2020/02/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルマさんが現れました。
アルマ > ――…お店で花束を受け取り、比較的治安の宜しくない場所へと赴き、あまり表沙汰にできない贈り物と一緒に花束を届ける、そんな仕事を日々こなしているが、今夜のように何もないただ気持ちだけを送る仕事も時々ある。

「ご利用有難うございました。またのご利用をお待ちしております。」

花束を嬉しそうに抱える女性に満面の笑顔を浮べて向けながら、深く深く頭を下げる。

下げ終えた頭をあげて最後にもう一度今夜のお客様であるその女性に笑顔をにこーっと浮べて向けて、踵を返す。

そんな仕事の後の事である。

平民地区の大通り、お店への帰路の途中なのだが今夜はあまりに仕事が早く終わりすぎたため暇を持余していた。

お店に戻るにも半端な時間。
かと言って酒場に顔を出せばつまみ出される時間。
冒険者の英雄譚を聞きながら遅い夕食を食べたいが、それ難しい時間なので、どうしようか?どうすべきか?と思案をしながらアルバイト先のエプロンをつけたままの姿で1人、大通りを人にぶつからぬように散策する。

気が向けば何処かに立ち寄るのも良い、気が向かなければ帰るのも良い……さてさて、どうすべきだろうか、懐もそこそこ重たいし?とエプロンのポケットを掌でさすり財布がある事を確認するのだった。

アルマ > ――…財布は無事である。
一瞬、本当に一瞬だけど何か嫌な予感がしたのだ。
項のゾワゾワは大抵嫌な事の前触れで、外を冒険するときには随分とお世話になった感覚、である。

表情は寒さで朱色に染まる頬を弛めた満面の笑顔のまま、視線だけを左右にゆら、ゆら、と揺らしたがそんな項にゾワりと来る気配はなく、エプロンのポケットから掌を退けると、そのままその手の指先で鼻先をカリと引っ掻く、癖の一つ。

「どうしよっか、このまま……と、いう訳にはいかないよね。帰るならいいけども、こんな寒い中を1人で歩き続けるのも……ココアとか飲みたいし……。ホットワインに蜂蜜もいいなぁ……。」

気を取り直して、寒さで少し震える声で独り事を零しながら、左右に向けている視線でついでにお店も探す。
気がつけば全く見知らぬ路地である、此処本当にどこだろう?と心の片隅で思うくらいに知らぬ路地……。

土地勘も、仕事でこの辺りは歩いたことがある筈なのだけど、どうにもこうにも、迷子になりかけているような?