2018/06/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイシュさんが現れました。
イシュ > しとしとと静かに雨が降る王都マグメール。
汚れた空気や喧騒、血や涙、どんなものも洗い流してくれるかのような雨音と、それを爆ぜさせながら帰路へつく人々の足取りはいつもは賑わう酒場をすっかり置いてけぼりにしてしまった。
いつもなら客でごった返す時間であるというのに…

「マスター、しばらくアタシだけで平気だからさ」

休憩してきたら?と提案すると、頼んだと小さくつぶやき店の店主は奥へと下がっていった。
バーカウンターの中でグラスを磨いている女の目はどこを見るでもなく、ぼんやりと空中を彷徨っている。

イシュ > 奥の席で紳士たちが談笑している。
食事はあらかた提供し終えたし、たまに呼ばれて酒を追加するだけ。
まあこんな暇な夜があったってね、たまにはいいよ。
毎日白目むきそうなほど忙しいんだから。

嗚呼、それにしても最後にまともに食事をしたのはいつのことだったか…

「欲求不満だ…」

相変わらずカウンターの中でグラスを磨く。
しばらくぶりにきっちりと磨かれたガラスは美しく、その縁がキラリと煌めいている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 「ふぇー……」

ガチャリとドアが開くと、フードをかぶった少年が一人
店内にはいってくる。フード付きのマントは雨粒に濡れて、足元もびしょびしょ。
軒先で簡単に雨粒は払ったようだがそれでも湿った感じは拭えない。
雨宿りついでに寄った店…意外と客は少ないようだ。こんな時間なのに。
カウンター席に歩み寄り、店主?と思わしき女性に声を掛ける。

「えっと、果実酒となんか温まるものくれ」

ものすごく適当な注文を投げる。

イシュ > 「いらっしゃいませぇー」

ドアが開くと、チリンチリンとベルが鳴り店内に来客を知らせてくる。
半ば無心でグラスを磨いていた女がその音ではたと我に返るなり、条件反射に出てきた言葉。

なんだかすごくびしょ濡れの、少年なんだろうか。
声が年若いように思える。

「果実酒と、あたたまるもの… 好き嫌いは?」

なんだかかわいそうなくらいしっとりしたその少年に、どうぞ、とタオルを差し出した。

ブレイド > 「ん、わり。ありがとな」

タオルを受け取り、顔を拭いたあとでフードの上から体を拭く。
フードを取る気はない様子。
それでも声は陰気だとか人を寄せ付けないと言った雰囲気はない。

「そーだな…果実酒はりんごのやつ。…嫌いなもんはあんまねーけど
あんまり辛いもんだと味がわかんねーから困るかな」

濡れたタオルをお礼とともに返しつつ。

イシュ > タオルで水滴を拭うのをぼんやり眺めている。
びっしょり濡れてるのにフードは取らないのか…などと、考えており

「りんごの果実酒ね。 それ、まだ使ってていいからフードの中も拭いたほうがいーんじゃない。
マスタぁー ポトフあっためといてぇ」

彼がタオルを返そうと差し出してきたが、きっとフードの中の頭だって濡れてるんだろうとそれを止めた。
奥で休憩していた店主に新たな客の来訪とオーダーを叫びつつ、カウンター下に眠る果実酒の大きな瓶をずるりと引っ張り上げた。

ブレイド > 「ん、あ……おう、そうだな…」

彼女の言葉に少し戸惑いつつも頷き
フードの中にタオルを入れて適当にワシャワシャする。
取らないように苦肉の策と言った感じではあるが、それでも十分水気は取れたようで。
髪型はそりゃもうボッサボサになっているだろうが。

「ん、こんな感じでいいや。こんどこそありがとな」

果実酒の瓶を引っ張り出しているのでじゃまにならないように
タオルを畳んでカウンターの隅においておく。

イシュ > 「ぁ、そこ置いといてくれたらいーから…
あ、お会計? ありがとうございまーす」

果実酒をグラスに注ぐと、とろけるような甘い香りが広がっていく。
大きめの氷と、グラスの縁にレモンを添えて少年の前に差し出した。

ふと畳まれたタオルがカウンターの隅に置かれたのを見て、案外几帳面なんだなぁなんて意外そうな顔をした。
よほどフードを取りたくない理由があるのか、
目深に被ったそれはなんとなく周りから身を護るためのように見えた。
先程まで談笑していた紳士たちが会計を終えて店の外に出るのを見送っている間に、
店の奥から出てきた店主がたっぷりと大きな具が入ったポトフを少年の前に置いていた。

ブレイド > 「ん、ありがとよ。へぇ、結構洒落てんな」

レモンが添えられたグラスを見て、少し楽しげに。
こういう飾りが施された酒というのははじめてだったりする。
グラスを手にとって一口、のどが渇いていたのか、じっくりと口の中を湿らせて。

店内から更に人が減るのを眺めつつ、ひと心地。
出てきたポトフをみると、にっこりほほえんで。
具沢山のそれはとても美味しそうに見えたようだ。

「んじゃ、いただくぜ」

早速ポトフの具…ソーセージを口に含み美味しそうに食べている。

イシュ > 「マスターが一人でやってたときは、果実酒なんてもんもなかったんだよね。
洒落っ気なくてさ。これはアタシが漬けてんの。どう?」

洒落てる、というのはなんとも嬉しい褒め言葉。
その店主はまあいかにも無骨そうな無口な男であったから、
ポトフを置いてすぐに店の奥に下がってしまったが。
あれでこういうの結構好きなくせにね、と女は笑う。

夜も更けてきて、本来ならば夜はこれからとばかりに賑わいをみせるものだが…
今はカウンターに座る少年だけになってしまった。
雨というのは家を恋しくさせる魔法でも持っているのだろうか。
酒とは別に準備していたオーブンが音を立てて動きを止め、
さてお次は。

「ポテトとトマトのチーズ焼き。これもドーゾ。」

ブレイド > 「へぇ…アンタが作ったのか。いいじゃん。
美味いぜ。甘い酒ってわりと好きだしよ。
貧民地区にも果実酒ってなかなかなくてよ…おいてある店探すの苦労したんだよな」

彼女がつけているという果実酒。
なるほど、それで瓶があんなところにしまってあったのか。
程よい甘さと度数。
自分好みの味で、思わず酒がすすんでしまう。

「マスターの作ったポトフ?これも美味いぜ?
具がたくさん入ってるだけでもだいぶ違うっつーか、腹いっぱいになるもんな」

客は一人だけになってしまった店内。
外は雨…自分のように雨宿りに来る客もいないようで。

「お?いいのか?へへ、わりーな。うまそーだ」

名前を聞いただけでもうすでに美味しそう。
思わずつばを飲み込んで、さっそくフォークで口に運んでいく。

イシュ > 「ま、果物はある意味高級品だしねぇ…
最近は男も甘党が多いから、案外評判いいのよね。」

カウンターにもたれかかり、グラスの中身が減っていくたびに満足そうに微笑む。
客が喜んでいるというのはなんとも気分がいい。
彼のグラスが空になると、今度はこっちも…と別の瓶を取り出した。

「ダークチェリーなんだけど… 実は試作中でね。
味見してくれるならこの分はサービスするよ」

深い赤色をした液体を果実ごとグラスに注ぎ、クラッシュアイスと炭酸水を注ぎ込む。
グラスを少年の前に置いてマドラーでくるりとかき回すと、しゅわしゅわと泡が立ち上っていく

ブレイド > 「甘いだけってわけでもねぇしな。
自分でつけるな強さも調整できるし…いい店だな」

マスターは無愛想っぽいが、この女性がそれを補っているのだろう。
酒の種類も多く、食事もいける。
雨宿りに駆け込んだが、あたりを引いたようだ。
グラスが空になれば、出てきた新しい瓶。

「ん?いいぜ?むしろ喜んでやらせてもらうぜ。
つか炭酸…だっけ?わりと高いんじゃねーの?大丈夫かよ」

ポテトとトマトをチーズに絡めつつもぐもぐ。
彼女が果実酒を注いでいくのを眺めている。

イシュ > マスターはあれきり姿を見せない。
というかたぶんこの客の来なさ加減からするに、
勝手に店じまいして帰ったんだろう。
無愛想で何を考えてるかわからない人だが、
なんとなくうまくやれているのはその適当さもあるのかもしれない。

そういうことなら自分も、と彼に用意したものと同じ酒をグラスに入れはじめた。

「ああ、まあ普通は客に出さないけど…
アタシのお酒褒めてくれたから、キミは特別ね。

はいカンパーイ」

いつの間にやら用意していたグラスを片手に雑にぶつける

ブレイド > 「オレはいいもんはいいって言わねーと気が済まねーたちなんだ。
へへ、おかげで得しちまったな。ありがとよ」

ニカッと笑ってグラスを受け取って
彼女と乾杯をかわす。
小気味の良い音が響き、くっと一口。
炭酸というのは飲みなれないが、喉で感じる心地よさはよくわかる。
ダークチェリーの酸味のきいた甘さ。
爽やかな口当たりだ。

「へー、試作っつーけどいけるじゃねーか。
十分うまいぜ?」

イシュ > グラスを傾けてひとくち。
しゅわしゅわとしたのどごしと、甘みと酸味。

ぺろりと唇を舐めると、うーんと少し考えているような仕草を見せた。

「炭酸水で割るならもっと甘みが欲しいけど、
まあ普通には店に出さないし…
もう少し寝かせたらもっとおいしくなるかな。
ま、キミがそういうなら成功したってことにしておこうかな」

甘い酒が好きだという客が言うことなら信用してよさそうだ。
彼の言葉をホッとした様子で受け止め、ゆっくりとグラスを傾ける。

「ところでキミさ。
そのフード、暑くないの?」

ブレイド > 「へー、そういうもんなのか。
今のままでも十分うまかったけどよ
よく漬かった頃にもう一度飲みに来るかな。
炭酸で割ると、味濃いメシにもあうな」

出された食事と一緒に酒を楽しむ。
彼女の作った食事も十分に楽しんでいるようで笑顔が耐えない。
トークも軽快で、話のしやすい女性だ。

そこで話がフードに及ぶと少しバツが悪そうに

「あー、えっと……暑いけどまぁ、な?」

イシュ > 「まあ、そこそこで満足しなければもっといい結果になるかなーってね。
今度は種類も増やしておくから、またいつでも。」

酒も食事の好みも近いらしい少年との会話は
なんとなく弾んでいる。
あそこの店はうまかったとかイマイチとか、
そんな他愛のない話のひとつのつもりだった。

「ふぅん… ああ、別にフード取れってんじゃないよ。
ソボクな疑問ってやつ。」

ブレイド > 「ああ、うん、えっと…
なんつーのかな………」

ミレー族の証の耳を見せるわけにもいかない。
もちろんそれを言うことも。
かと言って適当に嘘をつく…というのもどうかとおもう。

相手に害意があったり、別になんとも思わないような人物ならいいのだが
好意的に接してきてくれた相手に嘘を付くのもなんとなく気持ちが悪い。

「えーと…ちょっと外せない理由があって…」

イシュ > 「…はは、 キミって嘘つけないタイプなんだねぇ」

言いにくそうに、でも何か言わなければ、
そんな空気を醸し出しながらしどろもどろになっているのは
かわいそうだが面白い。
獣の匂いがするから獣人なのかと思っていたけど、
どうやら違うようだ。

おもしろいから、もうちょっと困っているのを見ておこう。

「いや、ワケありのお客さんは多いから気にしないよ…
可愛い顔してるみたいだから、隠すのはもったいないって思ったケド。」

ブレイド > 「は、はは…わりぃ」

なんか結局謝ってしまった。
カリカリと頬をかきつつ、グラスの中身を飲み干す。
少しばかり頬に赤みがさしつつも困った顔。

そこから更にからかわれれば赤みはまして

「んな!?かわ!?馬鹿言うなよ…ったく…
こんな目つきわりーんだぞ?」

ほら見てみろっと、すこしだけフードをあげてみせる目元。
目つきは悪い金の瞳を見せる。

イシュ > 酒のせいもあるだろうが、徐々に増していく頬の赤みは
健康的な肌色を持つ少年であっても明確にわかるほどになってしまった。
これは、きっと楽しいやつ。

「可愛いじゃない、猫みたいで。
…んふふ、顔真っ赤。」

あまり見えなかった目元が顕になると、
釣り上がった切れ長の目と金色の瞳。
晴れた夜空に浮かぶ冬の月の光のような明るい瞳、
その目元にそろりと手を伸ばして軽く触れようとした。

ブレイド > 「猫みたいって…」

ちょっと正体を見透かされたみたいでびくりとした。
それでも悪気はないのはわかっているし、可愛いとも言われて
言葉が続かない。
ちょっと不満げにむーっと唸るにとどまった。
が…

「ぇ?」

そっと目元に触れられた。
それこそ目を白黒させそうな勢いで、カウンターの奥の女性を見てしまう。
突然触られるとは思っていなくて。

イシュ > 「だってあんなびしょびしょで来てさ、
ちょっと拭いてすぐ終わっちゃうし…」

他意があったわけではないが、
どうやら確信をついていたらしい。
不満そうに唸るところなんてまさに猫らしいのに、
とか言うと気にしてしまうだろうか。

「ん?」

ふに、とその柔らかそうな頬をつまんでみる。
手を振り払われることはないようなので、
あっけにとられた少年に何かありました?みたいな顔をする。

ブレイド > 「むー…だからそれは…
その、フード取るわけにはいかねーし…
うぐー」

『なんで?』と、突っ込まれてしまえば更に困るだろう。
目つきは悪いが睨むようではなく、むしろ眉毛をハの字にして。
女性に対して怒鳴るとか、談笑してる相手に拒絶するような態度をとるのは
苦手なようだ。

「んい…な、なんだよ…」

振り払うことなくそのままでいると
今度は頬をつままれた。
女性の顔つきに、むしろなんでこうなってるのかわからない顔を返し

イシュ > 「別にフード取ってほしいわけじゃないからいーんだって。
はは、ほんと猫みたい」

どうしてこうなったのか、困り顔で居心地が悪そうなところが
大変かわいらしい。
つまんだ頬をふにふにと弄び、
拒否されないことに満足そうである。

「肌きれーでうらやましいなーと思って。」

ブレイド > 「にゃーっていえばいいのかよ」

少し拗ねたみたいに、にゃーと鳴いてやる。
女性は楽しそうなのでいいのだが。
自分も本気で拗ねてたり怒ってるわけではないのだ。
困ってはいるが。

「きれーって…アンタのほうが…
っと、あー、えー…オレとか冒険者だし、そうでもないぜ?」

流れで綺麗といいそうになってしまって気恥ずかしくて
慌てて言葉をすりかえる。
ふにふにと頬をつままれたままではかっこがつかないが。

イシュ > 「あっはっは! いいねぇそれ、可愛いよ」

別に鳴いてみてほしかったわけじゃないけど、
ふてくされた顔でにゃーなんて言われたらおかしくてしかたない。

ようやく手を離すと、カウンターに肘をついてもたれかかり
ニコニコと頬を緩ませた。
どうやら褒めてくれようとしたらしい。
少年が言いかけた言葉が運良く聞こえたので、気分がいい。

「若いからかなー、ハリが違うっていうか…
いやごめんごめん、久しぶりにのんびり人と話したから、気分よくって」

ブレイド > 「お気に召したようで何よりだよ…
おかわり、もらえるか?」

苦笑しつつ、空になったグラスを差し出して。
猫のマネなんて、少し恥ずかしかったが、笑ってくれたのでいいとする。

頬から手が離れ、微笑む彼女。
聞かれたとおもうとやはり恥ずかしくて視線をそらしてしまう。
年上の女性にはなんだかよくからかわれる気がする。

「アンタもそんな歳にはみえねーけどな。
久しぶりにって…ここじゃあんまはなさねーのか?」

イシュ > 「ん。 同じものでいい?
じゃあ…そしたら今度はロックで」

大きな氷をグラスに入れ、ダークチェリーの果肉ごと酒を注ぐ。
果肉を潰すように軽くマドラーでグラスに押し付け、溶け始めた氷とともにゆっくりとひと混ぜ。

「ああ~… うーん、この状況じゃ説得力ないけど、
普段は話しなんてしてる暇ないくらい忙しいんだよね…」

この閑散とした状態では、なんとも歯切れが悪い。
実際そうなのだけど、話を盛ってるようにも思えてしまう。
がらんとした店内に微かに聞こえる雨の音が、
なんだか哀愁すら感じてしまう。

ブレイド > 「ああ、いいぜ。
へへ、いろいろ飲めて今日は運がいいな」

試作品ということらしいが自分結構好きな味だ。
ロックだとさらに風味が濃く感じられるだろうから
楽しみである。ちょっとしたつまみも欲しいかもだが。

「ん?そうなのか?
まぁ、わりーみせじゃねーもんな。
雨のせいかな?どっちにせよ…オレにとっちゃうんがいいかな
話も楽しいしよ、あんまり人が多すぎるのも困っちまう」

フードをパサパサと揺らしつつ笑う。
普段は繁盛しているのもなんとな~くだがわかる。
店の空気というのだろうか。

イシュ > 果肉を潰すことでより濃くて甘い香りが漂う。
ミントの葉を添えて少年の前に差し出すと、
カウンターの下をがさがさと探り始めた。
自分でも何かつまみたいな、と思っていたらしい。
ミックスナッツをザラザラと適当な器に入れると、
自分と彼の間に置いた。

「ま、普段は騒がしいけど夜遅くは割とこういうときもあるし…
アタシとお話したいときは夜中に来るといいんじゃない?」

アーモンドをひとつ取ると、ぽいっと口の中に放り込む。

ブレイド > 「ありがとよ、香りが強くて
なんか、果実水みてーだな。子供でも飲めちまいそうだ」

自分は子供じゃないのかと言われればそうかもしれないが
少なくとも自分はそうは思っていない。
置かれたナッツの皿に視線を移し

「オレも食っていいか?酒ばっかじゃ悪酔いしちまう」

ロックの果実酒を一口。
割っていないだけあって、アルコールの刺激も強い。
だが、果肉の味と香りで飲みやすくもある。

「そっか、そんじゃそうさせてもらうぜ。
騒がしいとこで一人で飲んでるよか、アンタと話しながらのほうが酒もうまいってもんだ」

サービスもしてもらえるしな。と、笑ってクルミを一つ手にとって
カリカリと食べる。

イシュ > 「ああ、勿論。
自分だけ食べて客に食べさせないなんてことしないよ」

たっぷりと盛られたナッツを少年にすすめると、
ぽりぽりと口に運んだアーモンドを咀嚼する。
少年と同じものを飲んでいるけれども、
案外アルコールが強いようで体がポカポカとあたたまってきた。
カウンターに肘をついてグラスを傾ける様はとても店員とは思えない。

「サービスは客がいないときだけね。
そういえば冒険者って言ってたっけ…
何かおもしろい話ないの?」

酔ってきたついでに無茶振り。
顔がほんのり赤らみ、へらへらと笑みを浮かべて雨の夜を楽しんでいた。