2016/04/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルキアさんが現れました。
■ルキア > 金属を細工する甲高い音の響く店。
「はい。こちらこそ有難うございました。」
馴染みとなった装飾品店。そちらに、自作のアミュレットを卸す。
そこまで強い力を持つものではないが、純粋な精霊の加護の力が宿っておりそれなりに売れ行きもいいらしい。
『毎度、また次もよろしくたのむよ』
と恰幅の良い女将さんが、商品と引き換えに代金を渡してくれるのに礼を言う。
その女将さんと、店の奥にいる頑固な職人気質な親父さん。
その外見からは想像もできないような繊細な細工を作り出す匠だ。
そこまで大きくはないものの、代々続くこの店はその商品の
質の良さに良質な客が多い。
森から出て、右も左も分からぬ娘を最初に助けてくれたのは、とっても無愛想で頑固な親父さんだった。
それからというもの、女将さんも親父さんも娘を心配するかのように親身になってくれるのには感謝の言葉もない。
「では、また…。」
奥の親父さんにも、ぺこりと頭を下げる。
一瞬だけ、鳴り続けていた加工音が止む。それが親父さんの返事だった。
女将さんにも、再度頭を下げて店を後にすれば人がそれなりに行き交う広場へと出る。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にストークさんが現れました。
■ルキア > 広場の中央にある噴水の縁に腰掛けると、受け取った代金を確認する。
どうやら、また少しイロをつけてくれたんじゃないかと思う。
以前、その事を言ったら『価値のあるものに、対価を払っているだけだ』
と言われたが…。
そして、『見合っていないと思うなら、見合う物を作れるようになれ』
とも親父さんに言われたことを思い出す。
ポーチの中へと、そのお金を仕舞う。
その通りだと思うし、生活費は多いに越したことはない。
「お姉さま…。」
生活をするには、お金は必要だ。
そして、あの人に迷惑をかけたくない、迷惑だなんて思われたくない。
ふ、と吐息を吐き出す。
■ストーク > 石畳の街並みは旅の最中の土と岩だらけの道と違ってなかなか歩きやすい。旅から腰を落ち着けてさほど日が経っていない身には歩くだけでもなかなか楽しいもので。旅装束と違って緩やかな服を着られるというのもまた良い。富裕地区や貧民地区とは違った刺激に溢れているこの場所を長い黒髪を靡かせながら楽しんでいくことだろう。
「たまには表に出て羽を伸ばさないと、身が持ちませんからねぇ…。」
あちこち眺めながら中央広場まで歩いていけば、噴水を見つける。そこに座っているエルフを目敏く見つけ、溜息をつく彼女に興味を持って近づいていった。
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」
小さく会釈をしながら、穏やかな声色と商売人らしい人懐こそうな笑みを浮かべ、話しかけていく。
■ルキア > はぐれて、どれくらいだろう。
ほんの少しかもしれないけれど、今の自分にとってはあの人が全てだから。
とても永い間離れているような気さえする。
その強度に差はあれど、常にその魔力、その香りに晒されていた身は禁断症状のようにそれを渇望している。
その唇で、その声で自分の名を呼んで、弄ばれたいと。
自らの体を抱きしめて、吐き出す吐息は熱っぽく。
その瞬間を想像するだけで、体が震えそうになる。
「…はあ…。」
何度目かのため息がこぼれた所で、声をかけられて視線を上げると男の人が会釈をしながら近づいてきた。
「っ…はい、なんでしょうか?」
男性が近づくと、蛇の淫紋が反応する。
ぴくっと小さく耳を戦慄かせるが、今はまだその感覚を我慢できる。
少し声が上ずったようになってしまったが、変に思われなかっただろうか。
■ストーク > 彼女の苦悩など知るよしもなく、男は単純に興味を持ってエルフの女に近づいていった。特に何を考えているわけでもなく、刺激の一つでも求められればそれでいいと言った具合に。
「いえ、特に用というわけではないのですが…先ほどから溜息をついておいでだったので、何かあったのかと思いまして。」
彼女に何があるのかは分からないが、どことなく様子がおかしいことは理解出来た。同意を求めることもなく、その隣へと腰掛けていこうとするだろう。好奇心からくるものではあるが、今なら逃げ出すことは容易であるはずで。