2017/07/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にピアさんが現れました。
■ピア > 今宵も王城は宴を開催している。
そこから少し離れた平民地区、大通り。
並ぶ露店をウィンドウショッピングする少女は実に楽しそうである。
通常でも露店は開いているが、ここまでの賑わいはない。
特に少女の目を引いたのは外国から渡ってきた商品たち。
「この服綺麗ですね。旅籠にある浴衣に似てますけど、
もっと生地が厚いし、刺繡も凝ってますねー。」
和服を前に、声を上げる。
職業柄酒場に映えながら邪魔しない衣装は何着でも持って損はない。
多少値は張るが、祝宴気分に酔った今だからこそ買うべきだとも思う。
(んー…でも荷物が増えすぎると移動も大変なんだよなぁ。
何せ家がないから置く場所もないし…。)
長期間家を借りる資金は現状ない。
和服を並べる商人は穏やかで、急かすことも無理強いすることもないのを
良いことに少女はあれやこれや算段して悩んでいた。
代わりにあの衣装を捨てようか、それとももう少し無理して豪華な宿をとろうか。
しかしそんなの何泊ももたない気がする。
■ピア > 計算しているとどうしてももう少し余裕が出来るまで待つべし、という結論になる。
理性と、目の前の物欲と戦う少女は味方が欲しくて店主に縋るように。
「でもでもこれってお値打ちですよね?
お祝い価格ですもんね。いち、じゅう、ひゃく…――――ん?」
値札を今一度数えて時間が止まった。1桁数え間違いをしていた。
悩んでいた時間は何だったのだろう。項垂れる。
「そうですよねぇ…上等そうですもんね…。
じゃーあ、せめて、こういうの買ってみようかなぁ。」
切り替えは速い。屈んで、簪を手に取ると置かれた鏡を見ながら髪に絡めてみる。
これも王都にはなかなか見られない東洋風のデザインが奥ゆかしく、美しい。
東洋顔ではない少女に似合うかどうかは置いておくとして。
これなら手頃な価格で種類も多くあり、気になったものを1つ1つ髪にあてていく。
女の買い物は時間がかかる。
■ピア > 「2、3個買いたいところですけど、今日のところは節約ということで…コレください」
選んだのは藤の花モチーフの飾りが揺れる簪。
結局最後まで押しつけることもなく見守ってくれた店主に包んでもらい、
少女は賑やかな通りを、きた方向へと戻るように歩くのだった。
――――そうしなくては、ここで節約した意味がないくらい各店舗で散財することが目に見えているからだ。
珍しく賢明な判断をした少女、今宵はご機嫌な様子で夜を過ごすことになる。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からピアさんが去りました。