2018/01/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシズクさんが現れました。
シズク > 深夜の平民地区は、通行人もまばらであったし、冒険者ギルドにも人影は少ない。
その冒険者ギルドに併設されている酒場兼食堂のカウンターに少女が1人。

「おじさーーーん…ホットミルクくださーい」

さすが平民地区のギルドとなれば、24時間人の出入りはあるから、厨房にも誰かが居る。
少女の注文に、返事が返ってきたから、確かだろう。

ふあ、と欠伸を零しながら、カウンターに凭れ、やや前のめり。
久しぶりに遠出した依頼を完遂して戻ってきたらこの時間。
故に眠くもあるし、疲労もある。
せめて温かいミルクを頂いて帰ろう、そんなつもりで酒が飲めない少女にとっては寝酒ならぬ、寝ミルク、であった。

シズク > 木製のカップにたっぷり注がれたホットミルクを出してくれたおじさんに礼を言って、コインを置く。
両手でカップを包み込み、温度に気を付けるように少し啜って。

「はー…温まりますなぁ」

しんみり呟き、カップはそのまま両手で持つが、身体を反転させカウンターテーブルに背を預ける恰好に。
壁際の掲示板に貼られた依頼書を遠目で眺めては、ため息ひとつ。
蒐集の依頼でも、モンスター討伐の依頼でも構わないが、この時期は聊か面倒が多い。

「寒いもんねえ…」

出来れば室内でぬくぬくできる仕事が好ましい。
とはいえ、そんな割のいい依頼が残っているわけでもないから、先ほどのため息となるのだが。

少しずつアツアツだったホットミルクも適温になって飲みやすくなってくる。
ゆっくりと味わって飲んでいれば、外から戻ってきた冷えた身体も温かくなってきて。

シズク > 最後まで飲み干すと、カップをカウンターに置く。

「ごちそーさまー!おじさん、次からは甘いのがいいなぁ、蜂蜜たっぷりのやつ!」

そう注文つけると、気のいい厨房のおじさんは、わかったよー、などと返事をしてくれた。
にっこり笑って、ありがとー!と声をかけると、カウンターを離れる。
一度壁際の依頼書が貼り付けられている掲示板の前を通って確認。
やはり、あったかぬくぬくな依頼は…なかった。

ない物は仕方がない、とさほど考えている風でもないとき、ふあ、と零れた欠伸。
ホットミルク効果で眠気が強まったせいで、ぽやんとした眠気眼のまま歩み出し。
気を付けて帰れよー、というおじさんの言葉に軽く手を振って、ギルドを後にしていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からシズクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にタマモさんが現れました。
タマモ > 平民地区から、富裕地区への近道となりそうな裏通り。
普段は人もそう通らぬこの裏通りだが、何人もの人影が蠢いていた。
それを良く見れば、何一つ身に付けていない何人もの男女だと分かる。
蠢いている、なんて表現を使ったのは、内半分以上が脱力しぐったりしており、残りがほぼ体力も尽きているだろうに、行為に励んでいるからだ。
しかも、男女比率もおかしい、大人数が男なのだ。
そして、地面に撒き散らされたような白い染み、辺りに漂うのは情事によるむせ返るような、雄と雌の匂い。

「ほんっとうにお主等みたいな連中と言うのは、懲りんな?ん?
同じような連中に伝えておくが良い、あんまりしつこいと、今回みたいに徹底的に遊んでやるとのぅ?」

閉じた扇子で、ぱしぱしと手の平を叩きながら、その連中を見遣る。
何をしたのかと問われれば、いつものように、大層な事はしておらん、と答えるだろう。
もっと小突けば、「精も根も尽きるまで、この路地裏で誰構わず犯し犯され楽しめ」という内容だと答えるか、どう聞いても大層な事はしてない?と切り返されそうだ。

タマモ > 「妾は、老若男女、差別はせんぞ?
例えば…幼き女子に、屈強の男子を犯させる事とて楽しめる。
………分かるな?そうした目に合いたくなければ、もう少し考えて妾に接するが良い。
まぁ、お主等にしてみれば、今更と言った感じじゃがな?」

ばさりと扇子を広げれば、ぱたぱたと扇ぎながら、くすくすと笑ってみせる。
この言葉、ちゃんと聞いているのかも疑問だが、これで同じ相手が来る事はないだろう。
こうしていけば、いずれは己を捕らえようと考える者も居なくなるだろうが…気の長い話である。

タマモ > 残っていた者達も、さすがに体力を使い果たしたか、地面に倒れ込み動かなくなってしまう。
そこまでを目にすれば、とん、と腰掛けていた木箱から、地面へと降り立つ。

「ふむ…ご馳走様、なかなかに美味じゃったぞ?
やはり、意外性に富んだ行為と言うのは、興奮をより煽るものなのかのぅ?」

ぽんっ、と手元に唐傘を出せば、扇子を手にする逆の肩へと掛けさせる。
それだけを路地裏に転がった者達へと伝え、くるりと踵を返す。
わざわざ奥行きのある場所に誘ってやったのだ、意識が戻るまで、そう誰か来る事もないだろう。
もし来てしまったら?まぁ、その時はご愁傷様、である。

さて、散歩でも続けるか。
そう考えれば、次に向かう方角だけを適当に決めようと、路地から左右に空いているだろう、他の通りへと目を向けて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にミコトさんが現れました。
ミコト > ――ソレはいつからそこにいたのか……。
狐耳の少女が通りへと目を向けた時、そこの交差点には何もかもが白い少女が静かに佇んでいた。
通りを歩いていたであろう横向きのまま、首だけを狐耳の少女へと向け、その人非ざる白銀の瞳と目があえばその唯一色づいた可憐な唇がゆっくりと開く。

「あまり無体は感心せぬな、狐の。」

無表情のまま、身体を狐耳の少女のほうへと向けると長いツインテールの先に付けられた鈴飾りがシャンと独特の音を立てる。
東方の衣服を身に纏いながら下履きはなく、すらりとした細い脚が赤い下駄の上に載っていた。

タマモ > 珍しく、勘が働かなかった…?
そう思ったのは、先へと向けた視線に入った少女の存在を見付けたから。
それなりに気配を断っていようと、己の直感はそれ以上、いつもならば反応していたからだ。

軽く考える、自分の直感が通用しない相手とは?
…そこに、ふっと浮かんだのは、己の式が一人だ。
何だか嫌な感じがする…こう、あれだ、気分的な?ものだが。

「ふむ…そうか、お主、ヒトでも妖でもあらざる者か…まぁ良い。
はて、そうか?…ほれ、ある意味、幸せそうな顔をしておるではないか、のぅ?」

少女の言葉に、すっとぼけたように視線を逸らし、続く言葉で答える。
そうして、改めて、この目の前に現れた少女を見遣る。
何者か…は、いまいち分からないが、そう難しく考える事はしない、面倒だし。
ただ、あれだ…

「時に、お主。その格好、何かおかしくないか?…それとも、それが普通なのか?」

少女の着付けた衣服の疑問を問うた。
視線は下に、下履きの事を指しているのだが…分かるだろうか?

ミコト > 「汝の云う通り、彼の者らは肉を求めておる。
 だが、望む以上を与えられしは与えられぬより苦痛なものよ。
 汝であれば事を荒らげずとも収めし事出来たであろう?」

静かに語りかける声音はどこまでも静か。
まるで母親が、祖母が、子供に言い聞かせるようゆっくりと言葉が流れる。
一切身じろぎひとつしないものの、長いツインテールだけが風に揺られ時折鈴飾りが静かな音を奏でる。

「可笑しい。が、今の妾には此の様が当たり前。
 汝のように自由が許されておらぬ故。」

表情は変わらないものの少し淋しげな口調で答え、軽く袖を持ち上げて見せる。

タマモ > 「ふふ…それもまた、それぞれじゃろう?
苦痛となる者も居れば、深みに嵌る者も居る…それはさて置き。
適当にあしらえば、その程度と調子に乗ってやって来よる。
さすがに、何度も何度もされてはな…こうしないと収まらんと思えるものじゃ」

ひらひらと手を振りながら、少女へと言葉を返した。
実際に、ここまでの事をするのは本当に稀だった…まぁ、気紛れにだが。
嘘は付いてない、大丈夫、そう自分の言葉にうんうんと頷いて。

「うん?…あぁ、やはりそうであったんじゃのぅ。
いや、しかし、自由が許されておらんとは言っても…これもそうなのか?」

首傾げながらも、少女へと歩み寄って行く。
自由が無いと一口に言っても、色々とあるだろう。
行動する範囲とか、力を使う使わないの制限とか、ふっと浮かぶのはそんなものだ。
なのだが、目の前の少女は…服装の制限?少々ずれているが、少女の事を知らないのだから仕方ない。

ミコト > 「深みに嵌まる者……か。
 確かに深みへと嵌まれば苦痛は減ろう。
 だが、苦痛がなくなってゆくのもまた辛きものよ。」

一度長い白睫毛で飾られた目蓋を落とし、目の前の狐耳の少女に言っているのか、それとも他の誰かに向けてなのか、どちらとも取れる声音で呟く。

「今の妾はモノである故にな。履くな、と云われれば履けぬ。
 悪趣味であると口にする程度の抗議が精一杯よ。」

近寄れば背の丈はほぼおなじ程。
だが、身体の厚みは比べようもないほど薄い。
白銀の瞳で狐耳の少女の赤金色の瞳を真っ直ぐに見つめる。
瞳孔までも白銀の瞳はどこまでも深く、そして、浅く、長い白睫毛がその上へとかかる。

そして……人非ざる少女から、かすかに雌……そして、雄の匂いが香る。

タマモ > 「そう、それを理解してくれると、妾としては助かる。
それはつまり、妾に手を出そうと考える者も居なくなる、と言う事じゃからのぅ?」

ふふんっ、と無意味に自慢気に胸を張ってみせる。
我ながら良案であると、そう言わんばかりだ。
少女の言いたい事を分かっているのか、分かってないのかは…微妙なところだろう。

近寄れば、少女の身丈も、身体的なものも、はっきり見て取れるか。
…うん、あれだ、己と比べようとしたが、相手が相手だけに自慢にもならない気がする。
その辺りの事は、この際置いておこう。
それにしても…何と言うか、白い。
見詰めながら、ふっと頭に浮かんだ事は…シロちゃん、とか、名前も聞いてないのに勝手に付ける愛称だった。

「モノ、か…ふむ…それは、誰のモノと指して言っておるんじゃろうか?
あれか?もしかして、妾もそれに含まれておるんじゃろうか?」

少女の言葉と、鼻に掛かる雌の匂い。
首傾げて考えたままの仕草で、少女に問うてみた。

ミコト > 狐耳の少女の言わんこともわかる。
争いは何も生まない‥…などと夢見勝ちな子供のようなことはとても言えないくらいの年月は生きてきている。
力あるならば弱者――力に限らず心も――のことも理解してやって欲しい。
そんな少女の頼みにしかすぎないのだから。

「汝が此の国の民であるならば、是だ。狐の。
 妾達は民の安寧と引き換えに此処へと参ったのだから。」

狐耳の少女を真っ直ぐに見つめ、どこまでも静かに答える口調には感情の機微は篭もらない。
そこには諦観すらもなかった。

タマモ > 「まぁ…時に、悪戯が過ぎるのは認めよう。
こればかりは、妖があるが故に仕方ない、大目に見て貰えると助かるのじゃ」

ヒトの持つ負の感情を一番の糧とする存在、それを理由として強くは出したくないが、こればかりは仕方ない。
断絶出来ない事もない、かもしれないが…時期的に飢えを強く感じる時を知っているだけに、それを実行に移すのは難しいのだ。

「…なるほどのぅ、そう言う事か………
一応、遥か東方の出となっておるが、客人としての立場もあるし、良しとしようではないか、のぅ?」

ぴくり、と揺れる尻尾が少女の言葉に僅かな反応があったのをを示す。
相手以外を利用して脅して従わせる、己が最も嫌う行為だからか、無意識の反応だ。
少しの間、ぽんっ、と肩を叩くと、そんな言葉を少女へと向けた。

ミコト > 「心得ておる。
 見掛けてしもうたが故に嘴を挟んだ。
 汝の自由に障るつもりはない。」

狐耳の少女を真っ直ぐに白銀の瞳で見つめたまま、わずかに口元を緩ませる。
そして、少し頭を下げて謝意を表す。

「東(あずま)の國か。汝の顔は見覚え無き故同郷ではなかろうが、それでも懐かしきことよ。」

狐耳の少女の背後、そのさらに遠くまで見通すよう白銀の瞳孔が拡がる。
少女の問いかけには是とも非とも答えず、肩を叩かれても微動だにせず、ただじっとその場に有り続ける。
その折れそうなほど細い肩は、冬の寒空の中薄着にも関わらずまったく震えていない。

タマモ > 「ふむ、そうかそうか、分かってくれておるならば良い。
妾とて、お主の自由を障るつもりもない、それはそれで良いのじゃ。
いつも妾に対し口煩い式達と比べれば、本当にのぅ…」

頭を下げる少女に対し、ひらひらと先ほどと同じように手を振って答える。
と、言葉の終わりに、どこか遠い目をした。

「うぐっ…ま、まぁ…同じ国に居ようと、そんな事もあるものじゃ。
いやはや、うむ、懐かしい事じゃのぅ?
さて…それはそうと、せっかくじゃ、妾に付き合う気はあるか?」

しまった、同じ方角に国を持っていた相手だった。
そう思ってしまうも、こう、何とか誤魔化して…実際に誤魔化せたかは疑問だ。
まさか、異世界の存在と馬鹿正直に言えはしない。

そんな事は、とりあえず置いておき、反応が薄いなら肩を抱いて、次の問いを。

ミコト > 「妾の國は小国であった故な。
 民の顔はよう覚えておる。
 もっとも、汝が三十歳(みそぢ)より若ければ分からぬがの。
 國の名は何と云う?」

もしかしたら同郷であれば今の国の様子を聞く事が出来るかもと肩を抱かれたまま視線を狐耳の少女へと向ける。

「何の付き合いかは知らぬが、汝がそう望むのであれば是非もない。
 役目はあれど言い訳にもならぬ。

小さく頷くとツインテールの先の鈴飾りがシャランと音を立てる。
白銀の瞳は、狐耳の少女の奥底を覗き見るよう、じっとその赤金の瞳を見つめ続ける。

タマモ > 「あー…妾は、これでも四の桁を生きておるからな、生まれがどこであったかも、既に記憶の彼方じゃ。
己が国に留まっておれば、忘れる事もなかったんじゃろうが…いや、そうであれば、こうしてお主と会えてはおらんか。
いや、すまんのぅ?」

実際の話は、生まれた里を離れ、ある宿で生活を続けていた。
国じゃないけど、離れてるんだし…嘘じゃない、そう自分に言い聞かせながら、少女へと言葉を紡ぐ。

「そうじゃな、せっかくの機会、妾の遊戯に付き合って貰おう…と言いたいところじゃが、それは次の楽しみにするのじゃ。
まぁ、お主がそれでも良しとするならば、構わんがな?
それとは別でと言うならば、別件で付き合って貰うんじゃが…さて、どちらが良い?」

こちらを覗き見る瞳、それを見詰め返せば、くすりと笑う。
それはどうよ?とは思うが、騙してどうこうも面倒なので、本音で語ってみた。
その手は、変わらず少女の肩を抱くように置かれたままだ。

ミコト > 「ほう、左様であったか。
 ならばやはり妾の国の者ではないな。
 東にも様々な國がある故な。
 生まれを離れるは寂しきことよ。
 だが、汝は汝は些事は気にせぬ質に見える。
 汝は汝の有り様のままで良いのだろうな。」

4桁と聞いても驚くようなことはなく、どこまでも自由な様子が好ましく微笑みが溢れる。

「遊戯、とはまた久方ぶりに聞く言葉よ。
 愉しみなど何ひとつない身なれば是非に及ばん。
 だが、妾に選択の余地があるならば、次の機会に頼もう。
 本日の役目がまだ終わっておらぬ故にな。」

少し申し訳なさそうに視線を落とす。
本来ならば終わっているはずの役目……だが、狩衣の下から香る雄の匂いが役目を果たせていない理由を物語っていた。

タマモ > 「ふむ…そうじゃろうな、確かに、己が地を離れるのは寂しい事もあったものじゃ。
まぁ、今更と言えば今更じゃからな、確かにそうは気にしておらんか」

うむ、と感慨深い様子で頷いてはみるも…明らかに、姿勢だけだが。
と、そんな言葉を交わす折に、少女が微笑む…己が思うのいつもの事であれだが、可愛いものだ。
自然と、こう、満足気な笑みを浮かべる。

「遊戯と指すものも、色々とあるものじゃがな…ならば、それで付き合って貰うとしよう、その時は妾を最優先にじゃぞ?
もちろん、今すぐにと無理強いはせん、何かあればそれを優先すれば良い。
あ、そうそう、その時は色々と連れ回す予定じゃ、覚悟しておれよ?
もう一つ、それを踏まえ、普段は履く事がなくとも、下履きを持ち歩いておくのじゃ。
何も、その格好であるばかりが楽しみ甲斐のあるものではないと、教えてやろう。
………その前に、もちろん、それ以外に楽しめれば良いがのぅ」

申し訳なさそうにする少女、もう一度だけ、ぽんぽんと肩を叩き手を離す。
その役目とやらは、興味はあるが、何となく予想は付いている。
そんなものは捨て置けと、そう言いたいが…今は止めておいた。
代わりに、先の約束はしっかりと交わしておく。

ミコト > 「うむ、約束しよう。妾は約定は必ず守る。
 覚悟もしておこう、何を覚悟すれば良いかは分からぬがとりあえず覚悟はしておこう。」

肩を叩かれると冷たい手をその上に置き、白銀の瞳を細め微笑む。
なるほど、自由だと思う。
自分もこれくらい自由に生きられればと思うが、詮無きこと。
そっと狐耳の少女から離れると要石を祀る祠を目指すべく通りを歩き始める。

「下履き……は、すでに襤褸にされた故、新たな物を手に入れられるかどうかと云えば難しい。
 だが、努力はしよう。
 では、次に見えるを愉しみにしておるぞ、狐の。」

一度足を止め、背後へと振り返り微笑みを残す。
そして、鈴飾りと下駄、シャン、シャン、カポ、カポ、と独特の音色を残し人混みの中に消えていった。

タマモ > 「いや、約定とか言わず、ただの口約束と気軽に言えば良いのじゃが…
まぁ、覚悟も似たようなものじゃ…妾との時は、もっと気楽に構えると良いじゃろう。
その方が、妾としても接し易いと言うものじゃろう。
それが素であるならば、仕方ないのじゃがな?」

多分、こう言って何だが、素なんだろうとは思っている。
離れ、己の役目とやらをしに向かう少女、それを見送る形に。
とりあえず、別れの挨拶代わりに、ひらりと手を振っておいた。

「あー………その辺りは、妾も少し考えておくのじゃ。
ではな、妾も楽しみとしていよう」

去って行く少女の後姿、裏路地を抜け、通りへ…見えなくなるまで見詰めていた。
…そして、気付く。

「………名前…また、聞き忘れたのじゃ…」

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からミコトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリューゼさんが現れました。
リューゼ > 「寒いな。」

ぼそりと呟きながら黒い空を見上げる。
先ほど外から帰ったばかりで武装はしたまま。
護衛を行っていた商人達は足早に自らの宿や商館へと引っ込んでいってしまった。
まぁ、報酬はもらっているので気にする事もないのだが…。

こつこつと石畳を踵で鳴らしながら歩く。
外から戻れば多少マシかと思ったがいまいちそんな感じでもなく。
とりあえず、酒でも一杯ひっかけないと寒さがまぎれない。
通りにはぽつぽつとまばらに出店もあるようで、匂いにつられながら歩いていく。

途中、簡素な木のマグでホットワインを出す店を見つけ、一杯購入する。
ブドウの良い香りが昇る器を受け取り、代金を払う。
器は2、3日中に洗って返せば少しばかり料金が戻ってくるそうな。
それはいい事を聞いた、と一口。

ほう、と白い息を吐きながらまたゆっくりと歩き始めた。
腹でも満たすか、宿に戻るか…そんな風に考えながら。

リューゼ > 通りをゆっくり歩いていく。
やがてその姿は宿の明りが灯る方角へと消えていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリューゼさんが去りました。