2019/03/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 場末の酒場」からアリエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシュバルトさんが現れました。
シュバルト > 欠伸を噛み締めながら今夜は富裕地区ではなく平民地区、行く行くはまずは此処に店を開いてみたいなー?とか思っている比較的治安の良い地区を散歩していた時の事である。

カシュッ、カリ、コリ、カリ

右手には真っ赤な林檎、左手は白衣のポケットに突っ込み、無防備もいいところなラフで適当な格好で、平民地区の大通りを人並みを避けながら歩く。

眠らずの街とは良く言ったもので、こんな時間でも酒場からは明かりが漏れ、喧騒が響き、溜息をつきたくなるほどに楽しげな空気が通りまで漂ってくる、羨ましくなんて無い。

で、今夜は当て所なく散歩といったが本当のところは空き家探し、基本空き家は入り口に幾らで借りれるとか、どんな建物か、等書いてあるので、それを眺めつつ気に入ったら連絡先に連絡するだけ、基本酒場のマスターに言伝という形になる。

何処かで一手にそんな情報を扱っている人間が居るとか、その手に詳しい知り合いが居るとかすればいいのだが、顔が利くとしたら仕事のお客様だし、其処まで来ると平民地区ではなく富裕地区の紹介となり、予算が幾らあっても足りない、と言うオチがつく。

カリ……コリ………

言葉の代わりに林檎を齧る音をたたせ、赤い果皮を歯で穿ち、中の甘い果実を噛み砕けばふわりと瑞々しい林檎の香りが広がる、そして豊潤な果汁が……手をべとべとに汚してくれる。

シュバルト > 出来れば2階なんて要らないから、幾つか個室が有るような家がいい、元々薬師が使っていたとか精油できる施設がまるまる残っていると嬉しい、等など……要望我侭は限りない。

貴族や商人の奥方には出張してお屋敷で、他は店に来てもらう方式が一番効率いいし、香油やハーブを多用するので苦情になりにくい自分の店が欲しい、ただしお安く、非常にお安くが希望である。

「まっ、そんなの簡単に見つかるわけないんだがねー。」

しゃくしゃく、と林檎を咀嚼しながら愚痴る。
実際酒場に空き家募集の張り紙を貼らせて貰っているが、反応全くなしで、結局張り紙をはるスペースを借りている分マイナスとなっているくらい……。

ハァ………

林檎の香りが瑞々しい溜息を吐き出し、右手はすっかり果汁でべとべと、更に言えば袖口から手首までもがべとべとである、なので仕方なし、右手の手首を口元に寄せて、軽く舌で拭うのだった。