2016/05/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にタマモさんが現れました。
タマモ > 妾は財布を何度忘れたら気が済むのじゃろうか…?
そんな事を考えながら、少女は料理の乗ったトレイを手に歩いていた。
そんな少女の姿は、いつもの着物ではなく、妙に飾った風な感じのドレスっぽい衣装だった。
着るのは確か3度目だった気がする…なんでも、店員の服装らしい、ふざけるなと言いたい。

まぁ、要するに、また財布を忘れて支払いが出来なかった。
代金代わりに残りの時間、働けって事だ…3度目だが。
よく分からないが、評判は良いらしい。
ただ、注文を受けるのが苦手な為、注文を取るのはさせて貰えない、ただ料理を運ぶだけだ。

料理を渡して愛想笑い、料理を渡して愛想笑い…そんな事を考えながら、指定された席へと向かっていった。

タマモ > 「えーっと…お料理、お持ち致しましたのじゃ」

指定された席の前に立ち、にこーっと愛想笑いを浮かべる。
教えられた言葉をこうして伝え、トレイに乗せた料理を客の前に丁寧に並べていった。
よく分からないが、料理によっても並べ方があるらしい、面倒な話だ。
終始笑顔を浮かべながら、料理を並べ、トレイを小脇に抱えるように持ち直す。

「それでは、またご注文がありましたらどうぞ、なのじゃ」

一礼して、席を後にする…厨房に戻るまでの間は気を緩めてはいけない。
…毎度思うが、接客業とやらは本当に面倒だ。

タマモ > こうした一連の動きを繰り返すだけの作業だ。
厨房に戻れば、はふーっと溜息を付いて肩の力を抜く。
お疲れさん、次はこれをあそこのテーブルな?とか言われて、次に持っていく料理を指差すのを見る。

…いや、お疲れさんとか、まだ次があるじゃないか。
そう言わずにはいられないが、黙ってその料理をトレイに乗せていく。
厨房を出れば、また笑顔で行動しなければならないのだ、また気を張らねばならない。
さて、次のテーブルは…と、指定された席に向かうのであった。

なんというか…唯一の救いは、見知った者が来ないという事だろう。

タマモ > ちなみに、教えられた言葉はさっきの二つだけである。
最初は注文を受けたりしていたのだが…さすがに注文をすべて覚える事が出来ず、ちらほらとミスしたからだ。
あぁ、とりあえず、飲み物だけは注文を受けて大丈夫らしい?

メニューをもう半分くらいにしてくれれば…うん、多分、覚えれたかもしれない。
ともあれ、そんな事も出来る訳がないのだから、今のように続けていくしかないだろう。
夕食でそうなったのだから、残り時間は後どれくらいなのだろう…こうも時間を気にするのは、どれだけぶりだろうか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にティネさんが現れました。
ティネ > 「おねえちゃ~ん、こっちにもお水ちょうだ~い」

テーブルの一つを通りかかった所で、低く作った少女の声。
いつからいたのか、神出鬼没の妖精もどきが机の端っこに腰掛けて、ドレス姿で接客しているタマモを楽しそうに眺めていた。

タマモ > 「っと…はい、お水をひ…ぶっ!?」

飲み物の注文だ、これならば受けれると反射的に顔をそちらへと向けて…噴き出した。
うん、その声の主が机の端っこでこちらを見ていたからだ…多分、あれは自分にしか聞こえてないし見えてない。
慌てて横に向けていた顔を、目的である席へと向けた。

『………お、お主、いつから…』

そう聞かずにはいられない、問い。それは少女へと念話で伝えられた。

「………お料理、お持ち致しました…のじゃ」

なんとか引き攣りそうになりながらも笑顔を浮かべ、料理を席へと並べていく。
そして、トレイをまた小脇に抱える。

「そ、それでは、またご注文がありましたらどうぞ、なのじゃ」

一礼して、なんとかこの席での対応を終え、厨房へ…戻る途中、少女がいたテーブルで足を止めた。
布巾を手に、今は客の座ってないテーブルを拭くふりをする。

ティネ > 例によってティネを見れるような勘の鋭いものは、タマモ以外には都合よくいない様子だった。
明らかな狼狽を浮かべるタマモの様子ににんまりと良くない笑みを深くして、ぴょんぴょんとテーブルの上を跳ねまわる。

「ふっふ~ん、いつからだろうね~。
 タマモの恥ずかしいところってボクなかなか見れないからな~。眼福~っ!
 いいじゃんいいじゃん、結構似合ってるよぉ、そのお洋服」

千載一遇のからかいチャンスを全力で堪能するティネであった。

タマモ > してやったり、みたいな感じでテーブルを跳ね回る少女。
テーブルを拭きながら、こちらは逆に、どこか悔しそう…なのだが、ここでは笑顔を崩せない。
だが、その笑顔は間違いなく引き攣っているのが少女には分かるだろう。

『む、むむむ…良い子じゃから、これは忘れておくのじゃ。
後少しで終わるじゃろう、相手ならその後にしてやるからのぅ?』

と、そんな念話を向けながらも、拭いていれば厨房から声があがった。
それはそうだ、テーブルを拭く程度ではそんなに時間は稼げない。

「わ、分かったのじゃ…ちょっと待つのじゃ!」

くっ、と悔しそうに、厨房へと慌てて戻っていく。
少しして、再び料理を乗せたトレイを手に現れるだろう、次の席を目指して。

ティネ > 「敬愛するタマモ様の麗しき御姿を心に留め置くなと……!? なんと酷な!?」

衣服の裾を掴んで踊り子のようにくるくると回って、
無人のテーブルの上で跪いて悲しさをアピールした。
わざとらしいセリフと挙措である。

「はいはーいいってらっしゃ~い」

のんきに手を振る。
就業時間中ならそうそう反撃などしている暇はあるまい。
完全にティネの計画通り……

「でもお腹すいてきちゃったな……何かいただいてから退散しようかな」

他のテーブルに並ぶ皿から漂う料理の香りにつられて、
へろへろとあっちを漂ったりこっちを飛んだりしていた。