2018/11/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 風が冷たい。日に日に冬めいてきて、夜はすっかり寒くなった。あたりは暗く、こんな時間なら家でゆっくりしている方があたたかく過ごせていいはず。
だけどなんとなく散歩に出て、気がつけば商店街までやってきていた。
だんだん夜も更けていくのに、今から馬車で遠出をする人もいる様子。停留所に集まる人たちを横目に見ながら考え事をする。
あの人たちはどこまで行くんだろう。国境をこえたりするんだろうか。想像すると羨ましくなって、溜息が落ちる。
「……あ。はい、えと……いただきます」
ぼーっと立っていたら後ろから声をかけられた。ベンチの近くで店を開いている屋台の主人に呼ばれて振り返る。立ち飲みのお酒とつまみを提供しているらしくて、三人ほどの集団が席に腰かけて談笑していた。
なんとなく絡まれないように距離を取りながら屋台に近づいてメニューを確認する。お酒以外に、熱いお茶も出してくれるらしい。ちょうど身体が冷えてきていたから、その誘惑には逆らえない。指を一本立ててお茶を注文し、いれてもらうのを待つ。
■ミンティ > しばらくすると木のカップを渡された。眼鏡を曇らせる湯気から首を反らして受け取って会釈をする。今日も冷えるから身体が温まる薬草を刻んで混ぜた、サービスだと店主から笑顔で言われて、ぎこちなく笑い返す。
ふうっと息をふきかけて湯気をよけながら口をつけてみると、たしかに薬草のような苦味があって眉を寄せる。だけど飲めないほどでもないし、これはこれで癖になる味だと思う。
「……ふ」
まだ湯気が濃いお茶を飲むと、喉がかーっと熱を持つ。極端な猫舌だったりはしないけれど、もうすこし冷めていた方が飲みやすい。何度も息を吹きこみながら、視線はまた馬車の停留所に向けられていた。
今から冒険者になんてなれないし、なるための能力もない。だけど世界を旅して歩ける自由さには憧れてしまう。自分も、たまには遠くへ行ってみたい。そんな風に思う。
■ミンティ > 座ってゆっくり飲もう。そう考えて腰かけてみた石のベンチはすっかり冷たくなっていて、落ち着けたおしりをすこし浮かせてしまう。とはいえ屋台の椅子に座っている人たちの輪に混ざるのも気がひけて、そのうち温まるだろうと我慢して座りなおす。
停留所に集まる人の数はすこしずつ減ってきていた。あと二台も出発したら無人になるだろう。
夜の街道は危なくないのか。揺れる馬車の中でも眠れるんだろうか。自分には縁遠い旅路を思い浮かべながら、しばらくお茶を啜っていた。その姿も馬車待ちの人たちがいなくなるころには、どこかへ消えていた事だろう…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。