2018/06/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にフローリアさんが現れました。
■フローリア > 街の酒場が賑わいを見せ始める時間帯
平民地区の通りは、こんな時間でもまだまだ人が多い。
カンテラを持たずとも、店先の明りで十分なほどに通りも明るい。
とは言え、ひとつ路地を入ればそこは暗闇に閉ざされてており、
少女がひとりで立ち入ったならば無事では済まないだろう。
それは理解しているのだろう。
こんな時間にひとり大通りを少女が速足で歩いていた。
目立つ白い髪は、地味な茶色のスカーフで覆われており、
声を掛けられないように俯き気味で。
やがて冒険者ギルドの扉の前で立ち止まると、掲げられた看板を見上げて
ほっと肩の力を抜いたように見せた。
ゆっくりと扉を押し開くと、中のざわめきが外へと漏れ出して。
■フローリア > 喧騒に紛れて入り口を潜ると、受付を探す。
受付自体はすぐに見つかったものの、昼間の冒険から帰ってきた冒険者が受付に屯しており
なかなか順番は回ってきそうにない。
採ってきた素材や討伐した魔物の買い取り額で揉め事が起きると、その度に怒号が飛び交う始末で。
大人しく列の端っこに並んでいたけれど、なかなか回ってこない順番に暇を持て余しているのは自分だけではなかったらしい。
『こんな時間に依頼に来たのか? いいぜ、俺たちに任せてくれれば、どんな依頼でも楽勝ってもんよ!』
どことなく軽い感じの若者がそんな感じに絡んでくる。
「えっと……その、ちゃんと受付を通してお願いできればと…」
胸の前で掌を相手に向けて、やんわりと断るものの。
そんなことで引くようなら最初から声などかけてはこないだろう。
『いいから、いいから』なんて馴れ馴れしく手を掴んで来ようとして。
■フローリア > 伸ばされた手は、けれども少女の手を掴む瞬間に空を切ってしまう。
怪訝な表情を浮かべて、再度手を伸ばすけれど、結果は同じ。
目と鼻の先という距離で、盛大な空振りを繰り返す男に、周囲からヤジが飛ぶ。
『うるせぇ! 外野は黙ってろ!』
ヤジのせいで頭に血が上った男は、少女に組み付こうと両腕を広げて飛び掛かる。
『――こんなとこで問題起こしてんじゃねぇっ!』
少女が屈んで逃げようとした瞬間に、ビリビリと周囲を震わすような怒声が響き渡る。
その迫力に気圧されただけで男は尻餅をついてしまっている。
対する少女の方は、両手で耳を押さえていた。
『ったく、こんなちっこいのに手ぇ出してんじゃねぇよ。』
見るからに腕っぷしが強そうといった感じの中年男性。
口は悪いものの、『大丈夫だったか?』と尋ねられるとコクコクと首を縦に振る。
「あ、ありがとう…ございます。」
無言で手を軽く振るとギルドを後にする中年冒険者
周囲がまだ戸惑っているうちに、少女もまた慌てたように外に飛び出していく。
野次馬の視線は二人が出て行った扉から、尻餅をついたまま残された男へと。
そうして次の瞬間には、盛大なヤジが飛び交うのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からフローリアさんが去りました。