2017/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > 平民地区の裏路地、午後の日差しが暖かく差し込むそこは一種の猫のたまり場だった。
ベンチや街灯の下、家々の軒先に大小様々な猫達が集ってのんびりごろごろくつろいでいる。
その中心に仁王立ちするチェシャは辺りに集まった猫達を睥睨して高らかに宣言する。

「よぉし、お前たち報告しろ」

すると不思議な事に猫達が一斉にニャゴニャゴと鳴き始める。
ミレーであるチェシャは、猫耳をぴょこんと露わにするとぴくぴくとその鳴き声に耳を傾ける。
人間にはさっぱりな言語であるが、どうやらチェシャには伝わっているようで
時々頷きながら猫達の大合唱に聞き入っていた。

「なるほど、あそこの貴族の家が破産したってのは本当なんだな……。
 三軒先の家のエサがうまかったとかそういう報告はいらん。
 そして、豪遊で有名な王族が貧民地区の娼婦と浮気してる、と……」

ぶつぶつと呟きながら猫達が見聞きした情報を記憶に叩き込んでいく。
猫の見聞きするものなどたかが知れていると侮るなかれ、
これがなかなか優秀な諜報員になるのだ。
とはいえ、単なるミレーには同じマネは出来ないだろう。
魔術の知恵知識があるチェシャだからこそ、猫達を使い魔たらしめることができるのだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
ワルセイ・イダーヤ > (平民地区。そこを歩く真っ黒な平民服に身を包んだ男。ワルセイ。
天気もいいし、今日は気まぐれに平民地区を散歩しに来ていたのだ。
だが、流石に貴族服では騒がれるため、平民の服をチョイスして…)
……うむ、いい天気の散歩は気分がいい……ん?
(ふと、道端に目をやれば、けがをした子猫が……)
……ふむ。
(その子猫に近づけば、警戒されるも、空に円を描き、簡単な治癒魔術を発動。けがを直して…すると、その子猫は甘えてきて…)
ははは、可愛い奴め。
(すると、その子猫はワルセイのズボンのすそを引っ張り、どこかへ連れて行こうとしている様子…)
……?どうしたのだ?
(そう聞きながら、引っ張られていくと、裏路地に。そこでは、一人の少年が猫の真ん中で何かしていて…ワルセイも魔術には精通しているので、あの猫たちが使い魔だとはわかって。)
……ほう、あの少年がそなたの主か?
(そう言えば、子猫は胸を張り、まるで「どうだ、私のご主人様はすごいだろ!」と言っているかの様子。そして、男は軽く拍手をして)
いや、すごいな。少年。その年で、これだけのネコを使い魔にするとは…
(そう言って、少年の視界に入って…)

チェシャ=ベルベット > 報告を終えた猫達に懐からエサを取り出しそれをやる。
ギブアンドテイクは大事だ。特に猫達はそういったことに対してうるさい。

が、一匹の子猫とともに人の気配がすればさっと猫耳を隠しそちらの方を睨みつける。
見れば黒ずくめの男が一人拍手をしながら立っているではないか。
怪しさ抜群の男に対して胡散臭い目を向けながら猫達にエサをやり続ける。

「……別に、直属の使い魔ってわけじゃなくて単なる野良の寄せ集めだし」

そっけない口調と態度で返す。
と、子猫がミャアミャアと鳴くのでなんだと耳を傾ければ
どうやらこの怪しい男に怪我を治してもらったらしい。
子猫を抱き上げ、ふーんと男をためつすがめつ見ると

「あんたも魔術師? こいつの怪我、治してくれたんだ」

そう言って腕の中で子猫をあやす。

ワルセイ・イダーヤ > (無論、相手がミレーだとは思ってもいないというか、気が付いていない。胡散臭い目を向けられれば苦笑し)
ははは、自分が怪しいことは自覚している。俺はワルセイという…まあ、医者だ。
(嘘は言っていない。自分は闇医者を生業としているのだから)
いや、野良の寄せ集めだからこそ、そなたのことが気に入っているから使い魔たちは力を貸すのだよ。
特に、ネコの使い魔は気まぐれすぎて扱いづらいと聞くが…きちんと、彼らの機嫌を取ってやって、丁寧に接してやってる証拠だ。
(そう、ふふふと笑みながら、相手のそっけない言葉に返して)
うむ、まあ医者のかたわら、簡単な魔術を嗜んでいるのだ。
なに、医者として、治せるケガをした生き物は治したいたちでね。
(そう言って、懐に手を入れれば…出てきたのは、何故かミルクのような白い液体の入った小瓶。そして、カバンの中に入っていたシャーレ…平たいガラスの器のようなものにそれを入れれば、その香りでミルクだとわかるだろう。それを足元にいる猫にやる)
ふ……俺の使い魔も可愛い奴らだが…こういう柔らかく気まぐれな生き物も可愛いものだよ。
(そう言って、ネコの一匹の頭を撫でやって…)

チェシャ=ベルベット > 医者、と名乗るワルセイという男にそれでもまだ信用しきれない様子で距離を取る。
褒められていることはわかるのだが、なんとなく照れくさい上に怪しい相手に褒められても困る。
だが、子猫を治療してくれたことには感謝しなければならないだろう。

「……チェシャ、チェシャ=ベルベット。
 猫を治療してくれてありがとう、こいつらに代わって一応言っておく」

やはりそっけない声音で視線を逸らしながらそう述べる。
シャーレに出されたミルクへ、猫達が我先にと食いつくと腕の中の子猫も暴れてぴょんとその渦の中へ飛び込んでいった。
やれやれ、食い意地が張って仕方ないというように肩をすくめる。

「……使い魔までいる医者ってのもすごいと思うけどね。
 本当に医者? やっぱり魔術師なんじゃないの」

怪しむようにじっと男を見つめ。

ワルセイ・イダーヤ > (少年との間にある信用されてない感のある距離。
まあ、こんな黒づくめの医者を名乗る平民、俺なら娘の近くには絶対近づけんなとは思うが)
チェシャ=ベルベット君か。なに、先ほども言ったが、ケガをした子猫の傍に、偶然治す力がある俺がいただけだ。気にするな。
(そう言いながらも、やはり礼を言われるのはくすぐったい、少しうれしそうな表情に。
そして、シャーレ内のミルクに我先にと集まる猫達には優しく見つめながら)
それに……な。ネコは、なんとなく身近なのだよ。
(何せ、ネコのミレーと人間のハーフが娘なのだ。だが、さすがにそれは言わない。
そして、お代わりをせがむ子猫や、満足した成ネコなど、場が落ち着いてくれば…かけられる、本当に医者か?という言葉には)
ふ。医術も、魔術も究めなければならぬ理由があるのでな……
まあ、魔術師というのも、あながち間違いではないな。
(そう少し遠い目をして)
まあ、医者としての証拠を見せろと言われても困るが……なにせ、ケガやかぜっぴきがいなければ、医者もただの人なのでな…っぐ、ご、ごほ!ごほ!
(いきなり、せき始めるワルセイ。ワルセイは慌て懐から宝石のようなクリスタグガラスでできた瓶内の乳白色の液を飲み……ふぅと一息)
ははは、医者の不養生かな…
(そう苦笑……ちなみに、ワルセイは一定期間何かの乳…特に、人型をした生き物の母乳をとらねば、体が急激な老化で崩壊し始めるのだ…)

チェシャ=ベルベット > 「猫が身近ね……あんたも猫を飼ってるとか?」

なんとなくそんなことを聞いてみる。
他人など興味を持たないチェシャがあれこれ聞き出すのはかなり珍しい。
相手の事情に深入りはしないものの、医術も魔術も究めねばならない理由については
なんとなく治したい相手でもいるのだろうかと察する。

「別に証拠なんていいけど……っと、大丈夫?」

急にむせ始めるワルセイに驚くものの取り出した乳白色色の液体、それを飲み干す様子をつぶさに観察する。
確かに医者の不摂生と言えるような状態だ。
呆れたようにワルセイを一瞥すると、その背を優しくさすってやる。

ワルセイ・イダーヤ > はは、飼っているわけではないが…家にいるのだよ。どこまでも天真爛漫で、明るい子猫がな。
(そう笑む表情は、どこか、父親を思わせる雰囲気があるかもしれず)
あ、ああ。スマヌなチェシャ君。まあ、持病のようなものだ。伝染はしないから安心しろ。
(背に感じる少年の小さめの掌の動きを感じながら…そう苦笑して言って)
ふ、そなたは…優しいな。ありがとう。もう大丈夫だ。
(そう言って、少年に礼を言って)
さて、見ぐるしいところを見せてしまった詫びに…少し、面白いものを見せようか。
(そう言えば、指を空に向け伸ばし、大きく手を動かし、指は、空に大きく円を描いて…)
『我、イダーヤの血脈に通じる者。古の貴族の名において、精霊に命じる……此処に生きる小さき命と歌い、踊れ!そして、チェシャ=ベルベットに、精霊王の加護を与えよ!』
(そう魔術を唱えれば…空に描かれた円から光の玉…精霊たちが降りてきて、猫たちはびっくりするも、すぐに順応し、猫たちと精霊が猫の鳴き声と精霊の歌声で、素晴らしい音楽を……そして、精霊の玉の中でも一番大きなものが、少年に、光を当て……少し、少年の気分がよくなるかもしれない)
ふふふ、こう見えて、俺は貴族でもある……皆には、内緒だぞ?
こんな事しかできぬが……俺の詫び、楽しんでくれたかな?
(そう聞いて……)

チェシャ=ベルベット > チェシャは親を知らない。物心ついた時には一人だったから。
だがワルセイの見せた笑みには、父性というものを感じさせる何かがあった。
少し、その子猫が羨ましいような気分になった。

「別に、優しくなんてしてないし……」

照れているのかむず痒そうにそんなことを言って、手を離す。
と、男が詫びにと空に魔法陣を描き出す。
何が始まるのかと、一瞬身をすくめて警戒するも現れた光の玉、
精霊の姿をはっきりとミレーの視界で捉えれば感嘆の声を上げる。
猫達と精霊たちが合唱する中、自分へと近づいてくる玉に驚くが
一瞬で光を当てられれば自身に加護が宿ったことを知る。

「……お詫びにしちゃあ随分なものをくれたもんだね。
 僕に加護なんかくれたって、勿体無いだけだと思うけど」

憎たらしい口を聞きながら、それでもまぁ気分は良くなったし
猫達も楽しげに精霊と遊んでいるし悪いことではなかった。
指で宙空に浮く精霊の玉を突き、そのままぽんとワルセイの前に押し出す。

「貴族様ねぇ、まぁ言いふらしはしないよ。
 そこそこ、面白い余興ではあったかな」

などと不敵に笑う。思考の裏側では今の魔術を分析し、自分なりに解析して
手中に収めようとあれやこれやとせわしなく考えてはいたが。

「さて、僕はそろそろ行くよ。あんたもあんまりぶらついて、調子崩さないようにね」

ワルセイ・イダーヤ > (俺に加護なんてもったいない……そう言われれば、首を振り)
いや、使い魔たちを見ればわかるよ。使い魔は、その主の鏡だ。
このように良い使い魔を持つそなたは…十分、加護に値するさ。
(そう言って、そして、自分の方に精霊の玉を転がされれば、それを摘まんで、空に放って。
そして、精霊たちが魔方陣の中に帰っていけば)
ああ、もうそろそろ俺も帰らねばな、従者に黙って出てきたから、あ奴、血相抱えて俺を探してるかもしれぬ……
(そう言って、カバンを持ち…猫たちを数匹撫でてやって)
うむ、十分に気をつけよう。ではな。もう会うこともないかもしれぬが……俺のような医者の世話にならないよう、
元気でな。
(そう言って、相手に気遣われれば礼を言って…相手がワルセイから目を離し、その方向を見れば、もうすでにいなくなっているだろうか……)

チェシャ=ベルベット > 「あんたもね、せいぜい体に気をつけて」

そう言ってふいと視線を逸らした後、ちらりと盗み見れば相手はすでにおらず。
まるでたちの悪い幽霊にでもあったかのような、忽然とした姿の消し方に思わず苦笑する。
猫達に最後の餌やりとして地面へささみの切れ端をばらまくと
チェシャもまたその場を去っていった。

午後のひだまりの中、猫達はめいめいに温まってくつろぎ続けている。
まるでそこには最初から誰も居なかったかのように。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」からチェシャ=ベルベットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」からワルセイ・イダーヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクウさんが現れました。
クウ > 日もすっかりとくれた時間の大通り。
通りに面した酒場はどれも賑やか声が聞こえるのを眺めて歩く人影。
一つの酒場を覗いたと思えば次の店へ、食堂を覗いたと思えば既に閉まっている。

何処で食事をしようかと考えるようにふらふらと歩いては店を覗いてと繰り返し。
ゆっくりとした足取りで店を覗いては先へと進んで。