2018/08/15 のログ
ご案内:「王都マグメール平民地区/広場」にリュシーさんが現れました。
■リュシー > (狂乱の祭の名残は抜け、街は日常を取り戻しているように見えた。
―――――といっても、いま、広場の中心にできているのは悪趣味な磔台で、
そこに裸身を晒されているのが、痩せ細った猫耳のミレーの少女、
その傍らに立つでっぷり肥えた貴族の男が娘の「罪状」を声高に叫び、
群衆を扇動する光景―――――この前まで修道女が吊るされていた場所へ、
ミレーの少女が吊るされているだけ、という、ある意味日常も非日常も大差ないありさまだった。
すこし離れたところへ、無関心な傍観者としてたたずんでいる己にしても、
もしわずかでも風向きが変われば、吊るされ役になってもおかしくない身である。
なにしろ、今日の己が着ているものは、明らかに胸あたりのサイズが合っていない不格好な膝丈のワンピース。
かろうじて留めたボタンはいまにも弾けそうで恐ろしいし、そもそも「買った」ものではない。
―――――だから、と言ってしまえば、それはさすがに言い訳だろうか。
「だから」―――――哀れな娘を、助けないのだ、というのは。)
―――――ほん、とに、趣味悪いよな、それにしても。
あれ、ほとんど言いがかりじゃん……。
(いわく、あの娘は神餐節の炊き出し場で、食べ物を盗んでいた、とのこと。
しかし、彼女こそ炊き出しを求めるべき存在であることは、ひと目、
その折れそうな身体つきを見れば明らかだった。
―――――もやもやと重くわだかまるものを捉えるよう、ぎゅっと胸元でこぶしを握る。)
■リュシー > (昔の姿であったなら、彼女になにかできただろうか。
あるいは、己がおとなしく「公爵令嬢」として、この場に居たとしたら。
―――――いずれにしても、せいぜい一時、己ひとりの心が安らぐ程度のことしか、
できないであろうことはわかっている。
ふ、と短く息を吐いて、磔台の立つ広場から視線をもぎ離した。)
……ま、所詮はバカの考えることだしね。
ぼくの頭じゃ、なんの役にも立ちません、ってことか……。
(自嘲めいた呟きは、仰ぎ見た空へそっと逃がし)
■リュシー > (―――――広場ではますます大音声で、がなりたてる男の演説も佳境といったところ。
ちらりとそちらを見やり、ため息をもう一度。
最後まで見届ける気にはどうしてもなれず、踵を返して歩き出した。
人垣の切れ目を擦り抜けて、街のどこかへと―――――。)
ご案内:「王都マグメール平民地区/広場」からリュシーさんが去りました。