2018/08/18 のログ
リューゼ > と、いうわけで青年は女性の本音を聞いてしまうわけで。

「…なんだ。ほら、心配してくれてるんじゃないか。
心配して怒ってる人に怒る事なんでできないさ。」

赤の他人の心配をする。
青年にはこのバニー姿の女性もずいぶんとお人好しに映っていた。

しかし、なんだ。
これだけキャンキャン吠えるバニーガールがここに居れば、
当然、人目は引くわけで。
なんだなんだ、と訓練に来ていた傭兵達や、通りを歩いていた人が、
不思議そうな視線とか、愉快そうな視線をこちらに向けてきている。

そこで青年は困ったなぁという表情を初めて見せる事になる。

「野垂れ死ぬよりは恥ずかしいな。
…とりあえず、逃げようか。」

やれやれと青年はベンチから立ち上がり、ソーマへと近づく。
ちょいちょい、と視線を向ける通りを指差して状況を分からせようとする。
理解してくれれば、手を引くなり、横抱きに抱えるなりしてとりあえずこの場を去ろうとするわけで…。

ソーマ > 「な……。
 だ、誰がアンタの心配なんてするのよ!
 勝手に野垂れ死んじゃえ!!
 ばかぁ!死んじゃえ!!」

みるみるうちに耳まで真っ赤に染まり、晴天を見上げ大声で吠えたくる。
どんどんボキャブラリーが貧困になっていくのはテンパってしまっているからだろう。

「ひゃっ!?」

不意に抱き上げられると大人しく青年の腕の中に収まる。
それは受け入れている、というよりも状況が飲み込めていないという方が正しい。
バニーガールを抱いた仲間……そんな光景に傭兵達は揶揄や野次を飛ばしまくるわけで……。

リューゼ > 「わかったわかった。
とりあえず逃げような。」

やれやれ、という様子。
ここで初めて青年の苦笑いを目にするかもしれない。
女性を横抱きに抱えたままで、青年はひとまず逃げるように走りだす。

「すまないけれど少し我慢してくれ。
どっちかと言えば言葉に謝罪するよりは、この後の誤解を解く方の謝罪を求めたい所だね。」

すたたたと軽快に走っていく。
腕に収まっていれば、物腰柔らかな青年の身体はしっかりと鍛え込まれているのがわかるかもしれない。

ひとまず、通りの路地へと逃げ込んでいく。
そこで、女性が握りつぶした、再度の買い物とか。
この後戻った時の言い訳を考えなければならないわけで…。

ソーマ > 「え……ちょ……。」

お人好しのなよなよした奴……。
そんな第一印象は青年の男を感じさせる筋肉質な弾力の前に霧散する。
自分なんかを抱きかかえていないかのように青年が軽快に走る度に振動を心地よく感じながら真っ赤に染まった顔を俯き隠す。

「べ、別に……一発ヤったとでも言っとけばいいでしょ。
 い、言っとくけどホントにヤらせたりしないからね!?
 ただ、あ、あたしみたいな美少女を連れてって何もなかったなんてバカにされるでしょ。」

路地裏まで来た所で青年の胸を突き飛ばすようにして離れる。
もじもじと避妊具の箱を弄びながらちらちらと反応を確かめるよう青年の顔を盗み見る。

「ほら、これ!持ってきなさい!!」

潰れた箱から避妊具をひとつ取り出すと青年へと殴り掛かるように突き出す。
そして……ふんっと鼻を鳴らして背中を向け、店へと戻っていく。
嫌がらせしてきた客には一枚減った避妊具の箱を渡し、アンタの金で買った避妊具でアンタよりもいい男とヤって来たと言い放ってやるのだ。
その後どうなるかは……考えたくもない。

リューゼ > 適度に距離をとってから女性を下ろせば、
軽く突き飛ばされるようにして距離をとられた。
けれど、青年はそんな事で怒る事もなく。
むしろ突き飛ばした方が危なそうな程、しっかりとした体幹であった。

「はは、じゃあそうしておくよ。
ま、確かに顔はいいわけだし。」

ソーマの言葉に、軽く頷く。
勿論そのままの説明でいいかと少し疑問が残るが…。
その方がすんなり納得されそうなのが荒くれの傭兵共の環境である。
ただ、体型について言及されそうだなぁ、と口には出さずに思う事にする。

そして渡される避妊具をちょっと困った顔で受け取ってから、
肩を怒らせて去って行く後姿を見送るわけで。
ま、そのうちどこかで会う事もあるだろう、と青年は逆に向かって歩き始めていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソーマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリューゼさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > ここは幽世の裏手。
少し込み入った路地になっているが、それなりの道幅もある。
そこで何をしているかと言えば、七輪で火を熾していた。

昨日今日は割と涼しい。
外で晩酌するにはちょうどいい…という事で本日店は早じまいである。
カウンターの椅子を持ってきて、七輪の傍で一息。
テーブル代わりの木箱の上には砕かれた氷に浸かった酒の徳利とぐい呑み。準備は万端である。
さて何を焼くかと言えば…。

「……私はまだ食べていなかったからなぁ…。」

いつぞや作った酒干し。魚が余ったので晩酌用に昨晩仕立てておいたものだ。
赤々と燃え始めた炭火。七輪の網が熱せられていくところに乗せる。
火は弱火。じっくりふっくらと焼きあがるだろう。
ぱちぱちという脂の爆ぜる音を聞きながらのんびりと待つ事にする。
ほんのりと魚の焼ける香ばしい匂いが辺りに漂い始めるだろう。
鼻のいいものとか猫とか、寄ってきそうだな、と苦笑交じりに考えた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミケ・ファムトさんが現れました。
ミケ・ファムト > お腹が空いて、あまり立ち寄ったことのないところで食事にしようと裏路地を進んでいた少年。

あっちにフラフラこっちにフラフラしている間に出来上がったのは一人の迷子。

まぁご飯を食べたついでに店の人に聞けばいいかと、本人は気軽に考えとりあえず足を進めていた。

その時に鼻を擽るのはあまり嗅いだことのない匂い。
しかしながら何とも言えない食欲を誘う匂いに導かれるように少年は匂いをたどる。

「こっちの方から? かな?」

だんだんと強くなっていく匂い。
損な匂いに誘われる小さな影はほどなく相手の視界に入るであろう。

ソウレン > ぱちぱち、じゅうじゅう。
良い音がしてきた。身側が綺麗に焼けた頃合いでひっくり返す。
ほこほことした身に、脂が浮いて一層香ばしい匂いを漂わせている。
そこで、ふと視線を路地へと向けた。

「んん?」

動く影を見ていれば、なるほど少年が一人やってきていた。
匂いに釣られたのだろうか。
しかし店は閉めてしまっているしなぁ、と考える。
考えている間に、少年はこちらへたどり着いてしまうだろうか。

ミケ・ファムト > 近づけば、匂いだけではなく、何かが小さく弾ける音。
あぁ何かを焼いているのだろうかと、視線を向ければ路地に置かれた七輪の上で平べったいものが朱色に照らし出されている。

薄いお肉な割に、聞こえてくる音は動物の肉とは異なる。
何が焼かれているのだろうかと、ついつい視線を向けていると、相手がこちらに気づき顔を向ける。

「あ。 お食事の時にすみません…。 凄く良い匂いだったので…。」

相手の目に映るのは半袖焼けした体に、しなやかながら鍛え上げられながらも小柄な体。
その体の主は照れくさそうに笑ったところで、お腹のあたりでくぅぅっと小さくなり。
照れくさそうな顔はさらに真っ赤になってしまい。
「ぁ… すみません…。」

ソウレン > 「やぁ、いらっしゃい。」

店を閉めているのでいらっしゃいも何もないのだが。
ひとまずやってきた少年に向かって笑いかける。
言い繕う姿を眺めていたものの、腹の鳴る音で思わず吹き出してしまった。

「ふふっ。いや、すまない。
空きっ腹のようだね。…お金は持っているかな?」

こう見えても食事処をやっていてね、と話しかける。
施しをするつもりはさらさらない。教育の為にも、他の客の為にも。
持っているなら何か見繕ってあげる事にする。

「今日は店はもう閉めているんだが。…君一人分くらいは何かあるだろう。」

焼けた魚はひとまず皿の上に取り出してしまおう。
焦げてももったいないのだ。

ミケ・ファムト > とりあえず追い払われることはなかった。
その事実にほっとしながら、なってしまったお腹のあたりを手で押さえながら真っ赤な少年は立ち尽くしてしまう。

「えっ。 えぇ もちろんです。 ちゃんと稼ぎもありますし。」

相手の背後を見れば確かに看板がある食事処。相手の話ももっともで少年は当然の事とこくりとうなずいた。

「え? お店は終わりだったんですか…。 ありがとうございます。」

店は閉まっていても準備をしてくれるようで、小さな手でお腹にもう少しの辛抱だとばかりに軽く撫でてから、少年の大きな瞳は七輪の上のから皿の上に避難された変わった肉に釘付けであった。

ソウレン > お金は持っている、という事なのでわかったと一つ頷く。
魚を退避させたあと、ひとまず勝手口から店内へと入る。
さすがに勝手に色々したりはしないだろう。

調理場からいくつかの食材を選び、皿や茶と一緒に盆にのせる。
それを椅子の上に乗せて椅子ごと持ち上げ、再び勝手口へ。

「看板はあっても裏口なんだ。入口は逆側だよ。」

待っているであろう少年にそう言ってから椅子をもう一つ七輪の横へ。
座るといいよ、と笑いかけてみるが…。
焼けた酒干しをじーっと見ているのに気づけば、ちょっと苦笑する。

「…それは魚を干したものだよ。気になるなら食べるといい。」

骨には気を付けてな、と言って、フォークを差し出す。
それから、もう1枚酒干しを七輪の上に置いて焼き始める。
ついでに茶色いごろごろしたものも4つ程一緒に。

ミケ・ファムト > 相手が勝手口に消えれば、その間手持無沙汰ではあるが、勝手に食べたりしない。

しかし時間が長く感じる事は仕方がない。
短い時間ではあったろうが相手が椅子に盆を乗せ戻って来れば、受け取ろうと体を少し動かしたが七輪の横に手早く置かれ。

「次からは表から入ることにしますね。」
と小さく笑いながら進められた椅子の横に立ち、
盆を持ち上げてから腰を下ろす。

「魚ですか…。 ぼくのいた村には入ってこなかったのであまり食べたことがないんですよ。」

ぱぁっと嬉しそうな表情をうかべながら差し出されたフォークを受け取り。

「その。 二人で分けませんか? お腹は空いていますけど、一人で先に食べるのはなんだか申し訳ないですし、待っていたらせっかくのご飯も覚めちゃ…てしまいますし。」

少年はそんな提案をしながら受け取った魚をフォークで半分にしながらそんな提案をして。
ときおり言葉が乱れるのは未だ慣れていないため致し方なし。

ちらりと相手を見てから再び焼かれる酒蒸しと、茶色意味慣れないものに視線が移動して。

ソウレン > 茶色いコロコロとしたものは里芋である。
直接焼ける食材となると意外となかったのでこういう趣向になってしまった。
なので、気になっている様子の少年にはそれは芋だよ、と微笑みかけておく。

「あぁ、そうしてくれると助かるよ。」

営業中にね、と笑いながら話す。
今日は例外なのだ。

「ほう。そうなのか。海の魚は美味いぞ。
いや、川の魚もなかなか乙なものなのだがな。」

しゅうう、と新しい酒干しも心地よい音を立て始める。
差し出したフォークを手に取ってもらえれば、盆に乗せた小さなナイフで漬物を手早くカットしていく。

「気にする事はない。新しい酒干しは焼いているし、私は酒がメインだ。
それに対価はちゃんといただくよ。お金を払って分けるのも変な話だろう?」

そう言って、自分は切った漬物を口に運ぶ。
パリポリと胡瓜の良い音を響かせながら、冷やした徳利から酒をぐい呑みに注いでいく。

ミケ・ファムト > よく見れば、里芋。

コクリとうなずきながら二人で小さく笑いを交わす。

「川の魚なら釣りをして時々食べたりするんですけどね。
海のお魚は中々…。」

相手の言葉を聞けば小さく頷き、酒がメインと聞けば、頷いてもう一度笑みを浮かべる。

「では、遠慮なく。 いただきます。」
漬物を食べる相手にふんわりとした微笑みを浮かべ、フォークで魚の身を解し、口に運ぶ。

香ばしくぱりっとした皮に、ほぐれる身。そして口の中に広がっていく味わいに魚の脂。
少年は幸せそうな笑みを相手に向けて。

「すごく美味しいです。」

ソウレン > その里芋のじわじわと焼けている様子。
時折、コロコロと転がせば皮の部分がこんがりと焼けている。

「あれも酒の肴に良くてね。やはり焼いて塩を振るのが良い。」

漬物をもう一口。
それから、ぐい呑みに入った酒を一気に呷れば、ほう、と少し酒臭い息を吐き出した。

「あぁ、遠慮なんかしなくていいよ。
そうやって美味そうに食べてくれるのが一番だ。」

幸せそうな笑みを浮かべる少年に、盆に乗せてきた茶を薦める。
さすがに酒を飲むようには見えなかったので用意はしておいた。
それから、切った漬物も箸休めとして小皿にとって手渡す。

「君も酒が飲めるようになったらウチに呑みに来てくれると嬉しいなぁ。」

そうやって笑顔を浮かべながら芋を転がしている…。

ミケ・ファムト > 七輪の上でコロコロ転がされる里芋をぼんやりと眺めながら頷き。

「素朴な味で美味しいですよね。」

同意するようにうなずき、皿の上の魚をフォークで貯め、
受け取った漬物。
胡瓜をフォークで刺し口の中へ。
魚の脂が漬物によってさっぱりと流されていく。

「ん。 確かにまだまだ子供ですけど…。お酒は飲めますよ。働いている場所でそれぞれみんなお酒が好きな人が飲ませてくれますから。」

相手の言葉に小さく笑いながら、再び魚の身を解し口元へと。
広がる味に自然と、笑顔を浮かべる。
働いている場所、なんだかんだお酒を貰う機会も、飲まされる機会もあって、小さく笑いながら胸を張って見せた。

ソウレン > しばし転がした里芋はいい具合に火が通ってきた様子。
それを皿にとってしばらく休ませるように。
すぐに食べようとしても熱々すぎて皮をはぐのも食べるのも一苦労だ。

「そうだね。出来上がったが…熱いぞ。
少し冷ましてから食べてくれ。」

いくつか焼いた分の2個を皿にとり、塩を添えて差し出す。
冷める間は魚を食べてしまえばいいだろう。
いい具合に焼きあがった酒干しも自分の皿にとってしまう。

「ほう、そうなのか。なら飲んでみるか? 米の酒で少し強いが。」

そう言って冷えた徳利を軽く振る。
呑めるのなら少しだけ付き合え、という様子。
元々、ここで行う予定だったのは晩酌だったのだから。

ミケ・ファムト > 皿の上で少し休まされる里芋。 コロコロとしたそれの皮をむいて塩を振ってもらえば皿を差し出し受け取って。
食べたいが、まだ熱そうなそれフォークでツンツン。
コロコロと転がし、少し諦めて、魚と漬物を食べて。

「米のお酒? 飲んだことないので楽しみ。
お酒も食事も一人より賑やかな方が美味しいしたのしいですからね。」

頂きますと、頷き少年は穏やかな微笑みを相手に向け、ぐい飲みを受け取るであろう。

ソウレン > 食事を続ける少年に、ぐい吞みに注いだ酒を手渡す。
芳しい香りと、強めのアルコールの香りがするだろう。
酒の味がわかる者は結構気に入ったりするのだが…。

「否定はしないな。
だが、一人静かに飲む酒も良いものだよ。私の店は少人数のがオススメだな。」

さて、少年が酒を口にする間に干物を箸でつつく。
器用に骨をよけていき、身を口へ運ぶ。
ほっこりと旨く焼けている。うむ、これはいいな、と小さく呟いた。

ミケ・ファムト > ぐい飲みに満たされた酒を受け取り、一口。
エールとは違い甘みも強く、芳醇な香りが鼻に抜けていく。

「美味しい… エールやウィスキーとも違うし…。
ふふ。少人数で穏やかに…」

良いお店ですねと言葉を続け、魚を食べる。
そして、里芋を半分に切って口へと運ぶ。

「うん すごく美味しいですね。」

小さな体には酒が回るのも早く、太陽の下で働きた小麦色の肌にほんのりと朱が混じる。

そして、少年は相手の手元を見ながら真似をすれば、先ほどより上手に骨を避けることができ満足そうに微笑み、魚を食べる。

ソウレン > 迷いなく口に入れる姿に飲み慣れた様子を感じ取る。
年若く見えるがなかなかどうして様になっている。
しかし、すぐに赤くなる辺りはやはりアルコールへの慣れだろう。

「王都の酒とは違うだろう?
いや、しかしその一杯でやめておいた方がよさそうだな。」

へべれけになっても運ぶ脚はない。
酒だけ飲んでいるわけではないのでマシだろうけれど、とは思う。

「芋もじっくり焼けばほくほくで美味い。
簡単だから家に帰っても試してみるといいのではないかな。
あとはそうだな…。」

そう言いながら、小麦色の塊を網の上に置く。
豆腐を揚げたもの。生揚げではなく、油揚げの方だ。
こちらなら火の通りはいいだろう。カリカリになるまで焼いてあげる。

ミケ・ファムト > 「えぇ 本当に。 ん。大丈夫です。 自分の限界は分かりますから。」

せかっくの美味しい組み合わせなのに酷いとじっと相手の目を見て抗議をして。
クスリと、悪戯っぽい笑みを相手に向ける。

「本当に。ほくほくで美味しい。
それは?」

差し出しされた油揚げ。 火が通ってカリカリになっていれば、キュウリとも違った歯ごたえに目を細め。
「ん。 これも 美味しいですね。」

ぱぁっと明るくなる表情はまだあどけなさを残す少年の物。
美味しいものを作ってくれる相手にキラキラとした目を向け少し身を乗り出した。

ソウレン > 「構わんが、酔っ払っても送る足はないから気を付けてな。」

抗議の視線を向けられれば、困ったものだと少し苦笑を見せる。
ただ断るでもなく酒を注いであげるだろう。

「これは油揚げと言ってね。
元々の材料は豆なんだが、ちょっと変わった作り方をするんだ。」

これをかけてみようか。
そう言って醤油差しからひと垂らし。
油揚げには醤油。生姜があればなお良いが、今手元にはなかった。

「東の方のソースだと思って食べてみるといい。
油揚げにはこれが一番だ。」

カリカリ、サクサクの油揚げにいい塩味を足してくれる。
自分も魚や芋を口へ運びつつ、酒を飲む。
うむ、いい晩酌であると一人内心で満足をしていた。

少年が身を乗り出してくれば、おもむろにポンポンと頭を撫でてあげるだろう。
ゆっくり食べると良い、と笑いかける。

ミケ・ファムト > 「そこまで子供じゃないです。」

少年は小さく笑い、ぐい飲みに酒を注いでもらい。
満足そうにちびり。

「油揚げ。
これが元豆ですか…。」

相手の言葉に頷き、東方のソースをかけてもらえば、
カリカリサクサクの油揚げにかけてもらったしょうゆを一口。
なれない味ながら物凄く食が進む。
そして、時折酒をちびりと飲めば何とも言えない、穏やかな気持ちになる。

頭を撫でられるとなんとなくくすぐったそうに微笑み、酒のせいか、少し甘える様にその手に頭を寄せ。ゆっくり椅子に座り直す。

「お姉さんはずいぶん東の方に詳しいですね…。
むらから出ていろんな所で働いてるけど、東の方の食事は食べたことがないので…」

物凄く幸せとニコニコと純朴な笑みを相手に返す。

ソウレン > 「そうか。ならその言葉を信じよう。」

ちびちびと酒を含む様子。
呑み方は心得ているようで、ひとまず安心だろうか。
無理してぐびぐび飲まれたらちょっと困ったがそんなことはないらしい。

「醤油というんだけどねそれは。よく合うだろう?」

美味そうに口に運び、酒を飲んでいる。
うむ、立派な酒飲みだな、と満足そう。
自分の分も用意して口に運ぶ。堪えられんなぁ、という様子で酒をぐいっと。

「詳しいというか…東の方から流れてきたんだ。
だから東の料理や食材を知っているし、王都でも食べ方が広まればいいと思っている。」

そのうちに別の店もできるかもな、と笑う。

ミケ・ファムト > 「ありがとうございます。」

相手が安心したように微笑めば、小さく頷き。

「醤油。 はい。 魚とか料理の隠し味とか。良い調味料ですね。」

チビチビと酒を飲んでいれば、満足そうにこちらを見る目。
少年は不思議そうな顔をして軽く小首を傾げる。

そして、相手が東から来たと聞けば、少年はさらに目を輝かせて。

「僕は村と追うとぐらいしかしらないので、羨ましいです。 もっと増えればいいのですけどね…。」

まだまだ時間がかかるでしょうと小さく頷き、それでも楽しみと。穏やかな笑みを浮かべて。
そこでまだ自分が名乗っていなかったことに気づいて。

「僕はミケです。 お姉さんの名前を教えてもらっても?」
一度フォークを持ったまま食事の手を止め、相手の目を黒い瞳がじっと見つめる。

ソウレン > 「ちなみに醤油も豆から造られる調味料だ。
豆と豆だから相性がいいのかもしれんな。」

小首をかしげる様子を微笑んで見ている。
酒の飲み方を心得ているから酒飲みなのだ、と思うわけだ。
酒干しに少しつけても美味しいぞ、と醤油の食べ方も薦めておく。

「はは、何、そのうち経験を積むこともできるさ。
うらやむ事ではないだろう。君はまだ若いのだから。」

ふと、少しだけ老成したような言葉を。
しかし、そこで酒をぐいっと飲み干し、それ以上は言わなかった。

「私はソウレンという。この店は『幽世』という居酒屋だ。
居酒屋とはまぁ、酒飲みの来る店の事だ。東の方で使われるな。」

見つめられても怯む事もなく。

さて、この後しばしの間この時間は続くだろう。
食事を終えれば、少年には少しの金額を提示する。
だいたい昼の定食一食分だろうか。
酒を飲んだにしては安い金額だが、きちんとした料理でもないのでと安くしておくだろう。
そして、帰る姿を見送ってから女は店へと引っ込んでいく。