2016/10/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメイリンさんが現れました。
メイリン > お仕着せのメイド服に、ダークカラーのロングストール。
日暮れ時、という時間帯も相俟って、一見すれば其の姿は、
あるじに命じられたお使い物を済ませるべく、何処ぞの店を目指す途上―――と、
見えないことも無い、筈。
然し、其の姿が薄暮の闇に紛れるように、大通りから一本脇へと逸れて、
細くうら寂しい路地を辿り、人待ち顔で袋小路に佇んでいる、となれば、
怪しい動き、と見咎められることもあるやも知れず。

特に、何やらキナ臭い噂が漂い始めている昨今である。
帝国の出身であると容易に推察されるであろう容姿の者としては、
些か用心に欠けた姿である、とは―――残念ながら、当人だけが無自覚であった。

メイリン > 此処で己が待っているのは、故国から連絡役として派遣されている男である。

己が王都へ潜入してから、連絡役は既に三人目だった。
前の二人が何処へ行ってしまったのか、其の安否さえ知れず、
己の立場が今も安全なのか、其れとも尻に火がついているのか、
其れすらも判然としないまま。

ただ、己が王都で果たすべき責務のことだけを考え、
皇族であるという矜持に縋るようにして、己は此処に立っている。

ストールを胸元で掻き合わせた両手が、ぎゅっと滑らかな生地を掴み締める。
ともすれば俯きがちになる面を意識して擡げ、薄闇の向こう、
現れる筈の男を探して、双眸をぐっと細めた。

メイリン > ―――そろそろ、帰らなければ怪しまれる。

何度経験しても、この不安に慣れるということは無い。
何故相手は来ないのだろう、何か、悪いことが起こったのだろうか。

溜め息を吐いて緩く首を振り、無理矢理に気持ちを切り替えて、
元の大通りに戻るべく、やや早足で歩を進める。
あるじたちの夕餉の時刻に間に合うように帰り着けば、
メイドとしての日常に、一先ずは没入することとなり―――

胸の奥深く押し込めた不安と向き合うのは、今暫く、先送りに。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメイリンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 「はー………。」
 
巨漢の男は戦っていた。
冒険者が、あるいは人類すべての敵とも言えるソレ。

「ああ、くそう…。暇、だ。」

退屈、である。ギルドにはろくな仕事がないし、今からダンジョンに潜るには遅すぎる。
かといって町のゴロツキをのしたところで、力の誇示にもなりはしない。

「なぁんか、面白い話ねェモンかなあ……。」

この時間にしては静かな酒場。
足元の、ナンクセつけてきたチンピラをげしげしと蹴りやりつつ、巨漢の男はまたぼやいた。
酒場の大騒ぎは嫌いじゃないし悪くはないんだが、できれば、一仕事終えた後のほうが盛り上がるってもんだった。
仕方がないから、手元のジョッキを煽る。ぐびり、ぬるいビールは不味かった。