2020/01/10 のログ
タン・フィール > 「―――! そうだっ…!」

なにやら新薬をひらめいたらしく、
勢いよくベンチから飛び出すと、勢いよく平民地区を切り、
己の工房のある、薬屋のテントへと駆け抜けていく。

辺りには石畳を軽快に走る音が響いて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフィアランさんが現れました。
フィアラン > 人気の無い酒場の隅っこで、一人グラスを傾けている女。
他に人がいないから気楽なもので、すらりと長い脚を組んで寛いでいた。
目の前のカウンターには、酒のつまみだろうか、火をさっと通しただけの野菜が幾つか。あと肉。

「……このくらい静かな方が、ゆっくり飲めて良いものだね」

店主の心持ちは何処へやら。勝手なことを口にして、酒を呷る。
身につけていたコートは傍らの席の背に引っかけ、ハイレグカットの扇情的な衣装を晒し出していた。

時折、酔客から視線を感じないこともないが、それもまた醍醐味とばかりに堂々としている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイザベラさんが現れました。
イザベラ > この酒場に馴染みにしているなら、たまにカウンターに座っている女に見覚えがあるかもしれない。

あなたと同じく、冒険者というよりは旅人といった風の旅行用外套を着こんだ女なのだが……旅慣れているあなたからみると少し妙なところがある。風雨をしのぐための外套をその女は室内でも取らなのだ。それだけなら、ただの変り者ですむが、時折すそなどから見え隠れする衣服は上等な記事が使われた物だし、頭髪は風雨にさらされる旅の者というには手入れが行き届いているように見える。

「………………。」

もっと言えば、先ほど密かに店主に金貨入りと思われる革袋を渡すところを見てしまった。何の気なしというふうでもあったが店主はそれを受け取ると、料理を出すふりをして何か耳打ちまでしていた。

……明らかに何かの取引をしている。権謀渦巻く王都に置いてこういった事は珍しくもなんともないが、正体を隠す為に外套を着ている事は容易にうかがえる。

フィアラン > 広く、常に喧騒としている王都で怪しい輩など特に珍しいものでもない。
現に、先程からカウンターで取引のようなものを店主と交わしている外套姿の客のような者もいる。
面倒ごとにはあまり関わりたくはないが、ついつい好奇心が疼いてチラチラと視線を送ってしまっていた。

「………ふーん」

料理を掻き込み、酒を喉に流し込んで味わう。
そうして店主に声をかけ、二杯目を注文した。そのついで、ちらりと腰の辺りにぶら下がっている、先程の金貨袋を見遣る。

店主はその視線に気づいたようだが、素知らぬフリをしてグラスに酒を注いだ。
その様子を見てニヤニヤしている女は、相手から見てどう映るだろうか。

イザベラ > しばらくして、あなたの様子から女は見られていたことに気づいたのか溜息をついてから、ほんの一瞬だけあなたを値踏みするように視線を向けた。あの手の視線は、あなたが旅をする中で何度かむけられたことのあるであろう……交渉相手に足るであろうかという思索と、酒場の酔客が先ほどから貴方に寄せるであろうそれを含んでいる気がした。

「それでは……。」

と、女が涼やかな声を店主に掛けてから、取引とは別の、純粋に店の勘定分であろう貨幣をカウンターにいくらか置き。店から出るそぶりをしたが、その際、あなたの卓の近くを通ると……なにかを袖口からそれとなく落とした。

『なかなか目が利くようだ。取引がしたい。』

それは羊皮紙に走り書きをしたような誘いの手紙で、そういった文言と共にとある住所が書かれている……。

フィアラン > 外套の下から向けられる視線は、何となく味わったことがあるもの。
此処で時折感じるそれと同様の雰囲気は、何となく心地良くも思えて。

そうして傍らを通りがかる相手の懐より、手元に落ちる手紙にざっと目を通した。

「成る程」

そう小さく呟き、自分の分の勘定をカウンターに置いて立ち上がる。
女はそうして、外套の相手を追って店を出た。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイザベラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフィアランさんが去りました。