2019/02/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシシィさんが現れました。
シシィ > 街歩きの最中、広場は人が多いもの、ではあるのだが、噴水周りにできている人だかり。
好奇心、あるいは野次馬根性とそしられても仕方がないのだが、其方へと自然足が向く。

人垣の隙間から少しつま先立ちしつつ、何をそんなに遠巻きにしているのだろう、なんて伸びがって視線を向けた先。

「おや、まあ──」

思わず毀れた呟きは、僅かな笑いを含みつつ。
不機嫌そうな彼を、遠巻きに眺めている人垣から抜け出ると、一息。

「こんにちは、それ、大丈夫ですか?」

彼の緋色にべたりと張り付いている何か。
スライム状のそれが、魔物か、あるいはほかの何かかはわからないのだが、座り込んでいる彼に近づきながら、鞄の中から麻布を取り出して。

噴水傍にへたり込んでいるのに、まさかここで水浴びする気だったんだろうか、なんて胡乱な考えも過りつつ。

イグナス > ああ、それにしたってきもちがわるい。どうにかこうにか、これをはぎ取りたい。
一刻も早く風呂に入りたいが、遠い。
こう、ずんと重い身体に力が入りきらなかった、ああ、と呻くような溜息をまたひとつ。

「あン―――…?」

で、そんな機嫌悪い時だから。ちょっとばかし威圧するような声が出た。
だれだ、この機嫌が悪い時に話しかけてくるやつはって感じ。
でもそれがすぐ、知った顔だとわかれば瞬き、よう、と手を挙げて

「なんだ、シシィか。
 ………あ、いや、あンまり。なにせこう、気持ち悪ぃ。」

別に体に害があるもんじゃあないのだが。
先ほどの、まさしく不機嫌、といった体は一応取り消して、うんざりといった具合に言葉を吐いた。

シシィ > 不機嫌そうに響く声音は、彼の貌や出で立ちも相まって──ひどく余人を排するような雰囲気が強い。
それでも視線が向けられると知り合いであることは理解してくれたのか幾分気配が和らぐ。

口元に笑みを蟠らせたまま彼の言葉を聞いてなるほど、と頷く。
気持ちが悪いのは確かだろうな、と思う。
己はあまり戦いを主にした冒険はしないが、出来心で遺跡に足を踏み入れて失敗することもあるし。

「ほかに害は──、むしろ触っていもいいのか気になります、が」

言葉を交わしつつ、鞄から麻の布を取り出した。
柔らかなリネンのそれは手巾というには大きく。
有事の際には裂いて包帯代わりにも使う旅の備品の一つだが。
傍らの噴水の飛沫にくぐらせて湿らせると固く絞る。

全身べっとりとしている状態だから、せめて顔だけでも、なんて心遣いと共にその頬へと宛がおうとのばしながら。

「あらかじめ聞いておきますけれど、拭ったりしても大丈夫、ですよね…?」

拭ってべりっと皮まで向けると嫌だな、なんて表情で確認してから、問題なければ、先ずは顔あたりから拭うだろう。

イグナス > たぶん、きっと害はないはず。調べたわけじゃなあいが。
少なくとも己の肌はなんか変なことになってないだろうかと見遣るが。
特に問題はなさそう、衣服が溶けたりとかもないようだ。

「あー………、大丈夫、じゃあないか。」

たぶん、きっとって不安な言葉を並べつつ。
どうやら彼女が己を拭ってくれるみたいだ、申し訳ないも、ありがたい。
全部は無理にしても、顔だけでも拭ってくれりゃちょっとはマシになるだろう、が。

「――――。」

で感謝を向けてはいたんだけど、改めて聞かれるそれに、じっと相手を見つめる。
ちょんと立ち上がった意地悪、悪戯心――で済むようなものかわからないが。

「試してみりゃいい。」

なんて声といっしょに腕を伸ばして――…相手の身体を抱きすくめる。
そのスライムやらでべっとべとな身体にぐいーっと押し付けるように。
あとがどうなろうが、知ったこっちゃない、いつも通りの行動だった。

シシィ > 「……その返事、すごく不安なんですが」

大丈夫、というならば大丈夫、なのだろうが。
肌が溶けるような強酸ならば、彼の衣服もとうにぼろぼろなのは間違いはない。
一瞬の躊躇い、けれど、それが良くなかったのか。

向けられる視線、その彼の眼差しにいつもの子供のような悪戯心が閃いているのに気が付くのが遅れた。

触れようと伸ばした手を掴まれる。
当然膂力ではかないっこないのだが───

「は?」

ずる、と引き寄せられる。
べちゃ、と粘った半固形の粘液がとろりと肌に触れて、衣服越しにじんわりとその冷たさのようなものがつたわる。

硬直の後に小さく悲鳴が上がったのは当然なのだが。
遠巻きにしている人垣が助けてくれるわけもない

「ちょ、なにやってるんですか!?わ、ぷ、…ッ」

体に押し込まれるように抱きすくめられたのだから思い切り顔から突っ込んで、こう、悲しいかな彼我の体格差にスライムに取り込まれるのはかくや、という形。
安全なはずの街中で、こんなトラップにはまると誰が予想できただろう。

じたばたもがく姿は、普段の落ち着きのない姿でもあるのだが、今はそんなことに構ってられなくて。

べたべた、ぬるりと、肌に伝わる感触が非常に気持ち悪かった。

「うぁ、ぁ、ぁ、なにこれ、きもちわる、いん、です、が…」

幾分低くなった声音で、恨み言を紡ぎ。

イグナス > 不安どころか、もっとこう、そういうレベルのことではなかった。
腕を伸ばして、掴んで、引き寄せる。
うん、驚いている驚いている、不意打ちは完全成功だ。

「ふはは、なにってほらあれだ、お前も味わえ、それがいい、うん。」

つまり意味なんて何一つなかった。
ただただ意地悪に楽しんで、相手をぬるぬるのでろんでろんにしたかったわけだ。
この大男の上にたっぷり載っているわけだから、落ちていく量もたっぷり。
中々に扇情的な雰囲気が出るくらいに、上からどばっとスライムがかかっていく。
――それ以上に、きもちわるい、の感覚の方が強いかもしれないが。

「いやァ、しかしどうするかこれ。風呂ォ、でも入るしかねェかなあ。」

そしてもうお仲間となった(お仲間にした)彼女に対して、
だいぶんのんびりと声を掛けるのだった。

シシィ > 先ほどまでの不機嫌そうな声音はどこへ行ったのかと問いただしたい。非常に。
扱く機嫌のよさそうな声音が、トロ、と己を濡らす粘膜越しに聞こえてくるのだ。

拭う為の麻布にも当然べったりと粘液が付着して、使い物にはならない。
てろ、と粘液が肌を伝うのは、そこだけ見れば扇情的にも映るのかもしれないが、場所が場所で、そんな雰囲気にはなりようがないだろう。
第一、悪戯が成功した顔している相手に、こう、一矢報いたい感情が沸き上がりつつもある。
むにーと、相手の頬を抓りつつ。

「駄目になった服とお風呂代はそちらに請求しますからねー?」

何も濡れるのは肌だけではない。じゅくじゅくと、粘液がしみ込んだ衣類はもうだめだろう。
少なくとも洗うか何かしなければ使い物にはならなくて。

だが、なってしまったことはなってしまったことだ。がく、と肩を落としつつ、彼の言葉に緩く頷いた。

「お湯や水、で流れたらいいんですけどね、これ……」

一抹の不安。油などの溶剤で流すとしたら手間もかかりそうだし、宿にも嫌がられそうだなあ、なんて考えつつ。
のんびりとした声に、頬っぺたを抓る指にキリリと力を込める。
とはいえ、お互いぬるぬるで、指も滑るから、対して痛撃が与えられないのは、少し悔しい。

イグナス > むにーって頬をつねられようと、ご機嫌。
ふへへっへ、とにまにま笑みだ。さっきまでの不機嫌は本当、どこへやら。
――傍から見ればこう、なんだかいちゃついているようにも見えるか。
そういうわけで野次馬さんはどっかへとさっさと退散していきつつだ。

「おうおう、構わん構わん。新しい服を買ってやろう。」

なんて気前良さそうに笑いながらだ。
さて、それはそれとして――そういうもので落ちるだろうか、このべとべと。
んん、と首を傾げつつも。

「わからん。が、まあ、服で軽く拭える程度だし、いってみりゃあよかろう。
 …ほら、まずは風呂だ、風呂、…うお。」

歩き出そうとして軽く滑ったりしつつ。
彼女を引き連れて、お風呂にでも行こう、と。
…それこそ変な化学反応やら起きなければいいのだが。ともあれ、お風呂場でこれを洗い流そうと誘い。

シシィ > 「……嬉しそうですねぇ…」

翻って女のほうは不機嫌だ。
犬も食わないやり取りに、人垣もまばらに。というより他所でやれ、と言わんばかりの空気感にいたたまれなくなってきた。
ぐう、と喉の奥で唸りながら、指を離して。

気前のいい言葉には高いの一式選ぼうかな、なんて誓いを立てつつ。
彼の言葉にそうですね、と頷いた。人はそれを諦観と呼ぶのかもしれないが。
それ程不機嫌も怒りも持続しない。
素直に立ち上がって、…滑る相手に引きずられて一緒に滑るのは体格差も鑑みれば当然の話。

ぽたぽた、と個性的な足跡を残しながら、先ずは風呂を求める言葉に素直に従って、歩き出す。
幸い入浴の習慣の根付いているこの国は、どんな宿でも風呂があるし、公衆浴場などに行くのもありかも知れないな、と考えながら──。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイグナスさんが去りました。