2019/10/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシュバルトさんが現れました。
シュバルト > 此処最近の事だが妙に貴族の方々からの仕事の依頼が多い。
缶詰とまではいかないけども貴族の屋敷で寝泊りしながら、
貴族の所有メイドさんだの奥方様の果てはご本人の施術を付きっ切りで……と息をつく暇も無かった。

今夜はやっとお屋敷から開放され重たい懐に頬がにやけるのを抑えながらの平民地区への帰還である。

――…良い事は思い立ったらと言う事で早速何処か空き家がないものかと平民地区の大通りを一人捜し歩くのだが、流石に一人歩きは寒いので途中の露店で買った温かい蜂蜜酒をお供にしている。

使い捨てなのかわからないが、陶器で出来たカップにたっぷりと注がれた湯気と香りたつ蜂蜜酒をちびちびと飲みながら、さて出来る限り通りに面した空き家がいいと、出来れば広くて店舗の形に改装されている物件がいいと、右に左にキョロキョロ歩く姿は挙動不審者で。

「富裕地区が本当はよいけどもー?予算オーバーだから仕方なし。」

と酒が入った所為かつい独り事も大きな事を言ってしまう。
頬に朱のさしたニヤケ面が何を言っても通りかかる人間はハイハイとスルーするだろうけどもだ。

けれども偽りなき本音である。
大きな店を持ちもっと確りと商売がしたいものだと。
それと同時に魔導機械を調律する専門の攻防も欲しいと……。
欲望は尽きないのだ。

シュバルト > 大通りを歩きながら欲しいモノを片手だけども指折り数える。
自分の店、新しい機材、アロマを作るための薬草その他、助手と……諸々、指が両手と両足入れても足りやしない。

「……ンッ、この蜂蜜酒美味いけど、こんな感じのをサービスとして出すのもいいかな……?」

指折る間に陶器のカップに唇を近づけてフーっと息を吹きかけて冷ましてから一口飲む。
口内に広がる蜂蜜の甘さと香りと酒の芳醇な香りが混ざり、喉を過ぎ去り胃に落ちれば身体がポカポカと温かくなる。

血行をよくする為の施術前酒?
まあ人を相手にするには良いが魔導人形とかはどうする?
と、考えながら歩けば大通りを何処までも何処までも……。

しかし不意に足を止めた。
大通りに面しているが一歩路地に入った辺りに入り口のある随分と使いかっての悪そうな空き家が目に止まる。
視線もぴたり、足もぴたりと来れば身体をくるりと空き家のほうに向けて、じーっと空き家を睨みつける。