2018/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区・商店街」にブレイドさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・商店街」にマリアージュさんが現れました。
ブレイド > 夕刻には遠く、朝からも遠い。
ちょうど昼時。太陽はさんさんと顔を出し、よく晴れている。
少年が歩くのは商店街。
雑貨屋・武器屋・防具屋・鍛冶屋……様々な店が立ち並ぶ通り。
飲食店は少ないので、もっぱら冒険者が利用する通りでもある。
もちろん一般客もいるにはいるが、利用するのは雑貨か鍛冶屋の研ぎ師か。
冒険者通りと言われることもある。
今日は研ぎに出していた得物を受け取りに来たのだ。
戻ってきた剣はまるで新品のような輝き。まぁ、たまには武器にも贅沢させてやらないと。

マリアージュ >  
平民地区には不釣り合いな、仕立ての優れました白いホルターネックのドレス。
剥き出しの肩にショールを掛けまして。
あまりヒールが高くない靴を、のんびり、おっとり。

「ここにありますのかしら・・・?」

片手をお尻の後ろに、もう片手の指を顎に軽く当てまして。
きょろ、きょろ。
とってとってとおっとり足取りで、お店を覗きまして。
ふらふらと向かいのお店を覗きまして。
うろうろとしている姿です。
楽しそうな笑顔で温かい雰囲気を振り向きまして。
歩くたびに柔らかく揺れます長い銀の髪。

「こんにちはですわ。
 こちら、探検クラブですかしら?」

身体を傾けてお店の中を覗きながら、小鳥のような澄んだ声で
お店の中に尋ねてみるのです。

ブレイド > 鍛冶屋の店主が一瞬あっけにとられ
冷やかしなら帰りなと少女に言い放つ…が、自分には聞き覚えのある声。
なんというかのんびりとした…この無骨な店には似合わない、澄んだ声。
振り向けばなるほど、やはりと言う顔になる。

「マリアージュ?」

一応確認を取るために名前を呼んでみる。
探検クラブとは…いや、確か、なんか聞いたような…。
マリアージュは冒険者ギルドのことをそう言っていたという記憶がある。

マリアージュ >  
店主さんのお言葉に、不思議そうに首を傾げさせまして。
そして、外を見まして、空を見ましてから。
また店主さんを見まして。
「?」という表情で、

「今日はお外は暖かいですわよ?
 ――あっ、ブレイドお兄ちゃん!」

店主さんに、外は天気がいいことを教えてあげようと。
真面目に言うのですが。
名前を呼ばれまして、ぱぁ、っと目を大きく無邪気な笑顔を浮かべるのです。
胸の前で軽く握り合わせました両手の恰好で、
とってとってと、ドレスの裾をひらめかせながら。
いつもより心持ちのんびりした足取りで近づいてくるのです。

「お兄ちゃんも探検ですの?」

にっこにっこと、見上げて尋ねるのでした。

ブレイド > 店主はマリアージュの言葉に呆れた様子。
だが、自分が彼女の知り合いらしいと知ると
こちらをジトリと睨みつけてくる。
やめてくれ、本当にただの偶然なのだ。

「よ、よう…てかすげぇ格好だな…」

吟遊詩人の語る姫の物語でも
城下に出るときはもう少し忍ぶだろうに
そんな格好でであるいたら『自分は金持ちですよー』と言っているようなものだ。
ゴロツキ共には格好の餌になるだろう。ここが人通りの多い通りでよかった。
とりあえず、研ぎ代を支払ってマリアージュの手を取る。
この格好で店の中で話し込むのもなんだ。

「いや、オレはちょっと用事」

それもちょうど終わったところだが。

マリアージュ >  
「ここが探検クラブなのですかしらっ!」

ブレイド様と店主さんを、好奇心一杯に煌く菫の瞳で見比べて尋ねるのです。
恰好を言われますと、下を見まして。
そして腕をあげて腋からお尻を見まして。
「?」と首を傾げるのです。

「そう、ですかしら・・・」

普通の恰好、と思うのですけれど。
手を取られれば、白い長手袋で包んで華奢な手での力を抜き、
にこり、と少し控えめですけど嬉しそうな笑顔。

「あら、違いましたの・・・?
 わたくしは探検してますわ。
 いつもの道ですけど、こんなところもありましたのね。
 また新しいお店を見つけましたの」

はにかみながら、すごいでしょー、と。
ちょっと自慢げな様子なのです。

ブレイド > 「いや、ここは鍛冶屋だ」

マリアージュに鍛冶屋の説明…
いわゆる金属を加工したり金物を研いだりする店だということを説明しつつ店を出る。
まぁ、店を出てもこの通りでこの格好はものすごく浮くのだが。

「おう、まるで物語の姫さんみてーだよ」

やや呆れの混じった言葉ではあるが嘘はいっていない。
いつもの格好ならばあまり違和感がなかっただろうが…。
つないだ手を包む長手袋なんか、まさにそんな装いだ。

「おう、すげーな。
ちゃんと帰れるか?いつもの道はいいけどよ
てか、探検って…あれか?
前言ってた散歩の極意ってやつの…」

すごいなーと同意してなでてやりつつも
嫌な予感をつのらせていく。

マリアージュ >  
「ドワーフさんのお店でしたの・・・」

鍛冶師=ドワーフ。
店主さんはドワーフさんらしくないですけれど、ドワーフなのでしょう。
と一人で納得するのです。

「うふふっ・・・ありがとうございますわ。
 今日は、王城に行ってきましたから・・・」

御姫さん、といわれますと。
ちょっと恥ずかしそうにしてしまいます。
頬を薄く桜色に染め、空いた片手でその頬を軽く押さえまして。
ちょっと下向いてから、上目遣いでブレイド様を見るのですが。

「大丈夫ですわ。
 お城からまっすぐきましたから、こっちに戻りましたら。
 お城の近くにまで行けますでしょう?」

と、自信満々に。
建物でお城が直接見えないとはいえ、城から90度ほどもずれた方向を指さすのです。
お城からの道も、曲がったり折れたりで、決してまっすぐではないのです。

ブレイド > 「……まぁ、どういう店か知ってるならいい」

詳しく話せば余計にややこしくなりそうだ。
悪いが店主にはドワーフになってもらう。
まぁ、マリアージュが利用する機会がない店だ。
少しの勘違いくらいは大目に見よう。

「王城…はぁ…そりゃすげぇ…
ってか、その足で散歩に出たのかよ。
なんもいわれなかったのか?」

誰かついていれば絶対に止めるだろうに…
どういうことなのだろう。
まさか、この少女から目を話しても大丈夫…などと
彼女を知っているものならば絶対に思わないだろうに。

「あー…まっすぐ。あー……」

まぁ、それこそ直線で結べばたしかに真っ直ぐだ。
道を無視すればの話だが。
空でも飛んできたのだろうか?いや、普通に迷子というか、適当に歩いてきたのだろう。
方向わかってないし。

マリアージュ >  
「もちろん、知っておりますわ」

うにゅ。
神妙に頷きます。
もちろん、ドワーフさんのお店ぐらい知っています。

「毎日朝からお酒を召し上がっていまして、
 ハイホーって鉄の上で踊りながら剣をつくりますのでしょう?」

見てみたいわ、と。
きらきらと期待する目で店長さんを見てしまうのです。

首を少しかしげさせまして、唇に人差し指を置きますと。

「出口に出ましたら、馬車がありませんでしたもの。
 それにお天気もよろしかったですから、歩いて帰ってみようと思いましたけれど。
 気持ちいですから、少し寄り道してみましたの」

にこにこ、悪いことをしたなんてまるで思っていない顔です。
寄り道、というには。
おっとりした歩みだと、結構な時間歩いているはずなのですが。

「ここが探検クラブでありませんのでしたら、
 どれがクラブなのですの・・・?」

並ぶお店を順番に見るのです。
こちらを見る方が居られたら、小さく笑顔で会釈するのです。

ブレイド > 「あー…そういう……あー……」

なんだろうそれ。
なんだっけ…確か、幼い子供に聞かせる物語かなんかだったような。
シラフである彼らには大変失礼なのでまた今度あやまっておこう。
手を引いて店を離れつつ。

「そうかー…馬車がなかったかー
そうかー………」

やばい、絶対にやばい。
それは出口を間違えたというやつに違いないのだから。
今あちらさんは結構な騒ぎになっていたりしそうだ。
見つかったら誘拐犯と思われても仕方がない。

「あー…ギルドな?冒険者ギルド。
探検クラブじゃ誰に聞いてもわかんねーから…」

しっかりとそこのところは教えておかねばならない。
今後のためにも。

マリアージュ >  
手を引かれまして、「?」と。
我慢している店長さんとブレイド様を見比べまして。

「――見て行きませんの?」

そう尋ねながらも、素直に手を引かれてお店を出るのです。
手を握られているのが嬉しいので、前後にちょっと振りながら。
少し離れますと、小走りですぐに横に。
でも、すぐに遅れ始めますので。また小走りです。

「そうですの。
 お馬さんも天気が良かったのでお散歩に行かれたのかもしれませんわね」

くすくすっ、小さく笑いながら。
ブレイド様をはにかんだ笑顔で見上げるのです。
いつも通り、足元がおろそかですけれど。

「あっ、そうでしたわ。
 その冒険者ギルドって、どこにありますの?
 そこに行きましたら、探検・・・ではなくて、冒険者になれますのでしょう?」

うんうん、ギルドでした。
ちょっとだけ惜しかったですけれど、大体あってたので、
探していたのは合っていたと言って問題はないのです。

ブレイド > 「オレの用事はすんだから
邪魔すんのもわりいだろ?仕事中だしな」

もっともらしいことを言って鍛冶屋から離れる。
いや、もっともらしいと言うか何も間違っていないが。
歩幅があってないのでマリアージュが時々小走りになる。
危なっかしくて仕方ないので自分が歩調を合わせる形に。
遅い。とてつもなく遅い歩みだ。

「そうだなー…馬も重いもん引いてばっかじゃいられねーだろうしな」

少し凍りついた笑顔で同意する。
さて、どうしたものか。
王城に連れて帰る?まさか。
ミレー族の自分が?髭をはやした嫌味な付き人に『フードをとれ!無礼であろう!』
とか言われるに違いないのに?

「ああ、まぁ、こっからさほど遠くねぇ。
まーなんだ…登録さえすりゃ冒険者だから、なるのは簡単だ」

なるのはとても簡単だ。
名簿に名前さえかいてしまえばいいのだし。

マリアージュ >  
「お仕事でしたら仕方がありませんわ。
 ――今度、遊びに来ますわ」

お仕事はきちんとしませんと、と理解を示すのです。
そして、無邪気な笑顔で、店主さんに挨拶をしまして。
小さく手を振るのです。

同じ年頃の町娘に比べて、半分ぐらいの速度。
小さな歩幅で、それでも伸びやかに気品をもって歩きます。
追いかけなくてよくなって、握っているお手てをにぎにぎとしながら小さく前後に振ります。

馬の散歩に同意してもらって、ええ、きっとそうですわ、と。
楽しそうな笑顔は雄弁なのです。

「――!。
 それでしたら、今から冒険者さんになりますわ!。
 こっち?こっちかしら?」

少し小走り――それで人並――になって、まったく違う方向にブレイド様を引っ張ろうとするのですが。
後を振り向きながら急ごうとしますと、途端に転びそうになるのです。

ブレイド > 「一応仕事場だから、遊びで来ちゃだめだ。
まぁ、なんか研いでほしい刃物とか手入れして欲しい金物があったら
もってくればやってくれる。金は必要だけどな」

まぁ、いざそうなったらマリアージュ自身はがっかりするだろうが。
優雅に手を振る姿は本当に無邪気な姫君のよう。
いや、実際それに近い感じなのだが。

ゆらゆらと揺れる手。実に楽しそうで何より…なのだが
わりと心の中はどうしたらいいのかと悩んでいる。
放置というわけにも行くまいさすがに。
にぎにぎしつつも考えていたら、彼女がとつぜん小走りに。

「うお!?
いや、まて!オレが案内するから落ち着け
って、あぶねっ!?」

転びそうになるマリアージュ。
あわてて抱きとめようと踏み込む。
というか、このまま転ばれたら自分も巻き込まれそうだ。

マリアージュ >  
「――え? いけませんの?。
 研いでほしい刃物・・・包丁、かしら?
 と、お料理鋏と選定鋏と。あ、あと裁ち鋏がありますわ・・・。
 遊びにきたらいけませんのでしたら、お茶会します時に持ってきますわ」

細い指を立てながら思いつく刃物。
いつもの騎士姿の時の玩具のような小剣は出てこないのです。

何もないところでまた転びそうになりまして。
抱き留められまして、胸に軽く手を置いてほっとします。
ふわりと甘い匂いを身体から漂わせますけれど、

「・・・びっくりしましたわ・・・。
 どちらに行きましたら宜しいの?」

抱き留められたまま、見上げながら尋ねます。
身体に回されたブレイド様の腕に、両手の平を軽くあてるのです。

ブレイド > 「お茶…会…?お、おう…そうか…
まぁ、そういうもん持ち込んで、金さえ払えば…大丈夫だろ
たぶん……」

優雅に仕事場でお茶を飲み始めたらさすがにどうなるかはわからないが。
というか、できれば誰か同伴で行ってほしいものだ。

さて、ゆっくりゆっくり鍛冶屋から離れ
転びそうになったマリアージュを抱きとめれば
かぎなれた甘い香り。この香りはどうもよろしくない。
体の芯がうずくような。そんな気がしてくる。

「あー、えーっと…こっちだ」

マリアージュの仕草、人前でされるには少しばかり照れくさい。
顔を赤らめながら体勢を正し、マリアージュをギルドへと案内する。

マリアージュ >  
「はいほー、はいほー、ら~ららら~♪、って。
 やって頂きますの」

くすくすっと、澄んだ声で楽し気に少し歌いまして。
楽しみですわ、と上機嫌。
鍛冶屋のおじ様のハードルを上げていくのです。

剥き出しの背中や肩がブレイド様の服に触れまして。
頭をちょっとブレイド様にこすりつけるのです。
後で赤くなられているのも気づかずに、案内されるままギルドへと足を進めますが。
身体が大きな男性が何人もおりますと、
とととっ、とブレイド様の後ろに回りまして。
服をちょっと摘まむようにするのです。
興味津々のお顔が横から出てくるのですけれど、
ちょっと緊張してしまいます。

ブレイド > 「お、おう…そうか…」

もし本当にそうなったとしたら…
鍛冶屋の店主が気の毒でならない。
余計なこと言わなきゃよかったと心の中で詫びを入れつつ
歩みを進めていけば、冒険者の数があからさまに増えていく。

さすがに服をつままれるのを感じれば
雰囲気にやや威圧されているのかと、マリアージュを引き寄せて。

「まー、このへんはいかついヤロー共が多いからな。
離れんなよ?迷子になったらさらわれちまうかもしれないぜ?」

などと冗談めかしつつ、ギルドの中へと。
中は幾人の冒険者とギルドの受付カウンター。
依頼の張られた掲示板などがある。

マリアージュ >  
後に回って、身体半分隠しながらも。
興味津々ときょろ、きょろっとするのです。
場違いな姿にこっちを見る方がおられますと、
ちょっとびくっとしましてから、首を少し傾げさせ。
そして笑顔で小さく手を振るのです。

「・・・もう少し、身だしなみを整えられたほうがって・・・。
 って、わたくし、もうオトナだから迷子にはなりませんわ」

言われた言葉に気付きまして、上目使いにじっ、と見上げながら。
ほっぺが小さくぷくっと膨れるのです。

「ここが探検クラブ・・・ではなくて、冒険者ギルドなのですわね・・・。
 あっ、あれ、なんですの?」

きょろきょろしてましたら、壁に髪が沢山張られているところを見つけまして。
ブレイド様のお洋服をつんつんっと引っ張りながら指さすのです。

ブレイド > 注目を受けるのは仕方ない。
あまりにも場違いすぎるのだから。
できれば余計なことは言わないでほしいが
それを望める相手でもない。
いい意味でも悪い意味でも無邪気なのがマリアージュなのだから。

「いいんだよ。ありゃああいうファッションなんだ。
迷子っつーか、はぐれるなってことだよ。ちゃんとつかまってろ」

なだめるように言い聞かせて頭ポンポン。
漫才しに来たなら帰れという視線がとても痛い。

「大声出すなって。ありゃ依頼が張られてる掲示板だ。
あの紙一枚一枚に依頼が書いてあって、それを冒険者が受けるってシステムだ」

興奮気味のマリアージュにおとなしくするように
人差し指を唇に当てる。説明はちゃんとしておくが。

マリアージュ >  
「・・・あれが、探け・・・冒険者さんの制服ですの?」

まじまじとまっすぐにそんな厳つい大人を見るのです。
ゆっくり見回してみますと、とても色んな装束がありますが、
あまり綺麗ではありません。
あんなお洋服は少し・・・とブレイド様の背中に隠れてしまうのですけど。
頭をぽんぽんされますと、はっとしまして。
ブレイド様を見上げ笑顔になるのです。

「あれを見ましたら、探検できますのねっ!」

と思わず大きな声、といっても澄んだ声なだけで大きいというほどではないのですが。
人差し指に唇をあてられるのを見ますと。
慌てて、片手の指を揃えて桜色の唇を隠しまして。
こくこくっ、と頷きます。
何か、声をだしたらダメな儀式きっとこれからあるのですね、と。
頷いているのです。

ブレイド > 「いや、制服とかはねぇけど…
まぁ、装備だ。装備。怪我しねぇように
丈夫な鎧とか服とか着てんだよ」

オレの服も同じようなもんだろ?と、マリアージュが掴んでる服をよく見せる。
まぁ、革鎧とかに比べればまだ見れたもんだろうが
自分だってお世辞にもきれいな格好とは言えない。
それにしても、表情がくるくる変わる妹分だ。
今はそれが少し気まずくて、返す笑みも苦笑いに近いが。

「ちゃんとカウンターに届け出なきゃだめだ。
そのまえに、冒険者じゃなけりゃ依頼は受けらんねー」

よし、いい子だ。
少しどよめくギルドの中をマリアージュを引き連れて歩く。
受付カウンターに少し気まずそうに

「えーと、冒険者の登録をしたいんだけど……」

マリアージュ >  
「それでしたら、もっと可愛いお洋服がいいですわ」

ちょっと唇を尖らせて言ってみるのです。
服をみせられると、服に目が行ってしまい。
両手でブレイド様のお洋服を引っ張ったりしてみます。
そして顔をあげますと、

「もっと可愛いのがいいですの」

きっぱり。
そしてまた服に目を向けますと、せめてここにレースをつけまして・・・。
とブレイド様のお洋服を可愛くするのを呟いてしまうのですけれど。

そうですの?、と揃えた指先で唇を抑えて。
目で尋ねるのですが。
儀式、ちょっと緊張するのです。

「・・・」

まだ唇を抑えまして喋らないようにしながら。
冒険者の登録、という言葉にこくこくっ。
受付カウンターの方に頷くのです。

ブレイド > 「まぁ、そういう鎧とかもあるけどよぉ…」

見た目重視の鎧や防護服もあるにはある。
当然値は張るのだが。
マリアージュにはそのへんは関係ないだろうが。
そして、自分の服を見てもう一回。

「そうかよ…」

さすがにこんな黒いゴワゴワした服はかわいくはないだろうが…。
レースとかは勘弁して欲しい。というか、防具でレースとか
危なっかしいにもほどがあるのだが…。

「……コレのここにサインを」

受付から差し出された名簿。
たくさんの名前が書かれているそれの一番下。
空欄の部分を指差して。

マリアージュ >  
「――どこで探検服、変えますの・・・?」

ブレイド様のお洋服改造計画。
プリーツ入れまして・・・あ、お尻尾にリボンも大事ですわ・・・。
小さな声、指で服をなぞりながら考えてしまうのです。

「・・・」

片手で口を隠し、もう片手はブレイド様のお洋服をつまみ。
サイン、と言われても特に動かず、目をぱちくり。
そしてブレイド様を見上げるのです。
サインですって。サイン、されませんの? と。
まさか、マリアージュのサインを求められている、と思っていないのでした。
 

ブレイド > 「……騎士だろ?
鎧とか防具…しらねぇか?
えーと、まぁ…防具屋…さっきの通りにあるんだけどな」

マリアージュの計画など露知らず
とりあえず教えておく。
まぁ、場所はわからないだろうからまた連れて行くことになりそうだが。

「……?」

こちらも同じように首を傾げて目をぱちくり。
なんか目でサインしないのかといってるような気がする。

「……マリアージュが書くんだぞ?」

マリアージュ >  
「?
 騎士の鎧はありますけれど、騎士の制服ですの。
 探検は探検のお洋服が必要だと思いますわ。
 ――防具屋さん、行ってみますわ」

首を少し傾げさせながら、常識のように言うのです。
そして、防具屋さんに行くつもりたっぷりなのです。

「・・・?」

ブレイド様と視線が合いまして。
「?」と首の傾きが深くなるのですけれど。

「――!。・・・」

ちょっとびっくりしまして目を大きくしましてから、
こくこくっと頷きます。
まだ唇を隠したまま。
とてとて、と受付さんの前に。
受付の方と目が合いますと、丁寧に頭を下げましてから。
ペンを手に取りまして。
さらさらさら~、と。流麗な装飾もされた書き文字で、
『マリアージュ・コンラート』と記載するのです。

「・・・」

唇をまだ抑えたまま、これからどうすればよろしいですの?
と、受付の方とブレイド様のお顔を見比べるのです。

ブレイド > 「……そうか…まー、そうか、騎士の鎧はそういうもんか。
冒険者の鎧は…なんつーか…
まぁ、いいや。ちょっと用途が違うって覚えときゃいい。
防具屋は今度な?」

ここから歩いて…マリアージュの歩調で帰るとなると
日が暮れてしまいそうだと言うのに防具屋まで寄っていたら
また朝帰りさせてしまう。
そういえば、この間宿に泊まったときは大丈夫だったのだろうか?

「ん、よし。これでマリアージュも冒険者だ。
まー…依頼はまた今度な?とりあえず出るぞ」

ものすごいなんとも言えない視線を全身に浴びているようで居心地が悪い。
実際、注目を浴びているのは事実だ。
居心地が悪いのでマリアージュの手を引いて外へ向かう。

マリアージュ >  
「あ・・・そうそう、冒険者さんの鎧、でしたわ。
 可愛いのありますかしら・・・?」

防具屋に連れて行って貰える、と判りますと。
ご機嫌です。
ブレイド様お洋服改造計画はどこかに消えてしまったのです。

「――ぷはっ。
 はい、これでわたくしも冒険者ですの!。
 これで、もっと探検してよろしいのですねっ」

がんばって口を押えていましたので、冒険者になったから
もう大丈夫なのだろう、と。
指を話しまして、胸を軽く押さえて深呼吸を少しするのです。

「――え?。
 今から探検しませんの?」

目をぱちくりとさせてしまうのですけれど。
手を引かれれば、大人しくついていきますけれど。
出入り口で足を止めますと、手を離しましてくるりと半回転。
少し広がる裾が落ち着きますと。
ドレスの裾を軽くつまみまして、カーテシーの優雅な挨拶。

「――わたくし、冒険者になりましたの。
 これから、よろしくお願いいたしますわ」

そして、くるっとまた半回転しますと。

「――お兄ちゃん、でしたら今度、にゃんこ集会を探検いたしませんかしら?」

急いでまた手をつなぎなおしまして。
ブレイド様のお顔を見上げながら、にこやかに提案するのでした。

ブレイド > 「可愛いの…まぁ、注文すりゃあるんじゃねぇのか?
よくわかんねーけど…」

防具のデザインとかわりとよくわからない。
頑丈で動きやすい服でないと本領が発揮できないのでコレにしているだけなのだ。
故郷からずっとこれだったので、実は防具屋を覗いたことはない。

「?
まぁ、そうだな…えーと、できるだけ誰かと一緒に行くんだぞ?
というか、依頼を受けるときはオレに言えよ?
冒険者ってのは、仲間と一緒に行動するもんだからな」

さすがに一人で依頼とか、危なっかしすぎるというか、普通に危険だ。
何をするかわかったもんじゃない。
下手すりゃ化物の苗床とか邪教の生贄とかろくな目にあわないだろう。

とつぜんの上品で優雅ない挨拶に、周りの冒険者はキョトンとしてるだろう。
そのままいそいで手を引いてその場を後にする。
後で笑い話にでもされるだろうが…。

「そうだな。猫の集会な……。たまにゃそういうのも悪くねぇ」

繋いだ手を握り返して、微笑み返す。
気疲れはするが、飽きはしない。
なんだかんだで可愛らしい妹分だ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区・商店街」からマリアージュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・商店街」からブレイドさんが去りました。