2018/01/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区酒場」にスフィアさんが現れました。
スフィア > 雪の中を歩くには無防備な軽装だった、と悔やんだのは市場に向かう道中。
引き返すには遅過ぎたし、意地になって進むには目的地は遠い。
住居と市場の、距離的には中間地点だろう――薄暗い路地で、古めかしい葡萄のレリーフに気づく。
この通りにふさわしい古ぼけた佇まいだが、看板に誘われて扉を潜った。

「ま、まままままますすすすたたたたたたああああ、ぐ、りゅりゅりゅうううわいいいいんんん」

気取って注文したかったのだが、歯の根が合わない現状がそれを許さない。
入店直後に壊れた魔導機械のような声を上げたので、先客に変なものを見る目を向けられた気がしたが、なかった事にした。したい。

ご案内:「王都マグメール 平民地区酒場」にバルジリスさんが現れました。
バルジリス > 酒場の中でホットワインを飲んでいたのは、執事服を着たチンピラとは誰が言ったか、
サングラスをした執事服の男。バルジリス。雪の降る季節は、元バジリスクとしては、
冬眠しそうで嫌いなのだが、今は人の肉体を持つ存在。寒さは……弱いが、ダメではない。
今日酒場に来たのは、この酒場でやっている、面白い試みにつられてだ。

「しっかし、マスター。女におごる男キャンペーンって何だよ」

そう、男性客が女性客に何かをオーダーしてあげれば、その男性客に何かサプライズが…というものらしい。
そして、バーの扉が開かれ、歯をがちがち鳴らした女が入って来れば…奇異なものを見る目で見つつも、ちょうどいいやと。

「じゃあ、マスター。今入ってきた女に、グリューワインを一杯。俺のおごりで」

そう言って、今入ってきた女にグリューワインをオーダーするだろう……

スフィア > 「え?うううう?お、ごごごごごりりりりりいいいいって、ええええ」

歯をカチカチ鳴らしながらの言葉は聞き苦しく滑稽かもしれないが、当人は至って真面目に追及しているつもりだった。
どちらの客に向けてなのかわからないが、店主の咳払いが耳に届くと、入口で髪や服についた雪を払ってからカウンターへ。
外とは比較にならない程に店内の空気は暖かい。その空気をゆっくり、吸って吐く。

「…丁度頼もうって思ってたの、ごめんね!寒くって寒くって、あったかい服買いに行こうって出かけたら、もうほんと寒くってね…!」

適当なスツールを引いて腰を下ろす。先客の男性から一つ席を空けて隣の位置へ。
気温差でレンズの曇ったモノクルを外してチュニックの袖で拭いてから、冷えて強張りそうになる頬を緩めて笑う。
微妙に色味の違う双眸を数度瞬いてから、モノクルを付け直す。

「で、えっと。マジでおごり?え、何、天使? あ、おごるキャンペーンなの?え、天使はマスター…?」

ややあってからカウンターテーブルに出された陶器製のカップと、店主と、サングラスをかけた男性とをせわしなく見合わせて、シリアスなトーンで二者を称える。
いかにも暖かそうなカップを冷えた手で包み、ひとまずは香りと温度を堪能。

バルジリス > 「おいおい、何言ってんのかわかんねぇぞ。少し落ち着けや」

歯を鳴らしながらの追及には、苦笑しながらそう言うだろう。
そして、温かい服を買いに~と言われれば……

「へぇ、こんな雪の降る日に服を買いにか……ずいぶんと変わってるな。
……って言うか、あらかじめ買っとけばよかったんじゃねぇか?」

そう言いながら、ホットワインを啜って……そして、マジでおごりかと言われれば…

「あぁ?嘘言って何になるんだよ。マジ奢りだ……って、何でマスターが天使なんだよ」

そう苦笑していいながら、マスターに向き合って…

「さ、マスター。女に奢ったが……どんなサプライズがあるんだ?」

そう聞けば……何故か、マスターは奥へと引っ込んで……
少しの間の後、天使のコスプレをして、戻ってきた……

「…………は?」

バルジリスがきょとんとしていれば……マスターが。
『さあ、女性に奢る紳士様にサプラーイズ!恋の天使が、あなたのハートに弓矢をプレゼントぉ!』
と言って、ハートの矢じりのついた弓矢を構えて……
もし、魔道具に詳しければ、その弓が、「魔恋の弓」と言って、撃ち抜かれた相手は獣のように盛って仕方が無くなる、興奮作用のある悪戯マジックアイテムだとわかるだろう……

スフィア > 「落ち着いてるって、寒いだけで。えーっと、…何の話だっけ……そうそう、おごりなんですかー?って訊いたのよ。
 …………服は、その……買わなくって済むんなら、ほかの事に使いたかったのよね…だからギリギリまで買いたくなくて…」

こちらの落ち着きの無さを窘めつつ、至極適切な助言をくれる相手。
常識的な対応に、女性らしさの乏しい情けない理由を明かす羽目になり、流石に少し言い淀んでしまった。
視線も相手から、カップの水面へと逸れる。湯気を昇らせる芳しい飲み物へ。

「何で天使かって、すごい優しいって思ったから…ねぇ。私も何か奢るよ、そしたらどっちも、ちょっと幸せじゃ―――



  え?」

割に長い睫毛を揺らし、カップへと伏せていた目を男に向け、それからマスターに向けて――目を疑ってしまう。
扮装だけは完璧な、厳つい系の天使が妙にラブリーな弓矢を構えていたのだから。
衝撃の強さに固まっていたのが、ややあってほぐれ。遅効性の毒のように浸食してくる笑いの衝動に負けてしまう。

「……っあははは!ははは、ははは、あーもう、マスターってば、そういう意味じゃな、く、て、ひ、ふふ、っふ、…ぅ…!」

笑いにフラつきながら立ち上がり、冗談のように構えられた矢から逃げようと、サングラスの男の背後に向かう。
失礼にも盾にしようという心算。弓矢はただの玩具だと、そう思っていたから、逃げる動きに必死さはなかった。

バルジリス > 「へぇ、女が服装以外に金使いたがるなんて珍しいな。良けりゃ、その使い道を聞いても…?」

そう軽い雑談しながらも、酒場のマスターの天使のコスプレ。そして、弓矢を見ればびっくりして立ち上がり……

「うおおおおおおおおお!ま、マスター、テメェふざけてんじゃねぇぞ!?」

そう慌てながら叫んで…ちなみに、バルジリスは魔道具系の知識はあれど、玩具についてはからっきしなので、本物か!?と大慌て。そして女性が面白がりながらも自分を立てにしようとすれば…

「テ、テメェ……俺を盾にすんじゃねぇよ!」

そう言いながらも、弓矢と女性の射線上から動かないのは、女を守ろうとする本能からか…
そして、弓は放たれ……バルジリスにぐさ!っと刺さる。

「グあ!……って、あれ?痛くねぇ……」

最初はきょとんとしながら、胸に突き刺さった弓矢を引き抜く。痛みも、傷も残っていない……と、次の瞬間!

「う、うぐぐぐぐぐぐぐ………ぅ!」

急に股間に感じる、自身のペニスの高ぶり。そして、妙に高ぶった興奮感……
ふら、ふら…と椅子に座れば、ズボンの上からでもわかるほど、剛直が高ぶっているのがわかるだろう…

スフィア > 「絵とか壺とか顔料とか筆とか、えーとねー、それからねー、あ、本も!
 きれいなものとか見つけたらぜひぜひ私を呼んでね! 宝石とかはそんなに興味ないけど、絵とか壺とか彫刻とか大好きだからぜひに……って、え、あ!?
 え、マスター!? あ、わ、えっと、…ごめん!」

話題も散漫な雑談は不意に終わる。
弓が引き絞られ、玩具だろうとたかをくくっていた愛の天使然としたラブリーな矢が放たれたからだ――盾にした男へと。
呼びかけようとして名前すら知らない事に気づくが、思考はそこに留まらない。
もろに胸に刺さっていた矢が引き抜かれる、その光景を見た辺りまでは、顔色を失くして慌てふためいていたのだ。
その時までは。

「………マスター…またぐら、ぶっさしたの…?
 何ていうか、こう。……ぱんぱんなんだけど。
 サングラスの人。大丈夫? 弓矢が気持ちよかっただけならごめんね、見なかった事にするから…」

形の浮き上がったズボンの前に気づいたその瞬間、え?と言いたげな顔になる。
ちょっと膨らみ過ぎではないかとは、流石にマスターにも言い切れず、ぼかした言い方で訝しむ。
最後の問いかけは、変に優しかった。娼館から呼んできてあげようかとさえおもう、それくらいにつらそうに見えたので。

バルジリス > 「さ、サングラスの人じゃねぇ……バルジリスって名前がある……!」

そう、息も絶え絶えに言い返しながらも、股間に感じる熱、
今すぐにでも目の前の女を襲いたいといった獣のような感情……
それを必死に押しとどめながらも、弓矢が気持ちよかったのか?という問いには、青筋を浮かべて…

「馬鹿言うんじゃねぇよ!俺はマゾヒストじゃねぇ……っく……」

ギンギンにいきり立った、自分の自慢でもある長めのモノ。今すぐにでも、一発抜きたいよな、そんな欲望。

「あー、くそ……ひ、酷い目にあった……」

そうぶつくさ言いながら、立ち上がって、ふら、ふらと出口に向かおうと……
その後、この蛇男がどうこの昂った欲望を発散したのか……それは、少なくとも、天使のコスプレをしたマスターにはあずかり知らぬことで…

スフィア > 「じゃあ、えっと、バルジリスさん――奢りのお礼に、ええっと……ちょっとだけ。
 楽になるようにしたげよっか?」

サングラス越しの目の表情は分かりづらいが、迂闊な発言で怒りを買った事だけは感じ取る事が出来た。
温くなったワインを一口飲んでから、扉へと向かう背中へと声をかけ。緩やかな歩調でついて行く。
チュニックの袖から除く骨細の白い手。五指を広げては曲げ、何かを示唆するようにわずかに手首を捻って見せる。
今度はマスターを射ようとか、ろくでもない提案をしながら後ろを歩くが、そのあとの事は知らない。
誘いは固辞されたかもしれないし、ささやかな礼として手で慰めようとの試みが受け入れられたかもしれないし、あとの事は藪の中。

ご案内:「王都マグメール 平民地区酒場」からバルジリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区酒場」からスフィアさんが去りました。