2019/08/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にゼノビアさんが現れました。
■ゼノビア > 足音には静寂を浮べる笑みは凪の如く穏やかに、まとう空気は決して主人より前に走らず、されど主人の恥とならじ……丸1年近くか耳に何か生まれてしまうほどに叩き込まれた先輩の格言である。
此処最近王都に帰ることも出来ず、同僚に主人を見つけられない執事に何の価値があるのか?最初からやり直すといい、と故郷に強引に里帰りさせられて1年、技術も話術も磨いたけれども……さて。
「……変わらないな、全然変わらない。夜の空気、退廃的で腐臭がして、居心地は良いけど慣れてしまうとぬけられない、そんな空気……あの酒場はまだ営業しているのかな?後で顔をだすとして、今は……道を思い出そうか。」
王都に1~2年滞在し仮でも良いので主人を捜し歩いた拠点にした安宿、その宿の場所も各種お店の場所もさっぱり頭から消えていた良い思い出などなかった所為もあり、本当に全く頭の中から消えている。
だから、思い出すために平民地区の大通りを歩く。
荷物を重たそうに持たない、常に歩く姿は優雅に。
必要な道具や一切の物を背負う姿は恥じである、その手には主人の荷物さえあればいい、と叩き込まれた教訓を実践する為に服装は軽装、何処から見ても何処かの屋敷に勤める執事に見える服装で歩く姿は少々目立つ。
「あー……只今雇い主を募集しておりますが如何でしょうか?」
時折奇異の視線を向けてくる方々にひらりと手を振り、暑くない?と声をかけられると、仕事ですから、と返し、愛想を返す、あまり良い反応をもらえないのは容姿の所為か、幼さがぬけていないと、同僚に言われたが年齢を考えろ、と返すくらいにまだ大人には遠く、だが子供呼ばわりされるほどお子様でもない……でも、まあ……早く成長はしたい。
先輩の中には老若を自由に操るどころか性別すら変える猛者がいるが、ああではない、もっと自然に背もあと20cmは欲しいし、もう少し筋肉もつけたい……。
そんな事を考えながら、でも人ぶつからぬように配慮をしながら久しぶりの散歩は結構楽しいものだった。
■ゼノビア > 「……こんなところかな!」
今夜は此処までとしておこう。
久しぶりに人々の活気を肌で感じたら、何だか疲れてしまった。
足の向く先は散々お世話になった安酒場兼安宿である。
あの無愛想な主人が健在であれば再び給仕として雇ってもらおうと…
多少足取りは軽く。
気持ちも軽く、さてまた主人探しに行かないと、と笑みすら浮べて少年は立ち去るのであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からゼノビアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメイベルさんが現れました。
■メイベル > ―――そろそろ本気で、仕事、というものを見つけなければ。
そんな決意を胸に抱き、数日前から逗留していた宿を出て、
宿の女将に教えられた道順を律儀に辿る。
果たして―――情報通りの場所に、其れはあった。
古いもの、新しいもの、綺麗な文字が並ぶもの、書き殴りに近いもの。
種々雑多な情報が、目の前の掲示板に所狭しと貼り付けられている。
此の中には、求人情報だって幾つもある筈で―――此れだけあれば、
ひとつぐらいは己にも、務まる仕事が見つかる筈。
半ば無理矢理そう信じ込もうとしながら、首が痛くなるほど見上げて。
ひとつひとつの貼り紙に記された文字を、真剣に目で追いかけ始める。
手提げ鞄を身体の前に両手で提げ、ぽかん、と掲示板を見つめる姿。
其れが典型的な家出娘の構図であることに、当人だけが気付けずにいた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルドラさんが現れました。
■ルドラ > 「……うん?あー……済まないがその御嬢さんは私の知人なんだ、私が代わりに詫びるからこれで許してくれないか?」
お気に入りだった洞窟をほとぼりが冷めてあの洞窟には何もないと誰もが諦める迄は離れることとし、いっそ新たな住処を探すついでに繁殖に適した雌を探しにと人型へと本来の体躯を踏まえれば窮屈過ぎる大きさへ変化。
王都に潜り込めば遠くから見るのと実際に中に入って経験するのとでは全く異なる人の営みに、よくもこうごちゃごちゃと混沌とまではいかずとも雑多で多様性を極めた在り方で平然と暮らせるものだと眩暈すらしながら物見遊山と周囲を興味深げに建物、人々、日常の全てが新鮮だと見渡しながら散策。
すると、掲示板の周囲がにわかに騒々しい事に気付く。
見れば、本人は必死過ぎて気付いていないようなのだが、あまりに浮いている――自分の事は棚上げである――小奇麗な身なりに如何にも育ちの良さが隠しきれない雰囲気、それも何とも危うさすら感じる必死さで鞄を掻き抱きながら掲示板を見上げている美しく、そして帽子の下、包帯の隙間から覗く縦に裂けた瞳孔を持つ竜の眼に映る何らかの呪詛の気配。
そんな娘がこんな場所にいて、良からぬ者を引き寄せない筈がなく、彼女を唆そうという者、力づくで連れ去ろうという者、様々な悪意持つ者達が集い互いに獲物を狙い牽制しあう異様な光景を見ればふむと顎を撫でる。
それにしても美しい。
やや脆そうな気配がするが、それでも無性に性欲を掻き立てられるのは彼女の魅力のせいかはたまた呪いのせいか。
どちらにせよ、見過ごすには惜しい。
牽制しあう者達の鋭い視線を意に介さず長身を輪に割り込ませ、掲示板前で依頼を探す家出娘へ驚かせないよう注意し近づき。
自分より先に彼女へ抜け駆けして声をかけ、相手を依頼を紹介すると称して連れ出そうとした柄の悪い冒険者風の男達にも臆する事なく軽く肩を叩き退かして。
殺気立って此方へ掴みかかろうとする人間の振り上げた拳の手首を咄嗟に掴み、顔を近づけ人非ざる竜種の瞳を近づけてから視線を合わせれば、種族の差、持ち得る脅威の差、個としての質の差、視線のみで生存本能を喚起させ生物の格を知らしめれば己が竜と気付かずとも危機を察した冒険者風の男が青褪め。
十分だろうとその気になれば枯れ枝の如く容易く折れる手首を引き寄せ、懐から金銭感覚が分からず持ち歩いていた宝石を一つ取り出し子供に駄賃を授けるように握らせ。
恐慌に駆られ慌てて逃げ出す男に仲間達は何が起きたか分からずとも釣られて逃げ去り、周囲の狙っている他の男達にも一瞥して自分の物だと主張してから、ようやく男達を引き寄せ過ぎる彼女へ声をかけて。
「御嬢さん、何かお困りかな?文字が読めないというわけではなさそうだが。」
■メイベル > 「良い仕事がある」
其の言葉に振り返った先、声の主はお世辞にも、では、とついて行きたくなる類の相手ではなく。
断ろうと口を開くのと、其の男が誰かの手で退かされるのとは、ほとんど同時のことだった。
気がつけば、随分周りが混み合っている、やけに周囲がざわついている。
やはり皆、此の掲示板が目当てなのだろうか。
最前列を占拠していて申し訳無かったか、などと、的外れな罪悪感に囚われているうち、
先刻の男は、如何やら後から割り入ってきた男に退けられた様子。
其の遣り取りの詳細は、ぼんやりしていた己には解らなかったけれど。
「え、………ぁ、あ、いえ……あの、文字は、読めます、わ」
改めて、助けに入ってくれたのだろう人物へ向き直る。
―――随分と背の高い男の人だ、というのが、最初に思い浮かんだ感想。
成る程、こんなに大きな人なら、暴力に訴えなくても簡単に、
先刻の男程度なら排除してしまえるのだろう。
―――其れにしても、
「あの……今の、…助けて頂いた、の、ですよね……?
お手数、おかけいたしました……有難う、ございまし、た」
此の盛夏に、随分と厚着をしているようだ。
顔を覆う包帯の合わせ目から、辛うじて緋色の眸が見える。
世間慣れした者なら彼の風体を異様だと断じ、警戒心を剥き出しにするのかも知れない。
然し、箱を出たばかりの家出娘は、ただ、酷い怪我でもなさっているのかしら、と思うだけ。
其れよりも、困っていたところを助けてくれた、という、其の事実だけが勝っている。
だからこそ、おずおずと口籠りながらも、礼儀正しく頭を下げて。
「……ごめんなさい、私…皆様の、お邪魔をしているみたいですわね。
ぼんやりしていて、気づかなくて……もう、宿に戻ります」
流石に、出逢ったばかりの人物に、職を探しています、と打ち明けることはしない。
けれど、また誰かに絡まれるのも―――と、出直すことを決めた。
ぺこりともう一度お辞儀をし、微笑んで此の場を立ち去ろうとするが―――
明らかに此の場に於いて、最も『強い』であろう相手の傍を離れれば、
当然、己を遠巻きにしていた男たちも動くだろう。
ものの数歩も行かないうちに、同じようなトラブルに巻き込まれるに違いない、と、
当の本人だけが気付かない有り様だった。
■ルドラ > 「そうか、それは失礼した。あんまりにも食い入るように見て、周りが見えていない様子だったからね。……気にする事はない。私は私の都合で助けたのだからね。だが、礼儀を弁える娘は好ましい。人は文化という素晴らしいものを持っているのに、ときにそれを捨て去り蛮族の如く振る舞いをする。御嬢さんは良い教育を受けているようだ。」
仮に相手が最前列でなかったら、それこそとっくに他の男達が先に無理矢理にでも連れ去っていたのかもしれない。
相手はまだ知らないのかもしれないが、彼女のような俗世の疎い者は人間の言葉で確か『カモ』と呼ばれるのだったかとぼんやり竜は考えた。
別に此方から暴力を振るった訳でもない。
ただ、一瞥したに過ぎないし、その視線に殺気たの敵意が篭っている訳ではなかったが周囲の男達は此処でこの異様な風貌をした真夏と思えぬ恰好をした長身の男に絡めば不味い事になると悟ったのか輪を広げて、それでも彼女を諦めきれないらしく遠巻きにバツが悪そうに見守る事になったようだ。
礼儀正しく、細い小鳥が鳴くような声だが謝意を告げて小さな頭を下げる彼女を頭二つ分近い上の高さから見下す竜は唯一露出している緋眼を微笑ましげに細めてから喉をくるる、と鳴らして。
ただ、まだこの後に及んでいつ悪漢達に取り囲まれその無防備に過ぎる魅惑の肢体を狙われているとも知れずに一人で帰ろうとする意志を確認しては、元から自分も正直彼女を狙っているからこそ助けたのでありそういう意味では悪漢達と目的は変わらないのだが、やはりこうして正面から顔や体を見下し、品が良くも淫靡な色香を匂わす娘を手放す気になれず竜は申し出る事にした。
「御嬢さん、宿に帰るならば私もちょうど宿に戻るついでにお送りしよう。それと、もし良ければ御嬢さんにそのついでに私から依頼を出したい事がある。道すがら、聴いてはくれないかい?難しい事を頼む気はない。ただ、私と外を散歩して、夜を共にして欲しいだけだ。人肌恋しいというやつかもしれない。報酬は、相場はどの程度なのかな?宝石ぐらいしか持ち合わせていないが、必要なら換金してこよう。」
竜は囲んでいた悪漢達と違い、暴力に訴える気はない。
けれど、じゃあこれほどの上質な雌を逃す気も無い。
第一、 己が暴力など振るえば子を孕ませる母胎が壊れてしまう。
宿で交尾を迫るか、それとも依頼の名目で連れだし、繁殖の為番の雌として新たな寝床で仔を孕ませるか。
悪意はないが、人間の常識には疎い竜はそんなことを考えながら相手が嫌がらないなら周りの男達を退ける意図も含め同行しようと。
■メイベル > 食い入るように、と評されて、己の頬に淡く朱色が滲む。
確かに真剣に職探しをしていたけれど、其処まで周りが見えていなかっただろうか。
他人から己がどう見えているか、考えもせずに集中していたのだと思えば、
常に令嬢らしくあれ、と躾けられてきた己にはとんだ失態である。
恥ずかしさのあまりそっと俯き、消え入りそうに声を落として。
「そんな、……恥ずかしい、ですわ……本当に、有難うござい、ました……」
己に迫っていた、或いは今も迫っている危険については、未だ微塵も理解していないけれど。
兎に角、助けて貰ったのだから、と、礼の言葉を繰り返す。
そうして、非礼に当たらぬ程度の穏やかな挙措で、彼の前を辞去しようとした―――のだが。
「え……そんな、其処まで、お気遣い頂く、のは……、
―――――私に、お仕事、を……?」
ただ、送ってくれるというだけならば、見ず知らずの相手に其処まで甘えられないと断っただろう。
然し、仕事の誘いとなれば、また、別である。
踵を返しかけた身体を、再び彼の正面へ相対する姿勢へ戻し、
心なしか期待に満ちた眼差しで、緋色の眸を見つめることに。
「お金、…相場、は、ごめんなさい、私、詳しくないのです…。
でも、お散歩?に、お付き合い、するぐらい、で…お金、なんて」
箱入り娘であった己の頭で、正しく理解出来た仕事内容は『散歩』だけ。
『夜を共に』という部分は、其の直前に『散歩』と告げられていた為に、
夜の散歩を共に、ということなのか―――そんな風に理解してしまった。
とすれば、人肌、という単語との整合性が取れなくなるが―――
「私で、お役に立てるかどうかは解りませんけれど……
よろしければ、もう少し詳しくお聞かせ頂けますか?
お金の話は、……私が本当に、お役に立てると解ってからで結構ですわ」
何はともあれ、助けてくれた人、なのだ。
そうそう恐ろしいことを言い出す筈は無い、そんな甘い考えのもと、
己は彼の誘いに応じることにした。
彼が己の連れになる、と見れば、周囲の男たちも諦めて立ち去る筈で、
歩き出す二人の行く手を塞ぐ者は、きっともう居ない。
確か、此方から来た筈だと―――此の界隈の地理に明るくない身、
彼が何か企まずとも、無事に宿へ帰りつけるかは不明である。
此の場で彼に限っては、小娘一人、騙して連れ去るのも容易い状況。
二人で歩き始めて後も、彼は紳士で居てくれるだろうか。
其れとも―――。
■ルドラ > 「うん、依頼だ。何も難しい事は頼まない。ただ、私の眼から見て、御嬢さんに是非頼みたいと思えたからこそ話を持ちかけたのだよ。私から見て、御嬢さんはとても魅力的な雌だ。そして、人は依頼という形式で頼む場合、報酬に金銭を要求する。ならば私も形式に則るべきだろう。勿論、金額にしても御嬢さんが決める事だがね。しかし、謙虚なのは良いが、自己評価を不当に貶めるのは行き過ぎている。あまりに貶め過ぎれば、私の眼が節穴だと暗に語っているとも受け取れるのだからね。――それでは、往こうか?」
嘘はついていない。
彼女を評価しているということも、相手だからこそ依頼したいというのも何も。
相手を番の雌として孕ませたい。という意味なのだから。
それは散歩という形で連れ出し、邪魔の入らぬ場所で仔を身籠らせたいという依頼なのだが夜の散歩という部分は別にこれもまた嘘ではないのだ。
問題は、その後相手にとって受難でしかない憂い目に遭わせてしまう事なのだが。
騙すつもりはないのに結果的に騙す形で連れ出す流れに持ち込んでいる竜は、周りの男達が渋々であり後ろ髪を引かれている様子ではあったが立ち去るのを確認してから良しと頷く。
これで逆恨みされると面倒だったが、一つ懸念がなくなった。
最初は彼女の案内に従って宿へ目指していたのだが、段々彼女の案内が怪しくなってくれば、楽しそうに笑ってそれを責める事なく彼女に『ならば少しまだ明るいが、今から共に外へ往こう。』と提案。
日が暮れる前、彼女の行先通りの宿から自分の新たな寝床のある王都近郊の自然豊かな区域へと誘いだし――その後、彼女がどうなったかは竜と彼女のみぞ知る。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルドラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメイベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 エステ店「オブシーン」」にモールドさんが現れました。
■モールド > 平民地区と富裕地区の境目に居を構える、エステ店「オブシーン」。
清潔感が見て取れる店構えと、利用者の声、そしてその値段設定から平民、貴族を問わずに評判の良い店だ。
その実態は、優良店とは間違っても言い難いものであるけれど。
今日もまた、愛しの恋人や旦那の為、または自身の美を磨く為にとその身を嬲られる客が一人。
淫らで変態的な施術を受け、それでも認識上は「素晴らしいサービス」を受けて満足そうに店を後にする。
その胎には雄の種がたっぷりと仕込まれ、つい先ほどまでその証を魔導具に晒して記録していた事を知るのは今、店の主ただ一人だ。
店に一歩足を踏み入れれば、設置された魔導具の効果で認識に影響を受けてしまう。
エステの効果を宣伝するように店内へと飾られたパネル一つをとっても、それは美貌を喧伝するものではなく。
素肌を晒し、卑猥な落書きを施されて玩具を銜え込む姿であったり。
男のペニスを美味そうにしゃぶり、恍惚とした表情を浮かべているものであったり。
更には犬の様に首輪とリードをつけられて、屈辱的なポーズを取らされながらも矢張り蕩けた表情を浮かべるものであったりと様々だ。
女の、否、牝の美しさを象徴するという意味ではそれは一部で納得できる写真の数々であるかもしれない。
けれども、此処は表面上は普通のエステ。誰もが、それを見た途端に逃げ帰るだろう
――それも魔導具の効果で「ちょっと過激だが魅力的なスタイルを見せる女性」とでも変換されるのだろうが。
さて。今日は後一件、予約があるがそれまでにはまだ時間がある。
獲物となる客が来るか、それとも予約の時間まで暇を過ごすこととなるか。
のんびりと受付を続けながら、次なる客をどう料理しようかと、にやけているのであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 エステ店「オブシーン」」にトモエさんが現れました。
■トモエ > 巷での評判を聞きつけ、実際に通っている知人が一層綺麗になったのをみて、ひとりの愚かな女が店へ足を踏み入れる。
「すみません」
店のものを呼ぶように声をかける未亡人。夫を亡くしたからといって美への探求が終わることはない。
むしろ、本人は無自覚に違いないが、新たな出会いを求めて身体の手入れは以前よりも念入りには違いなく。
「まだ、営業していらっしゃいます?」
店の中を少し見渡す。清潔感のある店内の各所に貼られたポスターは、女の目にはすでに、やや過激ながらも何ら違和感のないものとして映っていた。
■モールド > こうしてまた一人、新たな獲物がやってくる。
人好きのする笑みを浮かべ、えぇ、と頷いてから口を開き。
「いらっしゃいませ。
えぇ、えぇ、今ならば丁度、予約も無く直ぐに出来ますよ」
室内を見渡す相手の様子を見て、魔導具の効果は確りと現れている事を確認。
中には効きの悪い者もいる為に、場合によっては接し方を考える必要があるのだが。
どうやらその心配はなさそうだ。
「どうぞ、こちらを記入ください。
その間に、少しサービスもさせて頂きますので」
ソファを案内し、手渡すのは幾つかの項目のある記入用紙。
・名前、年齢
・恋人や伴侶の有無
・直近の性交渉日
・自慰の頻度
等と、明らかにエステとは無関係な内容が羅列された、セクハラと呼ぶにも烏滸がましい項目だ。
「少々恥ずかしいかもしれませんが、必要な事ですので」としたり顔で説明をしながら相手の背後へと回り。
記入しているその合間に、サービスと銘打った軽いマッサージを肩へと施し。
その腕は確かで、ツボを心得た刺激が相手のリラックスを誘うだろう。
ただしそれは最初だけで、記入している半ば頃には、その手は乳房へと至り。
柔らかく絞り上げる動きを見せていたのだが。
■トモエ > 「ありがとうございます」
にこりと笑って礼を述べて店へ。
魔道具の類の力は、もともとかなり効きやすい。
愚かにも、身体を縛られて慰み者にされる女のポスターへ視線をやって、綺麗な身体つきだなと感心などする始末。
案内されるがままソファに座り、渡されたアンケート用紙を眺める。
「これは……」
少しだけ顔を赤らめた項目もあり、不安げに施術師を見つめたが、必要なことだと言われれば素直に記入せざるを得ず。
淫売と呼ばれても致し方ない返答を書き連ねてゆく。
他人と寝る暇のないせいで、自慰の頻度ばかり跳ね上がっていて。
自分の書いた文字を決まり悪そうに見つめていたが、それもすぐ、肩へ与えられた刺激にまぎれて。
「ん、……」
淡い声を漏らすが、やがて施術師の手が胸へ触れるとびくりと驚いたように背を跳ねさせて。
「あの、……これは、少し」
恥ずかしそうに、相手の手に自らの手を重ねて拒否するようなそぶりを見せて。
■モールド > 徐々に徐々に、力を込めて指を食い込ませ。
その柔らかな乳房を搾り、強調させる動きは服越しだろうと性的なアピールを否が応でも意識させ。
その手の動きを拒否するような仕草を見せた相手には、にっこりと笑顔を浮かべると、指の力は緩めるもののまだ手は離さない。
「これは失礼。
少し強くし過ぎましたか?この程度ならどうでしょう。痛いですかな?」
必要な事をしているのだという態度は崩さずに、まるで相手を慮る様な台詞を吐き、指の動きが変化する。
しゅり、しゅり、と布越しに乳首の位置を探るように指の腹が蠢き、性感を煽る動き。
邪魔な布の所為でもどかしい刺激が走るだろうマッサージを施しながら、さて、と相手の手元を覗き込み。
「…んん。すみませんな、ちと目が遠く。
内容の読み上げをお願いできますかな?」
つぷり、と指をその豊満な乳房の中に埋める様。
探り当てた乳首の位置で指を折り曲げ、穿り犯す様に柔らかく捩じり。
記入内容は見えてはいるが、相手の書いたその内容を自覚させようと、口の端を歪めながら読み上げを乞う。
■トモエ > 肩がまた、跳ねる。
必要なことだと言われて仕舞えば逆らえない。それどころか、必要な施術なのに感じてしまっている己の淫らさに恥じ入るように、かぁっと耳まで赤くして。
「痛くは、……ありま、せん……」
とろりと膣が濡れ始めてしまう。
ただでさえ片方の胸には魔道具としてピアスがはめられている。そこを擦られてしまえば、胸の先から与えられた刺激が下肢をじゅんと濡らすのに時間はそうかからない。
「ぁ、……っ」
あえかな声を漏らすも、恥じるように口を押さえて
「先生……、少し、刺激が……」
そうねだるが、聞き入れてはもらえないだろうか。
「名前は、トモエと申します……29で、夫がおりましたが、今は……」
質問に返答する間も、無意識に腰をくねらせてしまう。
「性交は、五日ほど前に……自慰、は、……まいにち、です」
恥ずかしそうに小さな声で答える間も、乳首から与えられるもどかしい刺激に息を乱してしまい。
■モールド > 「あぁ、それなら良かった。
乳首が敏感過ぎる人もいますからなぁ」
乳首とは別の、硬質な感触を知れば、それを刺激するように爪を甘く立ててカリカリと引っ掻き。
もう片方の乳は、まるで指で犯す様にその柔らかな乳へと指を突き立て、穿り、掻き混ぜる。
刺激が、という訴えにも、大丈夫ですよぉ、と返す言葉はその訴えを却下する物。
そして告げられる、記入内容。
相手の性事情を赤裸々にするその内容は、何度聞いても良いものだ。
愛撫を施しながらその全てを聞き終えれば、其処からは施術の本番だ。
相手を奥の部屋へと招きいれ。
今日もこうして、獲物が毒牙へとかかるのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 エステ店「オブシーン」」からモールドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 エステ店「オブシーン」」からトモエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にマコさんが現れました。
■マコ > 「うーん……、どうしよっかなー?」
マコは、現在とても悩んでいた。
この炎天下ともいえるような気温の中、つい目にしてしまったのはかき氷を売っている出店。
公園の、しかも噴水広場の目の前という好立地条件であるがために、かなり人が並んでいる。
それこそ、子供連れの家族から、カップルと思わしき男女。
学生…というほどの年頃であろうグループや、はたまた普段はこういう甘味には興味を示さないであろう男性まで。
仕方がないことだろう。
ここ最近、夏本番ともいうべき暑さが続いている。
そんな中で、かき氷の誘惑に打ち勝てるものなど、一体何人ほどいるのだろうか。
そんな誘惑に、マコも現在必死に抗っているわけだった。
もっとも、その誘惑に屈するのも、時間の問題であった。
何しろ、チャイナドレスの下は汗だくだ。
正直このまま、水の中にダイブするか、どこか室内で着替えたい。
しかし、着替えなど持っていないので、だったら体を中から冷やして、汗を引かせたい。
そんなことを考えつつ、その誘惑に屈し…いや、すでに屈していた。
「イチゴ練乳も、悪くないんだけど……うーん……。
この、ラムネ味っていうのも、さわやかで美味しいんだよね…。
でも…メロンっていうのもなかなか捨てがたい……。」
悩んでいたのは、そのかき氷にかけるシロップであった。