2019/02/27 のログ
エインセル > 渡されたものは串肉たっぷりにチーズがどでんと鎮座して、そしてナッツと干し果物をどっさりと。
これだけの量をもらうのは気が引けるが、彼の向こうに見える店主は苦笑しながら食ってしまえと身振りで語る。
ならばここは厚意に甘えて食べてしまう事としよう――と早速肉に齧り付いてもぐもぐ。
彼と会話をしているにも係わらず、彼のおよそ二倍の速度で肉が消えていく。マジックだろうか。

「はむ、ん、んくっ……それじゃ、タンって呼ぶ。私の事は好きに呼んで。
 それにしても、うん、お肉は素敵。齧り付くと、幸せになる。良い物」

小さな口で、しかし素早く咀嚼しては飲み込んで。
もくもくと食べ勧めていけば、肉は直ぐに半分ほどに。
葡萄酒の量もちょうど半分。健啖家らしく作戦を立てて食べ進めているらしい。

「それは、良かった。まぁ、私が面白いかは、わかんないけども。
 私も、お肉沢山食べられて、嬉しい。うぃんうぃん、ってやつ?」

お互いに利益がある事を、うぃんうぃん、と言うらしい。どこの地方の言葉かは知らない。

「んー、食べた分だけおっきくは、こう、凄く大きくなっちゃいそうだから、だめだね。
 お腹空かない薬は……うん、だめ。ご飯が美味しくなくなっちゃう。お腹は、空かなきゃ。
 そ、だね。今度、タンのお店に寄ってみるよー―ニッチな薬、って言うのは想像できないけども。
 興味は、ない訳でもないし……報酬、くれるならタンのお薬、試作品とか飲んであげる、かもね」

などと笑いつつ、彼が差し出したメモを受け取る。
少女はどこかに定住しているわけではないから、所在を渡せないのが残念だ。
とは言えこの町にいるのは確かなのだから、案外どこかでばったり会うはず。
――ならば縁を頼りにするのもいいだろう、と考えながら、しっかりお肉はお腹の中へ。
その後彼と別れる迄、少しの間雑談に興じ、休憩の終わりと共に、今日の所はお開きで――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエインセルさんが去りました。
タン・フィール > 「ふふ…そう、だね、  ―――うぃんうぃん、てやつ。」

くすくす、と微笑みながら、多食ではない少年からすれば、押し付けすぎたかな…と思える量を分け与えたつもり。
それが、どんどんと目の前で消化されていくさまは、いっそ痛快なほど。
居酒屋の店主もほっこり微笑んで店内に消えた。

「あはは、そだね、うん……やっぱりエインセル、ちょっとおもしろいよ。」

自身の肉体にコンプレックスを懐きつつ、空腹にも悩みつつ、
それらを解消するよりは、どう克服して冒険にのぞむかを思案する姿勢に、
素直に興味を惹かれた様子で、薬師としてバックアップしたいと申し出た。



その後、談笑や会話を交わし、お互いの幸運を軽く祈りつつ別れた。

次に少女冒険者と少年薬師の運命が絡み交わる日は、
彼女の冒険を支える薬師として奮闘する日々か、

あるいは……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフラニエータさんが現れました。
フラニエータ > 平民地区のとある酒場にて。
カウンター席の端、壁際の席で女は干し棗を齧りつつ黒ビールを飲んでいた。
少々身形の良い客が奥のテーブル席に二人座っており、なにやら話をしている。時折見せる下卑た微笑が身形に似合わず怪しさ満載だ。
そんな客の歓談にそっと耳を傾けている女。金の匂いでも嗅ぎ取ったのだろうか。
しかし、女の耳に届くのはやれあの女がどうのとか、やれあの娼婦がどうのとか、所謂猥談の類のものばかり。
商談の商の字も、密談の密の字も出ないその会話に、女は小さく首を振る。

「(…女なんてどうでもいいのよ…金に繋がる話をしなさいな…)」


ぐい、とビールを飲み干す女。ドン、と置かれたグラス。
女の指はカウンターをこつこつと叩き、女の苛立ちを表していた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフレアさんが現れました。
フレア > じゃらり。
そんな女性を気持ちを他所に、硬貨の奏でる音が小さく響く。

「確かに。」

革袋を受け取った魔女姿の少女はにっこりと目の前の人に笑顔を見せた。
テーブル席の一つを陣取った少女の前にはヴェールで顔を隠したシックなドレス姿の女性。
お忍びの貴族、と言った風体。
テーブルの上に乗った水晶玉といい、占いでも行っていたとわかるだろう。

硬貨の詰まった革袋をしまい込めば、席を立つ女性を見送る。
また縁があれば、と笑う少女を置いてそそくさと女性は立ち去っていく。
後に残されたのは年若く見える魔女姿の少女のみ。
んふー、とひと仕事終えた息を吐けば、給仕にホットワインを注文する。
のんびりとした表情の下では、手籠めにしてもよかったかなぁ、と考えていたりするが…。
周囲の人間にはそれとはわからないだろう。

フラニエータ > 硬貨が擦れる音がした。

猥談を早々と見限りその音に移動していく女の聴覚。その主は声からして女性であろう。
ちらりとそちらを見れば、黒いローブを纏った女性とドレスを纏った女性。
テーブルの上の水晶球、代金であろう金、退店するドレスの女性。

「こんな所で占い?…ふぅん…」

上から下へ彼女を眺める女の視線。そしてまだ治らない女の機嫌。理由は簡単だった。
自分より若く、美しく、色気を帯びた彼女は周囲の視線を集めているのである。
粉でもかけてその視線を自分にも向けてやろう、
そう考えたのか女はカウンター席を立ち、彼女の元に歩み寄っていった。

「失礼?…私も占って欲しいのだけれど…」

彼女の席に給仕がホットワインを配膳した直後、女は彼女にそう声をかけた。

フレア > 待つ間、のんびりと暇そうに過ごす少女。
しかしその時間もわずか。
ワインを温めるだけなのだから当然と言えば当然。
それを給仕から受け取った直度、声をかけられて視線を向ける。
この女性はカウンターにいた人かしらと考えながら、如才なく笑顔を浮かべる。

「あら、素敵なお姉様。えぇ。占いましょう。おかけになって?」

魅惑的な大人の女性、と言った風貌。
興味の湧いた魔女の少女は、すいっと対面の椅子を伸ばした繊手で示す。
その白い指先からほんのりと、髪の毛の程の魔力の糸が女性に伸びる。
ふと気になり、視線を取られる程度の、『魅惑』の魔力。
どんな反応を示すだろうか、と。

フラニエータ > 彼女の視線、そして笑顔がが此方に向けられれば、女もありったけの淑女の微笑を返す。
その微笑の下では相変わらずの値踏み。
白い肌に黒い衣服、その対照が美しく、周囲の視線を奪うのも頷ける。

「…先ずは世辞から?中々商売熱心だこと…」

そんな彼女に見せつける様に彼女に促されるまま優雅に座る女。
テーブルに両肘を載せ、己の頬を両手で支えながら彼女を見据える。
視線が彼女をずっと捉えているのは、彼女の魔力の所為だろうか。

「そうね、何を占って貰おうかしら…――お勧めはある?フフ…」

己の頬を包む女の掌、その小指が女自らの唇を軽く撫で、小さな舌なめずりをして見せた。
粉をかける為の扇情的な女のいつもの手口。そのいつもの女と少々違う所があった。
その頬が微かに紅くなっているのである。