚へとしまい込めば、軽くカウンター裏への椅子へと腰を下ろし。
視線を店内へと巡らせては、天井の先にある二階デモ見る様に上に向けていくようだが。

「店主さんも…もう少し品物を雑貨に回してくれるといいんですけど…」

持ち込みされた魔道具などの買い取りが専門の店主である。
ちょっとした効果や、軽い呪い程度の品物なら、並べれば買う人もいるのではないか、とでも思ってしまっているようであり。
店内の見える範囲には、主だった雑貨ばかりの品揃えに一つ少年は思案を巡らせたようだが、あまりいい考えは浮かばなかったようである。
少年自体も一人で探索するにはまだまだ力不足であれば、悩ましいところもあるのだろう。
一仕事終えたこともあり、軽く気を抜くようにして、少年は何を見るでもなくぼーっと店外に見える路地へと視線を揺らめかせていくが。