2018/03/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区・雨の路地裏」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 薄暗い路地裏の軒先。
少年は立ち尽くしていた。サアッと響く雨音。
雨粒そのものは大きいものではないが、勢いのある春の雨。
少し耐水性のある程度のマントでは防ぎきれないだろう。
雨具も持ち歩いていなかった少年は、依頼帰りに降り出したこの雨を避けるために手近なところで雨宿りをしていた。
「ついてねぇ…」
■ブレイド > おとなしい雨であれば雨音を楽しめた。
小雨ならば濡れたとしても気にはならなかった。
だが、どちらにも属しないこの雨は楽しめるたぐいのものではない。
曇天を屋根の下から睨めつけつつ、ため息一つ。
■ブレイド > 走って帰宅するには少し遠い。
軒先を渡り歩く頃には濡れ鼠になっていることだろう。
そして、和らいだといえまだ暖かいともいい難い空気。
健康を維持できるとは思えない。
「風邪程度なら…とはいえ…」
なるとわかって病気にかかりに行くほど愚かでもない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・雨の路地裏」にアッシェさんが現れました。
■アッシェ > 久方振りの恵みの雨模様。聊かその雨の兆しは激しい模様。
春の嵐が到来した模様で季節の変わり目に相応しい質より量的な雨粒達。
東方で使われているという紙に油を塗ってそれを竹の骨や柄、糸で構成されたいわゆる番傘を差し、
ゆっくりとして尚且つ急いでもいない足取りで路地裏を進む、少女。
その少女の髪の先は普通ではなく 髪と言うより炎が宿しているようで決して水分に触れても消えやしない。
時折 何かに反応する様に髪の炎は揺らぐ、大方魔力の流れだろう。
その足取りは確実に 雨宿りをしているブレイド氏の方へと向かっている。
「もっと降ってくれないとこまるわあ」
もっと雨が降って欲しいと願う妙な少女。
■ブレイド > 「ん?」
空気の異質さを感じて、思わずそちらへと目を向ける。
珍しい形の傘を指した赤い髪の少女…いや、赤いというか燃えているような色というか。
ゆったりとした足取りのまま近づく少女をみると少し首を傾げる。
何処かでみたような?いや、知らないはずだが…
謎の既視感を感じる。
近づく少女を見つめたまま、軒先でじっとしている。
■アッシェ > 髪の先がぶっちゃけ 炎 火。それが雨降りしきる外なのに燃えている。
髪がこんがり燃えているのではなく先だけ燃え盛って揺らいで一定の形を作っていない。
「あら。久方振りの。お久しゅう?ってあ、分からへんか。」
ゆっくりと少年の方へと歩いて通りかかり、此方を見詰て来る視線に 少し間があって気づく少女。
去年のほぼ暮に数日のバイトを受けてくれた少年が軒下で雨宿りをしている。
声をかけてすぐに気づく、声や気配は変わっていないが、今日の姿は黒い姿ではなく、赤い姿の方だったと。
これは流石に気づいてくれるだろうか?無理だろうか。自信はない!
■ブレイド > 見つめる少女は見知らぬ姿であったが、口を開けばどこかで…。
しかも、あったことがあるような口ぶり。
「え、あ?ひさし、ぶり…?
えーっと……そのへんな喋り方っつーか、声…。
なんかあったのか?髪とか…。赤いっつーか燃えてるぞ?」
思い出しはしたが、声と姿が一致しないせいで気持ち悪い。
燃える髪にかんしていたって本人は平気そうなので大丈夫ではあるのだろうが
さすがにこの変わりようは戸惑わざるをえない。
「しばらくぶりだな…でいいんだよな?」
■アッシェ > 口を開けば相当訛っているどこかの方言っぽい喋り。
いや、黙っていればそこそこの令嬢に思われる事が多いけど、口をきけば割とその仮面はすぐに粉砕。
「そうお久しゅう。…変て 故郷の正しい喋りっちゅうに?声は変わってへんよ?声だけは。
あと…あー去年の時は黒の姿やったね、うち、姿が二通りあるん。黒いときと今日みたいな赤いときと。
赤いときは割と元の正体分かりやすいって聞くわあ。竜の時も鱗の先が燃えているさかいね。
燃えているのがキモイっちゅうたら 消すけど…魔力抑えるだけやし。」
姿が割と気分で変化する正体が古竜が一柱の少女。
人に化けているのが仮の姿なので、黒いときと赤いときと二つに分類できる。
旦那はんのリクエストにより姿が変わるだけなので外身は変化しても中身は一定だった。
「そそ、暫くぶり。酒は無事にトラブルもなく今年初めから販売されとう。あんときに依頼受けてくれて感謝しとう。
で、ここで何しとん? 此処 うちは寒くなかけど、寒くなか?」
■ブレイド > どうやら、知り合い…年末に出会った依頼人で間違いはなさそうだ。
言葉遣いや気安い態度もあって、ピッタリと人物像に一致する。
姿以外は、だが。
「あー、気を悪くしちまったならわりぃ。やっぱ聞き慣れねぇ言葉遣いだからよ。
ま、姿の違いはそういう理由があるならまぁ、納得だ」
2つの姿を使い分けているのか、それとも服のように気分やファッションでかえてるだけなのかは分からないが。
「キモいなんてこたねぇけど、傘もえねぇのか?
紙で出来てるっぽいけどさ」
正直赤く煌めく燃える髪とかかっこいいとすら思う。
だが、それはそれで不便そう。
「ま、依頼だしな。うまくできてたようで何よりだ。
んで、なにしてるって…そうだな。なんもしてねぇっつーか…雨宿りってやつだ」
■アッシェ > 認識してくれていそうだ、正直自信はなかった。
あれか、声と気配と魔力ただ漏れでは認識はしてくれないのか。
外見が変わっているので、これで出来そうな気がする丁寧な喋りをしていたら気づいて貰えなかったかもしれない。
今からでも遅くはないが 自身から独特な喋りを引けば何が残るか分からないので喋りは死守しよう。
「東の果ての極一部で使われとう 喋りやからなぁ。
独特過ぎて理解されなかときもあるん、丁寧なのも出来るんけど、
あれしたら うちがうちでなくなってまうから堪忍。
でもどっちが多いって聞かれたら 黒い方やろね…こっちは目立つん」
2つの姿の内 どっちが多いかと聞かれれば黒い方が圧倒的。
魔力とか気配の目敏い人からすると赤い方はおっかいないそうだ。
あと存在が目立つから、お仕事の際に囮に使いやすいとも。
「傘は燃えなかよ?うちが自分で作ったもんやし。
紙に塗った油みたいなもんに防火とか施したら燃えへんな。
あと 傘ささなくても うちなら 雨防げるけど、ささないと浮くやろ、雰囲気的にさしとるだけやな」
傘ささなくても正直平気な方。魔法で雨を物理的に防いでしまうのだ。
さしているのは人族が割と多い王都では浮くだろうという意味で傘をさす。
傘の柄を指先でくるくると回す、そして肩に柄を載せる。
「雨宿りて 雨具とか傘とか…傘 持ってへんの?
此処にいる時点で そのフードみたいなコートはやわいやろなぁ…」
ちょっと改めてブレイド氏を見詰た 要は観察。
■ブレイド > 「意味がちょっと伝わんねー程度なら、改めて聞きゃいいしな。
その言葉遣いじゃなきゃ、オレもアンタだとはわかんなかったかもしんねーし
だってよ、髪も目も色やら長さやら違うしよ。
確かにこっちの方は目立つし…いや、前のかっこが地味とは言わねーけど
目に止まりやすいのは明らかにこっちだろうしな」
髪が燃えているなんてのはそんなにみない特徴だし。
依頼中もだいたい黒い方であっただろうから
わからないのも無理からぬ事だ。
「へー…やっぱすげーんだな。
そういや、保温石の方もだいぶ役立ったぜ。ありがとな」
アッシェの言葉に感心する。
たしか彼女は竜だったか。それくらい簡単なのだろうが、少年のスケール感では
竜の凄さというものをイマイチ実感できていない。
「ああ、それな。
ちょっとこの雨、急だっただろ?
すぐに帰れると思ってたから、傘も持たずに依頼に行っちまって…」
■アッシェ > 「余り変な…独特な言葉は言わへんようにしとうよ?
丁寧な喋りっちゅーか旦那はんに合わせた喋りも出来んひんけど。
あ、目だけは色の明暗だけ変化しているだけで変わってなかよ。
今の赤の格好ももう一つ姿違けど、あれは喋りが違うから、多分出会っても分からへんやろな。
旦那はんより目立つから うちが目立って囮になるんや。せやけど、赤いときって髪が燃えるから
一発で人やないのがバレるのが難点やろな。」
一番目立つのは髪が燃えている部分。魔力そのものが漏れている証拠なのだ。
不純な魔力を燃やしているだけで精製された綺麗な魔力を巡回するのに敢て発火する。
そして何より この炎 触れても火傷しないし熱くない。
「保温石…ああ、あれ。消耗品の類遣ったな。
もっと持ち運びしやすいものやったら良かったかも。」
割と手近なモノだったら自作する。傘に然り保温石に然り。
鱗と牙と角が揃えば そこそこの獲物なら無双できる武器も出来るし。
倒すのは大変だが竜は捨てる所がない、そんなもの。
「そやね、急遣ったけど。
雨具はもっといたほうがええんやで…うちは傘なくても平気やけど
ほなら 今日は この傘を貸しておこか。」
傘をその場でぱちりと畳むと、普通 濡れると思うのだが、
少女の周りがなぜか雨が避ける様に ぽっかりと濡れていない。
その状態で 少年に傘を差し出す図が其処に。
■ブレイド > 「確かに聞き慣れねぇ言葉だけど
アンタがその言葉好きなら別にそれでいいと思うぜ?変に気とか使わねぇでもさ。
っと、目は違ったか。前あったのは夜だったっけ、そういや。
てか、竜ってだけあっていろんなカッコあるんだなぁ…」
もう一つ違う姿があると聞けば、驚きを隠せない。
確かに言葉遣いも使い分けないと混乱もするだろう。
「十分使いやすかったけどな。
ああいうちょっとした小物っつーの?
長旅なんかには重宝しそうだよな」
もう少し稼ぎが安定すれば、そういう…いわゆるマジックアイテムにも手を出すのだが
いまだ駆け出しの域から出ない程度の収入しかない。
なんとかしなければとは思うのだが…。
「ま、考えとくぜ。
傘は傘丸からできりゃ雨降ってねぇときくらいは街じゃもちたくはねぇんだけど…
って、いいのかよ。いや、濡れないのはきいたけどさ…」
傘を差し出されると少し驚き、遠慮がちに。
前は依頼の前金的なものとして受け取れたが、今回はそういうわけでもないのだ。
■アッシェ > 「そか ほなら このままで。
夜は夜目が利いてないと 明暗の違い分からへんやろ。
うちは夜目あんけど、竜眼やしな…もう一つの方はあ、雰囲気も違うわ…こう 貴族的な振る舞いが勝ってしもーて」
あれは精神も今より向上しちゃってどっちかというと貴族的な振る舞いをする。今の雰囲気なんてない。
近寄りがたい竜の雰囲気そのままの外見をしてしまう。色々とめんどい。
「そか。あれ、魔力注いでつぎ足ししても、春に為ったら使えなくなってしまうから消耗品なん。
長旅っちゅーと、虚倉庫なマジックアイテムがあれば手ぶらで済むやな…後で作って見よか。」
マジックアイテムでも簡単なモノだったら作れそうっていうか作っている。
思いつきのセンスがないので 殆ど旦那からのリクエストだけだったりする。
けど今 思いついたのは アイテムボックスとかの類のマジックアイテムだった。
「いいん、ほな やるで。うちはそろそろ行くん。
後日でええから トゥルネソル商会に返してくれればええん。ほな」
ほれ、貸す と少年に押し付ける様にして傘を手渡すと、
有無を言わさず少女は手ぶらのまま濡れずに路地裏を小走りに立ち去ってしまう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・雨の路地裏」からアッシェさんが去りました。
■ブレイド > 「貴族ねぇ。
やっぱ竜だし偉いんだろうな。竜だし。」
冒険者たるもの、竜に対してのあこがれ的なものは強い。
その為、高貴な雰囲気なると言われれば、納得するしかない。
「ん、えっ…ちょ…お、おう…」
押し付けられれば手にとって。傘を持ったまま、手ぶらで立ち去る少女を見送る。
しばらくぽかんとした後、少年もまた歩き出す。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・雨の路地裏」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区小道」にヴァレリアさんが現れました。
■ヴァレリア > 遠くに大通りの喧騒が聞こえる。
しかし、少し入り込んだだけでまるで別世界のように人の気配がない路地があった。
そして、そこにそれこそまるでおとぎ話の登場人物のように着飾った少女が一人。
現実味の薄いその少女は壁際に立ち、ひとり微笑みを浮かべて佇んでいた。
深窓の令嬢……そんな印象ながら、騎士の位を持つ貴族の子息。
そして……非合法なクスリを扱う売人だった。
今日もまたここで客を引く。
もっとも金を求めることはほとんどない。
そういうのはそう、金持ちかクスリがなければ生きていけなくなった奴から取ればいい。
「ふふ。」
今日はどんな客が来るのか……お尻に仕込んだクスリがいつ爆発するのか……すでに壊れかけの少年はそんな期待に背筋を震わせ笑みを零すのだ。