2015/10/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシドさんが現れました。
■シド > 夜、草木も眠る刻となり平民地区に静寂の帳が落ちていく。だが夢見な刻に付かぬ者も……
網目の如く巡らされた路地裏では闇を糧に蠢く者――法律に反する物品の闇取引、道すがら追い込んだ女性、或いは人里に紛れようとする魔族。
夜に生きる者達に賑わい始める闇路にフードを被った師団が乱入する。
「手当たり次第、職質だ。反抗するようなら実力行使に出ても構わん。」
純白のフードを被った男の声と共に後ろに付き従った者達が動き出す。
壁背に身を預けた浮浪者から警戒心露に睨みつける者達まで。
微かな衝動が夜の大気を騒がせる。
純白のフードを被った者はその有体に耳だけ傾け壁背に身を預けた。闇夜の路地裏に銀の髪波が揺らめく。
「これで多少治安がよくなればいいが……所詮は焼け石に水か」
■シド > 青年は貴族。つき従えているのは私兵。領民の安寧の夜を守るための見回りだった。されど青年は動かない。腰にぶら下げた獲物が不満気に壁を叩いて金属音で鳴くも。意には介さず懐から紙巻を咥えて火打ち石で火花を散らす。そして赤い鋒を揺らして紫煙を虚空に履いていく。
「喧嘩か。その程度なら放っておけ……牢屋だって限りがある。注意だけして返してやれ」
「そっちの盗品の販売者は警備隊に引き渡せ。私達が口を割らせる必要はない。」
「……酔っぱらい?放っておけ。なに?絡んでくる?水でもぶっかけてやれば目を覚ますだろう。」
生真面目に1人1人連れて来ては判断を乞う兵隊には目を向けず、建造物の隙間から顔を覗かす琥珀の月を仰いでいた。半分ほど削れた咥え煙草より流れる紫煙を空に溶け込ませる以外は鷹揚な動きは見せず。
「うん。そろそろかな。」
■シド > 吸い殻を厚い靴底で揉み潰し、赫い火種を消えるのを見届けてから漸く壁から起き上がった。
「よし、いいぞ。お前達。よく見回った。そろそろ戻るぞ。」
私兵達が戻るのを見ることもなく1人我先にと路地裏を後にしていく。追いついて問いかける彼らに微笑む青年は
「いいんだよ。全部を取り仕切れる訳ない。こうして国に貢献してるって、事実が欲しかった……そんな顔するな。何人かは警備隊に引き渡しただろう?ちゃんと平和に貢献してるさ」
せせら笑うように囁きその姿は街から消えゆく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシドさんが去りました。
ご案内:「大通りの路地裏」にベルフェリアさんが現れました。
■ベルフェリア > 結局のところ、興味はあったのだが人々の娯楽は目につきはしたが自らがやる、という段階までは至らなかったのである。
まぁ、つまり見てるだけで満足してしまったのだった。
「なんだか面倒臭そうなんだよねぇ~……。」
見てる分には面白く、賭け事という物を眺めていて見事に挑戦者らしい人物が敗北して連れていかれるところを見ていたが、どうにも表のルールに加えて裏のルールのような物があるらしかった。
それを理解すれば楽しめるのかもしれないが、気軽に楽しみたかったベルフェリアは思考を放棄して見て回るだけに留まってしまった。
結局、奪ったお金を使う事もなくそのまま黒マントのポケットに入れたままだ。
「そろそろ人を見るだけというのも飽きてきたな~、何か面白い事は……ん?」
ふと、小さな路地裏に続く道が目に入る。夕刻の喧騒の中で聞こえた『騒がしさとは違う声と音』に意識が取られ、黒ローブの魔族は立ち止まって路地裏の方へと視線を向けた。
■ベルフェリア > 聞こえてくるのは人の嗚咽のようなものだろうか。それに加えて粗暴な男らしき声。
言い合いをしている、というものとは違う。耳を澄ませば大体何が行われているのか理解は至った。
(嗚呼、これは良いな。私が自ら襲わなくても済みそうだ。)
相も変わらずやる気の無さそうな表情を浮かべながら、体の向きを路地裏の方へと差し向けた。一歩、二歩と足を進める事でふと、何かが足元で震えている事に気付いた。
「ん?」
薄汚れた服を着た短髪の少年だった。路地裏の方を向きながら、地面に膝を着いてどうにか立ち上がろうとしているものの、力なく崩れ落ちるのを繰り返し、なかなか奥へと進めていない様子だった。
薄暗い路地裏の中でよく見ると、どうにもその汚れは殴られたり地面に転がったりといった汚れのようで、元々こうなていたわけではないらしい。
"くそ、やめろ…"そんなか細い声が聞こえるところからして、奥にて餌食になっている女性の肉親か何かだろうか。
■ベルフェリア > 「あー……。」
これがもう少し、奥に居る者と対等にやり合えるくらいの者であったなら、放置して様子を見て、タイミングを見て疲労した方を殴り倒した上で奪ってしまえばいいのだが。
この少年の見た目からして一方的な敗北をしたようだ。
やれやれ、とベルフェリアは肩を竦め、溜息を零す。そんな仕草をしても少年は後ろに立つ黒いマントの魔族に気付く様子はない。
よって、面倒になった。
「はい、大人しく――」
ひょい、という効果音でも出そうな程に軽く、少年の首根っこを掴んで持ち上げる。
"え、"という少年の言葉が終わるのを待つ事なく、そのまま向いている方向は変えずに腕だけを後方に振り、少年を放り投げた。
「そっちで寝ててね。」
"うわ"とか短い悲鳴と、どさりと結構痛そうな落下音が耳に届いたが、ベルフェリアはそれを全く気に留める様子もなく、奥へと足を進めていく。
――奥へ近付くに連れて、上半身に無骨そうな鎧を着て、下半身は何も履いていない汚らしい姿を晒したひげ面の背と、その奥で壁に押し付けられている裸体の女性が視界へと映り込んで行く。
足元には男の物らしき布と、女性の物らしき破られた衣服が散乱していた。
■ベルフェリア > 足音を消すという真似さえしない。これだけの距離で少年を投げ捨てているというのに気付く様子もない男に気配を消す必要もないと思ったからだ。
というより、もはや敵の対象としてすら認識していない。
「やぁ、おじさん。お楽しみ中の所失礼するよ~。」
さすがに、背後からの声は彼が気付く要因になったのだろう。
というより、折角楽しんでいるところで水を差されて機嫌が悪くなったというべきか。"あ゛?"という不機嫌そうな声を挙げ、女性に打ち付けていた腰の動きを止めた。
首だけを振り返させて此方を見据えようとしたその双眼を、突き出した右手の二本指で貫き。間髪入れずに首に左手の手刀を『やや軽く全力を籠めて』打ち付けた。
骨と血肉が抉れる音が聞こえ、恐らく悲鳴をあげようと開いた男の口から音が出る事はなく、それを示すように喉元と口から赤黒い血が溢れ出した。両腕を目の前の女性から離して慌てて己の腕を振り払うように暴れさせるが、その頃には貫いた手を引き、一歩後方に下がると空を切った。
最期には壁に押さえつけていた女性を放り出し、這いつくばるように逃れようと動いていたが、出口とは異なる壁へと向かって行き、手が届く手前で息絶えた。
ご案内:「大通りの路地裏」にルーキさんが現れました。
ご案内:「大通りの路地裏」にノエルノート・エルシールさんが現れました。
■ルーキ > 路地裏で何事か、物騒なことが行われていることに気づいたのは、偶然にも其処を通り掛かってしまったから。
行きつけの店に出向こうと繰り出した最中、どさり、と鈍い落下音を耳にする。辺りに視線巡らせたところで、視界に入るぼろぼろの少年を見つけ駆け寄った。
助け起こすより先に気を失ってしまった、その傷を見て取れば顔を上げ――路地裏へと。迷いもなく足を踏み入れる。
「………これは…」
奥へ、奥へと進んだところで漸く見えた光景、その惨状に思わず息を呑む。
息絶えている男もそうだが、裸体を晒す女性、そして立っている黒ローブ姿の某に順繰り、視線を向ける。
「――…いやな所に出くわしたもんだな」
■ノエルノート・エルシール > 買い物を終えて同僚に見つからないようにと治安が悪いのを承知で路地裏に入ったはいいのだが、こちらも肉の落ちるような鈍い音と死霊使いだからなのか死のにおいを感じ取り、ただならぬことが起きているのだと感じて現場へと駆け足で向かい。しかし体力は人並み以下なので現場にたどり着くころには息が完全に上がっておりその惨状と対峙する二つの影を見つめてひきつった笑みを浮かべて
「はぁっ…はっ…全く…オフの時くらいは面倒事になんて巻き込まれたくはなかったんだけど…」
■ベルフェリア > 男が息絶える様子を眺めていたのは、ベルフェリアだけではなかった。
どれだけか、長い間かは不明だが男の肉槍にて己の体内を抉られ続けた女性は涙で崩れた表情で、肌も火照っているらしく程よく熱を帯びている。そんな女性もまた、その様子を茫然と見つめていた。
「んー……やっぱり男の血は不味い。快楽に染まっている筈なのにどうしてこうも濃い味になるんだろ~…。吸血鬼ってよくこんなの飲めるよね~。」
男の血を帯びた自らの右手を口元に持って行き、舌先を出して軽く舐め取るが、やはり美味しいとは思えない。
ひらひらと手を振り、魔力を血を帯びた手に集中させると、その血を瞬く間に洗い流してしまった。
思考が追い付いていないのか、唖然とした様子でベルフェリアへと向き直った女性は、徐々にその表情を怯えさせながらも、何か声を発そうとしている事はわかった。
――そんなものはいい、と内心で考える。久々にちゃんとした血を頂けそうだ。そう思った矢先の事である。
後方がやけに騒がしいのだ。
「………あれ?」
先程までの事態、誰も助けに入ろうとしなかった、それどころか見向きもしていなかった事から誰も来ないだろうと思い込んでいた魔族は予想外と思ったらしく、たった今人を殺したとは思えない気の抜けた声を挙げて振り返る。
その表情は気だるげだがどのような顔をしているかは、黒いフードマントの影響で普通に視認する事は難しいだろう。
――ベルフェリアがまず視認したのは深緑色の女性。意志の強そうな赤い瞳が印象的で、灰色のローブコートを纏っているが武器を所持している様子だ。
もう一人、後から現れた中性的な人物は銀髪で、随分と鋭い目付きをした同じく赤い瞳を持つ者。ローブのようなものを纏っているが女性かどうかの判別は着かない。
「――こんばんは~、御揃いで、どうしたの?」
この場の空気とは全く合わない気の抜けた声でその首を傾げる。
折角血を吸おうと思ったのだが、こうなるとそれどころではなさそうだと思い、少し残念そうに肩を竦めながら。
■ルーキ > フードマントに意識を集中させていた為か、後方にあるもう一つの気配に気づくのが少し遅れた。
振り向き、ひきつった笑みを視界に収める。帯びた剣の柄を緩く指先で一度撫でた。
「……こんな物騒な場所にようこそ?
面倒ごとがお嫌なら下がっているといいさ」
半ば忠告にも似た言。改めて眼前の何者かに視線を戻せば――その奥にいる女性をも一瞥し――薄く笑む。
「……どうやら。襲われていたか弱き女性を、通りすがりの勇者さんがお助けした――って場面でもなさそうだね」
言葉を紡ぎながら、そっと視線で女性に逃げるよう促した。
出口が此方側なら、己の横を通り抜けることとなるが――そもそも眼差しの意図を読み取れているかどうかはわからない。
■ノエルノート・エルシール > しばらく何が起こっていたのか正確に読み取れなかったものの、裸の女性の態度やフードマントを被る謎の人物の手から洗い流される血を見て少しずつだが状況を理解し始めて。しかし深緑の髪の者からの忠告が少し気に障ったのか少し声色を低くしながら答える。
「失敬な小娘だな。非番とはいえ私は騎士団の端くれだぞ?」
見るからにこちらのほうが年下なのだがあえて長髪の意味も込めてそういいつつも相手のい出立ちからある程度実力は認めたようで。
しかし裸の女性の様子から正当防衛ならば罪はないだろうと一瞬気が抜けてしまったもののこちらに振り向いて気の抜けた声をかけてきた瞬間に殺気は感じないものの絶対的強者のただならぬ畏怖を感じたのか全身肌を粟立たせつつフードマントの人物に警戒えお向けながら尋ねて「君、何者?返事によっては少々痛い目を見てもらうことになるんだけどさ」
■ベルフェリア > 二人の遣り取りを見ている限り、仲間や知人というわけではないようだ。あまり仲が良い様子には見えない。
彼女らの実力は不明だが、考えてみれば前線以外の場所で戦闘経験を持つ者の実力はどの程度なら、あまり知りはしない。中には強者も居ると耳にした事はあるが、果たしてどうであったか。
気の抜けた様子を示し続けるベルフェリアに対して警戒心を露わにしている二人。
先に入ってきた方は近接系の戦闘を好む様子に見えるが、後方の者はどうなのだろう。
そんな疑問を浮かべつつ、正面の女性の目が動いたのを見れば、ふと、その表情を見据えながら首を傾げる。
そして意図を察するが、後方の女性はまだ状況が追い付いていないのか戸惑った様子でベルフェリアと彼女達の方へ視線を向けている。
「……んー。まぁいいか。君、あっちへ行くといいよ~?」
どうせ血が吸えないのならこのままにしておいても邪魔になる。とすれば、正面の二人をまったく危険視していないように首を僅かに後方へ向けると、彼女達の奥、路地裏の出入り口を指さして女性に行くように促せば、小さな声で"ぁ、…ありがとうございます"と呟いて、破れたがまだ原型のある服を拾い上げ、身を隠すように羽織りながら路地裏の出口へと小走りで向かってゆく。止めなければそのまま彼女達の後ろに居るである少年と合流してその場から無事立ち去れるだろうか、その先はわからないが。
(助けたわけじゃないんだけど……ま、いっか。)
少し残念そうに溜息を零しながら、何者かという問いと好戦的な言葉を聞いて視線を奥に立つ中性的な者へ向ける。
「何者……?うーん、それは名前のこと?」
純粋に問いの意味が分かりかねるという様子で首を傾げて見せる。何者かという問いへの回答は幾つか思いつくが、名を名乗るべきなのか自分が『何』であるのか答えるべきなのか判断がつかなかった。
相も変わらず気の抜けた様子で問いかけてみるものの、名乗れと言われれば名乗るだろうしフードを取れと言われれば特に隠す理由もなく姿を現すだろう。
■ルーキ > 気に障ったらしき一言が聞こえてくれば、わざとらしく肩を竦めた。
勿論、後方の彼女やフードの人物と直接剣を交えたわけでもないし、戦場で相対したこともない。
故に実力の程は、今のところは想像でしかないのだが―――
「……それは失礼した。 冒険者如きが口答えすべきでもなかったかな?」
等と冗談めく言葉を紡いで、己の服に身を包み、傍らを走り抜けて路地を抜ける女性を横目で見送る。
寧ろ気になるのは眼前の者の挙措―――残念そうなため息と、その気怠げな様からは善意がさして感じられない。
己を「小娘」と呼ぶ後方の彼女の問いに対して、返した答えを聞きながら。
「――…まぁ。とりあえずはそのフードを取ってみなよ。話はそれからでも遅くない」
此方は、フードに隠れたその姿が見たくなった。
無論断られても気にはしないが。腰に帯びた剣から手は離さず、しかし厳に警戒をしているわけでもなく。
■ノエルノート・エルシール > 真意は不明なままだがか弱い女性を自ら逃がしたあたり、悪い人物ではないのだろう。などと勝手に解釈しつつ走り去っていく女性には目もくれず謎の人物を見据えたままで。
「冒険者の口答えか…それは君の実力次第。だね」
しかし冗談ぽくあしらわれるもすでにあまり気にしていないらしく一瞬不敵な笑みを向けつつ一言返したのみで。その後の自身の問いに対して不可解な様子の相手をみて、少し聞き方が悪かったかなどと心の中で若干反省しつつもフードを取れ、という女性の言葉に言われてみれば自分も取らないと失礼だなと若干のんきに考えながらフードを脱いで銀髪を惜しげもなくあらわにして。
謎の人物の挙動次第では交戦せざるを得ないだろうと判断したのだろう。応答前にも関わらず相手に気付かれないように死霊を自身の限界まで召喚するべく自身の体内の魔力と生気を集中させ始めており
■ベルフェリア > (……仲間割れというか、そもそも仲間でもなさそう…?)
二人の遣り取りを呑気に眺めながら、完全に別の組織で顔も特に知らない人物同士の接触のようだ。
ともあれ片方は冒険者である事を発している事から、少なくとも戦場で己と対峙した事はなさそうだと思う。だとすれば気配だけで己の存在に勘付く事もないのだろう。
そんな事を考えながらフードを取ったらどうだ、という問いかけを聞けば少し考えるように首を傾げた。
彼女らからすると何かを企んでいるように見えただろうか、ベルフェリアは残念ながらそういう思考は持ち合わせておらず、『そういえばフードを被ってると顔もはっきり見えないか』と、被っていた本来の目的を今更思い出したに過ぎなかった。
「ああ、うん。ほい。」
何の躊躇いもなく、ひょいっとフードを後方へ降ろした。
――中から現れたのは角の生えた化け物――ではなく、やる気の無さそうに半分落ちた瞼の中に浮かぶ金色の瞳と、マントの中に収めているらしい長いエメラルド色の髪の、十代後半程度の少女らしき姿。肌は人間としてみるなら随分不健康そうな白に近い色を帯びている。
表情もまた眠たそうな、やる気の無さそうなそれであるのだが、雰囲気を敏感に感じ取れる人物であれば、どうにも人から外れている雰囲気を感じるかもしれない。もっとも、角や尻尾は魔力により隠ぺいしているので目視は出来ないだろうが。
「これでいい?」
やる事はしたよ、というように欠伸を零すと、片方の手で口元を軽く抑え、再び腕を降ろした。
その様子を見ればわかるかもしれないが、別に不利だから従ったというわけではなく気分で従っただけ、というのは伝わるかもしれない。
そんな中でふと、一瞬視線を後方のフードを取った中性的な人物へ視線を向けた。その視線は、僅かだがとても冷ややかで、彼女が何をしているか知りはしなくとも、何かしている事を察している、というようなもの。それで勘付くかどうかは不明だ、何しろその視線を直後には外してしまったから。
■ルーキ > 首を傾ぐ、その仕草に緩く瞳細めた。何やら企んでいるようにも確かに見えるが――
未だ後方に血を散らして倒れている男の死体を一瞥し、フードの下にあった己とそう変わらぬ程の少女の姿に唇を引き結ぶ。
「……実力か。そればかりは見てもらわないと、何とも言えないな」
そう騎士団の少女に声を返してから、二対一という状況にも関わらず不利を一向に覚えていないらしい金色の瞳を見据えた。
敵意を表しているわけではない。あまり敏感な感性を持ち合わせているわけでもないが――
しかし、その実力の程が普通ではないことは勘と、視界の端に見える男性の末路から想像は出来るのだ。
「……へぇ。綺麗な目をしているね」
当たり障りのない言葉が零れ落ちるも、単なる感想。深い意味はないことが二人にも伝わるだろうか。