2016/11/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に砕華さんが現れました。
砕華 > (寒い、寒いと人々が凍える季節になった。
まだ、雪が降るほどの気温ではないにしろ、長時間の水仕事は、多少堪える様になって来た。
長袖の服を着る人間が多くなり始め、吹き荒ぶ北風は、体の芯まで震えてきそうなほど。
灰色の雲が、青空を覆い隠す日も多くなり始め、本格的な冬の到来を、感じさせた。

だが、こんな時期だからこその、楽しみもある。
落ち葉が大量に落ち、木々も少しずつ冬の装いを始めだす石畳の道路。
砕華は、店の前に落ちた枯葉を、ほうきや熊手でかき集め、暖簾の近くに山として積んでいた。
このくらいの掃除、シェンヤンではこの時期では、日常茶飯事のようなもの。
せっせと、手早く枯葉を山のように積み、くすとご機嫌そうに笑っていた。)

「ふふふ……。」

(袖で口を隠し、開いている甲斐ないのか解らないような目は、機嫌よさげに釣りあがる。
山に鳴った枯葉の形を少し整え、砕華はその足元に、燃えやすい木屑を備えた。

火事にならなければ、やってもかまわない。
既に行政からちゃんと許可を取っている砕華は、傍らに水を準備していた。
火事になりかけたときには、即座にこれを掛けて、火を消す算段もばっちり。
後は、この木屑に日をかけ、焚き火を完成させるだけだ。)

「垣根の、垣根の、曲がり角~♪。
焚き火だ、焚き火だ、落ち葉焚き~♪」

(冬の到来を告げる、シェンヤンの童話の一説。
それを口ずさみながら、普段は店ので使っている火種を、木屑に近づける。)

砕華 > (火種をつけられた木屑は、すぐに炎を上げて枯葉へと燃え移っていく。
ジジジ…という火の音が立ち、パチ、パチとはじける音が、僅かに立つ。
砕華は、鉄の棒で枯葉をかき混ぜ、まだ燃えていない葉に、比を満遍なく移していく。
白い煙が立ち始め、寒空の下、ほのかにれ葉の周りだけ、暖かくなり始めた。)

「寒い外でする、焚き火が一番いいね。」

(ニコニコと上機嫌で、砕華は枯葉をかき回す。
白い煙は、少しずつ黒くなり、枯葉の山の上から、火の手が上がり始める。
ゆらゆらと、風に煽られる小さな火は、回りの枯葉を巻き込んで、徐々に大きくなっていった。

砕華は、大きくなっていく火を見つめながら、くすくすと楽しそうに笑っていた。
幼少のころ、何が一番楽しみだったかというと、実家の畑が終わった後の、この焚き火だった。
寒い、寒い空の下で、真っ赤に燃える炎を見ていると、とても心が躍った。
それは、この歳になっても変わることはなく、年甲斐にもなく、ワクワクしてしまう。
大きくなっていく火の上に、さらに枯葉を敷いて、さらに火を大きくする。)

「……ふふふ、後は……焼けるのを待つだけね。」

(そして、もうひとつの楽しみもあった。
秋の味覚であるサツマイモ、それが今日、実家から届いたのだ。
いろいろな調理法があるが、砕華が選んだのは、この『焚き火で直接焼く』と言う、非常にシンプルなものだった。)

砕華 > (焼き芋が出来上がるまで、砕華は頬杖をつきながら、ゆったりと時間を過ごした…)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から砕華さんが去りました。