2016/04/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 人通りの無い路地裏、そこにふらりと現れたのは一人の少女。
ゆらりゆらりと耳と尻尾を揺らしながら、いつも通りの暇潰しの散歩である。
…こんな場所じゃなくて、散歩なら他にあるんじゃ?とか言われそうだが、つい来てしまうのだから仕方ない。

まぁ、日中、最近は日が結構照っているから、あまり届かないこういった場所の方が良い、というのもある。

タマモ > さて、こうして適当に路地裏を歩いている訳だが…そんな事をしていれば、当然起こる事がある。
少し細くなった通り、二人横に並ぶのも少々辛そうな幅だ。
そんな通りへと差し掛かれば、ぴくり、と耳が揺れる。
それに合わせ立ち塞がるように男が現れた、続いて後ろにも。
うん、分かってはいたのだけど挟み撃ちだ。

「………ふむ、余りにも定番過ぎて、何と言って良いやらという感じじゃな?」

音の聞こえた感じから、二人だろう…なんというか、舐められたものである。
はふ、と溜息をつく少女をよそに、懐からナイフを取り出して歩み寄ってくる。
前しか見てないが、後ろも同じような感じなんだろう。
そして、男から投げ掛けられる言葉。
身包みを、とかどうとか、お約束過ぎる。

タマモ > …だから、ついお返しをしてしまうのだ。
今日はなんとなく、無駄な荷物は持ち歩きたくない気分。
ゆらりと手が動き、軽く凪ぐような動作。
細い通路を抜ける微風、同時に、男の持つナイフが澄んだ音を立てて刃先が折れ、着ていた服が一瞬で細切れになった。
すっと目を細め、男を見る。

「して、今度はどこを切り裂いて欲しいかのぅ?」

今度はこちらから一歩踏み出す。
…うん、予想は出来てる、そして、その通りになる。
男達は訳の分からない叫び声を上げて逃げていった。

タマモ > 袖から扇子を取り出し、ゆらゆらと扇ぐ。
まったく、最近の強盗は肝の据わった者が少ない。
…いや、あんまりそうであっても面倒なだけだが。
そのまま、再び歩みを進めだす。
細い通りを抜け、分かれ道やらと、いつものように適当に。

さて、今日はどこへと抜け出るだろう?

タマモ > 長い長い路地を抜けた先、そこは…行き止まりだった。

「………」

沈黙、行き止まりである壁まで寄ると、ぺたぺたと壁に触れる。
冷たい、硬い、普通の壁だ。
そして高い、普通に飛び越えるのは不可能だろう。
…普通になら、だが。

何か面白いものでも良い、楽しめそうな相手でも良い、贅沢は言わないが、何も無いってのは勘弁して欲しいものだ。

タマモ > そもそも、こういう行き止まりという場所は、自分のような者が1人で来る場所じゃない。
ありがちだが、追われる者が追い詰められる場所じゃないだろうか?
そして、その後は…まぁ、うん、あれやこれや?
少なくとも、自分がその立場となる事はないだろう。
…どちらかといえば、する方である。そんな事はどうでも良いが。
自慢になりゃしない。

タマモ > ふむ…軽く考え込みながら、建物の隙間から覗く空を見上げる。
その視線は自分が歩いて来た通りへと向けられる。
…迷ってやってくる誰かを待つのも良い。
でも、自分のようにこんな場所に迷い込む者がいるのか?
居てくれればある意味ほっとするし、あわよくば楽しめるかもしれない。
うん、なんか色々と複雑である。

「やはり、あれじゃな…今度また誰かに地図でも描いて貰うとするのじゃ」

これに限る。
もう何回もこの地区、というか色んな地区を歩いているはずなのに、いつも迷っている。
覚えても良いんじゃないのか?とか言われそうだが、覚える気はない。
だから地図なのだ。…描いて貰うだけで、持ち歩くのかは、また別の問題だ。

タマモ > さて、どうしようか?
考えるのは今からの事、迷い人を待つか、場所を代えるか。
ぱしんと扇子を閉じれば、ぺちぺちと壁を打つ。
まぁ、ただ待つのは似合わないか。
そう思えば、くるりと踵を返す…なんて事はしない。
ここを戻れどどうせ来た道だ、意味が無い。
足を進めた先は、道を塞ぐ壁だった。
正面から向かい、近付き、ぶつかる、そう思えるが少女はそうはならなかった。
何も無かったかのように、その姿は壁の中へと消えていく。

なんて事はない、単に壁を抜けてその向こうにいっただけだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からタマモさんが去りました。