2017/02/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリスさんが現れました。
■リス > 大通りに面したところにある、大きなレンガ造りの店である、トゥルネソル商会の建物。
そこは、様々な品物や、サービスが売られ、奴隷もまた、売られている。
マグメール店の店長は創始者の娘であり、店長としての技量を認められての商売。
今日も、店の中の見回りをし、事務室に戻ってきた。
何か問題があれば、店員がすぐに此方に報告をしに来るだろう。
だから、帳簿でもつけておこうと、少女は髪と羽ペンと、帳簿を手にした。
「売上は、順調、と。
品物の在庫に関しては……ああー。」
歩いてみたりするのもいいが書面にて確認すると、別の視点から特有のものが見えてくる。
ちょっと、仕入れを増やさないといけないかもしれないわねとつぶやきながら少女はペンを走らせる。
事務員のおじちゃんにお茶を出してもらい、それを片手に、ペンをしゅるしゅると走らせて、帳簿を仕上げていく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……ほ、っほぉ~……。こりゃなかなかの品揃えだ」
大通りでも、一際目立つ建物。有名なその商店に男が入り、店内を見渡す。
ざっと見ただけでも、質の高い物が並んでいるのがわかる。さらに、商品の多種多様さ。冒険者として、思わず声が漏れたというわけで。
「……さてさて、お買い物お買い物、っと。店員さん、ちといいかな」
一頻り店内を歩き、この店なら良い買い物が出来そうだ、と思った男は、店内の店員に声をかけ、ほしい商品を告げていく。
……だが。
「散弾銃の弾丸50ケース。リボルバー用の弾丸100ケース。
回復と解毒のポーションを5ボトルずつに精製度合いの低い火薬を2袋。
あと、あるならマジックアイテムを見せてくれ」
その注文たるや。雑を通り越して適当。更に言えば、銃の弾丸はまだまだ価格の高いものだ。それを50だの100ケースだの。
店員はハッタリか冷やかしだろうと苦笑いをしていたが……。
「あぁ? 支払い? キャッシュに決まっているだろう。
ほれ、金貨でいいな? 足りないならそう言え」
男が、ドゴッ、と音を立ててカウンターに置いた袋には、ミッチリと金貨が詰まっていた。どれもまばゆく輝いている。
店員はひきつった笑顔になり……。それを遠くから見ていた同僚は、あまりのことに店長を呼びに事務室へと走った。
■リス > 事務仕事をしている少女、売上帳簿を記入して、お茶を飲んで営業の日報に取り掛かろうと思い手を伸ばしたとき。
焦った店員が事務室に走りこんでくる。
血相を変えた事務員の声と表情と、内容を確認してからふむ、とうなづこう。
彼女は新人だったか、と慌てているミレー族の奴隷の店員に落ち着きなさいな、と頭を撫でてから出ていこう。
「いらっしゃいませ、毎度ありがとうございます。
店員が失礼しました。
私、店長のリスと申します。
まず、当店は階層によって品物の取り扱いが違います。
銃弾は、3階の武器売り場
ポーションは日用品売り場。
お支払いは、その階層ごとによろしくお願いいたします。
マジックアイテムに関しましては、どのようなものをご所望でしょう?
マジックアイテム自体の在庫は少ないのでご要望にお答えできない場合がありますのでご注意いただければ。
あと、ご注文頂いた物品は今すぐにお持ち帰りいただくのでしょうか?」
冒険者らしい男性にペコリとお辞儀をして店員の不手際の謝意を表す。
お客様に説明をしながら、まずは銃弾ですね?こちらです、と三階への案内を。
そして、店員に倉庫へ行って在庫の確認をするようにも伝える。
銃弾は消耗品なので、よく使うお客様は使うだろうし。
■セイン=ディバン > 店員の慌てふためく様子もお構いなし。次から次へとポンポンと高額商品を要求する男。
そのたびに、価格の説明がされ、その提示された金額分の金貨が山積みになっていく。
もはや店員も涙目になった頃。男に声をかける女性が現れた。
「うん? ……おりょ、店長さんのお出ましか。こりゃ少し意地悪をしすぎたかな?
ふん。ふんふん。なるほどな。それは失礼した。じゃあ、各フロアごとに注文を出すとしよう。迷惑をかけたな、美人店長さん。
マジックアイテムに関しては、まぁとりあえず物珍しいものがあれば欲しいんだが……。姿を消せるマントや、空を蹴って飛べる靴、なんてあれば最高だねぇ。無論、無茶は言わんがね。
あぁ、商品はすぐに持ち帰るよ。いや、正確に言うと魔術で送る。じゃあ、案内をお願いしようかな、美人店長さん」
店長だという女性の説明に頷き、非礼を詫びる男。そのまま案内され、女性へとついて行く。テーブルの上にあった金貨袋は、一瞬で姿を消し……男の懐の中へ。ことさらに美人店長さん、と繰り返しながら、男は上機嫌そうだ。
「しかしデカい店だ。しかも大きさだけじゃない。品も一級品ばかり。その上美人店長さんはお若いときた。こりゃあやかりたいもんだねぇ。
……しかし、この店、取り扱っていない商品、なんてないんじゃあないか?」
■リス > 新人の店員は即座に呼びに来ていたらしい。
注文の品の数はもっと多かったようで、ベテランの店員が、注文のメモを取り出して、教えてくれた。
ふむふむ、と片目で見やって、なるほど、とうなづきつつ、ベテランの店員に先に言って、準備しておくようにと指示を出す。
「そういう訳ではありませんので、お気になさらず。
慣れない子で戸惑ってしまったようで、こちらの不勉強をお許しくださいまし。
迷惑ということもございません、今、ご準備させていただいておりますので。」
彼の言葉には、微笑みをこぼしながら、ひとつお辞儀。
マジックアイテムの在庫に関しては、少々お待ちをと、それも在庫表を、持ってこさせる。
「お持ち帰りですね、かしこまりました。
では、ご案内いたします。」
木箱に、種類ごとに分けて入れて、置くようにと追加の指示を出しつつ、まずは二回へ。
彼を後ろにしながら、少女は小さく笑う。
「いえいえ、美人だなんてとんでもないです。
それに、取り扱いのない商品はありますわ。
あと、作成に専門知識の必要な高位ポーションなどは、藥師さんの仕事を奪わないようにと、わざと取り扱いをしておりません。
春を売るサービス、賭け事、そういったものは取り扱いはしませんし。
マジックアイテムに関しましても、マジックアイテム自体が希少価値が高く値段も高いもので。」
そういったものは、取り扱っておりませんの。
在庫も、少ないんですと、男に説明しながら二階の売り場へ。
「回復と、解毒のポーションでございますね?
まずは、此方に。」
解毒といっても種類は多いので、回復のポーションと、数種類の解毒ポーションを見繕わせ、ほかにありますか?と首を傾ぐ。
■セイン=ディバン > 矢継ぎ早に追加されていく男の注文だったが、ベテランらしき店員は正確に把握し、メモを取っていたようだ。そのまま、店長という女性にそれが渡され……。
「あぁ、いやいや不勉強だなんて。こちらこそ、高揚し過ぎてしまった。
なにぶんコレだけの品揃えの店は久しぶりでね」
ハハハ、と笑いながら男もお辞儀を返す。目の前の女性の仕草や対応は、男から見てもすばらしいものだった。
丁寧でありながら、どこか他人行儀に過ぎない。
「あぁ、改めてよろしく頼むよ。
そうだ、俺はセイン=ディバン。よろしくね、美人店長さん」
女性の後ろについていく中、自己紹介をする。コレだけの店の店長である女性だ。覚えてもらえるかは怪しいところだが。
男は目の前の女性の衣服に目をやる。上物である。やはりどうしてなかなか、この店は繁盛しているようだ。
「いや、美人でしょうさ。しかも若さが満ち溢れている。
ふむ? あぁ、なるほどね……。いろいろと大変なんだなぁ。
……。春は売らないのに、奴隷は売っているんだなぁ。
あ~、マジックアイテムに関してはそこまで期待はしていないから気にしないでくれ。どこに行っても高い物だしな」
丁寧な女性の説明に、頷きながら、大人しくついていく。
そんな中、気になったことをつい言葉にしてしまう。奴隷販売。
あまり良い気分はしなかった。
「お、こりゃどうも。
……ふへぇ。本当に凄い品揃えだな。じゃあ……」
提示されたポーションを見渡し、思わずため息。その中から、回復効果の高いポーションと、効き目の違う解毒ポーションを貰い、手を振る。
筋力増加や敏捷性向上のポーションは自作でなんとかなるからいらない、という意思表示であった。
「……しかし、残念だ。春を売る、売らないはともかく。
美人店長さんには一晩お付き合いいただきたかったんだが……。
こりゃ幾ら積んでもそりゃ叶わない願いかな?」
■リス > 「あら、それは嬉しく思いますわ。
もっとお喜びいただけるように、店員ともども店を盛り立てていきますから。
どうぞ、ご贔屓にお願いいたします。」
少女は笑みを浮かべ、笑って答える。店を褒められるのはとても嬉しいし、やりがいが沸く。
それがお世辞だとしても、だ。
「セイン様ですね。
美人店長さんというのも長いですし、リスでいいですわ。」
美人美人言われ続けるのはちょっと恥ずかしい。
せめて名前でよんでくださいまし、と、ほんのりと頬を染めて答える。
「春を売るサービスは、本店でも、取り扱いはありませんわ。
まあ、ダイラスなので、娼館が近くにあるからでしょうけれど。
奴隷は、商品ですわ?お買い上げになった方がどのような目的でお使いいただこうとも、私たちは、関知できません。
それに、奴隷階級に落とされた人にしてみれば、選択肢などありません。
何もせず、飢えて死ぬか、辛くとも未来を見て生き延びるか。
ここの店員は、全員奴隷ですわ。」
この国の身分制度は厳しい。
奴隷階級にされてしまえば、碌な生活ができないだろう。
それに比べれば、マシなはずだ、マシではないと思えば、自分で道を開けばいい。
全員が全員、自分の力のみで開けるはずもない。
かわいそうと何もせずに見捨てるのは、性に合わないのだ。
で、なんなら、自分たちも儲ける事ができる、奴隷販売だ。
この商会が奴隷をどのように扱っているかは、生き生きと嬉しそうに働く彼女らを見ればわかるだろう。
「では、ポーションの代金は、あちらのカウンターでお願いいたします。
あと、マジックアイテムに関してですが、うちの在庫にあるのは。
強化された剣一振りと、防御のアミュレット一つ、魔法銀製の盾が一つとなります。」
少女は目録を眺めながら小さく笑い、最後の言葉に彼を眺める。
「そこは残念ですが。
私は、売り物ではございませんので。
それに……お父様に怒られてしまいます。」
と、最後の欲望に関しては申し訳ございません、と頭を下げて。
■セイン=ディバン > 「あぁ、それはもちろん。なにぶん仕事柄、道具の補給は生命線でね。
贔屓にさせてもらうさ。せっかくの縁だしねぇ」
男の言葉に偽りは無い。冒険者の生死を分けるものの一つに、道具の補給と質、というものがある。
要するに、死にたくなきゃケチケチすんな、ということだ。
「様、ってのはちょっとこそばゆいなぁ。呼び捨てで構わないよ。
リスさん、ね。オッケ、覚えたよ」
頬を染める女性の姿を見て、思わず笑みが漏れる。
なんというか、あまりこういった会話に慣れていないのかなぁ、などと妄想。
「あー、なるほどね。そういうことか。
……ふむ。ハッキリ物を言うねぇ。好感が持てるってもんだ。
あ~。ま、そらそうか。不幸を嘆くか、抗うか。奴隷でもそうでなくても違わないわなぁ。
え、そうなんだ。そりゃ意外……」
女性の言葉に、男は否定的な意見を口にしない。
奴隷とは剥奪されし者。明日も知らぬ身の上だ。
それでも、世の中には奴隷と言われていても幸せな人生を送れるものもいる。
この店の従業員をチラと横目で見ながら、この店、そして目の前の女性のことを内心で更に評価する。
そして、男にとってこの店の奴隷販売は、なにやら閃きを与えるものであったようで……。
「ほいほい。えっと~……。ほい、金貨で現金払い、だ。
うんうん? あ~、それならアミュレットを貰おうか。
身を軽くするのが身上でね。重くなくて防御力が上がるならそれはかなり嬉しい」
多少値の張るポーションの代金をぽん、と支払い、更にアミュレットも購入する意思を告げる。
そのままポーションに触れ、指輪をチラリ、と見たかと思えばポーションは一瞬で姿を消す。魔王様から貰ったアイテムの応用利用であった。
「ま、そうなるよねぇ。こちらこそ唐突に失礼を口にした。許されよ。
ん、お父様、ってことは許婚がいるとか?
……もしもそうじゃないなら、食事だけでもどうだい? 無論奢るぜ?」
相手の言葉に、素直に頭を下げつつ、なおも食い下がる男。
どうにも、良い女を見かければ口説かずにはいられない性分なのだ。
■リス > 「ご満足いただけるよう、一層の品質管理をさせていただきますわ。」
質は落とさず、値段は手頃に。
薄利多売を信条とする商会としては満足の言葉に笑みを深めよう。
「ありがとうございます。
何か不足が有りましたら何時でもお呼びくださいまし。」
彼の言葉に、恥じらいつつも、仕事、と切り替えて表情を引き締める。
そして、会計が済んだところを見計らい、視線を階段に向ける。
「商人は信用が第一ですから。
言いづらいことも、時には声を大にして言わねばなりません。
ご理解いただき誠ありがとうございます。
もし、小間使いとか必要な時はご相談くださいませ」
理解のある言葉をいただければ、ぺこりとひとつお辞儀を。
そして、忘れずに奴隷のおすすめ。
人的資産なのだし、彼なら買っても酷いことはしないだろう。
そう思っての一言。
「では、アミュレットをご用意させていただきます。
こちらへ。」
ポーションの買い物が終わると、少女はさらに上の階への案内を。
三階は武器防具を取り揃えた場所で。
先程彼が注文した弾薬は二つの箱にそれぞれ収められていた。
しかし。
店員がひとつ耳元に。
「申し訳ありません、セイン様。
急なご注文ということもありまして、在庫に不足がございました。
回転式の銃弾は100ケース揃えられましたが。
散弾式の縦断が40ケースしか、御座ませんでした。」
基本的に取り扱いのある武器は、剣や槍などの近接武器と弓矢など。
散弾という特殊すぎる銃弾は今までの使い手が少ないこともあり在庫が足りなかった。
倉庫を更って出てきた全てでも足りずに、少女は彼に頭を下げる。
「お時間をいただければ、残り10ケースを本店から直ぐに海送しお届けいたしますが。」
そう話ししている間に、アミュレットが届き、少女の手に渡る。
「あと、これが防御のアミュレットでございます。
こちらは、鑑定した魔術師の証明書です。」
届いたアミュレットは、確かに防御魔法のかかったもので。
魔術師の鑑定が終わっていて、それなりの防御力のあるものだとあった。
「いいえ?
お父様は過保護なだけです、ボーイフレンド連れて行けば、いつも追い返すぐらいに。
それに……セイン様既に、良い人がいらっしゃるようにも思えますが?」
さらに口説いてくるあいてに、微笑みながら。
彼が既婚者だということは知らない、でも、女の勘がそう言っている。
■セイン=ディバン > 「ははは、こりゃ参った。そうまで言われちゃ他の店に浮気なぞできん」
念を押すような言葉に、まるで降参だというように男は笑う。
様々な商売人は見てきたが、この女性のようなタイプは初めてだった。
「あぁ、あぁうん。とはいえ。
不足が有りそうに無い気もするんだが?」
どこまでも丁寧な対応に、男は頭をかく。
正直、入店当初こそ客としての振る舞いを前面に押し出した男だったが。
商品、そして女性の接客レベルの高さに、逆にその振る舞いを恥じ入るばかりだ。
「ん。そうだな。それは冒険者にも言えることだ。
信用、信頼。嘘なんぞついてりゃそれらは失われていくからな。
……あぁ、そうだ。確かに、家の管理を任せられるメイドの一人も欲しかったんだよな……。
洗濯、掃除はそれなりに出来れば良い。メシを作るのが上手くて、ついでに言えばセックスに抵抗の無い奴隷を一人貰おうかな」
最近購入した自宅。広すぎて手入れが行き届いていない。
メイドを雇おうか考えていたのを思い出し、そう注文してみた。
……無論、そこまで酷い扱いをする気は無いが。せっかくだしそういう用途にも耐えられる奴隷の方が男的にもありがたかった。
「あぁ、はいはい。しかし、こりゃちょっとした城だぜ。
子供の客なんか、この店に来たらはしゃぎまわるんじゃあないか?」
促され、三階へと向かう途中そう言う。実際、ある程度の年齢の男も、この店の雰囲気といったものに当てられ、はしゃいでいるのが事実だ。
「ふむ。用意が行き届いているなぁ。流石としか言えん。
……ん? あぁ、いやいや。いいよ別に。むしろ買い占める形になって申し訳ないと思う。
ふむ……いや、取り寄せも結構。むしろ、またこの店に来る理由になる。
とりあえずは有るだけ貰うさ」
女性の言葉に、そう告げる。実際、多少見栄を張った注文だ。金はあるが、銃弾だってそんなに一気に使用するものでもない。
むしろコレだけの在庫を保持していることに、驚きと賞賛の感情が芽生えるほどだ。
「って、本当に準備がいいなぁ!! というか、鑑定書付きかよ……。
そこらの道具屋なら偽物売りつけるようなこともするだろうに……」
手際のよさに、いよいよ声が弾む。そのまま鑑定書に目を通し……。
その性能に唾を飲む。上物……いや、迷宮などに潜む魔術師などならこのレベルの代物も扱うだろうが。街で買うには最上級のレベルとすら言えるものだ。
「あぁ、なるほどね。そういうことか。
……って、え、なんでバレた? 確かに結婚はしているが……。
いや、しかし妻は結構その辺おおらかだしな? それに、食事くらいならバチもあたるまい?」
鋭い女の勘に、面食らう男。脳裏に浮かぶは、若干ジト目の妻の顔。
とはいえ、浮気に関しては寛容どころか無関心な妻だ。コレくらいでは怒らないと男は判断した。
■リス > 「毎度ありがとうございます。」
笑う彼に、少女は微笑みを浮かべてペコリとお辞儀を一つ。
店長を任されているそれに値する能力はあると思っている。
「いいえ?
不足は、不測でもありますから。
現に今も。」
銃弾が足りない。ご要望にお答えできないのは恥じ入るばかり。
一般に少なくとも流通しているのだから、用意できなくてどうすると。
次から在庫の数を20%ずつまして置くように頭の中にメモ。
「一人、でござますね。かしこまりました。
では……、後で事務室へお願いします。
奴隷の販売に関しては、書類が必要となりますので。
この店にいる子を集めます、もしお気に入りがいなければ、バフート店から直接向かわせますので。」
そう言いながら、全従業員に集合をかける。
店の中がバタバタと騒がしくなる、久しぶりの販売なので。
家事に関しては従業員全員が履修している、あとは性的なこと、ということで、それに抵抗のない娘を呼び集めているようだ。
「ええ、記憶に残って頂ければ、また来ていただけますし。
お子様であれば、親御様も一緒に来ていただけますから。」
子供がはしゃいだぐらいなんだというのだ。
掃除の行き届は、彼女ら能力のテスト、ちゃんときれいに掃除的ている
子供が汚しても大丈夫、大きな店だから、大きなおうちでも耐えられる。
その証拠にもなりますわと。
「かしこまりました、では、銃弾の確認をお願いいたします。
次からは、ご要望にお答えできるように在庫を増やしておきますのでご容赦ください。」
頭を下げながら、次に来てくれるという言葉に謝意を表す。
そして、鑑定書に関しては苦笑をこぼす。
「逆に言うと、魔道具が少ない理由がこれなのです。
誰にでも売れるようにするためには、鑑定する必要があります。
でも、私たちは誰も魔法の知識がありません。
鑑定して、しっかりとしたものしか売れないので、割高くなり、在庫も置いておけないのです。」
魔法の知識に関しては素人ばかり。
だから、鑑定してもらえないと本物かどうかがわからない。
ゆえに、在庫が少なくなる、鑑定するのもお金がかかるから。
「そうですね。
お食事だけならば、お仕事が終わったあとでよろしければ。
後……」
しつこく食い下がる男に、小さく笑みを浮かべてプライベートであれば、と了承を。
そして、彼の下半身を見て、彼の顔を見て。
「私、付いておりますので、性的なことはお受けしませんわ。
恋仲になりたいのは、女性の方、と決めておりますので。」
ちゃんと行っておいたほうがいいわと、判断した。
■セイン=ディバン > 相手のお辞儀に、苦笑し、手を振る。
こりゃとことん凄腕だな。商売人としては喰えん女だ。怖い怖い。
と言った感想は胸のうちにだけとどめておく。
「はぁ、本当に若いのに凄い立派な商売人だな、リスさんは。
だがしかし……こうも無茶な注文をしてるんだ。多少の不備……いや、不備とも言えぬ誤差位は仕方あるまい?」
恥じ入り、申し訳ないとする相手にフォローの言葉をかける。
正直、そこまでの在庫はあるまい、と吹っかけた部分もあるのだ。
不足が生じているとはいえ、それでも一般の店では敵わぬ在庫とサービス。男にとってはそれだけでも感謝をし足りない。
「あぁ、判った。……とことん迅速だな。
こりゃ、トゥルネソル商会の名が轟くのも納得だぜ」
女性の一声に、店員が即座に反応する様子。もはや軍隊じゃねぇか、という感想も心の中に封印。
不思議なことだが、店員のその様子に不幸の色は無い。
本当に、全うな商売を実直に続けているのだな、と感動すらする。
「ふはは。なるほどね。
商売上手、ってぇわけだ」
相手の言葉に大きく笑う。子供の要望で、この店に来たい、と言われれば。確かに再来店の動機としてはでかいだろう。
子供のおねだりに、親は弱いものだ。
「あぁ、確認させてもらおう。在庫に関しては、まぁ店の負担にならない程度に頼むよ。
なにせ、俺みたいにワガママな客ばかりでもないだろう?」
冗談めかして言いながら、男は二種類の弾薬の箱を開け、手早く弾丸の質を確認する。
問題なし。極めて良品。男はため息を吐いて弾丸をしまう。
確認するのが馬鹿馬鹿しくなったからだ。この店の商品に関しては、欠点も難癖を付けられるような点も一切無い。完璧と言って良い物ばかりだ。
「あぁ……そういうことか。合点がいったよ。
世の魔術師には、偽物を掴ませるヤツも多いからな。
そりゃ商売品としては少し扱いづらい、か」
タチの悪い魔術師ともなれば、使用して数回は本来の効果を発揮し。
その回数制限の切れた途端、何も反応しなくなるようなマジックアイテムを、注意無しに売るヤツもいる。正直、品としての安定性に関して言えばマジックアイテムは魅力よりもリスクが上なのだろう。
「お、いいね。じゃあ飛び切りの店を予約しないとな。
って、どしたん? 俺の顔を見て。
……って、え、えぇ~。マジかぁ。そうか、そうなのかぁ……。
俺としては、ついてても問題はないが……。
リスさんが女性相手がいいというなら、まぁ、諦めよう」
喜んだのもつかの間、相手からの告白に肩を落とす。男としては見た目が美しい女性ならそういった部分の問題は些細なことなのであるが。
相手の好みの問題があり、男がその対象でないというのならまぁ、しかたないことである。と諦めた。
流石にそこで無理やり、とまではいかない程度の理性と人間性はあったようだ。
■リス > 「その誤差で、冒険する方の命が左右されると思えば、誤差などと言えませんわ?
それに、ちゃんとお支払いしてくれるのであれば、お客様は神様になります。
次回からは、事前に伝えておいて頂ければ、一同感謝致しますわ。」
相手のお話は最もだが、甘えるわけには行かない。
売ることに関してはプロでないといけない、締めるところはちゃんと締めねば。
確かに、無茶も言われただろう、何とかなった良かった、で終わらせるつもりはないのだと。
「お客様がいい人ですから。
いいお客様には、店員も必死になりますわ。
可愛がってもらいたいですもの、誰だって。」
今の動きは、正直店長のリス自身驚いてる。
イケメンに食らいつく飢えた狼と言って良いんじゃないかしらとか。
今までのやり取りである程度の性格がわかったのも大きいのだろう。
自分から率先して、売り込むつもりのようだ。
「がめついと言っていただいてよろしいと思いますわ。」
商売上手というのは、お金を集めるのが得意。
だからがめつい、などと冗談をこぼしてウインクを一つ。
「いいえ、食料品やポーションと違い、武器防具は長期保存が可能ですから。
負担にはなりませんわ。
お客様のご要望も、そういうケースという形になりますから。
あ、火薬はそちらの油紙の中に。」
わがままというわけではない、貴重な経験となる。
お気になさらずに、と笑ってみせよう、不備があれば後日交換にお伺いしますからと。
注文受けていた火薬に関しては、湿気ないように油紙に包まれてあり、それを伝え忘れてた、と確認中の男に伝えた。
「鑑定士も、ちゃんと信頼できる魔術師にお願いしております。
複数人雇えればもっと安心できるのですが。」
流石に、見つからないと軽くため息。
魔術師に騙されてしまえば、どうしようもない。
魔術に心得がないのがとても口惜しい。
「はい、お店の中で言うのもはばかられますが。
そういうことなのです。
まあ、食事とか……そうですね、キスや口や胸での奉仕までなら。
しかし、心からお付き合いしたいというのであれば、女性の方がですわ。」
好意を向けてくれるのは嬉しいが、答えるのは難しい。
あまり期待させるのも申し訳ないので、出来るレベルでの返答。
それに……女の子ばかりのお店で、そんなカミングアウトさせないで欲しかった。
「さて、では、お支払いを済ませましたら、一階へお願いいたします。」
奴隷の売買契約に関してのお話がありますから、と。