2017/03/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > 「ふぃー、つっかれたぁー!」

夜の、人通りの減った広場のベンチにドカッと腰を下ろしたのは、一人の少年。
ボロい長衣の装飾や、黄色い肌など、一見して異国人だとわかる風体。

「朝に冒険者ギルドに登録して、そのままとりあえずってんで、倉庫街の見回り依頼を受けたはいいけど…
 まさか、よりにもよって、初仕事で強盗が倉庫に乱入なんて、運が良いのか悪いのか…
 いや、特別手当も出たし、強盗も弱かったし、良かったって考えるべきか…? うーん…」

ベンチに浅く座り、背もたれにだらけて体重を預ける。

「それよか、そのあとの事情聴取がだるかった…知らねえよ、昨日の夜中に来たばっかだぞ俺ァ…」

ティエンファ > 「俺が強盗の引き込みをやったんじゃないかとか、誤解は解けたが、良い迷惑だぜ…
 はー、あとは宿に帰って寝るだけだー…なかなかヘビーな王都初日だったなぁ…」

脚を投げ出すように伸ばし、ぐったりと天を仰ぐ少年の姿は、夜の広場でもちょっと目立つ。
片手に下げていた水筒から水をあおり、深く息を吐く。

「あー…魔物相手とか手合わせってんなら楽だけど、捕縛と荷を守るって枷があった分、旅より疲れた…」

ティエンファ > だらけている少年の鼻に、漂う良い香り…体を起こし、漂ってくる方角を見れば、屋台だ。
鳥の肉でも焼いているのだろう。 香ばしい良い香り…ぐぅう、と腹の虫が鳴く。

「晩飯は屋台でいいかもなあ…あの串焼きを肴に軽く一杯ひっかけて、帰って寝ちまうってのが良いか」

決まり、とだらけたがる身体を無理やりベンチから立ち上がらせる。
自分の身長よりも長い棒をくるりと回して小脇に抱え、屋台に向かえば、

「や、串焼き2本頼むよ …うん? ああ、塩と胡椒はがっつり利かせて!
 あと、このあたりで酒場ってー…え、ここで売ってる? マジで? んじゃあここで買っちゃう! 一杯頼むよ!」

上機嫌で注文し、じゅうじゅう焼けるうまそうなにおいを肴に、酒を一口。 安い酒だが、悪くない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエルティさんが現れました。
エルティ > 先日の仕事で懐が温かい間は仕事は開店休業としようと暇をつぶすように街中を散策して歩き。
人が少なくなったとはいえ通りにはまだまだ人の姿も多く見えて。
露店やまだ空いている店を冷やかして歩いていれば広場にふと見覚えの人影を見つけれて。
これはいい暇つぶしになると思えば笑みを浮かべて近づいていく。

「ティエンファだったわよね?こんばんわ。
今から夕食?」

屋台の前におそらくはお酒を飲んでいると思われる、先日に少しだけ世話をした少年に話しかけて近づいていく。

ティエンファ > 焼きたての鳥串を一つ受け取り、塩気たっぷりのジャンクな味を口一杯に頬張る。
暑さに目を白黒させながらも、口の中に広がる肉汁と味わいを噛み締め、そして、ぐいっと酒を一息。
ぷはぁ、といかにも美味そうに息を吐いた姿は、生意気にも一丁前の酒飲みの顔だった。

「うん? あ、エルティ姉さん! 昨日振りじゃん、こんばんは!
 あー、うん、まさに今ってトコ 一仕事終えて夕飯だよ」

口の周りの脂を指で拭ってから、エルティに笑って見せる。
酒をもう一口して、口の中の脂を洗ってから、

「姉さんも今日は仕事帰りかい? 良かったら一本どうだい、昨日の礼じゃあないが、奢るよ
 今日はさっそく収入があったからさ」

エルティ > 「昨日振りね、こんばんわ。
早速仕事を見つけたのね。それはお疲れ様ね」

口周りの油を拭く姿に子供っぽいとみているような笑みを見せ。
きっと今はその仕事の報酬での夕飯なのだと少年の返して察して。

「私は今は懐に余裕がるから休業中よ。もう少ししたら再開するわよ。
いいの?それなら遠慮なくごちそうになるわね」

仕事を終えたばかりの少年に奢ってもらうのは悪いとは考えるが
折角の好意を断るのを悪いと考えて。
それに昨日の礼と言われれば断る理由もなく、遠慮なくと告げれば魚の串焼きを注文して受け取る。

ティエンファ > 「姐さんの教えてくれたように、ギルドに登録してきたんだ
 ンで、今日出来る単発仕事ないかなって見たら、ちょうど倉庫番の仕事があってさ」

疲れたよ、と大袈裟に肩をすくめて見せる。
ちょっと大袈裟な表現で、今日会った強盗の襲撃を簡単に説明した。

「だから、報酬に上乗せが入って、おかげで数日は宿代も安心だよ
 って、懐に余裕があるのか、流石、冒険者の先輩だな!」

言ってみたいもんだよ、と冗談交じりに笑って見せた。

「姐さんは酒飲まないの? …いや、姐さんの姿で酒飲んでたらこう、犯罪っぽいって感じもするけど…」

エルティ > 「早速登録出来たのね、それはよかったわ。
しかもいきなり仕事にありつけるなんてティエンファは付いてるわよ」

大げさに見える少年だが倉庫番の大変さは知っているだけにそれに突っ込みはせず。
大げさにはなっているだろうが強盗騒ぎの説明を受ければ、いきなりなのにご苦労様と労わって。

「いきなり大儲け出来たのならめっけものね。でも宿代に余裕があっても新人のうちは働いて貯めないと直ぐに無くなるわよ。
これでも少しずつ貯めているのよ。早く余裕が持てるようになるといいわね」

冗談交じりに笑う少年に笑い返し、串焼きを小さく齧り付いて。

「飲めるわよ。でも飲むときは出来れば部屋でって決めてるのよ。
……ちんちくりんで悪かったわね。お酒位余裕よ」

少年の言葉に脛を狙い軽く蹴りを放ち、それが当たっても当たらなくても一度でやめて。
露店の店主に注文して酒を受け取ればぐっと一口で飲み干し…頬が赤く染まる。

ティエンファ > 「姐さんのお蔭さ、勧めて貰わなかったら、今日いきなり登録しに行こうなんて思わなかったしな
 今日朝一で行ったから、張り出されたばっかのいい依頼が手に入った だから有難う、エルティ姉さん」

話を聞いてもらって労われれば、ちょっと照れくさそうに笑って話をひと段落させる。
自分より年下に見えるエルティに、年上らしく振舞われれば、なんとなくくすぐったくて、それを酒でごまかす。

「貯金かあ…銀行だっけ? 金を預ける場所ってのも、そのうち決めた方が良さそうだなあ
 まあ、溜まるほど稼がないとなくなる一方だから、まずはとにかく働かないとだね
 って、あ、飲めるんだ? てっきりミルクとk痛っ じょ、冗談だってじょーだん!」

脛を蹴られて慌てて言葉をつなげる。 一息で飲み干すのを見れば驚いたように目を丸くして。
自分も負けじと器の酒を飲みほして、お代わりを頼む。
子供っぽい対抗心だ。

「姐さん、そんな無理しちゃ倒れるぜ? ひひ」

エルティ > 「私はティエンファの希望を叶えるアドバイスをしただけだから、実際に行動をしたのは貴方よ。
朝一から行ったの?それならいい依頼もあるわね。本当にお礼はいいから」

照れくさそうんしている少年の行動力に目を丸くして驚き。
これだけの行動力、思いついての行動かもしれないが、この少年は大成するのではないかと見てしまい。

「別に銀行に預けなくても自分で残す分で分けて持てばいいのよ。
預けた先が逃げないって保証もないんだから。
その意気はいいんだけど無理をしたら早死にするわよ?
失礼ね、飲めるに決まってるでしょ。誰がミルクなのかしら?」

少年の脛を蹴り上げ、あわよくばもう一発蹴ってやろうと考えて。
酒を飲み干せば大きく息を吐いて店主にお代わりを頼んで。

「こんな薄いので倒れるはずないでしょ。ティエンファこそ倒れても運べないわよ?」

売り言葉に買い言葉と言った様子に少年こそという様に挑発気味に見返してグラスに口を付ける。

ティエンファ > 「そんな風に、見ず知らずの異邦人に優しくするなんて、中々出来ないもんさ
 お礼が要らないなら、良かったらこれからも仲良くしてくれな
 応さ、善は急げっていうだろ? 良いと思ったらすぐに動きたい性質でさ それが今回は功を奏したよ」

根が素直なのだろう、助言はしっかりと自分のものにしている。
まだただの子供っぽいがむしゃらかもしれないけれど、この少年の美徳の一つなのだ。

「宵越しの金は持たない!なんてのも無頼っぽくって格好いい気もするけど、駆け出しの時には格好つけてられないしな
 ま、自分に必要な分だけ残して、無理せず行くよ 強くはなりたいけど、死に飛び込みたいわけじゃあないしね
 って、蹴んないでよ姐さん、姐さんの蹴り何かすっげー的確に脛の痛いトコ当たるんだけど!
 あ、俺ももう一杯ね!」

蹴りの仕草に、慌てて片足を引っ込めて避ける。
お代わりを受けた店主が、意地を張り合う二人を呆れたように眺めつつも、商売なのでお代わりを注ぐ。

「ふふん、俺だってこう見えて、酒は慣れてるんだぜ姐さん!
 これは年期じゃあなくて、強いか弱いかだしな!」

エルティがグラスに口をつけるのを見れば、負けん気を出して、エルティが飲み干す前にぐいっと飲み干す。
ぷっはー、と息を吐けば、どやぁ、という顔。

「あ、お代わりもう一杯ね! 姐さんはどうする? 無理しないで良いぜ?」

エルティ > 「それを言うなら私はエルフよ。異邦人だとしても私には人間という意味では同じでしょ?悪人でもないんだから優しくんしない理由はないわ。
仲よく?それぐらいならいいわよ。こっちこそよろしくお願いするわ。
知ってる?そうやって行動する方が新人のうちは信頼が稼げるのよ」

しっかりと助言を生かしている姿に関心をして見せて。
がむしゃらだろうと全力で仕事に打ち込んでいれば信頼を得れるのも早いだろうと感じている。

「それは一回に沢山稼げる一部の特権ね。私にも出来ない事だから…ティエンファがすればあっという間にカモにされるわね。
それが一番よ、大胆に行きながらも足元をしっかりと固めていけば気が付けば信頼を得て強くなれているわ。
私からすると脛は蹴りやすい位置なのよ、だから大人しく蹴られなさい」

引っ込む足を追うように蹴りを放ち、グラスに口を付けて。
お代わりの酒を半ばまで飲めばあとはゆっくりと、強がってはいるがそれほど強いわけでもないので。

「小僧に負けない程度には飲みなれているわよ。
年長者を舐めない方がいいわよ?」

飲み終える前に飲み干す少年に負けじと酒を飲み干して息を吐くが先ほどよりも顔が赤く。

「わ、私ももう一杯行けるぞ。この程度でどうにもにゃらん…」

先ほどよりも赤い顔でお代わりとグラスと店主に突き付けて。、まだまだと笑みを見せる。

ティエンファ > 「なるほど、肌が違っても国が違っても、人間は人間か …はは、良いな、そう言うの
 こうやって話せるなら、俺もエルフでも人間でも構いやしないや」

こちらこそ、と言われれば、子供っぽい表情でうれしそうに笑う。
先輩冒険者としてのエルティの言葉に、成程なあ、と素直にうなづいて感心する。

「地道に、しかし大胆に…中々難しいこと言うね、姐さん って、カモられんのはやだな! しばらくは分相応を心がけるよ…
 って、痛っ、姐さん痛いってば!」

しっかり鍛えた上背だが、細い少女に蹴られて情けない声。
半分冗談も混ざっているが、結構本当に痛い。 先輩冒険者の強さを感じた!

「ふっふっふ、小僧とかいうけど、顔が赤くなってるぜぇ、姐さんよ
 むしろ、若い方がぐいぐい行けちゃうってこともあるんだぜ!
 よーし、言ったなぁ姐さん! 旦那ァ! よっしゃ、もう一杯ずつ頼まぁ!」

きちんとその分のお金は払いつつ注文する少年。
呆れた店主はサービスだ、と言って二人の杯になみなみと酒を注ぐ。
おっとっと、とか零しかけつつ、エルティに挑みかかるような、でも心から楽しそうな顔で、

「楽しいなあ姐さん、ホント会えて良かったぜ! 乾杯だ、姐さん、ほら!」

そう言って軽く配を打ち合わせて、のどを鳴らして酒を飲む。
安酒なのでよく回るのか、少年も顔が赤い。機嫌良さそうに息を吐けば、すでに杯は空だ。
声が大きくなって、よく笑うようになる。明るい酒癖のようで。

エルティ > 「だってそう思わない?外に出ればゴブリンのような妖魔がいる。魔族もいるし目の前にはエルフよ。
肌や髪の色が違っても人間は人間だと思わない?
そういう事よ、話が出来て解りあえるならそれで十分よね」

子供っぽい笑みに若いなと少年を少しまぶしそうに見てしまって。
頷いている少年にちゃんと先輩をできてよかったと安堵する。

「変に目立つと仕事のないのや先輩に目を付けられるわよ。だから目立たないように地味に、でも仕事では大胆に行かないと駄目な場合もあるって事。
初仕事で気分が大きくなってカモにされて気が付いたら借金まみれって子もいるのよ、覚えておくといいわね。
痛いように蹴ってるのよ」

自分よりも二回りは背の高い少年を何度も蹴り。
手加減はしているのだが冒険用のブーツを履いているだけに威力は十二分にあって。

「赤くなんてなってないわよ、ティエンファこそ我慢しなくていいのよ…?
若さを盾に無理をしても明日に苦労するだけなの…。
まだまだ飲めるわよ」

なみなみと酒が注がれたグラスに僅かに目を泳ぐが今更飲めないとも言えない。
それに楽しそうにしている姿に無理とも言えなくて。

「そうねティエンファ。楽しいお酒ね。乾杯~」

配を打ち合わせて酒を煽るように飲むのだが、酔いのせいで口元から零れ喉元や首周りを濡らし。
どうにか飲み終えれば顔は真っ赤に染まりフラフラ状態。
声を大きく笑う少年を見て微笑んではいるが完全に酔っぱらっていて。

ティエンファ > 「ふぅん、そう考えると、なんかもっと色々面白そうなことができそうだなぁ
 前に追い散らしたゴブリン達も、もしかしたら意外と楽しくやれたりしたかもしれんなあ
 いや、無理か、言葉が通じないし…うーん、難しいけど、でも面白いな、そういうのも」

そんな突飛な事を言う少年は、まぶしそうに目を細めるエルティの顔を覗き込み、どうかした?と尋ねる。
そして、地味に、大胆に、と薫陶を受ければ、難しいなあ、とか相槌を打ちつつも、ちゃんとしっかり受け止めているのが表情でわかるだろう。
蹴りから逃げ回りつつも、持ってた鳥櫛は綺麗に平らげた。安い酒に塩のジャンクな感じがたまらなかった。

「ふひひ、我慢なんてしてねえし、まだまだいけるし!
 それに、俺が泊まってる宿はすぐそこだから、ヘロヘロになってもすぐ戻れるしー」

へらりと緩く笑う表情は、きちんと酔っぱらっていた。 締まりのない顔はいつもより子供っぽくも見え。
ふらついた手元で酒を零しながら飲むエルティを見れば、おいおい、と思わず笑って。

「あねさん、ちょっと酔っ払いすぎらぜ、服もびしょびしょになっちゃうろ?
 んぐ、…んむ、まだまだいけるけどな、俺ぁ!」

呂律が怪しくなりつつも、棒に結びつけてた手拭いを解いて、酒で濡れたエルティの口元を拭おうと。
フラフラしてるくせに、ふらついてるエルティを心配するように片手を添える。

「ねえさんもフラフラらな、もう限界なんじゃねえろ? ん? ひひ」

エルティ > 「少なくとも話が出来る種族と喧嘩をするのは私はどうかと思うわね。
ゴブリンは無理でしょ……それこそ心底の悪党でもない限りね」

顔を覗き込んでくる少年に何でもないという様に首を振り。
魔族とならば話し合えるかもしれないがゴブリンは無理だろうと…。
難しい事を言っているのは解っているが少年ならできるだろうと思うのは真面目に受け止めている表情で判り。
蹴りを避けながらも串焼きを食べ終えている姿にはさすがに鍛えていると感心をして。

「明日に後悔しても遅いわよ……?
近くに宿をとっているなら安心ね」

近くなら少年は大丈夫かと笑う姿を見て、酔った思考で考えて。
子供っぽく見える少年よりも宿がここから少し離れている自分の心配を綺麗に忘れて。
少年の声に何かあったのかとグラスを下ろして視線を向けて。

「私は酔っていないぞ……服?
こんなのは乾かせば……むぐ…」

言葉に見れば口元から胸元に濡れている事に気が付き、直ぐに乾くと言おうとするがその前に口元を拭われて言葉が止まり。
手を添えて支えようとする少年に強がるようにその手から逃れるように動き。

「酔ってにゃどいない……大丈夫……ぁ?」

胸を張って言い切ろうとするが膝が崩れ地面にと座り込み。
くるくると舞う視界に少年を見上げて、ひっくと一息吐き、酔いのせいか子供っぽい笑みを見せて。

ティエンファ > 「ま、話が出来るからこそ喧嘩になるって事もあるんだけどな
 俺口が悪いから、よく親父殿と口喧嘩になっちゃってさあー…大体物理で負けたけど」

ふと思い出して苦い顔をする。 随分と悔しかったのだろう。
串を屋台の店主に返した所で油断して、きれいに脛蹴りが入って情けない悲鳴を上げた。

「明日頭が痛くなるよりも先に、俺の脛が壊れそうな件について…
 ん、すぐ近くだよ、あっちの通り沿いらし…って、そのまま乾いたら、酒の匂いでひどいことになるぞぉ」

エルティの口を拭った手拭いを揺らし、ちょっとからかうように笑う。
するっと逃げるように動いたエルティを視線で追えば、すとんとその姿が消える。
そして見下ろせば、座り込んだ少女の姿。あーあ、と思ったところで、印象と違う柔らかな笑顔を見てちょっとドキッとした。
すぐにはっと我を取り戻せば、手を差し出して。

「座りっぱなしじゃ身体冷やすろ姐さん、今日はこれ位にしといたらぁ!
 …ひっく、ほら、手 送ってくろ」

そう言ってから、思いついたようににやりと笑って、

「立たないと、抱えて俺の宿に連れてっちゃうろ? ふひひ」

エルティ > 「出来なくて喧嘩よりはいいわよ。だって通じないと終わらないでしょ?
通じるからこそ喧嘩も終わるのだから。
そこは口を直す努力はするものよ?」

苦い顔をする少年を見れば回数が多かったのか悔しかったのだろうと見て、家族ならそこまで本気な喧嘩はしていないだろうと考えて。
綺麗に入った蹴りと上がる悲鳴に満足そうに笑い声を上げて。

「そうなったら傷薬ぐらいは出してあげるわよ。でも丈夫だし大丈夫でしょ?
そんな場所にも宿があったのね…盲点だったわ。着替えはこれだけじゃないから大丈夫」

揶揄われれば僅かに頬を膨らませて大丈夫と返して。
完全に酔いが回ったのか楽しそうに笑って少年を見上げてニコニコと。
差し出された手と少年を交互に見ては首を一度傾げ、そして手を取り。

「そうしてくれると助かるわ……ティエンファはそこがないわね…。
あれ……立てない……」

手を取って立とうとするのだが立ち上がれずにあれ?と慌て立とうとするがもがくのみで。
少年が笑って告げることになんとも言えずに困った顔をするしかなく。

ティエンファ > 「逆に、言葉が通じなくても通じ合うこともあるぜ、拳で!
 あははー、いや、これでも気を付けてるんだぜ? うーん、せっかく王都に来たし、綺麗な言葉使いも勉強してみるかなあ」

涙目で脛をさする少年を見た屋台の店主が、あきれたように笑う。
立てないエルティを少年と店主が眺め、店主が少年に視線。
『酔い潰したからには置いてくなよ』とかそんな意味を感じて、調子に乗りすぎた、とちょっと笑ってうなづいた。

そして、手を取った少女の小さな手を握り、眉を下げてほほ笑む。

「おいおい、姐さんマジか んー、じゃあ、本当に俺の宿にー…」

からかうようにそう言いかけるが、困ったような表情を見れば、ちょっと冗談が過ぎたかな、なんて酔った頭で反省する。
ふむ、と酒臭い息を吐きだせば、ちょっと色々悪い色っぽいことを妄想してしまう思春期な思考を追い出して、

「宿まで連れてくよ、姐さん はい、どうぞだ」

そう声をかければ、エルティの前に膝をついて背を向ける。
抱き上げていこうと思ったが、さすがにそれは自分が照れ臭かったので、おんぶだ。

エルティ > 「剣や拳で戦う子はそんな事をよく言うわね、でも私はこれかからそういう理屈は判らないのよ。
それならもっと気を付けないとここじゃやっていけないわよ?」

軽く何もない所で弓を引くしぐさを見せ、口の悪さで仕事を伸ばす場合もあると。
予想外に少年に対抗して飲んだおかげで足腰が立たないほどに酔ってしまい、店主の視線に気が付けば思わず目を逸らせてしまって。

「冗談なんて言わないわよ。本当によ……」

年上ぶって偉そうにしていたのにとんだ醜態を見せてしまったと恥ずかしそうにしてしまう。
酒のせいもあって赤い顔に潤んだ目はますます見た目年齢相応に見せてしまって。

「私の宿は連れ込み現金なのよ。だから前まで連れて行ってもらってもそこから部屋にいけないわよ…」

安全を考えて少し高めの宿にしたためにこういう時に部屋まで送ってもらえないと困った顔に。
それでも少年が背を向けてくれれば首に腕を回しておんぶがしやすいようにと身を寄せる。

ティエンファ > 「まあ、これは真理っていうか、男のロマンってやつだからなあ…男でも判ってくれないやつもいるからしゃーなしだな!」

弓を引くしぐさに両手を挙げて降参して見せてから、恥ずかしそうに狼狽える様子を見れば、先輩というより、同い年くらいの少女に見えて。
上気した頬やうるんだ瞳に、あまり女性耐性が高くない少年もつられてちょっと狼狽えてしまう。修行が足りない。

「つれこみって…あー、まあ、そう見えるか、…見えるか? 見えるか」

納得したように頷いてから、自分の背に身を預ける少女の重さを、酔って尚しっかりした脚で立ち上がって。
軽く揺すって位置を整えれば、ちょっと振り返る。 近い少女の顔に、慌てて前を向いた。 エルティの目の前にある少年の耳が赤かった。

「んー…じゃあ、まあ、仕方ないよな 俺の宿に泊まってきなよ、姐さん
 …あ、いや、別にそう言うのじゃなくって、変なことはしないけど!! だけど、宿に戻れないっていうなら仕方ないし!
 …ともかく!」

安心させようと言い募ったら、逆に下心っぽくなったので、ごにょごにょと言葉を止めてから、

「大丈夫だからさ、俺は床で寝るから、姐さんベッド使いなよ」

そう言って歩き出す。 背負う腕は逞しく、少年の背は分厚い武術家の背中。

エルティ > 「そのロマンは仕事に持ち込まない方がいいわね。殆どが殺し合いになってるはずだから…」

解りあえたと油断をさせて背中を刺すようなのもいると忠告めいたことを口にとするが酔っぱらっている姿では説得力は全くなく。
狼狽える少年の様子に何かあったのかと周囲を見てしまう。

「酔った私を運んでもらったで行けるならいいんだけど……前にだめなのを見たのよ。宿の店員がどう見るかわからないのよね」

納得してくれた少年の背中に身を預ければ思いのほか軽い体重で。
揺らされると落ちそうになりしがみつく様に力を込めて振り返る少年を見返し。直ぐ近くで顔が見え前を向いた少年に初心だなとつい笑ってしまう。

「今回はティエンファの好意に甘えておくわね。
そんな度胸がないのは解ってるから心配はしていないわよ。でも本当に助かるわ。
床は私でいいからちゃんとベッドで寝なさい。いいわね?」

その慌てた口調にくすくすと笑って少年がそういう事をしないだろうという事を耳元で告げて。
自分こそ床でいいと答え、歩き出す少年の鍛えられた背中に本当に慎ましい膨らみを押し付けて背負われる。

ティエンファ > 「覚えとくよ、他でもない姐さんの忠告だしなあ」

しかし、何やかんやでエルティを背に背負った自分がいるわけで、そういう意味では、背中を刺されても可笑しくない状況。
それに気付けばちょっと笑った。 そして、信用して刺されるほうが、信用しないで一人よりいくらかましさ、と大人ぶったことを言う少年だ。

「結局、男を連れ込んだって思われたら、その後の姐さんも、宿で過ごしにくいだろうしなあ…
 ま、俺のトコはそこらへん全然気にしないみたいだけどな 一応鍵はついてるから安心してよ
 …って、ど、度胸はあらぁ! ただその、酔って押し倒すみたいなマネ、男らしくないからしたくないってだけで、そのー…
 あー、とにかく! 甘えるならちゃんと甘えてくれ、女を床に寝かして、男がベッドで安眠できるかいってんだ」

ちょっと強がったことを言うけど、耳元の柔らかい声と背中に感じるかすかだが確かな柔らかさに、思春期らしい悩みを抱き。
酒の酔いも手伝って、色々元気になった少年は、ちょっと前屈み…いや、この前屈みはエルティが落ちないようにだよ、本当だよ…で歩き出す。
連れて行った宿は古いが意外としっかりしたつくりで、遠慮するエルティを無理やりベッドに寝かして、少年は床に毛布にくるまって寝るのであった。

エルティ > 「そうしてくれると嬉しいわ。私も知り合いが帰ってこないのは少しは悲しいもの」

先輩でありながら今は後輩の背中の世話になっている姿につい笑ってしまい。
今だけは少年が頼りになるという様に身を預ける。

「それは言えてるわ。宿替えしないと過ごしにくいわね…本当に。
鍵付きなの?それなら安心できるわね。それにティエンファもいるなら完璧ね。
冗談よ、真面目だからそういう事が出来ないのよね。
そこまで言うならベッドを借りるわよ」

強がっている少年を子ども扱いするように楽し気に笑ってしがみつき。
多分落とさないように気を使ってくれている少年に背負われて。
そのまま連れていかれた宿は振るいながらもしっかりとしたいい宿、無理やりにでもベッドへと寝かされればやがて寝息を零して…

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティエンファさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエルティさんが去りました。