2020/03/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエリザベートさんが現れました。
■エリザベート > 表通りに店を構える程では無い、小さな酒場や娼館、連れ込み宿。
細く入り組んだ裏路地、と言えど、普段であれば恐らく、
其れなりに賑わっているのであろう界隈。
然し、未だ夜も明け切らぬ頃――――通りを歩く人影も見当たらず、
偶に曲がり角から顔を覗かせる酔漢の類も、一気に蒼褪めて踵を返す。
そんな裏通りを漂い歩く、白い女の姿がひとつ。
実のところ、通りをひとつふたつ隔てた何処かでは、
今も、誰かが女を捜しているらしい。
純粋に女の身柄を心配する侍女か、其れとも女を攫う途中の悪漢か。
何れにしても、捜されている対象たる己には関係が無い。
誰かが手を伸ばして、物理的に動きを阻みでもしない限り、
幽鬼の如き女の彷徨は続く。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (たとえ、其の行く手を誰かが塞いだとしても
或いは既に狂った女には、見えぬ事、関係の無い事なのやも知れぬ
一度、其の傍を誰かが通り過ぎた。 ――否、恐らくは女が通り過ぎた。
そして、再び――同じ姿が、女の行く、道の先に。)
「―――――……御機嫌よう、御令嬢。」
(――掛けた声と共に、今度は見ているだけではなく
其の両肩を、そっと押し留める様に掌が、進路を阻むだろう
其の力は、決して強くは無い。 其れでも、きっと歩みを止めるには十分
其の瞳を覗き込む様に、銀の髪の向こうから女を
紅い瞳が、覗き込む。)
「―――――……私が、見えているかな?」
(――果たして、女の知覚が、意識が、今は己を捉えるのか。
誰もが近付くのを躊躇うほどに、尋常では無いと感じ取れる幽鬼の如き表情と
其れを差し引いても、決して霞む事の無い美しさは
今や、触れてはならぬ存在、と言う印象を抱かせるのやも知れぬが
――己には、関係の無い事だ)。
■エリザベート > 擦れ違う、視界の隅を通り過ぎる、或いは、此方の姿を認めて逃げ去る。
其の全てに対して、女は等しく無反応だった。
双眸に映していても、頭が認識しない、記憶しない。
だから、其の男が今朝、二度目に行き会う人物であったとしても、
己には初対面も同然であり――――、
「――――――、……」
細い肩に掌が掛かり、女の歩みが妨げられる。
ゆらり、白髪を揺らして頭を傾がせ、踏み出しかけた足先が踏鞴を踏み、
其れから茫洋とした眼差しが、紅い瞳の男を仰ぎ見た。
否、――――――視界に、其の姿を映した。
「だぁ、…… れ、――――― 」
恐らくは相手が男でも女でも、人間の姿であってもそうでなくても。
女の唇から零れる第一声は、其の声の虚ろさすら変わらなかっただろう。
関心を抱く対象が余りにも限定された、物狂いの女にとって、
相手はただ、己の行動を妨げるもの、というだけの存在。
抗おうとも、逃れようともしないが――――受容しているというのとも、違う。
誰何の問いを投げかけはしても、其の答えにすら関心は無かった。
■ルヴィエラ > (―――其の瞳が、己へと向けられた。 ただ、其れだけ。
まるでビードロの如くに光の無い其の瞳からは
感情の揺れは感じ取れず、正しく心を病んだ女の其れと判る物
虚ろな声が己を問うなら、僅かに微笑んで首を傾ける、が
――返したのは、名乗りでは、無く。)
「――――……御前を探して居た者だよ。」
(――其の、耳元にて。 秘め事の様に囁きかけたなら。
その肩に乗せた片方の掌を、女の腰元へと滑らせ、回して、其の身を抱き寄せる。
例え、真っ当な言葉を伝えたところで、真っ当には届かぬだろう
ならば、そんな物は不必要。 叶うならば其の身を、ひょい、と抱き上げ
少しずつ、此方へと近づいてくる、恐らくは女を探して居るのだろう複数の声を嘲笑う様に
―――目前、まるで扉の如くに開いた影の中へと
女を、攫って仕舞おうと)。
■エリザベート > 吐息の温かさが届く程の距離、とは言うまい。
けれど、視線が擦れ違う余地など無い筈の距離で――――其れでも、互いの視線は交わらない。
女の瞳に、映るものを視認するという意思が無いからだ。
同様に、互いに言葉を交わしたとしても、会話も、交流も成立しない。
女の形をした虚を、其れでもはっきりと認めて、美しい貌が微笑う。
耳許へ寄せられた唇に、囁く声音に、男の掌の下で肩先が小さく震えた。
虚ろな双眸が、知らず、軽く瞬きを一度、二度。
二度目に閉ざした瞼が元通り開く前に、女の身体は男の腕の中に在った。
「わたく、し…… を、――――― さが、し ………」
判らない。
男の言葉の意味も、其の目的も判らない儘に、己は束の間の虜囚と成り果てる。
蒼白い女の身体が、男のひらいた影の中へ。
――――――飲み込まれて、融け落ちて、……消えた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリザベートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルヴィエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 冒険者ギルドよりほど近いこの酒場、昼食時——。
「さァ、て。……どー、すッかな。」
いつも通り酒場にて。ただし今日は机一杯に料理は並べられていない。…せいぜいが半分だ。
片側半分に寄せながら、机のもう片半分には、大量に広げられた紙、紙。
大男は大量の昼食をとりながら、どっかと座りこんで、今日の依頼を選んでいるようだった。
「これ、ァ、……ンー、遠い。……こいつは、報酬はまァ、いいか。」
適当な理由でハネたり決めたり。どちらにしても、戦闘系のだいぶ高難易度の依頼が多い。
尤もそれだけ緊急性も高い、案外、依頼を受けて現地に到着したら終わっていたりするのだが。
が、そんなことは気にも留めず。だらだらと依頼を眺めているのだった。