2016/03/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリトさんが現れました。
■リト > 普段は良さそうな子などしばしば目にするものだが、いざ探すとなると見つからないものだ。
広場や大通りなんかをぶらついていたがやがて人通りの少ない路地に足を運ぶ。
何を探しているかといえば、専属のメイドである。
「……そうそう、良さそうな子がいないーもー……」
姉も手伝ってくれれば早いのだが、彼女は生憎忙しい。
なので自分がこうして出張ってくるしかないわけで。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 「くっくっ、よさそうな子か。
そのよさそうっていう意味は分かりたくもないんだが……。
こっちも、時折騒ぎを起こされちゃあご主人がうるさくてねえ。」
と、平民街の路地裏をさまようリトの頭上から声。見上げれば、年はあなたより少し上だろうか?
屋根の上に、長い金髪を夜風になびかせながらあなたを見下ろす少女の姿があった。
「よっと。」
ふわりとロングスカートをたなびかせ軽々と路地へと降り立つ。
一見、平民風の風貌ながら明らかに身のこなしは普通の人間のそれではない。
「あんた、ちょっと前に騒ぎを起こしたろ。具体的に言えば、人を害した。」
■リト > 頭上から響く声に「おっ」と思わず零す。
見上げればそこには少女の姿。年の頃は自分より少し上くらいか――最も、外見でそれは判別できないが。
「……んー? いやぁ、お城に連れて帰る子がいないかなぁって、探してただけだよー」
間延びした声で言葉を返した。
軽々と降り立つその姿にも一切驚く素振りは無いようで。
「………うーん。どれ、とははっきり言えないけど、そんなこともあったかな?」
首を傾ぐ。惚けているわけではなく、本当に覚えていない。
騒ぎを起こしたことなんて一度や二度ではないし……つまりは人を害したことも一、二度では利かないのだ。
■アデラ > 「……度胸が据わってるね。いや、それともただの空っぽの鳥頭か。
ま、それだけわかれば十分さ。『お仕事』の前に、相手とおしゃべりしすぎるのもなんだかニャア。」
目の前の少女はリトのふてぶてしい態度に苦笑しながら、
調子を確かめるかの如く、手首と指先をコキコキと鳴らして……。
「更生の余地はなし。よって、情状酌量の余地なし。
……血の報復は、血を持ってなされなければならない。わかるよね、吸血鬼……ッ!」
目の前の少女は、音もなく路地裏の石畳を蹴りリトへ肉薄する。
■リト > 「……『お仕事』ねー。なるほどなるほど、それは大変だー」
準備運動のような動作に、此方も片脚を持ち上げてぶらぶらと回した。
つまりは自分の敵だというのに、口元には変わらずふてぶてしい笑みが浮かんでいる。
「……わかる、けどー。キミは何?その……害された人の、お友達ぃ?」
肉薄するアデラを見るなり、トッ、トッと後方に飛んだ。
視線は彼女を捉えたままに石畳を靴が叩く。
■アデラ > 「んー? 私はただの哀れな死人さ。せっかく気持ちよくおっ死んでたところを、
どこぞのイカレ魔術師にたたき起こされて、ね。んで、何の因果か……。」
リトもリトなら、この少女もこの少女。
戦闘状態に入ったというのに、まるで日常会話でもするかのように、
何の気なしに言葉を紡いでいる。
(ふーむ、距離をとるか。魔術が得意な相手かな。それとも戦う気がないのか。なら――。)
と、ここで少女は肉薄しつつも、おもむろに右腕の裾をまくって、
左手を右腕の下、十字を組む様に支える姿勢をとって。
「今は、お前たちみたいな、『魔族』を殺すのが生業さッ……!」
――ひゅん!
少女の右腕から、ふいに何かが高速で飛び出した。
その正体は、矢だ。この少女の右腕……いや右腕の中には『小型のクロスボウ』が仕込まれていた!
鏃には、対魔族用の術式が施してあり、吸血鬼とて当たれば痛いでは済まないだろう。
■リト > 「ふーん。生き返った気分とかどーかな? やっぱそんな大した気分じゃない?」
互いに日常のような会話を交わしつつ、戦闘状態は継続している。
つまりは言う程彼女に敵意を持っていない。
と、右腕の裾から放たれた矢を俊敏にかわす。
見ればクロスボウの矢だ。どうやら体術が主流というわけではないらしい。
「……とはいえ、さ。わたしは殺せないと思うよ。他の魔術の子は兎も角」
不死の吸血鬼である。そんなことを呟きながらパッとアデラに向けて手を伸ばした。
途端、指先から鎖のような形状のものが出、彼女を拘束せんと蠢く。
■アデラ > 「殺す、殺されないは今、これから決める事さ。吸血鬼は、これだから面白いね。
吸血鬼とて無敵の存在じゃない、滅びる時は滅びるということをこれっぽっちも分かってないんだから。」
放った一矢を追いかけるかのように、獰猛な笑みを浮かべながら猛進する少女。
指先から放たれた、鎖をまるでネコ化の猛獣のような俊敏さで回避しながら、徐々に
クロスレンジへと入り込もうとするが……。