2018/03/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフラニエータさんが現れました。
フラニエータ > 平民区画の西方に小さな店が一軒あった。過去形なのは既に店は営業を止めてしまっているからだ。
閉店を伝える旨を知らせる看板が店の入り口を遮っている。看板の汚れ具合は、結構な時が経っているのを告げていた。
その看板の前で女は何かを考えていた。
女はこの店がなんの店だったのかすら知らない。なので店での思い出に浸っている訳では無さそうだ。

両肘を抱える様に腕を組み、体重を片足にかけて思案を続けている女。

フラニエータ > 女は溜息を一つ落とすと懐から地図を広げ、それを眺めながら足を動かし始めた。向かう先は数件離れた店。
そこに向かっている途中、女はすれ違う男に肩をぶつける。
さて、女はいつもの様にお仕事を開始する…のかと思いきや、

「あッ、ごめんなさい、申し訳御座いません。」

普段より半オクターブ高い、早めの口調で、手を前に揃え男に深々と頭を下る。
そういえば女の格好がいつもと違う。また何者かを演じているのだろう。

フラニエータ > そして辿り着いた先。――そこも前と同じく、既に無くなった店。そこは地下の様子で、階段を遮る様に閉店を告げる看板が立っていた。
薄暗い階段の先は、かろうじて扉が見える。が、その中がどうなっているのか全く分からない。

女がまた、懐から何かを出した。それは図面。どうやらこの店の地積測量図のようなものだった。それを見ながら再び思案を始める。

「…ふぅん…」

それを見ながら女がニヤリと笑う。いつもの笑いだ。

フラニエータ > 今夜は晴れており、ほぼ無風。なのに何故か、階段を遮っていた看板が大きな音を立てて倒れた。
図面を見ていた女は、ビク、と体を硬直させるも、それも刹那。

「…こんな事で驚くと思っているの?…フン…」

いつもの口調、いつもの態度で倒れた看板をゴン、ゴン、ゴンと蹴る。

――…チュウ
小さな小さな声が聞こえた。どうやら此処を住処としていたネズミさんが、苦情を言いに来た様子。

「…――ッ…キャアあああアアァアあああ!?」

絹を裂く様な声が響く。同時に女は地面にへたり込んでいた。
辺りが騒がしくなり、一斉に注目を浴びる。
女は自分を見ている人々に、何度も何度も頭を下げた。ぺたんとお尻を地面に乗せたまま。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > とん、とん、とん、少女はいつもの調子で屋根を飛び移っていた。
暗くとも、月明かりさえあれば、足元に何か落ちてて踏み外す、なんて間抜けな事はない。
そう、それだけは、確かになかったのだ。

…が、意外性というのは、どんな事にでもあるもの。
次の屋根に移る為に、今足場にしている屋根を蹴ろうとした…その瞬間、下から響いてくる叫び声。

「………あ」

何事?と思考がそちらに向いた途端、ずるりと足が滑った。

「ちょ…い、今のは、今のは誰じゃああああああぁっ!?」

次の屋根まで、明らかに距離が足りない。
少女は、下から響いていた叫び声と、また違った叫び声をあげながら、落下していく事となる。

もっとも、屋根から落ちて怪我をする、まではいかない。
くるりくるりと宙で数度回転し、しゅた、と見事に着地。
今目立っているのとは、また違う意味で目立つ事だろう。

フラニエータ > 声がする方向を見やる女。素っ頓狂な声と共に落ちてくる何かを目で追いかける。どうやらそれはヒトの形をしているようで。
危ない!と思ったがそれは杞憂だった。それは見事に宙を踊り、何事も無かったかの様に美しく着地する。
パラパラと聞こえてくる拍手は、その人物に向けられていた。

女は自分より注目を浴びている人物に対して、座ったまま、ちょっと気弱そうに頭を下げた。
立って頭を下げるべきなのだが、どうやら腰を抜かしている様子。

「あの…ごめんなさい…」

月明かりの逆光で強調されたライン、それを見れば少女だということが分かる。

「ごめんなさい、お嬢ちゃん?…五月蝿かった…?」

そんなの決まっているだろう。少なくとも女が叫ばなければ落ちてくる事は無い。それほどの身体能力をもっている人物なのだから。

タマモ > うむ、満点の着地じゃろう。
そんな事を心の中で思いながら、聞こえてくる拍手に、ぴこぴこと耳が揺れていた。
目立つつもりはなかったのだが…まぁ、良しとしておこう。

と、揺れる耳に、謝罪の言葉が届いた。
なんでいきなり謝るのか、今の状況から考えれば、そう難しくはないもので。
ぐるん、と首だけがそちらへと向いた。ある意味怖い。
さて、己を落としてくれたのはどんな相手だろうか?なんて思い見てみれば、なんか地面に尻餅をついている。
周囲には、襲ってきているような相手も居やしない。
不思議そうに、かくん?と首が傾く。
まさか、鼠に驚いて…なんて思いもしてないのだ。

「ふむ…なかなかに、見事な不意打ちじゃった。
妾でなければ、危うく大怪我ものじゃぞ?ん?」

体までちゃんと相手へと向けば、肩を竦めながら近付いて。
逆に、この少女だからそうなったのだとも思えなくもないが、気にしない。

フラニエータ > 女は自分より注目を浴びている少女を心良く思っていなかった。じっくりと見れば愛らしくも美しい装い、さらさらの髪、美しい金瞳。
――そして自分よりかなり若い。そんな彼女が自分を差し置いて喝采を浴びている。それが女の嫉妬を掻き立てていたのだ。
いや、そんな事を考えている場合では無い。

「驚かせてごめんなさいね?変な声をあげてしまって…その…あの…」

とりあえず普通の女の演技は続けておこう。自分の所為で屋根から落ちたであろうから。…屋根?
「(…身のこなしもアレだし…そういえば…耳?…ふぅん…普通じゃないのは間違いない、わね)」
そう考えた女は気弱そうな声のまま、こちらに近づいてくる彼女にそう伝える。
彼女が女のそばに辿り着けば、「…腰が…えっと…その…」と自分の惨状を加え伝えた。

タマモ > 己が近付く相手が、どう思っているか…なんて気にしはしない。
ただ、何となく感じるのは、違和感だった。
少なくとも、見た感じとは違う、普通では無い…その程度の大雑把なものではあるが。

「あー…変な声、じゃったか?まぁ、その辺りはどうでも良い。
して、いつまでそんなところで座っておるつもりかのぅ?」

少女から見れば、ただ尻餅を付いているだけの女性だ。
腰を抜かしているとも、思ってはいなかった、のだが…
相手からの言葉に、ふむ、と一つ頷く。

「ほほぅ…腰が…?どうしてじゃろうか?こんな場所で?」

少なくとも、間近に誰か居る感じはない。
何かを持ち上げて…みたいな感じもない。
思い付かぬ理由を、こう、直接本人に聞いてみた。

その間に、頭の天辺から足の爪先まで、まじまじと見詰めてみる。
ふっと頭に浮かんだのは、丁度良い暇潰しが見付かったかもしれない、とかどうとか。
堂々と口に出すには、少々あれな内容である。

フラニエータ > 彼女からの問いを聞けば、思い出される直前の光景。頭にあのおぞましいネズミが浮かぶ。
女を驚かせたネズミは一匹のはずだったのだが、
「…10匹位のネズミが…それで…びっくりして…」

――増えた。
しかし先程のネズミに思考の大半を奪われた女には、そんな事を考えている余裕は無かった。
誰も見ていなければ世界を破壊する程の魔法を打ち込んでやりたい、その位女はネズミが苦手だったのだ。

「腰が…ごめんなさい、お嬢ちゃん。」

恥ずかしそうに目を伏せ、顔をそむけて見せる女。
凡そ10台後半の女に対して凡そ20台後半の女が恥ずかしそうに顔を背ける絵面はとても滑稽である。
しかし先程のネズミに思考の大半を奪われた女には、そんな事を考えている余裕は無かった。

タマモ > 「ふむ…鼠か…」

ちらり、と周囲に視線を向ける。
視線の端に、確かにそれらしい影は映ったが…10匹?と、首を傾げたままだ。
耳で音を聞き取り、気配を探りと、どうやってもそんな数が感じ取れないからで。
そんな事で偽って、何があるのだろうか?ふと、考えてみる。
………うん、理由が思い付かない。

と、ふと一つだけ頭に浮かんだ。
合ってれば面白い事になるし、間違っても珍しい光景が見られるだけ、そんな感じの。
いくら鼠が複数見えたからと、それが腰を抜かす原因となるならば…

「まぁ、それだけの鼠が急に現れては…じゃろうか…?
ふふ…そうでなければ、大丈夫じゃろうな…そうじゃろう?」

にっこりと、女性へと向ける笑顔。
少女を知る者が見たならば、違和感だらけのものだろう。
そして、遠回しに何かを伝えるかのような、問い。
同時に、ちょいちょいと指を振れば…ちょろり、と一匹の鼠、再登場。
もし別の鼠が居るならば、連れ立って現れて来るように、そんな意地悪を。

フラニエータ > それなりの時が経てば、ゆっくりと頭の中からネズミが退散していく。少しだけ取り戻した思考。
女はそれを振り絞って、彼女の口調に疑問を感じる。見た目の割には年寄り臭い。若い子に流行っている言葉遣いでも無い。
そう考えているとなにやら不穏な言葉が彼女から発せられた。

「…え?急に…?え、何?…ちょ…」

向けられる笑顔には首をかしげ、引きつった笑顔。一応演技をしているつもりだが声の高さはどんどん低くなっていく。
彼女の合図と共に現れるネズミ様御一行。その数およそ10匹。
女は動転したのか慌てて懐を探る。なにか武器でも探しているのだろう。しかし生憎今日は巻きスカートでなく、ブーツも履いていない。
それなら髪留めを、と髪に手を伸ばすが、それすら無い。
更に動転した女は懐を探り始めた。世界を滅ぼす魔法でも探しているのだろう。しかし出てくるのは使えない小銭やらピンやら釘やら石。

「…――ッ…キャアあああアアァアああああァああぁああァァ!?」

両手で頭を抱えて地面を向く女。再び辺りには絹を裂く声が響き、再び注目を浴びる。
今度は望み通り、彼女よりも注目を浴びれたのだ、本望だろう。

タマモ > 「いやいや、大した事ではないぞ?
驚かされたのを、驚かせる事で返す、下手な詫びより楽じゃろう?」

一匹から、二匹、三匹…気が付けば、相手が言っていた通りの数になった。
どうやら、少し離れていた鼠をも呼び寄せてしまったらしい。
まぁ、偽りが真実になったのだ、これで一安心である…一安心?
ともあれ、そうして数を増やした鼠に対する反応は、思った通りのものだった。
叫び声を上げて注目を集める、そんな様子をにまにまと笑顔で眺めて。

「さて…この調子で、今度は妾が落とされた詫びじゃ。
普通に考えれば、大怪我であった高さじゃからのぅ…どうしてやろうか?」

気が動転した際に取った行動から、普段は何らかの対処法を持つ者であろう予想は付く。
そうでなければ、本当に苦手なものを前にした行動は、逃げの一手であるはずだ。
ならば、少しくらいの悪戯、どうって事もないだろう。
集まった鼠を従わせながら、するりと相手の横へと屈む。
その耳元に唇を寄せ、ゆっくりと、それを伝えてやって。

フラニエータ > もう演技なんてしている場合では無い。頭の中ではネズミが花火をバックにダンスを踊っている。
すっかり素に戻った女は両腕で顔を覆ったまま、地面を向いたまま、いつもの声のトーンで強気な命令口調の言葉を発する。

「ねぇ、まだ居る?アレ、居るの?来ちゃダメよ?ダメだからね?ちょっと、居るの?居たら返事をして!」

恐らく前者はネズミ、後者は彼女。彼女が離れて行って、ネズミがちゅう、と返事をしたらどうなるのか。
そんな事を考えている余裕は無かった。女の頭の中では、ダンスを踊っていたネズミたちが、煌びやかなパレードを始めてしまっている。

突然耳元を襲う声。ぞくりとする感覚に、ひッ、と小さく声を上げた。しかしそれが先程の彼女だ。

「貴女への?さっき謝ったでしょう?ほんとに…ダメなのよッ、お願い、どうにかして、何でもするからッ」

藁にもすがる、とはこのことだろう。女は頭を小さく振りながらそう彼女に告げた。

タマモ > 相手の頭の中が見られたのならば、きっと少女は大満足で見逃しただろう。
相手の負の感情も糧とする少女にとって、これほどまでの過剰な反応はそう思える程に満たされるものなのだ。
だが、今は相手の思考を読んでいない…残念な事である。

少々間を空けた後の囁き、それによる反応さえも、うんうんと頷いて。
しかし、言葉を聞いた少女の耳は、ぴくり、と動いた。
にまーっと、意地悪そうに浮かべていた笑みが深まる。

「そうかそうか、どうにかすれば、何でもするんじゃな?
口約束とはいえど、違えれば…まぁ、分かるじゃろう。
ふふ…たっぷりと、楽しませて貰うとしようかのぅ」

伸びる腕が肩を抱き、続く言葉を囁きながら、ねろ、と耳に舌が這わされた。
鼠達へと向ける視線、それに誘われるかのように、散り散りに駆け去っていって。

フラニエータ > 幸か不幸か、耳元に感じた声が彼女との距離が近い事を伝え、手を伸ばせば届く位置にいる事が分かった。
ほんの少しだけ落ち着きを取り戻した女。
自ら視線を切っている女には、己の醜態を笑顔で楽しんでいる事は見えないだろう。
しかしその口調、声の抑揚が明らかに楽しんでいる。この小娘、痛い目を見せてやる。そんな事を考える余裕さえ生まれていた。

「ひぅんッ?!ちょっとッ…小娘の癖に生意気よッ!」

肩を抱かれれば耳元に感じる生暖かい滑った感触。声の方向から察するに、恐らく彼女のものであろう。少なくともネズミは肩を抱けない。

「言ったけど…そ、そういう事がお望みなの?それなら安いものよ、いいわ、いいわよ、だからアレ、どうにかしてくれる?」

少し感じる違和感。己を味わう彼女の舌は妙に扇情的だ。有体に言えば慣れている。肩を抱く行為もそうだ。
少なくとも、そこいらの男よりは女の悦ぶ事を知っている。恐らく年相応の経験では無い。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨屋」にピングさんが現れました。
ピング > 本日も特に繁盛しているでもなく呑気に1人、店番がいるだけの雑貨屋。

カウンターに座する店主のその手元には色とりどりの布――と言うか、女性物の下着。
一枚一枚をカウンターに広げては、さすさすと指の腹で生地の感触を確認したり、そのデザインを確かめる様に天井に透かしていたりした。
非常に真剣な面持ちなれども、女性下着を検分する様は控えめに言っても真面目に見えない光景だった。

―――女性が好む下着と、男が好む下着。
重なる部分もあれば、きっと乖離する部分もある。
カウンターの上に広げられている下着は多分に後者の色合いが強いのはご愛敬。
今も、その手に広げて透かし見ているのは、淡い桃色の生地にフリルのついた、所謂穴空きショーツと呼ばれるもの。
股の部分に一見して判らぬ裂け目のついた、妙に凝った代物だ。

ピング > こうして本日も時間が過ぎていく。
ショーツの検分が終わるまでさて、どれほど時間がかかったのやら―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨屋」からピングさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店通り」にエイブラさんが現れました。
エイブラ > 【継続待機中です】