2020/03/19 のログ
■パティ > ほとんど足音を立てず、屋根から屋根を軽快に跳び渡っていた小柄な人影。
配達用の鞄を背負った少年は、小さな掛け声をひとつ、路地裏にタッ──と降り立った。
富裕地区が近いとは言っても、路地裏は暗く人影は見当たらない。
「えーっと……この辺りの筈なんだけどなあ?」
懐から取り出した紙片は、配達先を記した地図。
届け先から書面で届けられた住所は悪筆で、大体の住所を推理して表札を探すはめになっていた。
と言っても指定時刻は朝までとなっているので、時間には余裕がある。
紙片に書かれた住所と頭の中の地図を見比べ、ここから向かう方角をどちらにするか悩む……
名前の書かれた表札が目印、とあるがこの辺りは住宅が多い。
何も考えずにウロウロしていると、戻りが遅くなって店主を心配させてしまいかねない。
首を傾げて、うーんと唸ることしばし……
■パティ > 「うーん……まあ、いいか!」
難しい表情をしていていたのも、結局はわずかな時間だった。
今考えて分かることは大してないのだから、考えることが時間の浪費なのだ。
まずは行動、この時間だから人通りは少ないけれど、近隣住民と思しき者を見付けたら、
届け先の名前に心当たりが無いか尋ねてみるのもいいだろう。
その場で屈伸をひとつして、よし、と一声。
届け先の住所などが書かれた紙片を片手に路地を歩き出す。
どんな地区でも、時間が時間ともなればそれなりに治安がよろしくないものだが……
配達屋は入り組んだ路地を使いこなしてなんぼ、である。
市街地に張り巡らされた暗い路地を、軽快な足取りで歩み始め。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からパティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/カフェ」にルインさんが現れました。
■ルイン > 日の高い時間帯の平民地区の大通りに面したカフェ。
そのテラス席で飲み物だけを注文し、通りを眺めては時折にカップに口を付ける。
飲み物の美味しさに頬を緩めては通りに視線を向けては人波を眺め。
「可愛い子……いないですね」
普段ならギルドで仕事を探すのであるがそうではなくカフェにいるのは半ばナンパ目的。
可愛い子が居れば声をかけて、そしてうまく行けばそのままという考えを持ち。
ただ問題はいざ見つけても仕事中や複数で歩いているので声を変えれないと言う事。
よく考えなくても昼間はそうだと言う事に考えが及んでいないうっかり。
その事に気が付かないままに通りを眺めていて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/カフェ」からルインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にスバルさんが現れました。
■スバル > 何処にでもある街並み、普通の人々が一番多い場所……それが、マグメールの平民地区と言う場所である、住宅街もある、商店街もある、飲食店街もある、娼館街もある、普通に生活するには困ることが無いのが、この場所と言う訳になる。
其処に住まう少年、とことこと、石畳で舗装されている道を進んでいく、その恰好は、普段の服装―――店売りの普通の布の服に、腰には脇差、右腕は籠手という格好は、物々しいかもしれない、しかし両親から言い含められているのだ、ちゃんと身を護る様に身に付けている事と。
バックパックを背負ったその体は、同年代の少年にしては華奢と言って良いだろう、小さな体で、黒い髪の毛は伸ばされていて、眼を隠すようになっていた。
まだ、夜でも早い時の今は、人通りもそれなりにあり、少年はとことこと歩くのだった。
そして、道の一角で立ち止まり、其処にある建物を眺めた。
―――建物は、学舎である。
学校と言う物はある程度裕福なものが行くものであり、頭の良い人が集まる場所でもある。興味は無いわけでは無いが両親はその必要性を感じて無いのだろう。
理由としては、少年は兎も角少年よりも年上の姉が、通ってないのだ、姉も興味が無いというのもあるのだろうけれど。
楽しそうな声の聞こえる其処に、どんなところなのだろうという好奇心が沸くのだ。一度、言ってみたいな、とも。
でも、人が多そうで怖いな、というのが直ぐに出てきて、首を振って少年は視線を逸らすのだ。
■スバル > いう事もないが、少年はその体格に見合った性格だったりする……つまるところ、気弱なのである。慣れた相手などなら、ちゃんと会話もできるのだけれども、知らない人は怖い。
眼が隠れているけれども、眼を合わせて会話することすら怖いと思うのがこの少年の性格だ。
それを考えると、興味が少しある程度で、学校に行きたい、そういう風には思えなかった、むしろ学校で出会う人が怖い。
なぜこんな性格なのか、と自分でも思わなくは無いのだけれど、こんな性格なのだから仕方がない。
「……うん。」
姉のように、独学で魔法を調べるという事もできるのだから。
それに学校での学習はそもそも、裕福な人の子女が行う物でもあるのだし自分が行っても仕方が無いだろう。
少年はそう考えたので、道を進み始めるのだ。
道を歩き始めて少年は、思考を切り替えることにする。
今夜のご飯は何にしようか、という思考は……思考放棄に似ているかもしれぬ
■スバル > 「最近、おねーちゃんにおかーさんは、何処に居るのかなぁ。」
母親は冒険者であるから、何かしらの依頼を受けて出かけているようでもあるので、めったにいない、姉はそうでもないのだけれども、家の中に居ないのだ。
遊びに出ているというのだけれども、何処まで何をしているのかわからないし、母親と同じように帰ってこない事も多いのだ。
不安になるのだけれど、連絡もつかない多分元気にしているのだとは思うのだけれど、偶には連絡とかしたい。
少年は、はふ、とため息を零す、家の中に書置きでも置いておいた方が良いのだろうか。
とぼとぼと、歩く、でもなんかまだ家には帰りたくないので、もうすこしだけさんぽしよう、と少年は歩くのだった。
■スバル > 夜の街の中は、この国はとても危険である、昼間とは違い、良からぬものが特に増えて行くのである。それは、平民地区も又同じなのだ。
冨福地区でさえ、夜になれば事件に会う確率がとても多くなってしまうので、平民地区も危険で、貧民区などはもう、言うまでもないだろう。
余り一人でフラフラしても仕方がない、少年は腕に覚えがあるわけでは無く、むしろ逆で、襲われたら抵抗できないのだ。
「帰ろう……。」
少年はぶるり、と身を震わせる。
寒くなったというのと、恐怖を覚えて、心細くなってきた。
だから、少年はクルリ、と振り向いて、足早に……否、走り始める。
そして、少年は去っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からスバルさんが去りました。