2016/04/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にアヤメさんが現れました。
アヤメ > 夜の露天通りは、人に満ち溢れている。
店主達は大声を張って物を売り、往来の人々はその賑わいを楽しみにしながら練り歩く。
売り物もまさに何でもありで、薬草に刀剣に魔法具に性具に、と色々な店が並んでいる。
符丁さえ合っていれば、奴隷すら売る店もあるだろう。無論、秘密裏に。
そんな中に一件、小さな料理屋台が立っている。
『材料さえあればお望みの料理を』と銘打たれた看板のそこには、少女が一人立っている。
小さな移動式キッチン屋台の前には、椅子が4つ。
客が来ればすぐさま料理に取り掛かるのだが、夕食時は終わった頃合い。
緩慢な時間が流れる中、少女はのんびりと往来を眺めていた。

「お客さん、来るかなぁ?」

先程まではそれなりに盛況だったから、目標額は既に稼げている。
故に、今は暇つぶしの状態。だから、話し相手でもいいから誰か来るのを待っていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 露天通り」にロトさんが現れました。
ロト > 久方振りの王都にふらりと姿を現した 酒売り魔族…鬼族の女。キョロキョロと久方振りと言うのもあって
辺りをきょろきょろとし乍ら露店通りを歩く。ありとあらゆる商売が濃縮している気がする。
ゆりかごから墓…でもないと思うが、奴隷まで売っているらしいのだからその手の怪しい商売は一寸で
こう 小腹がすいたから ちょいちょい摘まめる店があればと―視界の隅に捉えたとある露天が気になったー

『材料さえあればお望みの料理を』…を?お?

面白そうだ。では と、人の流れを横断をうまくして乗り越えられれば
その露天の前まで歩もう。

「あの、何でも出来るのかしら?」

アヤメ > 鍋をかき回しながらのんびりしていた少女だが、来客の気配を感じ取ると居住まいを正す。
鍋の中身は野菜だけの出汁、野菜と肉の出汁、野菜と魚の出汁、等様々だ。
魔法具の温熱石を買い込んで合計5つの寸胴を同時にグツグツと煮込んでいる。
魔法具の火力は魔力で調節するわけだが、その点は隠れミレー族故心配はなかったりする。
そうして、ふらりと現れた客を見る。
やってきた客は、白い髪に赤い瞳が映える綺麗な女性だった。
なんでもできるのか、という問いには頷くと。

「いらっしゃいませ!出来ないのは、料理を不味く作れっていう注文と材料がないものだけになるかな?材料さえあればマグメールでもティルヒアでもシェンヤンでもなんでもござれ。お題さえ頂けるならなんでも作っちゃうよ!」

などといい笑顔で応えるのである。

ロト > 角生えて、耳がエルフ耳だ。何かネタてんこ盛り的な外見を持つが、今の所騎士に職質等で引っ掛かっていない。
露天の前で数秒、いや数分 一時程 露店は何を商売にしているかを備に観察していたが、
面白そうだ で近づいてしまったのと食欲的な理由―お腹すいた的で声をかけたのもあって
帰って来た答えに では、とキッチン屋台の前にある椅子の内一つに腰を下して見せた。

「材料が無いモノ。…収納にしまっているモノを出して調理して貰えれば宜しいのかしら?
時間が止まっているし ネタ的にも新鮮な筈。…是と是と…是で、海鮮丼付け盛り出来るかしら? 掻っ込みたいのですが」

異次元収納と呼ばれる一種の異次元と繋げた空間の穴から取り出したのは 酢飯が入った盥としゃもじ、
鮪等の海鮮もの、調味料諸諸まで。ほぼシェンヤンで取り揃えたと思われる品々。
(鮪は小振りな大きさである。)

ついでに 並々入った一升瓶を取り出したが、それは材料に含まないようで、出した諸々を彼女の前に置いてみようか。

アヤメ > 特徴的なのは角と耳。だが、それで物怖じするような少女ではない。
席の一つへと腰掛ける彼女に相対すると、研ぎ澄まされた小さな包丁を取り出す。
本来の包丁から随分小さくなったそれは、料理を始めた頃合いからの相棒。
切れ味は未だ鋭い、料理人の魂のようなものだった。

「ん、材料の持ち込みも歓迎だよ。食用かどうか、とか、傷んでるかどうかの判別できるし――へぇ、港町にでも行ってきたのかな?新鮮なお魚と貝がいっぱいな感じだけども……おぅ、鮪もある」

異次元収納には驚くが、それよりも出てきた食材の量と質に目を見張る。
酢飯は木桶に入っており、炊き加減も上々。海産物もぴちぴち新鮮といった有様だ。
オーダーは丼もの、ということなので。

「はいな、かしこまりましたー!それじゃ、サクサク捌いちゃうね?」

台の上に鮪を乗せると、ざくん、と包丁を差し込んでいく。
本来は鋸歯を使うような頭部を、包丁に振動の魔法を付与することで切り落とす。
次いで骨に沿うように身を外すと、手早くサクに整えていく。
だが、今回使うのはサクにした部分ではなく、骨と頭の方。
骨の合間にある身を匙でこそげとると、花のような造形に。
頭の肉も脂乗りの良いカマの部分を食べやすいように切り、ご飯の上にのせる準備を整えた。

「あ、残りは後で捌いてサクにしとくから、持ち帰って食べるといいかもー」

等と言いながら次に取り掛かるのは鯛のような白身魚。
包丁を浄化の魔法で洗い清めると、次いで同じく半身だけを手早く捌き、そぎ切りにして乗せていく。
数分の後に出来上がるのは、鯛と鮪をメインに据えた数種の海鮮丼だった。
付け合せにはわさびと小ネギと紫蘇の千切り、そして土瓶を1つ。
中身は鯛の骨を使って取っておいた出汁汁で。

「海鮮丼お待ちどうさまっ!途中で薬味と出しをかけるとお茶漬けチックにもなるよ、なんてね?」

配膳の後は、広げられた海産物を面倒がないように捌いていく。
これは趣味、というかアフターサービスというか、まぁそんな感じの何かである

ロト > シェンヤンに居てもおかしくない妖怪の一柱、それが鬼。
此方では珍しい部類にもなるが 目の前の彼女の態度が変わった様子は見られない。
…此方は材料を提供した、ではサービス業ならぬ料理業の数々を拝見する事にしよう。
たまには 人様が作る料理を見てー目で楽しみ、耳で楽しみ 舌つつみで楽しむべきだと考えている。

「つい半月前に シェンヤンに酒造の取引がありまして、その際に材料を買えるだけ買い、
つい最近 港町によって酢飯を仕込んでこれも仕舞、今に至りまして。魚関係はシェンヤンですね、他は取引が他にもありますので 新鮮な物を頂いて。 鮪は小振りな物を…大きいのは捌ききれませんし。」

異次元収納に大きさと制限はない。入り口を広げるだけ広げて 大きい物体を入れて持ち運びすらできる。
昔は液体に制限があったが 今は制限は全くないに等しく、温かいものは温かいまま 冷たいものは冷たいまま、と
温度すら異次元では止まるので 便利な機能ではある。

目の前で繰り広げられる 人様が作る料理の技 技能 手際の良さ。
あっという間に 丼セットが出来てしまった、これは 只者の露天料理人ではあるまい!!

「…いや、この手際の良さ どこで…想像していたモノよりも遥かに素晴らしい丼が」

「あ、はい、戴きます」

手をパンっと合わせる合掌の仕草をするとーシェンヤンの文化がどうもある様で無意識にやらかすと
箸…これは異次元収納から再び取り出したが、朱塗りの綺麗な二本の棒だ―を綺麗に持ち 丼を食べ始めて。

アヤメ > 彼女の姿に怯えない理由は簡単。
少女もまた普通の人ではないから、なんとなく親しみを覚えているのだ。
包丁を振るうのは非常に楽しいことだから、自然と機嫌が上向きになる。
それは宛ら魔法の指揮棒のように、包丁が動くと魚が綺麗に捌かれていくのである。

「あぁ、シェンヤンの魚介かぁ。ってことはその瓶の中身もシェンヤンのお酒かな?料理に使っても美味しいんだよね。深みが出るんだ」

もったいないけどね?と片目を瞑ると、出来上がったサクを真空の魔法を付与した紙で包んでいく。
劣化を防ぐためのそれは、少女が長年の料理の経験で学んだもの。
着想は瓶詰めから得たもので、空気に触れないようにすることで生物の鮮度を保つのだ。
彼女の異次元ほど便利ではないが、刺し身などを扱うには十分だった。
さて、早速出来た丼を振る舞うが、その際の問には笑みを浮かべると。

「あぁ、生まれてこの方殆ど料理漬けだったからね。10年位かなぁ?――で、各地を転々としてたから現地の味を色々知ってるって感じ」

素直に自身の来歴を明かす。
何でもできるという言葉が眉唾過ぎる上に、少女一人の店ということで中々客が来ないものの、一度来てくれた客のリピート率は非常に高かったりする。
無論、目の前の彼女が常連になってくれるならそれもまた嬉しいものだ。
――お酒の仕入れにも一役買ってもらえそうだから、上客というものである。
彼女が食べる姿を一頻り見守ると、おもむろに食材を探り始める。
取り出すのは竹で出来た筒――その中から何やら粉を取り出すと、ゆっくりとお湯に溶かしていく。
くつくつ、くつり。次いで砂糖を少量加えると、近々に冷やした金型に注ぎ込んむのである

ロト > 彼女の正体は分ら無いが 王国には千差万別の種族が入り乱れる。客商売をしている以上色々と関わるだろうから
慣れて行かないとやっていけないだろうとーその位でしか推測できない。
包丁さばきが特に素晴らしかった、拍手を送りたいが 此処は露店通りだ やめておこう。

「いえ、この瓶の酒は 私の酒造…シェンヤンの物ではなく 当酒造で仕込んでいる酒に御座います。
…料理を五感で楽しめましたので 此方は差し上げましょう。料理酒にも使えると思いますので。」

どんっと一升瓶を改めて彼女の前に差し出そう。米酒とも呼ばれる酒類だ。銘は無い。

「左様でしたか。10年…もうあと10年極めればきっと 貴女様も名のある料理人に為って居りましょう。
私は時折 此方に赴いたり 拠点で酒を仕込んだりとしておりますので、此方に赴いた際には 貴女様に頼むと致しましょう。」

あ、酒造というか酒造を取り仕切る身でありながら 己も売っている身だ、
名を現す名刺というものを持っていた それを取り出すとその内一枚を彼女の前に置き

『冥嶺酒造 杜氏ロト 世界の酒を仕込んでおります。オリジナルも可能』

と明記され 連絡先も一式記されたそれを―ただ 住所が魔族の国であるが。

そして再び 丼を食べ始めるのだが あっという間に食べ終わってしまった。言葉通り 掻っ込む感じに。

アヤメ > 実際、この露天通りでは動じたら負けという気配がある。
驚いたりたじろいだり怯えたり――隙を見せたら負けなのだ。
故に、少女もまたその意図を組んで、図太い姿を演じるのである。

「――ん、そうなんだ……え、いいの?それじゃ、有り難く頂くよ。これから暑い季節が始まるから、お酒のシャーベットなんかも試作したかったし」

ミレー族としての魔法も基本的に料理にフル活用だ。
炎熱に氷結に真空魔法、その全てが料理のために体得したものになっている。
無論、応用することで敵を害することも可能だが、基本的にはそんなつもりはなかったり。
ともあれ貰った酒瓶は、大切に使おうと心に決めた。

「ん、ふふ、長い道のりだけど、極めるにはそのぐらいかかっちゃうよね。――ん、常連になってくれるなら喜んでだよ。お客さんであれば来るもの拒まずがモットーだからね。それが例え王様でも乞食でも、お望みの料理をお出しするんだから!」

無論、お題は払ってもらうけれども、とは付け足しておく。
彼女からもらった名刺は、素直に受け取りちらりと眺める。
住所欄に何やら凄いことが書いてあるが、それはそれ、ということにした。
彼女が飯をかっこみ始めるなら、その終わり際に合わせるように。

「あ、これはサービス。葛餅っていう料理だよ。黒蜜ときな粉がかかってるから、明日までにぱくぱくっといっちゃってね」

差し出すのはさっぱりした甘味。竹の皮で包んだそれは、遥か異国のデザートだ。
特殊な植物の粉末を使って作ったぷるぷるしたそれは、のどごしと舌触りが売りな一品。
それをお酒のお礼を兼ねて差し出すと、後は彼女のことをのんびりと、眺めることになるだろう

ロト > …長居し過ぎましたか。エルフ耳…耳は何故か長かったが、遠くの方から近づいてくる気配が二つ。
間違いなく遠くだが視線の先が己。如何も狙われているくさいのだ。さてそろそろお暇をするとしますか、と
ゆっくりと椅子から腰を上げて小銭入れーがま口の財布を取り出すと 値段が今一分ら無かったので

「今年最後の仕込み酒ですし、それは試作…来期の料理酒として見ようとしたものです。
来期の分でしたら 予約か注文は受け付けておりますよ? 是非ともご贔屓に。」

何やらお持ち帰りの品々がさりげなく 魔法が真空仕込みって。
真空仕込みとは違うが 異次元収納に彼女から受け取ったモノを―木桶等先程提供した残りを戻していく。
拠点に戻ったら 収納を一回整理したり掃除したりするつもりだ。じゃないと次以降 使う時が大変だ。

「名残惜しいですが、長居をし過ぎたようです。私 鬼ですし…人からしたら 
良い視線では見られませんし… お釣りはいりませぬので。それでは ごきげんよう。」

丼代とプラスアルファを込にした硬貨をじゃらりと置くと うきうきとした足取りで、
近寄る騎士を撒くべくーひらりとその露天を後にして行くーその後 騎士を無事に撒いたのは言うまでもない。