2019/11/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタピオカさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に聖バルバロ騎士団さんが現れました。
■タピオカ > 王都の平民区。夕暮れはお酒と肉の匂い。
そこかしこの煙突からパンが焼ける匂いが立ち上り、街角では吟遊詩人がリュートをかき鳴らす。足を止める冒険者や商人、職工にお使いのメイドたちの姿に混じって、剣を帯びマントを羽織った小さな人影が宿兼酒場に入っていく。
酒場の中はエールの入ったジョッキを打ち鳴らす音と酔っぱらいの歌声、ウエイトレスの注文とりの声でいっぱい。厨房からは肉の焼ける音。いつもの夜の賑わいに目元細めると、カウンターに腰かけ。ひき肉と香草を混ぜて焼き上げるハンバーグにポテト、はちみつとブルーベリーがたっぷり塗られた白パンに蜂蜜を混ぜたホットミルクを注文し。やがて運ばれてきたご馳走に軽く両手をあわせ。
ゆっくりとそれらを頬張りながら、幸せそうに頬を赤らめている。
■聖バルバロ騎士団 > 少女が幸せな一時を堪能していると、酒場の扉が乱雑に開かれ、人相の悪い男たちがズカズカと入り込む。
「おい、酒だ。」
数名程度の一団は酒場のテーブル席を占拠すると、店員に酒や料理を注文する。
一人が懐よりゴルドの山を取り出し、ウエイトレスに押しつける。
「前払いだ、取って置け。」
金を受け取った以上、店員たちも従うしかなく。
また、徒党を組んでいる悪漢達に声を掛ける勇者もここにはいなかった。
「団長、こっちです。」
席に着いた悪漢の一人が通りに向かって声を出せば、大鎧に身を包んだ2メートル超の巨体が姿を見せる。
団長と呼ばれた男は席の中央に座る。
巨体と鎧の重量を支えるべく椅子を二つも使うほどだ。
そして、団長は運ばれてきたグラスを静かに傾ける。
但し、兜の中でギラついた瞳が店の中に居る冒険者たちを値踏みするように眺めていた。
「団長、あいつなんかどうですか。」
団員の一人が褐色の肌の少女を指さす。
遊牧民と思われる衣装を纏い、腰には立派な剣、近づけば花や果実を思わせる甘い香りが漂っていた。
■タピオカ > 大方の食事を終えて、あとはデザートがわりの白パンを甘いミルクと一緒に少しずつ口に含んで食事の余韻を楽しもうかという頃合い。酒場の戸口に異様な足音が重なるのを耳にする。腹ペコ冒険者パーティが酒場へ押しかけるのとはどこか違う。反射的に片手を曲刀の柄へとやり。
おそらくこの店のひと月の稼ぎほどのゴルドが店員に渡るのを横目で見た。お金は払っているのだから、彼らは単なるお客さんだ。いったん、得物の柄にやった手を引っ込めて食事を再開する。
ぱくり、白パンを唇の挟むのだけれども。
どうも彼らの中でもひときわ大柄な、サイクロプスとでも素手で殴り合えそうな巨躯と岩がぶつかってもホコリしか出そうにない大きな鎧を身に着けた男の人のぎらつく視線が居心地悪く。
「……」
指をさされた気配を感じて、困ったようにうつむき加減になる。少し背を丸めるようにグラスを口につけ。
おそるおそる、彼らと彼らのリーダーへと振り返る。
■聖バルバロ騎士団 > 「おう、お前だお前。 こっちに来て座れよ。」
団長の近くにいる団員の男はこちらを振り返った褐色の少女を手招きする。
団長の周囲に居る部下たちは基本的に特にコレと言った特徴のないメンツである。
三下で、虎の威を借るキツネと言った者たちだ。
褐色の少女を数で挑んでも恐らく負けるだろう。
だが、彼らの中心にいる寡黙な大男は何とも言えぬ威圧感を醸し出していた。
そして、彼ら全員が危険な臭いを出しており、店員も用が済めばすぐにその場を離れる始末。
客に至っては足早に食事を終え、一人二人と姿を消してしまう。
店の者たちも含め、この場で少女の味方をしてくれる者はいない。
ちなみに団員が用意した席は件の大男の隣である。
■タピオカ > 「……僕……?……う、……うん……。
わかった、よ……」
ここは砦の戦場でもなく、王都の平民区。
その酒場。相手や相手がたの風貌が荒々しかったとしても他の客がそそくさ、きな臭さを感じて場を離れたとしても。
特に不審な行動をとられないかぎり、刀を抜く事はしてはいけない。
自分から見れば頭いくつ分かもすぐには計る事ができないほど大柄な相手の横に誘われれば、ぐずつきながらも小さく頷く。
剣の腕や体術には自信がある。
けれどもし、彼らが凶暴になったら?
舞台のシナリオのように一斉に襲いかかられてうまく撃退できる保証はなかった。身を硬くしながら、大男の横に座った。
「……。……お酒の、……酌でもさせる気……?」
すぐ脇の威圧感に押され、不安げに集団を見回し。
■聖バルバロ騎士団 > 少女が団長の隣へと座ってことで周囲の者たちは安堵する。
これで自分たちに火の粉が飛ぶことはないとでも言ったように。
団長は兜を外し、部下に命じて鎧を脱ぐ。
鎧の下はやはり少女の倍近くの大きさはありそうな大男だ。
口数は少ないが、兜を脱ぐことで餓えた獣のような視線が露になる。
「そうじゃねえよ。
俺らがお前に酒を奢ってやるんだよ。」
団員達は警戒している様子の少女の背に手を伸ばすと、ワインが入ったグラスを差し出す。
団長もグラスを掲げれば、乾杯の合図だ。
「お前、強そうだよな。」
「ちょっと腕前を見せてもらおうと思ってよ。」
団員たちは顔を赤く染めながら、既に酒臭い息を吐いていた。
■タピオカ > 酒場に安心したよな吐息と空気が広がっていく。
まわりに自分の味方が居ないと知って、胸の中がすん、と小さな絶望の暗闇が生まれるのを感じる。客や店員のほうを見遣るけれど、皆それとなく目を反らすのだろう。
彼らのリーダーらしき大男の体躯。鎧を脱いだ事に一瞬気づかないほど、筋骨たくましい隆起。見上げると、大型の獣を崖の下から眺めるような気分になる。自分がいっそう小さな存在に思えた。
「あ、ありがと……。
……僕は、強いよ。これでも冒険者だから……」
本当は酒精に弱いのだけれど、ここで首を振ったら余計に絡まれそうだった。強そうだ、と言われて弱いところは見せられない。ぐっと唇を引き締めて覚悟を決めるとグラスを手にとり、一緒に乾杯の音頭をとって。
「……っふ、……ぁ……。
うでまえって……?ここで、……ん……、……っ、……剣を持って、踊ればいいの……?」
慣れない酒精が素早く身に染みてしまう。
褐色肌の頬にまんまるく頬紅が浮くと、気取られまいと努力しながらも呂律が少し怪しい。少しふわふわとした様子になって、こてんと首傾げ。
■聖バルバロ騎士団 > 街中で武装した集団が堂々と歩けるのには理由があった。
この者たちは官憲とつながりを持っており、多少のことなら目こぼしが許される立場なのだった。
それを知っているだけに店の主も気まずそうな表情を浮かべるのみで。
少女の視線に気が付くことはあっても、誰も手を差し伸べない。
「おー、そりゃすげえ。」
団員の一人が大げさに喜び、グラスを手にした少女の飲みっぷりに拍手で煽る。
「我らの団長と一度手合わせをしてもらおうと思ってな。
勝ったら俺らの持ってる金を全額やるよ。
負ければ、今日一日俺らの言うことを聞いてもらうがな。
なに、あんたほどの腕前なら余裕だろう?」
少女が酒に飲まれつつあることは誰の目にも明らかだった。
それをいいことに勝負を持ちかける。
団員はゴルドの山をテーブルに載せて見せる。
冒険者なら暫く冒険に出なくても暮らせる金額であった。
そして、この場の雰囲気が断りにくくさせていた。
■タピオカ > ちらりと覗いた店主の目のうろつきを見た。
そこには単に弱腰に面倒事を避けたいからという以上に、何か事情がありそうだった。店主へ小さく首を振る。気にしないで、とばかり。
拍手に包まれてグラスを置く。
自分から酔っぱらいながらも、安心して酒精に身を任せる事ができない。はぅ、と苦しげに、そしてどこか切なげに酸いぶどう酒の熱い息をちらした。
「ふ、ぅ……。……っ……。
うけて、立つよ……。
余裕だろう、なんて言われて逃げるほど弱くないよ……。
甘く、見ないで……」
ゴルドの山も魅力的だけれど、もともとは気性の荒い遊牧民の出自。勝負事を挑まれて、少々のふらつきがあるからと断るほど気弱ではない。半ば、心の中で自分にそう言い聞かせながらその場に立ち。今居るテーブルのすぐ横、他のテーブルと間隔が広くとられている空間へと移動する。少し瞳を潤ませながら、腰を低く身構え。大男が手合わせを始めるのを待つけれど、上半身が若干ぐらついていた。
■聖バルバロ騎士団 > 団長は少女と店主の言葉無きやり取りを横目で見ていた。
口元でニタニタと笑みを浮かべれば、店主は難を避けるように視線を逸らす。
少女の口からワインの香りが漏れると、団員とは同じ酒を飲んでいるとは思えない程爽やかな香りに感じ取れる。
少なくとも、隣でグラスを傾ける団長を刺激するには十分な甘い香りで。
「そうかそうか! 流石は冒険者だ!」
「おい、テーブルを片付けるぞ。」
酔った団員たちが客の少なくなった店でテーブルを隅に集める。
団長はその巨体を揺らしながら、即席の決闘場へと歩き出す。
手にしているのは柄の長いメイス。
両手でしっかりと握った所で、団員の声がかかる。
「はじめ!」
まずは先手を取るべく、動き出す団長。
その巨体からは想像できない俊敏さで、あっという間に距離を縮める。
まずは右から振りかぶり、大ぶりながら素早い一撃が少女に襲い掛かる。
■タピオカ > 組手のために素早く空間を開ける彼らの意気揚々とした声も、どこかうっすら遠くに聞こえている。
ワイン入りのグラスを傾ける際に煽られた拍手でついつい、その角度を深く飲み込んでしまったためにその分のアルコールが頭に巡っていくのを感じる。目は見えているのに、視界や意識がぼんやりしている。軽く首を振って、一度瞼を閉じてから開く。気合を入れようと、一度深く息を吸うも、表情にあまり余裕が無かった。
おぼつかない意識の中、相手の得物をしっかりと見据える。
メイスの一撃をそのまま自分の曲刀で受け止めては刃先が折れてしまう。入らない手の力でうまく受け流せるかと悩む気持ちを、はじめの合図が打ち破って。
「っく……!」
自分から見れば左から、飛ぶよな早さで襲うメイスを一歩半分のバックステップで避けた。
そのまま反撃に転じる。一歩進むと体格差を利用し、滝を駆け上がる昇り龍のように顎を狙って右手の掌底を食らわそうとする。
しかしその動きはやや鈍く、酔いで今にも膝が落ちそう。狙いも鋭いとは言えない。
■聖バルバロ騎士団 > 本来は俊敏さを売りにしているであろう少女の体はふわふわと重心が落ち着きなく、
アルコールが回っていることははっきりとわかる。
団員たちはそんな姿に勝機を確信し、各々でほくそ笑んだ。
まともに戦わないのがこの連中の常である。
曲刀は刃の反りが深く、まともに切られれば太い腕でも容赦なく切り落とされそうな鋭さだ。
しかし、今の少女は指の握り方が甘く、まともに撃ち合えば簡単に払い落とせそうだ。
「おお、やるじゃねえか!」
「団長の一撃を躱すか。」
団員たちは少女の風のようなステップに魅入られる。
下種と言えど、戦場に身を置く彼らは相手の技量を見抜く目は持っていた。
団長の頭の下より伸びる掌底。
顎に衝撃が入れば、骨を伝って脳天が機能しなくなる。
団長は首だけを後方へ逸らし、掌底を紙一重で回避する。
そして、左手を伸ばしては少女の足首を掴もうとするだろう。
もし掴んだら、そのまま少女の体をモノのように店の柱や壁に打ち付けるか。
■タピオカ > 幼少の頃から剣を握って魔物を退治してきたし、冒険者としての経験もそれなりに積んできた。
ただ、酔っ払った状態で剣を振るったことも戦闘をしたことも今まで無かった。
まるで泥の中を泳ぐような自分の手足の鈍さに辛そうに眉根を寄せ。小さく白い歯を覗かせながらはぁはぁ、呼吸をする。
団員の声が耳の中でぐるぐると渦巻いた。
気を取られ、振るって伸ばしきった右腕が相手の顎をとらえることもなく空を切り、素早くそれを手元へ戻すことを怠ってしまう。のろのろと攻撃を下げるうち、自分の足首にがっちり、鉄の鎖のような大きな相手の手が食い込んでいて。
「ッひっ、……ぁ、……~~~~~~~っっ!」
身体がバランスを失うのと、自分の背中に痛撃が走るのとがほぼ同時だった。したたか背を打ち、目を見開いて大きく口を開け。声にならない悲鳴を上げる。酔いが身体を回り、足を捕まれ。痛みに囚われ、曲刀を床に取り落し。小刻みに浅い胸元を震わせながら、されるがまま。反撃も、抵抗も出来なくなってしまう。
■聖バルバロ騎士団 > 少女の足は細く、あまり強く掴めば折れてしまいそうなほどに華奢であった。
酒の影響で荒い吐息は団長だけでなく、周囲で見物している団員達も興奮させた。
「あんな小さいナリでエロい声出しやがって。」
「団長が勝ったら絶対犯してやるぜ。」
既に団長の勝ちを確信した団員たちが皮算用を始める。
団長は棒切れでも振り回す様に少女の体を滅多やたらに打ち付ける。
テーブルが壊れ、グラスが落ちれば酒が床にプールの様に広がる。
曲刀はカン、と高い音を立てて床に転がる。
「どうしたー! まだイケルぞー!」
団員の声に笑いが含まれる。
どうやら、少女の口から降伏を申し出なければ、この拷問じみた攻撃をやめるつもりはないようだ。
■タピオカ > 手足に力さえ入れば、自分の足首が掴まれている事を逆に利用した反対側の足での蹴りや、上半身を振り子のように揺すって敵の懐に飛び込んだり、いくつでも攻撃手段は残されている。
それもかなわないのは、飲み慣れないアルコールが毒となって全身を蝕んでいるからだ。
小さな身体は彼の手にかかれば、ヒノキの棒にも等しい軽さ。
巻きスカートが無残にめくれ上がり、空いている片足も両手も、壊れて関節がおぼつかない人形のように儚く空中に舞い。どこか硬い場所に打ち付けられるたび、びくりと引きつって強張る。
「や、やっっ、ぁ、あっ、ぁ、……ぁ”ーーーーーーっ!
はあっ、はぁっ、あぁぁぁ……!あ、……あ、……ぁっっ、ぎゃぁああああああっ!
やだ、……あああ、離して、お願い、……っ、うううぅ、……ぁ、……あっ、……うゎああああああーーーーっァーーーーぁあぁぁぁ……、
はぁっ、はぁ、はあっ、もう、……もうやめて、……う、っ、……はぁ、……ぅぅぅ、あぅ……はぁ、……ぅぅ……、降参、……降参しますから……ぁっ……!」
頭を打ち、肩を打ち、腰を打ちつけられ。
おでこや頬も叩きつけられ、薄く鼻血を滴らせ。
恐怖にひきつる表情で震えながら、次の一撃に怯え。
悲鳴を上げてはいっそう身震いをし、非情な一撃に甲高く喚く。
とうとうあられもなく衣服も乱したまま、両眼の端に涙の粒を膨らませ。自分が敗れた事を認め。