2019/05/16 のログ
タン・フィール > 「―――! そうだっ…!」

なにやら新薬をひらめいたらしく、
勢いよくベンチから飛び出すと、勢いよく平民地区を横切り、
己の工房のある、薬屋のテントへと駆け抜けていく…

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミレイラさんが現れました。
ミレイラ > 「あまり自由に遊び歩いてもらっちゃ困る、って言われてもな。」

ふー、っと煙草の煙をくゆらせながら、平民地区を歩く女の姿。
割と良い衣服を身に着けた女は、特に何かを怖がることもなく、路地を歩いて散歩する。

息詰まる館にいるより、よっぽど外の空気の方が気分が楽だ。

ミレイラ > 「酒を安全に飲める場所でも作るのもいいかもしれないけれどなぁ。」

安全に、………これがまた難しい。
ふらりと入った場所で薬を飲まされたり、眠らされたり、高額な値段を請求されたりというのはよく聞く話。
かといって、人が集まり過ぎる場所もよろしくなかったりと、なかなか難しい。

面がそこまで割れているわけでもないが、あらぬ噂を立てられても面倒なのだ。

なので、大勢の人が騒ぐ酒場を避けて、ゆったりと歩く。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミレイラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > 「ありがとう。また頼むよ。」

からり引き戸を開けて、二人組の傭兵を送り出す。
去って行く背中に一礼をし、店内へ戻ると戸を閉めた。

これで一息。
店内には客の姿はない。しかし夜はまだ早い。
もう何組かは来るかもしれないなぁ。と考えながら調理場へ入っていく。
食材庫の状況を確認し、使うべき食材とそうでもない食材を覚えておく。
根菜などは日持ちするが魚はそうでもない。特に下ろした分は。

この辺でまかないでも食べておくか…そう考えながら、刺身の切れ端などをまな板に出していく。
構え終わってから、ごそごそと酒瓶とぐい呑みを取り出し、一杯だけ注ぐ。
それを一口飲んで…。

「……ほぅ。」

と一息付き、のんびりとまかないの準備を始めていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 良い香りがするな、と思った。仕事帰りにふと気まぐれを起こして、普段歩かない道を回って帰る途中の事だ。
変わった香りだが妙に心惹かれる。鳴る腹に任せてその匂いを辿れば、公園の近くの路地に、ぼんやりと闇に浮かぶ赤い色。

「面白い照明だな……帝国式でもないし」

鼻を鳴らすが腹は正直だ。その光に誘われて扉を開く。
賄いの準備をするソウレンがそちらを見れば、異国の青年が顔をのぞかせているのが見えるだろう。
目があえば、人懐っこい笑顔。

「やってるかい? と言うか、酒場ー……であってるかな、お姉さん!」

ソウレン > とんとん、とリズムの良い音を立てて切り身を刻んでいたが、からりと戸の開く音に入口を見る。
王都ではあまり見ない風体の男性が一名。
一度手を止めると、手拭で手を綺麗にしていく。

「いらっしゃい。あぁ、その認識で構わないよ。」

好きな席にかけるといい。そう言いながらごそごそと接客の準備を。
清水に浸し硬く絞った布と、別に冷えた水を少々。
テーブルなら調理場の外へ出て。カウンターならその向かいから直接、青年に差し出すだろう。

「注文はあるかな? 不慣れなら食べたい物などでもいいが。」

ティエンファ > 「そりゃあ良かった、こんだけ良い匂いを空きっ腹に入れて、物が入れられないってなったら生殺しだからな」

そう言って店内に入る青年は、見るからに堅気ではない様相だった。帝国風の着古した装束、はだけた胸元と腕には鮮やかな刺青。
緩く担いでいる木の棒をカウンターの端の壁に立てかけ、席につけば、きょろりと内装を見回し、最後に視線はソウレンに行きつく。
興味を隠そうとしない赤い瞳だ。

「とりあえず、すぐ食べれる暖かい物はあるかい。あとは酒を。種類はー……お姉さんに任せるよ、強くても大丈夫だぜ
 この辺りの料理じゃないだろうし、詳しく注文が付けられないってのが本当だけどな」

ソウレン > 「ここは酒と料理を楽しむ所だからね。大丈夫、出さずに御代をいただくなんてアコギな真似はしないよ。」

青い視線はきょろきょろと内装を見回す青年をじっと見つめている。
その姿が堅気では無さそうと思っても、それに怯む様子もなく。
自然体のまま、お絞りと水を差し出すだろう。

「温かいものだね。少し待つといい。
あぁ、お任せするなら構わないよ。」

こちらに任されてもそれが当たり前、という雰囲気。
常連でもなければなかなか決まっている事はない。一見の客なら猶更。
慣れたもの、という様子で調理場の炉の前へ。
湯を少々沸かしながら、炉にかけられた鍋の蓋を開ける。

ふわりと漂う醤油の匂い。

鍋の中身を掌サイズの器に盛り、棚から酒瓶を一本出してくる。
ぐい呑みに湯を少量注ぎ、酒瓶の中身を注ぎ入れる。
ほんのりと酒の香ばしさが広がる。

「お待たせ。焼酎のお湯割り。それと椎茸とタケノコ、鶏肉の煮物だ。」

ことり。青年の前にぐい吞みと器が置かれる。
手始め、という事で量は控えめにしてある。

ティエンファ > 「安心したよ。こんな落ち着いた雰囲気の場所にはあんまり入らないんでね、作法が違う!なんて追い出されたらどうしようかと思ってたんだ」

有難う、と声をかけて水とおしぼりを受け取る。軽く喉を湿らせてから、しっかりと手を拭く。
落ち着いた物腰のソウレンが料理を用意する手元をカウンター越しに座ったまま眺める。
そして、蓋を開けた鍋から漂う香りが遅れて鼻をくすぐれば、口の中の唾液をごくりと飲む音がソウレンの耳に聞こえるだろう。

「焼酎か、何年か前に一度飲んだきりだが、あれだろ? 芋とか米とかで作ってる酒だよな
 有り難い、まだ夜は冷えるからなァ……煮物も嬉しいな。会計はあとで纏めてかい?」

一応確認を取ってから、早速、と酒に手を伸ばしかけて……思い出したように両手を合わせる。
イタダキマス、と、下手な発音で言うのは、東国の言葉だった。

「前に教えて貰ったんだけどー……あってるかい? ともかく、さ、飯飯!」

間違ってたら恥ずかしい、と答え合わせをする劣等生の様な目をしてから、誤魔化す様に酒を一口。
きゅっと目を閉じて味わいを楽しんでから、煮物を一口。……二口、三口。そしてまた酒を一口。

「~~~……っ! 俺これ好きだわ!」

ソウレン > 「こういう店だからね。冒険者、傭兵…商人達が多い。
作法だなんだと言っていては商売が成り立たないよ。」

道楽でやっている、とは言え客が来ないのでは閉めた方がマシである。
作法に煩い店もあるだろうが、ここは気安い店でありたいものだと思う。
そういうわけで、作法や食べ方に特にこだわりはないのである。

「あぁ。慣れもあるので今日出したものはクセの無い麦のものだ。
芋で醸されたものなんかはクセが強くてね。」

飲めない人もいると話しながら、手を動かす。
炉の上に網を敷いて、弱火で熱する。その上に、何やら黄色い布のようなものをぽふりと。
それから、濡れた羊皮紙で包んだ丸い塊も。

「よく知っているね、合っているよ。それを行うのは久しぶりに見た。
なんだか懐かしい気なるね。」

ぱちぱち。すぐに網の上で子気味良い音と香ばしい香りが立ち始める。
青年が楽しんでいるのを横目に、まず黄色い布のようなもの。
それに焼き目がついたら返していく。薄いそれはすぐに出来上がるだろう。
まな板の上に下ろし、ザク、ザクという音を立てて1cm感覚に刻まれていく。

ティエンファ > 「そりゃまあ確かに。それに、あの面白いランプもこの辺りじゃ見ないし、変わったもの好きのこの街なら色んな客が寄ってくるか」

納得したように頷き、意外に綺麗な作法で煮物を口に運ぶ。
柔らかく煮込まれながらも歯応えを残した筍の触感、噛めば深い椎茸と鶏の滋味が舌を楽しませる。
あっという間に一皿目を平らげる間にも、次の品が用意されているのを眺める。

「へへ、前に手合わせした東の国の剣士と暫く修業した時期があってね
 お姉さんの服とそいつの服が似てたんで、もしやって思ったんだ。あってて良かったぜ」

少し腹が落ち着いたのか、酒をちびりと呑む様子。しかし、目はソウレンが作る次の品に釘付けだ。
そこでふと気づく。ソウレンが作りかけた賄い。

「予約でもあったのかい? そっち、切りかけの魚。仕込みが忙しいなら悪いタイミングだったかな」