2019/01/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリーザさんが現れました。
リーザ > 「んー……ないなー」

日の暮れた時間帯の冒険者ギルド。
依頼者や冒険者、出入りの業者などが引き上げたギルドの一角、依頼の張り出される掲示板の前で溜息と共に視線を巡らせ。
普段から引き受ける短距離の護衛や薬草の採取などを探すのだが遅い時間なだけに仕事はほとんど残っていなく。

「出来たら明日のをって思ったんだけど……」

魔物退治や実験の助手というものはあるが前者は一人では厳しく、後者は胡散臭い。
そんな危ない仕事を受けるのなら明日に改め来ればいいのだが、それはそれと少しでも実入りのいい残り仕事を探して

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 昼間の賑わいも熱気も、引き並みの様に失われた冒険者ギルド。
その扉を開き、硬質な革靴の足音と共に依頼人用のカウンターへと歩みを進めていく。

恭しく頭を下げる受付嬢と二言三言会話した後、そのまま受付嬢と共に掲示板の前へと歩みを進める。

「すまないが、少し場所を空けて貰えるかな。彼女に依頼を貼りだして欲しくてね」

そこで、掲示板の前で視線を巡らせる少女に気が付けば、何処か高慢さを感じさせる様な口調で声をかける。
尤も、少女が身を動かすよりも先に、慣れた手付きで受付嬢は依頼を貼り出しているだろうが。

リーザ > 慣れない仕事で一度大変な目にあっただけに仕事選びは慎重に。
今度は絶対に自分でも問題仕事をと吟味していると聞こえる飛田の開く音。
足音で冒険者か依頼人か、その区別が出来るほど経験もなく、気を配る余裕もなく。
そのまま仕事を探していると突然に声を掛けられ肩が跳ね。

「え?あ、ごめん。邪魔だった?」

慌ててその場を退くように動いたせいでスカートが派手に動くが気が付かず。
そんな素人じみた動きに受付嬢が苦笑を見せた気がしたが、それよりも貼られていく仕事に目を向けてしまうほどに仕事に飢えていて。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「いや、杞憂だった様だ。邪魔をしてすまなかったな」

驚いた様に肩を跳ね上げる少女の姿に、受付嬢と同じ様に小さく苦笑いを零して首を振る。
大きく動く白いスカートに、今時の冒険者というのは随分と軽装なのだな、と場違いな事を思っていたり。

「……冒険者の様だから一応言っておくが、今貼り出した依頼は貴様には余り向いていないと思うがね。別に、貴様の実力を知っている訳では無いが」

貼り出された依頼は、九龍山脈の奥地にある鉱山からダイラスまで鉱石を運ぶ輸送隊を護衛するというもの。
報酬は破格だが、道中に魔物、山賊、山越え谷越え、野宿数日という難儀なものだろう。

此方が声をかけただけで驚いた様子の少女に対して、流石にこの依頼は荷が重いのではないかと、高慢ではあるが少し忠告の交じった様な声色で言葉をかける。

リーザ > 「邪魔な場所にいたこっちが悪いんだし。君は悪くないよ」

自分が悪いからと笑みを浮かべて首を左右に振り。
とりあえず上半身さえ守ってれば大丈夫と下半身はあまり考慮をしてない素人な装備で。

「今の仕事……コレ、私には無理だよ。だって……こういうのって実力も必要だし、ダイラス行きだから」

何かを運ぶ、そう言う輸送隊の護衛は最低でも中堅クラスが受ける仕事。
自分のように実戦経験もない冒険者が混じっても邪魔なだけ、運が悪ければ魔物に食われるか山賊の玩具にされてしまう。
そのぐらいの分別はあり、内容を見れば自分の実力では無理だとはっきり返し。

そこでようやく声の主をはっきりと見据え、上質な服装に貴族なのかと眺めてしまう。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「ふむ。己の非を認めるのは良い事だ。冒険者とは粗野な者の集まりかと思っていたが、多少は認識を改めねばならんな」

鷹揚に頷きながら、クスリと小さく笑みを零す。
別に彼女に非があるわけでは無いのだが、王族としての己にとっては平民が場所を空けるのは当然の事。
ただ、素直に場所を空け、そこにいた事を謝罪する少女の姿を感心した様に見つめていた。

「自分の実力を理解している、というのも良い事だ。不相応な依頼を受けて、依頼人や仲間に迷惑をかけるならまだしも、最終的に危険に陥るのは自分なのだからな」

少女の言葉からして、駆け出しの冒険者か何かなのだろうか。
自分と殆ど背丈の変わらない少女の姿を始めてまじまじと視界に捉え、僅かに首を傾げながら一言。

「…装備を買う金を稼ぎにきたのか?何というか、随分と露出度の高い装備に見えるが」

上半身は兎も角、下半身は下手をすれば街娘の様な服装の少女。
その服装を一通り眺めた後、少女の蒼い瞳に視線を合わせて小さく首を傾げた。

リーザ > 「だって人と揉めてもいい事なんてないし。今のは私が悪かったから謝るよ。そう言う扱いは傷つくな」

粗野な者と言われれば違うというように少しだけ怒り。
貴族とは見た目で解りはするが、どういう相手はか知らずに言葉使いは普段のまま。

「だって私の受ける仕事は害獣退治か薬草の採取だし…こんな仕事は罰場違いなのはよくわかってるから」

駆け出しには護衛は荷が重い、それで先日も失敗したところ。
視線を感じると何か変なのかなと、自分の姿を見下ろして。

「え?普通に生活費と貯金だよ。装備は今で足りてるし……露出?」

露出度が高いと言われて首を傾げてしまう。
本当に高価な魔法の品では鎧?と思えるようなものまであり、そう言うのに比べると普通だと思う。
そんな目で思わず見つめ返してしまって。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…む、そうだな。面と向かって言う事ではあるまいな。すまない、謝罪しよう」

僅かに怒気を見せる少女に、あっさりと己の非を認めて謝罪の言葉を告げる。偉そうな態度のままなので、謝っている様には見えないが。

「実力を弁えるのは良い事だが、余り自らを卑下するものでもあるまい。実力をつければ、いずれ難易度の高い依頼も受けられるだろうよ」

まるで教師の様な口調で淡々と言葉を返す。
傍から見れば、同年代の少年少女なので些かちぐはぐな感は否めないのだが。
駆け出しの冒険者を応援する為にも、適当な依頼でも出してやるかと考えていた矢先、少女から返された言葉に意外そうな表情を浮かべる。

「…そうか。いや、駆け出しの様だし、金が必要となれば装備品の類かと思ってな。随分と真剣に掲示板を眺めていたが、そこまで金に困っているのか?」

やはり、今時の冒険者はこんなものなのか、と誤解したまま少女の言葉に納得した様に頷きつつ――

「見栄えは良いのだから、生活費の為なら冒険者ではなくカフェテリアなり酒場なりで働けばよかろうに」

と、少女の整った顔立ちを眺めた後、不思議そうに首を傾げてみせた。
冒険者のロマン、というのは今一理解出来ていないらしい。

リーザ > 「そうだよ。本人を前にいうと気分を悪くするよ」

本当に気をつけてというように指を突きつけるが、謝罪をされると直ぐに笑みを見せる。
口調や態度はまったく気にしてないという様子。

「でも過剰評価よりはよくない?実力はまだこれからだし…そう言うのはいずれかな」

なんだか年上みたいに話す変な子。
同じぐらいの年に見えるのにとおかしな違和感をつい覚えてしまう。
だがそれについては何も言わず、これから実力をつけるというように言い切り。

「駆け出しだよ。だから自分で出来る事をやって経験を積んでいかないといけないから。お金はやっぱり生きるのに必要だから。
直ぐに困るって訳じゃないけど、稼げるときに稼がないとって思って」

自分の受けるような仕事は同じ駆け出しには受けやすい依頼。
だからこそ受けれるときに受けて稼いでおきたいと答えて。

「見栄え?私にそんなこと言っても何も出ないよ?
それにそう言う店って接客が大変だっていうし、私に向かないと思う」

無頓着な自分の容姿を褒められても首をかしげるだけ。
それよりも頑張りたい仕事で頑張ると、今の生き方を楽しんでいる様子を見せる。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「そうだな。市井の者と語らう時は留意する様にしよう。……とはいえ、人を指差すのは如何なものかと思うぞ?」

笑みを浮かべる彼女に、少し呆れた様な含み笑いを零す。
王族である己に対する少女の言葉遣いや態度には特に言及しないが、指を突きつけられれば含み笑いと共に言葉を投げかけて。

「まあ、向上心があるのは良い事だ。王国の治安と平和は、貴様達の様な冒険者に頼る事も多い。大いに奮闘すると良い。勿論、見合った報酬を受け取りながらな」

稼いでおきたい、と告げる少女に鷹揚に頷いてみせる。
そして、そんな彼女が少しだけ羨ましくも思う。こんな邪気も無く自分の目標の為に努力するということが、果たして自分にあっただろうかと。

「別に貴様から何かを出そう等とは思っておらぬ。……だが、そうさな。一つ貴様に依頼を出そう。貴様の名を告げる事を許そう。それが、依頼だ」

首を傾げる少女に返すのは、クスクスと零した苦笑い。
そして、ふと思いついた様に少女の名を尋ねてみる。特段意味は無いが、駆け出しの冒険者を応援する為の戯れとして、再度首を傾げてみせるだろう。

リーザ > 「その言い方だから貴族だよね?あ、ごめん!ついやっちゃった」

呆れたような言葉にはっと気が付き、慌てて頭を下げて謝罪を口にして。
やっぱり貴族だったと確認はできたがやはり態度は改めない。

「冒険者になったからにはやっぱり強くなりたいし。私達より衛兵の仕事だと思うよ?でも必要なら出来る仕事は受けていくよ」

それでお金が稼げるならと、出来る仕事なら進んで受けていくと頷き。
今は兎も角前へ前へ、そしてせめて中堅の仲間入りをすれば家族には誇れると自然と笑みを浮かべて。

「思われてたら本当に困るんだよ。だって何も持ってないし……。依頼?どんなの??さっきのみたいな護衛は無理だよ……って、名前?リーザだけど」

どんな依頼かと思えば名前を名乗れ。
変な依頼だなと思いはするが隠しても直ぐに判りそう、そう思い素直に口にする。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「別に構わないが、他の者にはしない方が賢明だろうな。…ん?ああ、一応な。とはいえ、冒険者をしていれば貴族等珍しいものでもあるまい?」

頭を下げる少女に視線を向けながら、貴族であることを認めて頷く。
とはいえ、冒険者なら貴族からの依頼も受けるだろうと、少女の態度については今のところ口を出す事は無い。

「国軍では賄い切れぬ事もある。ある程度柔軟な運用が可能な冒険者の方が……と、これ以上は蛇足だな。まあ、冒険者を頼りにする事も多いとだけ覚えておいて欲しい」

小難しい話をしたがるのは己の悪い癖だろうか。
語り掛けた言葉を途中で打ち切って、笑みを見せる少女に穏やかに頷いてみせた。

「リーザ…リーザか。確かに、依頼の条件は為された。足りるかどうかは分からぬが、報酬を受け取るが良い」

口の中で転がす様に少女の名を呟いた後、懐から小さな革袋を取り出し中から金貨を一枚摘まみ上げて少女に差し出す。
幾分大きなその金貨は、市場で使えば1000ゴルド相当の価値を持つだろう。

リーザ > 「しないよ。今のはついだから……。珍しいよ、私が受けた仕事なんて近くの村か診療所ぐらいだよ」

貴族の仕事はもっと上の人が受ける依頼。
自分のような駆け出しには縁が無いと首を激しく振って珍しいと。

「国軍……え、えっと…私、そんなに学がないから。難しい話をされても判んない……と、兎も角冒険者で出来る事はスルでいいよね?」

小難しい話になりそうになったのが止まるとよかったと安堵の息を吐き。
難しい話は分からないと正直に話して手を振って。

「変な依頼だと思うけど依頼は依頼だし……え、えええ!!!
こ、こんなにいいの?」

そんなに珍しい名前なのかと名前を呟く姿を見つめ。
そしれ差し出された金貨、その価値ぐらいは直ぐに判り、本当にいいのかと慌ててしまう。