2018/08/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「平民地区の夜市場」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 夜になって尚賑やかな夜の市、篝火や出店の明かりが並び、昼とは違った喧噪。
酒場の店主に話しを聞いて、ぶらりと足を向けたほろ酔いの青年は、屋台で買った串肉を齧り、店を回る。

「ふゥん、色々あるもんだなあ…昼と同じように食材も売ってりゃあ、見るからに御禁制な感じの物も…
 いや、どっちかと言うとそう言う類が結構あるな、昼にゃあ確かに店は出せんな」

肉を齧りながら眺める露店の中には、異国の呪物でも並べてるのか、異様な雰囲気の場所もある。
夜の闇が程よくそう言う店を隠しているのか、昼とは違う混沌とした賑わいである。

ティエンファ > あまり一般人が喜ぶような者ばかりではないけれど、意外とそういう物を眺めるのは嫌いじゃ無い青年。
足を止めたそこには、首輪や紐、何かの飾りなどが拡げられた露店。
まじまじと眺めて首を傾げる。 その理由は…

「犬や猫にしちゃあ、首輪が大きいな それにこれはー…なんだ、ピアス?
 ペットにピアスつけたりってのはあんまり聞かないが…それに蝋燭やら、なんだ、雑貨屋か?」

そんな疑問を口に出せば、中年の店主がにやにや笑う。
…青年は気づいていない、あまり趣味の良くない貴族などから御用達の、人間種向けの道具なのだ。

ティエンファ > 「うん? いや、俺はペットは買っちゃいないからなあ…決まった家も無いしな
 …自分の意志で動いて、従順で、旅の役にも立つペット? はは、そんなのが居りゃあ、買っても面白いかもな」

下品な笑みを口元に張り付かせた店主が品物を勧めれば、しゃがんで品物を一つ摘まんで眺める。
ウズラの卵ほどの球が連なって、その先にはふさふさの飾りがついているそれの使い方が分からず、首を傾げる青年。
店主は暗に奴隷を勧めているのだが、青年はよく分かっていないのか、笑ってそう返す。

「しかし、ペットかァ…親父殿と住んでた時には、犬を飼ってたこともあったが…あれも何年昔の話だか」

ご案内:「平民地区の夜市場」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
ティエンファ > 「まァ、攻めて定住の場所を持つことになったらって感じだなァ…すまんね親父さんよ
 うん?こっちは人間にも…? 可愛いデザインだけど、動物と人間共用ってなァな」

冗談かと思って苦笑いして立ち上がる。 どうやら分かってない様子だと店主も気付けば、呆れたように青年を見上げる。

「うん? 悪い遊びには慣れておけって…ここが王国だから? どういう事だ?
 そのうち使う事もってー…なんだよその含んだ言い方 っと?
 何だこれ 試供品? 匂い袋? …ふゥん? よくわからんけど、もらっとくわ」

目を瞬かせて首を傾げるが、そう言う産業や、貴族たちの趣味の事もあり、こう言う道具は良く流通している。
いたずらを思いついたような顔で店主が小さな袋を青年に放って渡す。
媚薬入りの匂い袋だが、そうとも知らず。

チェシャ=ベルベット > 店の奥、棚の影になっていたそこに小柄な人影が立っていて
ティエンファと同じ様に品を見定めていたらしい。
あまりにこの店の何たるかを分かっていない様子の客に、少々イラッときて
喧嘩をふっかける調子でそっと彼の側に近づくと
小馬鹿にしたような声を横から掛けた。

「お兄さん、お上りさん? 随分可愛げのあることばかり言っちゃってるけど…
 つまりは奴隷だよ。この店は、そーゆー奴隷の物を扱ってるんだってば。
 犬よりも賢くて、猫よりも可愛げのあるさぁ、……男でも女でも、選り取り見取りってやつ。
 そんなのも知らないなんて、一体どう、いう……」

そこまで言ってはたと、相手が誰だかを気づく。
忘れもしない、まだ少年の面影が残る青年の精悍な顔。
目を丸くしたチェシャが、思わず立ち尽くし呆然として「ティエ……」とつぶやいた。

ティエンファ > そっと近寄った少年が突然声をかける。
しかし、驚いた様子も無くその匂い袋を摘まんで眺めて…、
その声を聞いて、手を止める。

「奴隷かァ…俺は金や力で無理矢理言う事を聞かせるよりは、相手と愛し合う方が好きだからなァ
 奴隷を買ったとしても、多分酷過ぎる事は出来ないだろうよ
 …それはほれ、よく知ってンだろ?」

そっちを向けば、に、と口の端を上げる。
その悪戯な笑い方は相変わらず。 しかし前よりも大人に近づいた輪郭の青年。

「なァ、チェシャ 暫くぶりだな、元気してたか?
 …って、お前、そう言う店だって知って手この店の商品選んでたのか…?」

チェシャ=ベルベット > 驚いた顔も束の間、つかつかと相手の目の前まで近づくと鼻先がぶつかる程に顔を近づけ
青年の手に持った匂い袋を引ったくり、元あった場所にべしんと叩きつける。
これには店主も驚いて、お客さん!と声を荒げた。
それを一睨みで黙らせると、憤った顔を向けてティエンファに怒鳴る。

「馬鹿ティエ!何が”愛し合う方が好き”だよ!
 また暫く居なくなって……!今度こそ本当にどこかで野垂れ死にしたかと思ったのに!
 心配して待ってるこっちの身になれってんだ!」

相手の胸倉を鷲掴み、揺さぶるように怒声を叩きつけて
それからじんわりと目元に涙を浮かべてしまう。
だが、それでも怒りが収まらないのか、ふんっとそっぽを向くと腕を組み

「そーだよ、こーゆー店は貴族のお偉いさんから需要があるからたまに仕入れて喜ばせるのさ!
 でも僕がどんな事していたって、ティエには全っ然関係ないけどね!」

ツンと冷たくあしらったまま、意地を張るように言う。

ティエンファ > 鼻先から体温が感じられるほどに近づかれれば、その剣幕も相まってたじたじと狼狽える。
手の中の匂い袋がひったくられれば、おいおいと声をかけようとするが、その声は怒鳴りつける声に飲み込まれる。
周囲の喧騒とは別の、突然の声に、周囲もなんだなんだと視線を向けるが、青年はそれどころではなく。

「おおおお、落ち着けチェシャ! 悪かった、悪かったって!
 色々突然離れる事になってさ、最近やっと戻って来たんだよ
 黙って長い事離れてたのは謝る、すまん!!」

そっぽを向いた少年に、前よりも分厚くなった体を前よりも小さく縮めて謝る。
自分の非は分かっているのか、深々と頭を下げて許しを請う。
そして、意地っ張りな言葉に顔を上げれば、ちょっと困ったように眉を上げる。

「チェシャの仕事に俺は関係ないけど、チェシャと俺は関係があるぞ
 …元々止める権利は持っちゃあいないが、そうハッキリ言われると、少し悲しいぜ」

言葉に悩むように首を掻いてから、もう一言、ごめん、と謝って。
それから、少年の両肩に手を置いて、こっちを向かせる。 少し強引に。

チェシャ=ベルベット > 周囲の目も憚らず、男と男の痴話喧嘩を見せられて通り掛かる人も
なんだなんだと寄ってくる。
強引に振り向かせられれば、じっとりとした非難めいた視線をティエンファに向け
押し黙ったままティエンファの顔を見つめる。

「毎度まいど謝ればいいと思って……!
 今回という今回は許さないし、悲しいって言ったって僕悪くないもん!
 もう知らない!ティエと僕は関係ないもーん!」

まるで子供の意地の張り方そっくりに両手で耳を塞いで
次なるティエンファの言葉に備える。
だがここまで頑なになってしまったチェシャに、周囲はおろか店主もかたずを飲んで行く末を見守っている…ようだ。

ティエンファ > 「確かになァ、俺はあっちこっちふらふらして心配ばっかかけてる
 元々が流れ者で、身元も知れない様な生活ばっかりだったからな
 すぐには変えられないし、多分変わらん」

チェシャの肩に手を置いたまま、野次馬に囲まれたまま、ゆっくりとチェシャに言葉を向ける。
耳を塞いでもチェシャの耳なら聞こえていると知っているから、一言一言ハッキリと。
風来坊な言動に、野次馬から、チェシャが可哀そうだという様なヤジが飛ぶ。
まったくだ、と溜息交じりに居ながらも、それでも肩から手を降ろさない。

「でも、チェシャと離れていたい訳じゃあないし、チェシャが嫌いになった訳じゃあない
 俺のこんな生活に慣れろとも、許せとも言わん 多分、またふらっと町の外に出て、またふらっと戻ってくるだろうからな
 その度にチェシャを怒らせるかもしれないけども…あー、違うな、こんな事が言いたい訳じゃないんだ」

自分の言葉に眉を寄せつつも、しかし、耳を塞いでも、顔を見つめ続けてくれているチェシャの目を見つめ返す。
言葉を少し考える。 言い訳の言葉や、ズルい言葉も思い浮かんだけど、打ち消して頭を振る。
あー、とか、うー、とか言葉に悩む様子は変わらず、チェシャに言いたい言葉も、変わらず。

「チェシャ、会いたかった ただいま」

チェシャ=ベルベット > 「…………」

むすりと黙り込んでいたチェシャの目が変わらずティエンファを見つめ続ける。
怒りと悲しみと猜疑心の色をたたえて、臆病猫のようにじっと見ていたが、
ティエンファの不器用な真っ直ぐさが言葉になってチェシャに届けば
それは一言ずつがとても重い。

やがて、観念したように両手を下ろして耳から手を離すと力なく俯き

「……はー……、しょーがないなぁ。
 悔しいけど、ティエのそういう真っ直ぐな所、僕は好きだから
 今回も許してあげるよ。でも勘違いしないでよね!
 別に、僕もティエに会いたかったとか、そーゆーわけじゃないし……」

もじもじと素直に言葉を紡げず、暫くつま先で石ころをけとばしたりしていたが
不意に顔を上げ、上目遣いでティエンファを見ると照れたように笑い

「……嘘、ホントは寂しかったし、ティエに会いたかった」

そう小さく呟いてティエンファへ抱きついて唇にキスをする。
これには周囲も歓声の一つも出るわけで、ただ店主だけが「他所でやってくれ」と手で二人を追い払う仕草。
ようやく周囲の視線に気づいたチェシャがいつもの愛想の無さに戻ると
冷やかす周りに散れ散れ!と怒って仕舞う。

ティエンファ > 疑るような、苛められたネコが様子をうかがうようなチェシャの目を見つめる。
拗ねて責める目は痛いが、それを自分から逸らす事は出来ないのが、この青年だった。
諦めたように手を落として溜息をつくチェシャに、すまん、そ苦笑して謝って。

「せめて、嘘はつかないで居たいからな、チェシャには
 と言うより、真っ直ぐじゃなくなったら、俺はもうチェシャに顔向けできなくなっちまう
 うん、有難う、チェシャ …うん?」

許すと言われれば眉を下げて笑い、しかし、ごにょごにょといじけて言葉を濁す様子に首を傾げ。
それから、照れたように見上げる少年の表情に目を瞬かせ、抱き着いてのキスを受ける。
その少年の腰を抱けば、周囲の冷やかす声の中、遠慮せずその唇を味わって。

「良かった、もう顔も見たくないなんて言われちゃあ、どうしたもんかと思ったぜ
 …あ、すまん親父さんよ、騒がせたな あー…」

チェシャを抱き止めたままの腕は太く、チェシャの身体を爪先より少し上に浮かべたまま、チェシャを間近で見て。

「何か買ってくか? お偉いさんに見せるのじゃなく、チェシャが『悦ぶ』ようなのがあれば」

からかう様に目を細め、首を傾げる。

チェシャ=ベルベット > たっぷりとティエンファの懐かしい唇を味わってから離し、
自分を抱き上げる腕に、片時も離れたくないというようにひっついて。
何か買っていくか、という言葉には少し考えるも首を振る。

「ティエが居れば、他はなんにもいらないよ。
 あー、でも……店がそれじゃあ困るか」

適当に何か買って帰ったほうが店のほうも嬉しかろうと察して
棚から先程叩きつけた匂い袋と、媚薬と精力剤を適当に選んで購入する。
迷惑料も含めて3枚のゴルド金貨を渡してやれば店主も納得するだろう。

「これ、すごく効き目があるから、今晩は寝かさないからね」

にやりとティエンファにいたずらっぽい視線を投げかけ、二人身体を寄せ合ったまま店を後にする。
きっと行き先は青年の滞在している宿だろう、その夜に
一晩中少年の喘ぎ声が響いたことは間違いないだろう。