2019/08/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/商店通り」にジェイさんが現れました。
ジェイ > 昼下がり。昼食を終えた民達が午後の仕事に向かう頃合い。
ちょうどその頃、空模様が崩れた。最初はすすり泣き程度だった雨。
それが嗚咽となり、嗚咽が慟哭になるまでそう時間はかからなかった。
加えて、風が雨粒を躍らせて、たちまち辺りは土砂降りの有様。
人々は家路へ、あるいは雨宿りに急ぎ走り始める。

――彼も、また例外ではなかった。
偶々辿り着いた一軒の店の軒下。そこでひとまずは雨宿り。
濡れそぼった帽子から零れる水滴を、金色の瞳が見てから
外套を濡らす雫を指先で払う。ほんの僅かに響く金属音。
それに混じった吐息がひとつ。

「まったく――困ったものだな。」

吐き出す言葉は誰に向けたものでもなく、視線の先の空模様へか。
幸い、仕事は終わっているから今日特に急いでやることがある訳でもない。
“現場”となる場所からは十分に離れて、僅かな痕跡もこの雨が流してくれるだろう。
不都合なことは何もない。ただ、足を止められて濡れるだけ。
それでも、呟いてしまう。「困ったものだな」と。

ジェイ > 雨足は強くなり、風も勢いを増していく。
嵐になるか。それとも、もうすぐ止むか。天ならぬ身にわかる筈もない。
わかるのは、雨から逃れる人の足も少しずつ減ってきたこと。
そして、しばらくは止む気配もないことだ。

ざあ――ざあ――。

子供ならばそう表現するのに似つかわしい雨音。
少しだけ厭わし気に金色の瞳が暗い空を見上げ
それから、軒を借りている店の看板を見る。
どこにでもあるような食堂の一軒。
ちょうど昼のかき入れ時が終わって、休憩しているというところか。
あるいは今日は休みなのか、店内に人の気配はない。

「さて、どうするか――。」

思案するような言葉が、雨粒に混じって零れ落ちる。
このまま立っていても濡れるばかり。
ぽたり、とそれを証明するように濡れそぼった帽子から雫が落ちる。
右手の指先でそれを拭いながら、吐息を、またひとつ。

ジェイ > そうして、しばらくの思案の後。
雨音の中に足音が混じる。
雨風に揺らぐことない足音が響く。
そんな、昼下がりの一幕――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/商店通り」からジェイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:広場」にシュバルトさんが現れました。
シュバルト > ――…選択肢のミス、天候を甘く見ていた、少しくらいなら、言い訳は数々あろうが現実的に今大雨に降られている。

流石に今夜は露店を開く心算ではなかったので荷物は何時もの肩掛け革鞄だけだから、色々と台無しになる心配はないけども、大雨である、仕方なし広場に設けられている屋根のある東屋に避難し、行くも帰るもずぶ濡れ待ったなしの現状に、もう、諦め気分でベンチに深く腰をかけながら、革鞄より取り出した乾いたタオルで頭をごしごしと拭く。

「……こんな天気で夜更けに何で広場なんかに……。」

散歩の心算であった。
雨が土を濡らす香り、緑の香り、何より霧雨を浴びるのが好きで、安宿を出て数分はその気分を満喫していたが、広場に到着する本当にその途中でサーって雨がザーってなって、ザーって雨がザババババババ……と。

本当についていない、判断ミス、諸々……。

不幸ではある、が、まあ起きてしまった事は仕方ないとして、もう少し雨が止むまで此処でのんびりするしかないのかなと、タオルを被ったまま周囲を見渡すのだった。

流石に、自分と同じ境遇の人なんて誰もいないだろうね……と、

シュバルト > 埒が明かない、その場合は調律師の師が言っていたことを思い出す。

明かない埒は自らの手で開くのだと。

それは即ち……。

「もー何ともならないよ……な?」

ベンチから立ち上がり、両手で自分の頬をぺちぺちと挟むようにはたくと、深呼吸一つした後に東屋を出て宿のほうへと走り出すのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区:広場」からシュバルトさんが去りました。