2018/02/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフィル=クォーレンスさんが現れました。
■フィル=クォーレンス > 大通りにも大分人気がなくなる夜も更けた時間。
この時間に歩き回るものは、大抵帰路へついたり、夜でも営業している店へ向かったりとする人々か。
勿論裏通りや入り組んだ小道などであれば、それ以外の人々も多数いるのであろうが。
そんな大通りからも、宿屋や酒場の通りからもそれた路地裏に響く足音一つ。
「これで全部のはず。」
薄暗い路地裏で、少し目を凝らしながら数枚の紙をめくる少年。
色々と細かな字が刻まれているそれは、配達の書類のようなものであり。
頼まれ物を帰りがてらに届けて回ってきた、といった所か。
夜風に時折フードを引っ張られれば、少し目深に引っ張る様にして被り直し。
書類の文字に指を滑らせ、何度か確認し直すようにすれば、納得したとばかりに一つ頷き。
「チェックミスもなしっと。」
帰りがけに頼まれたからか、小さな雑貨数個程度で大きな荷物はなく。
場所も同じく数か所程度であれば、本当にお使い感覚なものである。
雑貨の配達自体は普段しているものでなければ、恐らく店主の個人的な知り合いへのものか。
それでも一応仕事の範囲、とばかりにしっかりとこなそうとするのは良くも悪くも性質であろう。
腰のポーチに紙を折りたたんでしまえば、あまり使わない小道の為か一応とばかりに辺りを軽く見回し。
■フィル=クォーレンス > 「それにしても…本当に静か。」
広い野山という程でなくとも、表通りからしてみれば静まり返っている路地裏。
ただでさえ裏道は音手どおりと比べ、治安は良くないのだから静かすぎても不気味なもの。
小さい子供向けの怖い話で怯えるような怖がりではないものの、妙な緊張というのは走るのであろう。
頼まれごとを終え、一息ついたことで抜けた気。それをつくように風が吹き抜け、暗がりに転がっている空き瓶を転がせば、響く音にビクリを背筋を震わせてしまい。
「っ!酒瓶…?
ビクビクしすぎだよね…これじゃ。」
慣れない小道、治安も良くはない。
けれども、比較的治安は良い地区であり。自分は何か被害にあったこともなければ、驚き過ぎという恥ずかしさも湧くもの。
辺りを警戒してか、その驚き様を誰かに見られていないかと思っての事か。
もう一度辺りを見回せば、大きく深呼吸するように一つ息を吸って、ゆっくりと吐出し。
踏んづけてこけたりしないように足元に気を払いながらも、コツコツと靴音を響かせながらもまた路地を進み始めて行き。
■フィル=クォーレンス > 「あ、あそこ曲がれば…何時もの通りっと。」
そこからは特に脅かされるような物もなく、何かに巻き込まれるようなこともなく平穏であった。
暫く一人で靴音を壁に反響させるように響かせ、歩を進めていればやがて見えてくる小道に零す言葉。
比較的大き目な通りに繋がる道であり、いつも帰り道に使ってる場所であれば寝床までもう少しの目印でもある。
路地裏より安全で、明るさもある通りへと小道をそのまま曲がり。
そのままたどり着けば、歩きなれた道もあって歩調は軽快なものとなり。
自らの寝床としている部屋へと帰り着いていったか―。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフィル=クォーレンスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にノアさんが現れました。
■ノア > 買い物の帰り道。大小様々な紙袋を抱え、寒空の下を歩く。華奢なピンヒールもタイトなワンピースも大好きだけど、流石に今夜はファーコートで補えないくらい寒い。ふわりと白い息を舞い上げながら、自宅への道のりを足早に。
「 ..........っ、 」
コツコツとヒールが石畳を打つ音だけが、静まり返った住宅街の冷たい空気に響き渡る。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 寒気満ちる空気の中、男が平民地区を歩く。
すれ違う人々を、どこか冷たい目で見ながら。
退屈そうに。不満そうに。不機嫌という様子を隠しもしないままで。
そうして、男は曲がり角を曲がり、住宅街に入るが。
そこで、視界の外からの人影にぶつかりそうになってしまう。
「おっとぉ、すまねぇ、悪い」
ぶつかりこそしなかったものの、危うく衝突しかけた相手に頭を下げる。
この男が素直に謝罪など、珍しいことだ。だが、そこで相手を見れば。
「……ぁ……。ノア……」
それは見知った顔であり。男は、相手の名を呼び、言葉を失ってしまった。
■ノア > 夜になれば寒さも増し、歯と歯がカタカタとぶつかってしまいそうな程。久しぶりの買い物に夢中になって、予定より随分と帰りが遅くなってしまった。帰ったらホットワインでも飲もうか、なんて考え事をしていた ── 次の瞬間、
「 っ、と.. いえ、ごめんなさ..... ?! 」
不意の接近に気付かず、危うく衝突寸前。謝罪の言葉に対し、反射的に謝り返すも
「 ............... 」
バサり。ぶつかってもいないのに、手にしていた荷物を全て落とし.. 言葉が出ないのは女も同様、気付いた時には空いた両手で思い切り抱き付いて。
「 .....っ、 」
全身で感じる異性の身体付きと、煙草の香り。何も言えずにただ、その胸元に顔を埋めた。
■セイン=ディバン > あまりの寒さに、帰宅プラン変更。ちょっと酒場でも、なんて思っていたから。
その考え事のせいで接近する気配に気付けなかった。
「……あ~」
出会った人物は、男の大切な人の一人で。なんて声をかけたらいいか。なにぶん久しぶりだし。
あぁそうだ、と。男は最初に口にしなくてはいけないことを口にしようとするのだけれど。
「あの、な。ノア。見ての通り、呪いが解けてな……」
そう男が口にするのと同時に。相手が荷物を落としてしまう。
思わず拾おうと。かがみこもうか、なんて考えた時には。
もう、抱き疲れてしまっており。男はその動きを止めてしまう。
「……え、っと」
このハグに、何の意味があるのか。追求するのは良くない気がした。
相手には心配だってかけたし。久しぶりの再会で、そんな野暮はしたくなかった。
だから。
「……おほ、大胆」
そんな冗談を口にするしかなかった。触れる肉体。相手の温度。
それを慈しむように。相手の身体に腕を回し。
「……ただいま。んで、久しぶり。
そんでもって……すまねぇ。もう大丈夫だ」
そう、耳元で囁いた。
■ノア > お帰り、なのか.. ただいま、なのか。何て言ったら良いかわからない。またこうして "貴方" に逢えた嬉しさや、逃げ出してしまった自分への後悔、逢えない日の寂しさ.. 色んな感情が一度に溢れ、思わず抱き付いてしまった女。抱き締めてくれる腕は、いつかのように華奢で柔らかいものではなく、しっかりとした異性の腕。降り注ぐ声もまた、可愛らしい少女の声とは違う。意地悪で、憎たらしくて.. そして、何より愛しい貴方の声。
「 .....いつも急で、自分勝手.. 」
冗談を一つ溢した貴方を見上げ、睨み付ける琥珀色は潤んでしまっていた。ただいま、久しぶり、すまねぇ、なんて囁く貴方に、コートの襟元をぎゅっと掴むと
「 .....っ、 」
掴んだ襟元ぐいっと引き寄せ、唇重ねようと.. 口付けが叶ったなら強がる事もなく、余裕のなさを隠さずに、吐息混じりの震える声で
「 おかえ り.. っ 」
そう、囁いた。
■セイン=ディバン > 男としては、いろいろあったんだよ、とか。大変だったんだ、とか。
そういうことを言って相手からの追求とか罵倒から逃げたいのではあるが。
そんなもの、自業自得、の一言で斬り捨てられるので。当然それはできない。
そのまま、抱きしめたまま、見上げられれば。
「……いや、マジすまんって」
この相手に睨まれるのは弱い。相手のブロンズの瞳の美しさは良く知っているし。
真っ直ぐ見られると、色々と脛やら腹やらが痛んでしまう身なのだ。
「おっ、って。おいっ……」
襟を強く引かれ、ぐいっ、と頭を下げられる。首が一瞬ぎちっ、と音を鳴らして痛み。思わず文句を言おうとするが。
「……」
唇を奪われれば、何も言えぬまま。ただキスを受け入れ、相手の頭を撫で、抱く。
「……おうさ。ただいま、だ。
……つか、寒いからよ。お前の家行こうぜ。
荷物もってやるから」
再び、己の帰還を告げる言葉。恥ずかしさから、視線を反らしつつ。
地面に落ちた荷物をひょい、と持ち。そう提案する。
なにぶん、ロマンチックな再会をするにも、今夜は冷えすぎる。
■ノア > 具体的な話もなく、何の説明にもなっていない "すまん" の三文字。本来ならアレコレと聞き出したいところだけれど.. 女もまた、貴方にはどうにも弱い。今はただ、その声が聴けただけで許せてしまう程。だからもう、説明なんて要らなかった。欲しいのは、また貴方と笑い合える時間。
「 ..........何ちゃっかり家上がり込もーとしてんの、えっち。そういうの世間では、送り狼 って言うのよ。」
だからこそ、湿っぽい台詞なんて吐きたくなくて、いつも通りの調子で返す。一緒に荷物を拾い上げながら、無理くり涙も引っ込めて。紙袋の全てを貴方に手渡しては、ツンと悪戯な生意気な表情を作って見せた。
「 じゃ、お言葉に甘えて♡ 」
手ぶらになった。笑顔になった。不思議と寒さも和らいで。先導しながら僅かに斜め前を、ふわりと薄紫色を靡かせながら歩いて
■セイン=ディバン > 本当なら、説明すべきことは山ほどある。
でも、それをしてしまえば。きっと相手は危険にも巻き込まれるし。
あくまでも、呪いが解けただけで。身の回りの問題は減った訳でもないのだ。
「……えっと。いや、そういう意図はまったく無かったんだが。
酒場で酒でも、って思ってたらお前に会ったから。
一杯ご馳走になろうとしただけで」
すっかり平常に戻った相手の様子に笑いつつも、そういうことを考えてはいなかった、と正直に言う男。
流石にこの男とて、久しぶりに会った愛しい人相手に、久しぶりっ! この後一発どう? なんて言える筈も無い。
無いのだが。男は荷物を全てひょい、と持てば。
「はいはい。しっかり運びますよ。
……もしかして、さっきの一言。
家で襲って欲しい、とかそういうサイン?」
上機嫌そうな相手の後ろを歩きつつ、その背中を目を細めながら見る。
再会できたのは嬉しい。こうして並んで歩けるのも。
相手が平常の仕草に戻るなら。自分もそうしよう、と。
そう重い、男はそんな言葉を投げかけた。