2020/01/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の酒場」にフィルさんが現れました。
フィル > 平民地区に点在する酒場や宿屋が特に立ち並ぶ一角は、夜が深まるほどに賑わいを見せいてく。
深夜の街を吹き抜けていく身を震わせる夜風も、店内の中まではその寒さを伝えられないのだから、それは当然といえるかもしれないだろう。
昼間賑わう通りとは真逆に、夜が本番ともいえる店たちから響く喧騒は、今宵もにぎやかなものであり。
店を見て歩くだけでも楽しみを感じられるかもしれないが、人気のある酒場や食事処は当然、人で埋め尽くされているのだから、運が悪ければ席に着くために待つこともあるのだ。
そんな人気の多い酒場の前で、フードを軽くかぶった少年は少し悩むようにウロウロとする様子を見せているようであるが。

「たまには…こういう場所も、いいよね」

やがて少し覚悟を決める様にこぼした言葉は、喧騒にすぐに飲み込まれてしまうほどのささやかなものである。
酒場の扉に手をかけて押し開けば、中からあふれてくるのは熱気に喧騒と、外から感じられる賑わいに間違いないものであり。
いつも静かなお店に行くことが多い少年は、少しだけその賑やかさに気おされかけてしまったようだが。
折角踏み込んだということもあってか、辺りを少し見回すように視線を走らせれば、やがて空いている席がぱっと見、見つからなかったらしく。
店員へと尋ねることにしたようだ。

「あの、すみません。
どこか席は…あ、はい、ほかの人がいても大丈夫です」

そんな問いかけに返されたのは、一つの複数人席のようである。
どうやら空いているのはそこくらいらしく、詰めれば3人くらいは座れそうな、少し奥まった場所ようであり。
ほかにも少数の人が来た場合、案内するかもしれない。
という旨を伝えられることになるが、元々だいぶん賑わっている酒場である。
酒というより、食事目当てで来ている少年にとっては特に気にすることでもなく。
二つ返事でその席へと指示されるままに素直に向かい。
空いている席を確認できれば、そこに腰を下ろして一息つこうとしていくだろうが。

フィル > 「ここかな…」

店の少し奥まった場所に進んでいけば、教えられたとおりに数人座れそうなサイズの丸テーブルと椅子が置いてある。
特にほかに座っている人もおらず、辺りを見回してもその気配がなければ、間違いないと思ったようであり。
少しだけ高めの椅子を引いて、腰を下ろせば少年は一息をこぼしていく。
少々耳に響くくらいの喧騒に満ちた酒場ではあるが、平民地区だけあって、目に見えて治安が悪すぎるという感じはないようだ。
改めて店内を軽く少年は見回してから、備え付けられたメニューへと視線を滑らせていくが、食べ物より酒類がメインの酒場である。
思ったよりそこに描かれている食事メニューがいつも足を運んでいる、食事メインの場所より少なかったのだ。

「…どうしようかな、これ」

今更あまり食べずに出ていくというのも、あまりよろしくないものである。
店内に強く漂うアルコールの香りに、いるだけで少しずつ酔いが回りそうな気配すらするのは気のせいではかいかもしれず。
当たり障りのない肉類で、つまみ程度よりは量が多く追いそうな料理といったものを探すように少年は、メニューへと視線を走らせていくことにしたようであるが。
時折激しさを増す喧騒は、酒場らしいといえば酒場らしいものだ。
もっともあまり慣れてない少年は、思わずビクッと大きな怒声に反応してしまうことになり。
見る人が見れば、あまりこういった酒場には慣れていない様子が見て取れるかもしれないが。

フィル > 「とりあえず…これと、これと」

おつまみにしては量が多く、食べ応えが多少はありそうな肉料理をいくつかメニューを指さしては選んでいく。
アルコールの香りに混ざって漂ってくる、料理の香り自体は決して悪くはないのである。
ただ値段の割に食事の書いてある量が少ないのは、やはり少年にとっては少し悩ましいところだったようであり。
程よい値段で済む範囲をうまく選んでいこうとしているようだ。
とはいえ、お酒をメインに据えている酒場である。
全くアルコール類を頼まないというのも、少し気が引けるものであれば、料理以上に数が多く記載されている、酒類の欄をへも視線を通していくことになり。

「…だれかに…飲んでもらう?」

アルコールなしを頼みながら、1杯は頼めばそこまでお店にも迷惑にならないはず。
そんなことを考えていけば、自らは弱めのお酒か、お酒ではない飲み物を頼み。誰かに一杯おごる、なんてことも思い浮かんだようだ。
幸いといっていいのかわからないが、相席もできる今の席である。
大分酔いが回って喧騒も激しくなっている店内ではあるものの、少年はそんな考えのもと、視線を改めて滑らせていくことにしたようだ。
大声でさすがに尋ねるような内容でもなければ、比較的近くの話しかけられそうな人が目に留まるように、といった感じではあるが。

フィル > 「流石に…無理そうかな」

大分酔いが回ってへべれけとなっている人も多く、騒いでる人も多い時間である。
それ以外の人はといえば、既に支払いを終えて帰り始めている人も少しずつ出始めていれば、席がなくて訪れる。
そんな人自体も減っていくのは仕方がないことかもしれず。
とりあえず、お酒を頼むために誰かに一杯おごってみる、という考えはうまくいきそうになさそうであり。
お酒は自分で少なめに一杯頼んでみることにでもしようか、そんなふうに少年は考えていくことにしたようである。
店に入って、メニューとにらめっこしてからそれなりに時間がたっているのもあり。
店員からの視線もさすがに気になるところもあるのだろう。

「すみません!
この肉の盛り合わせと…フライと、このお酒、少なめにしてもらえますか」

値段は1杯分払うので、という付け加えを付ければうまく言ったようである。
やがて注文を受けた店員が奥へと引き込んでいけば、何をするでもなくそれを少年は見送り。
やがてまた自分の空いている席へと視線を戻していけば、ほっと安著の域をこぼすことになったようである。
たいしたことではない、といえば確かに大したことをしたわけではないのだが。
漂うアルコールの香りに大分影響され、お酒を飲んでいないものの頬に赤みがさしかけたころには料理も届き。
とりあえず料理を楽しみ、少量にお酒に挑んでいったようであるが。
へべれけにならずに帰路につけたかどうかは、微妙なところであっただろうか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区の酒場」からフィルさんが去りました。