2018/09/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラファルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に影時さんが現れました。
ラファル > 夏が終わった、とは言っても直ぐに涼しくなるものではなくて、未だに残暑なるものが残っているざんしょ。
 街の中、人の喧騒は沢山あって、今日は特に訓練もない、それよりも座学でもっと理解を深めるように言われていたから。
 本の内容を何度も読み直し、色々な物を覚えて応用なども考える。
 それに疲れた(飽きた)ので、休憩がてらに少女は街の中を歩くことにする。
 普段は走っているか、空を飛んでいるか、どこかに潜んで遊んでいたりするので、実は街中をブラブラするのは珍しい。
 パンの焼けるいい匂い、物を運んでいる人、冒険者、お貴族様、浮浪者。
 様々な喧騒を眺め、パンヤの前にふらりと行ったり、八百屋の前で、果物を眺めたり。
 ちょっと気ままに歩いている少女。

「かぼちゃも、使えそうだなぁ。」

 何にというのは野暮なのかもしれないが、ポソ、とつぶやいて。
 視線を外し、城の方に行こうか、外の門の方に行こうか、少しだけ迷ってみせる

影時 > 此方の暦の上では――夏が終わったという頃合いなのだろう。

しかし、それでも暑さは残る。暑さも寒さも過ぎれば人を殺す。身体に負荷をかける。
訓練もまた然り。詰め込む講義も身体に叩き込む鍛錬も強弱はあれ、何がしかの負荷をかけることに大差はない。
昨今の情勢を鑑みるに、何やら気になる騒動が起こっていると聞く。
依頼された案件に最終的に推移する可能性も皆無ではないが、一旦はこの隙に休息日を設けることにする。

「……なに? 痛み止めの奴、売れちまったか。そいつは困ったなァ。何故か知らねェかな?」

街中の市場に幾つか散見する冒険者向けの商店、雑貨屋。
そういった店をいくつか当たり、不足していた物資の在庫を確かめ、買い足す姿がある。
常の仕事着である忍装束ではなく、髭を剃って身なりを整え、清潔な灰色のローブを羽織った装いで聞き込み、その都度品を買う。
いわば、これは情報料の代わりだ。
如何に小さなこととはいえ、何かをきっかけとすれば言いたくないことではない限り、口は軽くなろう。
携える背負い袋にものを詰め込み、外に出る。そんな中で。

「――ン?」

見知った影が横目に見えた気がした。間違えようもない。故に気配を隠すことなく、歩み寄ってみる事にしよう。

ラファル > 師弟とはよく一緒に行動するからなのかも知れないが、行動パターンも近くなってくる。
 同じ職でもあるし、結局活動範囲は似てくるものなのだろう。
 聞いたことのある声が、耳に入る。それは、次の瞬間自分と同じように何かに気がついた様子。
 視線を向けてみると、確かにこちらに近づいてくる師の姿がある。

「―――あ!おっちゃん!」

 やー!と右手を上げて挨拶。
 少し離れてると人の多い場所では会話も困難になろうから、少女の方からも、とてて、と近づいていくことにする。
 視線をあげてみると、いつもよりも綺麗な顔のおっちゃんがいた。
 ああ、ヒゲがないや、抜けたのかな、とかそんな失礼な思考。
 そして、視線は次に彼の後ろ、冒険者向けの雑貨屋があった。
 ここから出てきたのか、年線を彼の顔に戻そう。

影時 > 情報収集を行うのであれば、まずは人の中だ。人世の些細なことであれば大概転がっている。
騎士には、貴族にはといったコミュニティはある。
しかし、それ等を支えるより下の階層に目を向けてゆけば、情報はまるで高きから低きに遷ろう水の如くある。
秘された情報が転がり落ちないのは当然である。
この場合拾いたい情報は冒険者や傭兵向けの情勢に関わるものであれば、それ等がよく係わりそうな処に目を向ければよい。

「よっ。奇遇だなァ。散歩か?」

いよう、と。左手を挙げて返しつつ、歩み寄ってくる姿を見遣れば己もいったん足を止めて迎えよう。
山中に居る時など面倒臭がることもあるが、身なりは適宜整えるようにしている。
内面よりも外面にどうしても、人間向いてしまうのだ。然るべき処に出入りすることもある際は一層に注意を払う。

背後の方を見る視線の動きを追えば、内面で嗚呼、と笑う。よく己の教えを守っていると。

ラファル > 「うん、散歩ー。」

 家の手伝いは、と聞かれると視線を逸らす確率は100%
 とはいえ、自宅の方はお手伝いさんたちが綺麗に完璧にしてくれるし。
 商売の方は……時折お手伝いはしている、気が向いた時に。
 それに、基本は母は手伝いを頼むことはない、お店の方も店員が居るので、むしろある一点のみだけである。
 暇なときはとことん暇なのが娘なのである、長女は、自分で店を構えたり忙しいらしい。
 次女は、次女で何やら色々と勉強しているらしい自分で。

 自分は今日はお休みと言い渡されたので休んでいる。
 言い渡した人が目の前にいるのだけど。

「おっちゃん……。最近の事件のこと聞いてたの?」

 彼の出てきた雑貨屋、売っているものは少女の家でも売っている。
 値段が目的であるなら、少女の家の方が安いだろう。
 しかし、少女の家は情報は集まりにくい、こういう専門店のような情報交換のボードとかがないからである。
 純粋な買い物の場所なのである、だからこそ、目的はそっちなのだろう、と問いかける。

影時 > 「成る程成る程。良いことだ。悪いことじゃぁない。偶には街に出ないと、色々ズレちまうからなァ」

家の中に居て、だらだら転がる図が容易に頭の中で思い浮かぶが、暇を持て余すならば外に出る方が有益だろう。
休日をどんな風に使えとは言い渡していない。故に、どんな風に過ごすのも自由だ。
己がどうしろと指示していなののだから、当然のことである。
だから、街に出るのもアリだ。最近何かと山中に籠ることもあれば、人世に関わるものとして世間ずれは避けたい。

「ほゥ。お前さんも聞き及んでたか。
 ――まぁな。必要によっては直接見に行かなきゃならんだろう。その下調べの前段階よ」

立ち話も何だから、と。促して歩き出すことにしよう。
ぶらぶらと歩きながら、掛かる問いに首を縦に振る。
使用頻度が多い品であれば、懇意にしているかの商会に世話になる方が安く、そして手っ取り早い。
わざわざそうしないのは、細々とした草の根程度の情報を軽んじられないからだ。

正式な依頼等であれば、冒険者ギルドを除けばいい。
しかし、依頼として表沙汰にならない、わざわざ掲出しない類のものもあるかもしれない。
そういった情報の欠片を拾うには、意識して聞きい込む必要はどうしても生じる。

ラファル > 「むしろ、家にいることのほうが少ないよ?」

 街にいる訳ではないけれど、基本師匠に教えをもらう前は、月に一度家に戻ればいいとかそんなレベルで家にいなかった。
 野生児と同じように外でウロウロブラブラしていた。飛んだり跳ねたり狩ったり。
 師匠に出会ったのは、そんな時だったりもするのだ、基本は家でごろごろではなく、山野でぶらぶらなのである。

「あれだけ大毎になっているとねー。ほら、商人も一部関わりがあるじゃん?
 ボクのおじーちゃんは、ダイラスで本店経営してるし、船とかも使うし。
 おじーちゃんも、おかーさんも警戒してるよ。」

 歩き始める師匠の後ろ、さながら鳥のヒナのようにちょこちょこ付いていく少女。
 今は、大きな事件として騒がしているし、色々な人が走り回っている。
 だからこそ、集まる情報も多いし、すぐに耳に入るよと笑ってみせる。

「見に行くっていうのは、今一杯出てきてるっていう、遺跡とか、自然地帯のほう?

 うーん……美味しくなさそうなんだよなぁ……。
 あ、でも。」


 思い出すのは、先日の会話。
 何がいつ必要になるのかはわからないが、見ておく位は、してもいいのかもしれない。
 いま発掘とか発見とか出てきているのは、武器や防具、と見ていいようなもの、なのだろうし。

影時 > 「ははッ、確かに。その方がお前さんらしいなァ。

 だろうな。こっちの騎士団等も、何やら細かい動きがあるみてェだぞ。
 そうでなくとも、色々と神経を使うだろう。人を遣って物を運び、転がすってなら猶更だろうよ」

確かに、と。初めて会った時の事を思い出す。そんな状況が似合う邂逅であっただろう。
己の後ろをついてくる姿を肩越しに見遣り、聞こえる言葉を内心で吟味して頷こう。
そう、当事者となるのは何も傭兵や冒険者ばかりではない。
物流を司る者たちの方が、もっと敏感になるかもしれない案件である。

危険とされる地域を避けることで生じる日程変更の手間。運賃の増加減の計算。それにまつわる損益の計上――等々。
或いは大手とも云うべき、騎士団やこの機は逃さないと動き出す傭兵団等、食糧を買い付ける動きも出るだろう。
少なからず保存食として備蓄するコトはあっても、劣化は否めない。人を生かすのは金ばかりではない。水と食料が肝要だ。

「そういうこった。だが、喰えるような奴……かねェ、あれ。
 聞いた話によると壊したら、チリになったやら爆ぜたとか聞くぞ? と、喰う喰わないで丁度良い」

遺跡の類であれば、一緒に古代の武器防具を狙いに行ってもいいかもしれない。
遺跡で有れば、獲物の行動範囲を把握したうえでより戦いやすくできることもできる、かもしれない。

食べる前提らしい様に呆れたように目を遣り、ついでに思い出したとばかりに足を向ける先を変えよう。
少しばかり、舌を肥えることをしたい。聞き込みのついでに小耳に挟んだ甘いものを取り扱う店に、行き先を向ける。

ラファル > 「とりあえず、今はたくさん情報集めて、どうするか検討してるのかもしれないね。
 騎士団の動きも懸念してるみたいだし。」

 むしろ、権力があるわけではないので、言いがかりで色々と奪われたりとかありそうで怖い。
 そういうのが、今のところ一番警戒しているのだ、冤罪とかそういったものがこの国は一番怖い。
 それに、荷物を運んだりするものに関しては、こちらは問題がない、ドラゴンでの空輸というのもあるのだ。
 安全な道などのコスト増は、そのまま商品の値段に反映はできるので、重要視はしても、慌てるほどのものではないと考える。

「鉄とかも食べられるよ?でも……魔導機械は凭れそうな気もするし。
 爆発とかちりかー。
 食べられないのは残念。」

 少女はその特性ゆえに石だのなんだのでさえ、鉄でさえ食べられる。
 現物があればオリハルコンであろうとも、食べることができよう。
 ただ、魔導機械という得体の知れなさに食べる気があまりわかないというのが正直なところ。
 それでも、見聞は必要だと考えていたところに。

「……あれ?
 おっちゃん、こっちには、冒険者集まるところ、ないよね?」

 急に移動する方向が変わる。
 そっちには冒険者の店とかは少なかった気がして、どこに行くの?と興味を込めて問いかける。

影時 > 「だろうな。冒険者として考えるにしても、騎士団みてぇな大手と競合するのは御免だ」

それに、今は飛べないらしいが本来は飛べるような見た目であるという未確認情報もある。
このような話題もかの商会であれば、掴んでいるだろう。
己も仮に飛ぼうとすれば、幾つかの準備と工夫が必要となってしまう。地に叩き落す術と地から撃ち抜く技がいずれ、必要かもしれない。
いずれにしろ、何らかの方策等を持たない一般的な商家等では、苦慮するべき点は多いだろう。

「前にンなコト言ってたなァ。
 止めとけ止めとけ。特に得体のしれん奴は、お腹に入れん方がいいぞ。どうせ喰うならばもっと良い奴があるだろう?」

希少な魔法金属の類でもイケてしまうのかもしれない。
かの跳梁する何かがその手の材質でできている可能性はあるが、師匠心としては流石にその悪食は止めておきたい。
力に、身になるかどうかも伝え聞く噂を聞くと、怪しいとも思ってしまう。

「おゥよ。最近味がいまいちな奴が多かったろう? 
 だから、ラファルよ。お前さんへのごほうびも兼ねて少しでも舌を肥やそうと思ってなァ」

言いつつ、進んでいれば見えてくるものがある。
ここは裏路地ではなく、大通りに近い場所にそれはある。果汁や牛乳等をかき混ぜながら凍らせた氷菓を扱う店だ。
店先での立ち食いもできるが、奥のテーブル席で器に盛ったものを落ち着いて食せるスペースもある。
この時間で有れば、まだまだ人は少ない。足を運ぶならば今だろう。

ラファル > 「騎士団は今必死だからねー。何かあればすぐに飛んできそうでよく調べないで持って行きそうだし」

 勘弁して欲しいんだけどねーと、軽く肩をすくめてみせる。
 機械人形の飛行に関して、商会としては沈黙を守ることにするのだ。ヘタに知っていると、関与を疑われることも出てきそうだし。
 とりあえず、ありとあらゆる防御を考えておかないといけなさそうだ。

「うん、もっと、いいやつ??」

 魔法金属とはいえ、元は鉱石だし金属だ、なれば、ドラゴンの意に消化できないわけもないだろう。
 そういう能力であるし、おそらく行けてしまうのかもしれない。
 止める言葉よりも、もっといいもの、という言葉に興味を惹かれ、少女は視線を向ける。

「あれはあれで、ボク好きだよ?
 でも、ごほうびもおいしいものもうれしいな!」

 わーい、少女は師匠の後ろで嬉しそうにぴょんこぴょんこ飛び跳ねて喜びを表現しよう。
 そして、みえてくる店。
 東洋けいのお店だな、と思いながら、カウンターに近づく。
 シャリシャリとした細かく削られていく氷を見ながら、何これ何これ?と目を輝かせ。
 シロップのツボをくんくん匂いを嗅いでみたり

影時 > 「故にこそ、よ。故に俺も俺で知らなきゃァならん。伝聞を軽視する訳じゃないが、確度が欲しい」

だからこそ、今の時点での情報収集が必要だと。そう判断する。
単に新たな訓練相手と断じられる類ではあるまい。知り得る手管、手段で対処できる否かの判別が必要だ。
最悪の事態として、彼女たちのようなドラゴンクラスの火力、膂力で押しつぶす必要だって考えられるのだから。

「おうとも。――仕事や修行でまずいメシに慣れちまったら、ちゃんとしたメシを喰わなきゃ釣り合わん。
 生憎食い放題とは言わんが、一つか二つならばご馳走してやろうじゃねェか」

種族故の悪食というのは、あくまで人間として考えれば、の価値基準だ。
人間には喰えないものが向こうにとっては大好物であるといった事例は、種族が違えば幾らでも上がり得るものだ。
しかし、ヒトと同じ姿に化身していれば、舌の基準もまたおのずとヒトのそれに近くなると。そう考える。
何故ならば人間社会で生きて手に入る食料は、まずもって人間向きなのだから。

「おう、遣っているな。
 わざわざ名水を汲んで運んだうえで凍らせ、削った奴に蜜をかける――俺のところで云う、かき氷、削り氷という奴だ。
 で、あいすくりん、だったか? こういうのもあるのか。好きなのを頼め」

店先に掲げられた品書きを確かめる。此方でいうシェンヤン風のものもあれば、王国風にしたアイスクリームもある。
器にどっちを盛って食べられるというのもあるそうだ。
では、と少し考え、己が頼むのは名水の削り氷に挽いた緑茶を溶かしたシロップをかけ、甘く煮た黒豆を添えたものだ。
相応に値こそ張るが、たくさん喰うよりも味わいを楽しむことの方が今は性に合う。

ラファル > 「うん、しばらくは騎士団とか、遺跡の機械を気にしていたほうがいいかもね。」

 騎士団の中枢、王城の方を少女は見やることにする。
 そこになら、もっと情報があるのかもしれないけれど、さてどうしたものであろう。
 火力、姉などの火力で押せば、あとは自分のブレスか。それが通用するかどうかも知らなければならないとも思う。
 やはり、見に行く必要を感じ始める少女。

「わーい!ごちそうやったー!
 でも、ちゃんとした飯はたべてる。よ?」

 ええ、これでも豪商のお嬢様です、おうちに戻れば一級品のちゃんとしたご馳走食べてます。
 好き嫌いがないので、そう見えてませんが舌はそれなりに超えているはずです。
 悪食なのは、特殊能力なのです。半分人間ですし、人間の食料も全然行けます。

「じゃあ、このかきごーり!」

 あまり見たことのないもの、アイスクリンは食べたことある。
 なので、一番珍しいもの。
 味はどれにするかと言われて、良くわからないので、師匠と同じもの。
 宇治金時を頼むことにする。

影時 > 「大きな動きなら、お前さんのご母堂が気を配るだろうなァ。
 故に大勢を聞くべきならば、そっちに聞いた方が早ェわな。あとは遺跡にでも潜った時にどうするかを試せば良い」

情報収集のイロハの教授でも考えるが、そもそも伝手を考えるならば自分よりももっと詳しいものが居るだろう。
市井もそうだが、商会として特に物流の観点や政治的な情報を拾いうるコネクションに頼る方が恐らくは早い。
其処に聞くべきことを聞いて、あとは個人の武技と能力が通じるか否かを知ればいい。

「そりゃァそうだろう。家に帰ればちゃんと喰えるだろうよ。
 だが、此れはどっちかと言えば俺個人の気分、こだわりの問題よ。保存食や手っ取り早く作れる現地調達の飯じゃァ、単調でな」

弟子はそうだろう。種族故の食性よりも、元々の豪商としての家として食事を拘らないとどうして言える。
しかし、自分の場合はそうではない。雇ってくれている間の報酬はちゃんとあるが、山中での食事はどうしても荒くなる。
その意味での気分転換もあるし、弟子には弟子で頑張った分の見返りは用意しておきたいのだ。
ここから先は実技も依然として重視するが、座学めいたことも多くなるのだから。

「心得た。この削り氷を二つ、だ。奥で食べさせてもらうぜ」

注文を通し、代金を支払えば引き換えの木札を受け取って奥のテーブル席に座ろう。
対面式の小さな席に座し、暫く待っていれば例の注文したとおりの品が運ばれてくる。
硝子の器に盛られ、銀の匙を添えられたものはまるで微かな音でも立てそうなくらいに氷の粒が輝いて見えるだろう。

ラファル > 「うん?あ、そのへんはボクが調べてるから。
 うちのお母さんは、基本商人のネットワークとか、噂話の方かな。」

 商会の情報収集は基本が少女である、遊び半分に城に忍び込んだりして、確度の高い情報を得てもどる。
 母は、実家やギルドなの商人の噂、奥様達などお客さんからの噂をまとめて情報をすりあわせているのだ。
 いろいろな情報をまとめるのは、母親というところなのだろう。
 とはいえ、少女は自分でもってくるので、情報自体は色々と持っている。
 上手く使えるとは言ってない。其の辺は勉強が必要なのだ。

「ふむふむ。
 ご馳走は心の栄養、だね。うん」

 彼の気分、こだわりと言うのがわかった、そしてそれに関する少女の感想が先ほどの言葉、
 それはともかく、普段は食べない甘いものに少女はとても、とても興味を惹かれてるのは間違いがなくて。

「いただきまーす!」

 しゃくり、と冷たい氷の塊を食べて。
 ほんのりとしたお茶の香り、甘い甘いあんこの味に氷の冷たさ。
 ひゃー!と嬉しそうにかき氷を貪る少女。
 見た目にも綺麗なのだが、それでも食べる方に集中するのは少女の貪欲さ。

影時 > 「なぁるほど。出来ているなら、敢えて言う事は無ェなぁ」

向こうでできているとなれば、己から言うことは無い。
寧ろ個人的な用件としてはその内、また過去の伝手を使って城に出入りすることも必要だろう。
防諜をわざわざ外注するようなことはないが、餅は餅屋という。
このような時期に護身に万全を期したい貴族も決していない訳ではない。
そのついでで直接、場内で聞き耳を立てることも情報収集の手管ともいえるだろうか。

「そう言うこったナ。粗食が過ぎるとな、張り合いが無ぇんだよ。生きている甲斐がな」

大食漢という程過食でもなければ、小食と言えるほど極端に食が細いわけでもない。
必要に応じて、使い分けることは覚えている。
だが、偏り過ぎると差し障りが出てしまう。適宜息抜きが要る。気分転換が要る。
能力は人間離れしていても、その分のしわ寄せが来るものは晴らさないと調子が崩れる。

「イタダキマス、と。――……ほう。驚いたなァ。ちゃんとしてるじゃねえか」

そして、件のかき氷に匙を取り上げる。
含む水の、氷の味。かかった蜜と餡の甘味は故郷のそれと何ら遜色がないことに驚く。つまりは旨い。
削り氷を食する文化は故郷に限らず、色々なところにあると聞くが、馴染みの味はやはりほっとする。

ラファル > 「調べてきて、わかったことをおかーさんに言って。
 あとはお任せー。」

 そう、調べるまではできる、情報を手に入れることはする。
 しかし、その運用は……まあ流石にそこまでは手が回らない、あとで訓練等で覚える必要はあるし、商人として必要なものと忍者などとして必要な情報は違う。
 その辺の仕分けは、両親に任せていたりもする。

「おっちゃんはむしろ、女の人抱いたりの方だと思ってた。」

 しゃくしゃくと、かき氷を食べながら、少女は笑っていう。
 悪意はなくて、三大欲求はそういうものなのだと思っているし、それは野生に近い少女も肯定しているから。
 憚る気がないとも言えるのだろう。

「――――え?」

 ちゃんとしてると言われて、不思議そうに顔を上げた。
 何のことだろう、思いつくことはなくて、シャクリ、とスプーンを止めずに、問いかけた。

影時 > 「分担か。――それが出来てるなら、特に教えるまでも無ェな。
 あともう一つ言うとすれば、いずれでいい。
 その仕分けも含めて、自分で完結できるようになれ」

忍者もまた、里にもよるが組織化していることもある。末端とそれを束ねる頭だ。
頭を張れるくらいの研鑚と知識はあるが、まだ弟子は若い。その辺りの機微も含め、学ぼうと思えば幾らでも伸びるだろう。
故に此れは将来としての課題だ。いずれ親の後を継ぐのかもしれないし、一人で生きる道を選ぶのかもしれない。
どちらの選択を選ぼうとも、情報収集、統合、取捨選択を含む管理は体得して悪くない技術だ。

「ン? ……あー、死に瀕するようなコトでもやったら、そうだわな。
 今はそうでも無ぇからなぁ。こういうのは気分の問題だ。ヤりたくなったらヤる、喰いたくなったら喰う、だ」

美食も魚色も気分だ。
死に瀕するような死地を愉しめば、その分肉の交わりが欲しくなる。
山野に伏して、際立った味の強いものをご無沙汰となれば、その分だけ旨いものを嗜みたくなる。
無論、食も色もイイものと巡り合えばその限りではない。
憚ることなく、すげすげ言ってくるならば己も調子を合わせ、気軽な風情で笑おう。

「嗚呼。大したコトじゃァない。
 俺の知った味と一つか二つズレちまうかと思ったが、そうでもなかったんでな。だから、驚いた」

そも、故郷から離れた地で知った、馴染みのある味と巡り合うこと、其れそのものが奇跡なのだ。
酒もそうだが、この手の甘味も微かな差異はあっても、許容できるものであることに寧ろほっとできる。

ラファル > 「う゛……おかーさんと同じこと言う……。
 がんばるよー。」

 仕分けとか、完結できるようになる、今はともかく先では必須になってくる技能なのだろう。
 彼の言葉は親の言葉と同じ事を言うので、ぎくり、としながらも答えることにする。
 学ぶこと自体は否はない、が。今はまだそこまで興味がわかない。
 優先度を少し上げるぐらいであろう。

「うんうん、じゃあ、ボクと同じようなものなんだね。
 師匠も野生だー。」

 同じような考え、少女は本能に従うことも多いので野生だとよく言われている。
 なのでそれを彼にも適応させてにへ、と嬉しそうに笑うことにする。
 彼ほどいろいろなことを任務としているわけではないので、バランスに関してはそこまで理解ができてはいないかもだが。
 気軽な言葉に気楽にうなづいた。

「あー……。産地直送……ちがう、えーと、あ。本場の味!」

 彼の言葉になんというのか、もうひとりの母から学んだ言葉を思い出しながら、首をかしいでいた。
 すぐに思い当たったのか、これだこれだ、と。
 初めて食べるゆえに本場かどうかはわからないがお墨付きがあるので、この店は本場の味と記憶した。

影時 > 「そりゃァ、先を生きるのに修めておいて悪くねェコトだからなぁ。
 寧ろ、ラファルよ。お前さんのその立ち位置は他の奴らから見れば、垂涎の位置だぞ?」

商家とは、生き馬の目を抜くを抜くような世界であると聞く。
その最前線に立つ辣腕の手並みを間近で見て、学べるという位置は誰もが羨むものである。
知らぬは当人ばかりであるとなれば、其れを諭すのも師の勤めだろうと。
優先すべきコトではないとしても、学べる時に学ぶことを勧めよう。

「野生という程のものじゃァないが、な。
 諸々弁えながら、その一方で欲するままに生きるだけのコトよ」

其れなりに生きていれば、悟ることも弁えることも出て来るものだ。
食欲は兎も角、色欲とは盛りのある動物等とは違い、周期的に催すものではないのだから。
何をすれば障りが出るかを弁えつつ、その範囲で心のままに生きる。その有り方は成る程、野生かもしれないか。

「――そうだなァ。本場そのもの、或いは極めて近い、かだなあ」

定義は難しいが、同じか同様の素材を揃えて、納得できる味を創出できているのだ。であればそのものと評してもいいだろう。
同じ素材を使っていないにしても、許容できるものを作ることが出来ているとなれば、何の問題があるだろう。
反射的に入れたくなる突っ込みを抑えつつ、気づけば八割がた消えていた氷菓に残る餡を口に放り込む。

ラファル > 「―――垂涎、なの?」

 まだ、理解しきれてないところはある。竜の母の情報収集能力。人の母の情報の仕分けや、使い方。
 そして、それを認識させてくれる外部からのプロフェッショナルの講義。
 その手のエリートになるための、土壌に少女がいるということは、認識しきれていない。
 だから、きょとんとして問いかけてしまおう。

「ふむふむー。……弁える。」

 そういえば、師は何かと弁えるという言葉を使っている気がする。
 弁える、どんな言葉で合っただろうか、竜の母の方の持つ、もしくは長女の方か、東方の辞書があったか調べておくことにする。
 気になることは、聞くのもいいが、自分でも調べておく必要もあるのだ、と。教えをもらっている。

「―――とりあえず、おっちゃんから言えば、これはちゃんとした、かきごおり。
 しっかりしたものだってことだよね。
 それなら、それでいいんだ。
 また来たとき安心して食べられるし。」

 これが本場の味であるなら、ほかのも食べておけば、食べ比べの基準にできる。
 しゃく、しゃく、と最後まで氷を、あんこを食べ終えて満足そうに笑う。

影時 > 「おうとも。

 考えてみるといい。……その道の達人の技を直で見て、憚ることなく教えを請える位置にある。
 なァ? これは、どうだ?そうありたい、そうなりたい奴らにとっては羨ましい程と思うがな」

問いかけよう。いわば、此れは自分と彼女の立ち位置に置き換えても成立する。
要は同じだ。そうなりたい、なりたいと欲するものが見れば、羨ましいというだけでは飽き足らない位置である。
忍びの者の技で有れば己、商人としての情報管理能力をとなれば、かの母親の片割れだ。
欲すれば、どこまでも伸びる、長じる事が出来る。其処によりよく成長する可能性がある。

「ああ。今ある場所の道理を心得ることも含むな。
 それを破って型破りに生きるのも、生きる道の一つだが、過ぎれば要らぬコトを招きかねん。故に弁えなきゃならん」

此れは忍びの者としての心得もあるだろう。
影に生きるものとして、承知しておくこと、心掛けるべきことは大なり小なり出る。
美食も魚色も愉悦の一つだが、驕った他者の破滅もまた愉しみの一つだ。過ぎれば己にも害が及ぶ。
故に弁えることが必要だ。己の欲することと、為したいことに生じる業の釣り合いを取る必要がある。

「そう考えて間違いは無ぇな。さぁて、堪能したらもう少し歩いて帰るか」

熱い茶は流石に出ないが、程々に冷えた水は出してもらえる。
それを含んで一息つけば荷物を掴み、立ち上がろう。
もう少し買い物ついでに聞き込んで、件の機兵とやらと立ち会う備えを凝らそう。
ついてくるのならば、払うことはしない。笑って許可の上、歩き回れば帰り道は相手の住処に送ったことだろう――。

ラファル > 「達人……商人、竜王、忍者。
 ……――――おー……。」

 お嬢様で、ある意味お姫様でもある少女、別の見方すれば、商人の技能、アサシンの技能、忍者の技能。
 それらを絡めるととても便利なのであるし、それを覚えることが出来るのは、その道を進むにあたって特に、有用である。
 それに、三つの覚えた技能は、それだけではなくいろいろなところで使うこともできる。
 確かに、本当にいい環境なのである。すごく納得できた。

「溶け込むということ、だね。
 ……あー。」

 思い出す、最初はもっと家に帰ってなかった。
 そしたら、竜の母親が捕まえに来てお仕置きを受けた。
 師匠の言うとおりなのだろう、人の世にいるなら、溶け込んでおかないとダメだということ。
 人間すぐ討伐に来るからとか言ってた気がする。

「はーい。
 ねえねえ、ししょー。
 今度、遺跡とか平原行くときついてって、いーい?」

 食べ終えて、歩き始める師匠。
 やることもないし、興味も沸いたのでついていくことに。
 機兵に対する備えを見ながら問いかけた。
 そして、彼の用事が終わり、送ってもらうまでまとわりつくことだろう―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からラファルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシチューさんが現れました。
シチュー > 平民地区の一角、とある大通りで軽い騒ぎがあった。魔導機兵の対処のために出かけた冒険者のグループたちが、討伐に失敗して大怪我をして戻ってきたらしい。その怪我が元で複数の冒険者が言い争いを始めて、揉み合いが始まり、喧嘩が始まり……。

その一部始終を見ていたお使い途中のメイド奴隷は、騒ぎに巻き込まれそうになり慌てて路地裏へ逃れたのだった。

「はぁ、はぁ、……はーっ、危なかったー。
あの人たちは皆、あまーいオレンジスフレのケーキを食べて落ち着くべきだね。
――えっと、お屋敷に戻るには……。
……あれ?……どの道だったっけ……」

怒声から遠ざかれば、大きく息をつく。騒ぎのとばっちりで誰かに引っ張られた尻尾を撫でつつへにゃりとケモミミを垂らし。

そして何も考えずに走ったために、慣れない地区の裏路地に迷い込んでしまった事に気づいて1人慌て。不安げにあたりを見回し。

シチュー > 平民地区なんて歩き慣れて久しい。けれども、いつも行く道から離れてしまえばあっというまに方向感覚を失ってしまう。薄暗く、陽の光も建物や家屋に切り取られてしまった空を仰ぎ。

「元の通りに戻ればすぐに道はわかるけど……うーん。まだ騒ぎが続いてるみたい。
そろそろお互いトマトとかフライパンの投げ合いが始まりそう……。しばらくおさまりそうにないや……。
――きっとこっちの先に行けば、僕の知ってるとこにでられるよね?……ね?」

片耳をぴんと立てて表通りへ向ける。耳に届くのは色んな言い争い。
困ったように後ろ頭に手をやれば、とりあえず進んだら道は開けるという安易な考えだった。
この裏路地に来た時と同じように何も考えずに進むが、無事に路地を抜ける事ができたかどうかはまた別のお話――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシチューさんが去りました。