王都マグメール内の平民地区。
その名の通り「平民」が多く生活する。
王都内でも特ににぎわう場所であり、大通り、広場、路地裏、宿、酒場、冒険者ギルド、奴隷市場、衛兵詰所などの様々な施設や商店が存在している。
多くの種族、身分の人間が往来する場所である。治安も比較的良い方である。
しかし、それが絶対というわけではない。
濡れ衣を着せられた平民や貴族、王族、囚われた捕虜などが広場で晒し者にされたり、下手に路地裏に入れば襲われることもある。
腐敗した衛兵や役人の罠にかけられることもあるかもしれない。
平民地区と言えど、いまや様々な危険が潜んでいる。
※平民地区の設定にあう範囲で、色々な場所、シチュエーションなどを考えてお遊びください。
なお、ご自身で考えられた施設などとして遊んでくださっても構いません。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:00:03:05 更新
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/深夜の冒険者ギルド」からケストレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/深夜の冒険者ギルド」からメレンさんが去りました。
■ケストレル > 「あらら、それは良い事聞いたっすわ。 じゃあ今まで以上に頑張っちゃいますかねえ
……とはいえ、今の時期郊外での依頼は控えたいところでもあるんすけど」
商売上手ー、と相手を揶揄しながらもやる気が湧いてくるのだから現金なもので
けれどやる事はこれまでと変わりなく、地道な活動だなと掲示板へ一瞥を送り
明日からもコツコツやっていこうか、と思いながら視線を話し相手である職員へ戻して
「ホンット、いざって時のチームワークは高いんすけどね……
まあこればっかりは冒険者っていう職業の気質みたいなとこっすから、致し方ないっすわ」
自分でも思うところが無い訳でも無く、愚痴には苦笑で応えて
出来るだけこの過労気味な職員の肩が楽になればと思うのだけれど
「もっちろんっす!
それにそこらの女の子の水着姿なんかより、普段のメレンちゃんの方が癒され度とか段違いっすからね」
信用信頼を自ら揺るがしていくスタイル
力説しながら脳内では単語が悪魔合体、水着姿の眼鏡娘の出来上がりである。 が、当然そんな妄想なんておくびにも出さず
カラカラと爽やかに笑いながらのおべっかをポンポンと繰り出して
「そうっすね……配慮が欠けてました
重々気を付けます、ヒヨッコたちの今後の信用にもつながるっすからねー
……あはは、心労お察しします。 いやマジで」
真っ直ぐに目を向け頼まれれば茶化す気にもなれず
改めて戦いの場が自分たちとは異なるギルド職員への尊敬を抱いて
手に負えない様な事があれば依頼って形で任せてくれてもいいんすよ、なんて気遣う様に冗談混じりに告げる
「あら、そしたらお時間ありそうな時にデートでも誘っちゃったりしちゃうっすよ? 暑いっすけど、たまにはちょっと仕事を忘れて外で息抜きなんてのも良いっすからね
いやいや、お世話になってるメレンちゃんの愚痴の百や二百、いくらでも聞けちゃうっすわ」
くぴくぴと果実水をグラスの半分ほど飲み、ふぅ、と息を吐く
何の変哲もないよくある果実水だけれど、嬉しそうに喉を潤す眼鏡っ娘を眺めながらだと一層甘露に感じて
これで明日も頑張れますわあ、なんてほわほわと笑みを浮かべたのだった
■メレン > 「……でも、どうしても と言うなら冒険者さんのキャリア開発に協力するのも仕事のうちだから。
トリーさんの頑張ってる姿を見ながら、考えさせてもらうわね。
……まあ、掲示板をまめに確認しておいて貰えるときっと望みが叶うわよ」
にこり とやんわり微笑んで。実はと言うと冒険者にも近年、多彩な知識が求められることから
専門外の職種や戦闘術に関する特別講習も案内しようとする動きがあるのだ。
あえて明言はしなかったが、職員の己ならではの情報を隠しながらもチャンスはあると仄めかすように。
「それはもちろんそうね。本当に恐ろしい魔物を退ける時は、十人や二十人どころではない規模で
みんな一丸となるから……。……普段の依頼も、そんな感じでやってくれれば助かるんだけど」
はぁ と愚痴が零れる。大型の集団討伐依頼ではみんな一つの目標に対して緊張感をもって役割分担や
協調を心がけるが、普段の依頼での取り分を争ってパーティ間で競い合ったり足を引っ張り合う例には嘆きのため息を零し。
「それは本当にそう……。……ふふ、トリーさんの事信じていいのね?」
なんだかんだ軽いノリではあるが誠実に仕事をこなす人とも知っているので、あんまりつんつんするのも控えよう。
微笑みながら、機嫌を取り戻してそのまま話を聞いていれば、貴方の言葉にはこくこくと頷いて。
単なる愚痴だけに留まらない、軽やかなトークには気が付けば口角は緩く微笑んでる事が多く。
「トリーさんだから大目に見るけど、未熟な子たちが平気で、「そんな事言ってもいいんだ」って真似しちゃうと
本当に迷惑なの。同じように言ってる人へ睨みを利かせなくていいけど、新人の子がそんな事言ってたら躾けてあげてね。
……職員って、世話役みたいに舐められるの」
丸い垂れ目を半分閉じながら、貴方に頼み込む目つきはどこか切実で。
汚れ仕事 と宣っておきながら満足にこなせず、むしろ自分たちに”汚れ仕事”を押し付ける冒険者すら居る故に。
女の身という事も手伝って、言っても反発されるばかりだったのだろう。どこか参ってる様子をちらと露わにして。
「そんなに忙しく見せちゃうのも考え物ね。下の子がお仕事覚えてきたらもう少し楽になると思うから……。
ふふ、愚痴はこの辺にしておくわね。乾杯♪トリーさん、いつもありがとうね」
にこやかにグラスを交わして、ごくりと一口……無意識だがそれなりの量をいただけば、
「美味しい…♪」と柔和に笑う。
己へのささやかだがありがたいもてなしに、眼鏡娘は素直でないながらも隠しきれない喜びを見せるのだった。
■ケストレル > 「どっちかと言えば教わる側で参加してみたかったんすけどねぇ……」
苦笑を溢しながらも、はぁい、と返事をして大人しく引き下がる
自分の白兵戦の才能は誰よりも自分が把握しているし、彼女が悩むのも理解出来たからだ
無理を言って多忙なギルド職員の心労を増やすのはケストレルとしても本意では無く
「はいよ、りょーかいっす
まあ個の主張が強いのが多いっすからねえ、冒険者って
やっぱ軽んじられてるなーと思う事はあっても、蔑ろにされてるとまでは思わないっすけどね」
お気遣い感謝っす、とフォローと思しき言葉に礼を述べて
予定が合うかどうかは運次第な部分もあり、ほぼほぼ望み薄と分かっているのでやっぱり無理強いはしない
軽薄そうに見えて分は弁える方である。 紛いなりにも騎士でもあるので
「まっさかあ、そんな邪な目論見で依頼請けたりなんてした事ないっすよ俺
野外の危険は重々承知済みっす。 新米たちにもそう教えてるんすから、自分から背く様な事しないっすよ」
心外~と笑いながら口を尖らせる。 水着目当てなら水遊場に行くし、海水浴場へ行く
そこまで異性に現を抜かせるほどでは無いし、そんな危険を冒すくらいならこうして恥じらう職員を愛でてる方がずっと良い、と半ば本気で思い
「だぁって、朝来て最初の仕事が俺みたいなデカブツのホトケさんを退かすことなんて……嫌っしょ?」
冷ややかなツッコミにもケラリケラリと笑い返す
お互い仕事明けと依頼帰りで疲れているはずでも、何やかんやと楽しく話せてしまうものだなあ、などと他人事の様に考える男
「あ……、今のは悪かった。 ごめんなさい。
依頼一つ一つに困ってる人が居るってのは分かってるんすけど……人の付きにくい依頼って訂正させて」
言の葉に乗り、眼鏡越しにも伝わる瞳の奥の怒気に自分の軽口を悔いる
ぱしり、と両手を顔の前で合わせ、素直に謝罪の言葉を口にする
依頼者との橋渡しもし、依頼者の内情を知るギルド職員にとって侮辱でしかない、と改めて反省
「メレンちゃんに会うために来るのは~……ま、それも悪くないんすけど
いっつも忙しそうにしてるから、ついつい声掛けるの躊躇っちゃうんすよねえ……は~い、お疲れ様。 かんぱーい♪」
グラスの打ち合う涼しげな音に目を眇め、眼鏡娘に倣って果実水を一口
野外での激務が流されていくような爽やかな味わいとのど越しに、はふぇ、と溜息を漏らした
■メレン > 「そうかしら……。学生さんは、やっぱり現役の冒険者さんの方に憧れるみたいだし。
……トリーさんも……??……そう……ねぇ……うーん……」
ふと、貴方を見つめながら首をかしげてどうしたものかと悩む眼鏡娘。
ギルドで管理している情報では、白兵戦や武術はお世辞にも筋がいいとは言い難いタイプの御仁。
現役冒険者ゆえに恥をかかせる事になりかねないと悩みつつ。
「……いいえ、やっぱりトリーさんは教えられるものがあるんだから、若い子たちに”団体”の戦い方を
しっかり教えてあげて?私が教えられるのは個が担う役割の一つだけど、周りと連携をとって戦える冒険者って
案外少ないの。実力主義で個人事業主ばかりだから軽視されがちとはいえ、ギルドは決してそうは思っていないわ」
にっこりと微笑んで断ることに。彼の持ち味を思い出してみれば、生粋の冒険者にはあまり見ない統率にかかわる
適性を持つ貴方のことを思い出せば、強みを生かしてもらおうと考え。
だが、どうしてもというならば考え込んだ末に、予定が合えば と苦し紛れに検討ぐらいはしようか。
「海も川も水温が変わって生態系も変わってるみたい。トリーさん、水着の女の子目当てでそういう依頼を
遊び半分で引き受けてると猛毒の生き物に襲われるから程々にしなきゃダメよ?」
くい と丸眼鏡を整えて調子の良さそうな貴方へ釘をさす眼鏡娘。
実際に若い男性冒険者によくある情けない事例を引き合いに出して。真面目な声調で告げるも、その後の言葉には
思わず目を逸らし、恥ずかしさのあまりしばし黙り込んだ。
「死なないじゃない……オーバーな人なんだから」
しょんぼり帰った と告げる貴方には、先の寂しくて死んじゃうと言う言葉に面白みのないツッコミを半目になりながら浴びせて。
疲れてるはずなのに、不思議と貴方につられてツッコミを入れたり口数が増えてしまう自分。
目の前の彼に元気を分けてもらった と捉えるのは恥ずかしすぎる。思う程疲れてなかったのかな と考えておこうと思う素直じゃない眼鏡娘だった。
「王国の事情も分からないし、補助金が貰えない訳じゃないから文句は言えないんだけど……。
……”汚れ仕事”ってなに???」
不満ありげに、丸い垂れ目を見開いて少し怒気を含めて問う。
若い冒険者にも数多く言われる事のある言葉。営業時は苦笑いして過ごすしかなかったが、今はつい本心から真顔で復唱してしまう。
「お別れって……。私、ほとんどギルドで仕事してるんだからいつでも会いに来れるって知ってる癖に……。
はーい、乾杯。お仕事お疲れ様で~す」
やっと運ばれてきた果実水。己のグラスを手に取り、貴方の調子の良さにくすっと微笑みを取り戻せば、
受付嬢スマイルで柔らかい声をあげながら、日夜奮闘する冒険者を労い、そっとグラス同士を当てて、一口そっといただこう。
■ケストレル > 「ヒュゥ、現役冒険者じゃないとはいえ経験豊富なギルド職員と共に訓練を受けられるなんて学生には勿体無いくらいっすわ
今度俺もしれっと付いてっちゃおうかしらん。 いい?」
いっそのこと学生側として参加したいくらい、とヘラヘラ笑いながらのたまう
弓の心得は興味こそあれど教わる機会も無かったため、半分は純粋な好奇心
もう半分は……まあ日頃カッチリしているギルド職員の野外活動の姿を見てみたいという下心から
「うんうん、めっちゃ感じるっす。 少なくとも陽が落ちればもう少し過ごしやすかった気が。
……あはは、昔はそれでも良かったんだろうけど、認識はアップデートしてかなきゃ、っすねえ」
環境は年ごとに変化していく、であれば人間の対抗する術も変化を続けていかなければならないだろうと思いつつ
眼鏡職員の気遣いの言葉には笑みを見せ、その直後の呟きには「メレンちゃんとお話し出来たからっすよ~」と調子の良い事を告げて
「その時は……まあ、しょんぼり帰ってたっすねぇ
あはは、さすがに今の国には冒険者稼業にそこまで金を回す余裕なんて無いんじゃないっすかね
うんうん。まあこれくらいの汚れ仕事が俺には分相応かなって……悪い事ばかりじゃないっすからね、例えばギルドの可愛い職員さん独占でお喋り出来たり」
報酬に比べて暑かったししんどかったのは事実、けれどそれも今この時間でチャラにしても良いとしゃあしゃあと言ってのけ
微笑みに癒されながら外した装備は床に、後で提出予定の採集袋はテーブルに置いた。もそり、と小さく袋が動く
「こんな時間っすもんね~。 まあ後は帰って寝るだけ、急ぐ理由も特に無いっすし。
あんまりあっと言う間だとメレンちゃんとお別れが早く来ちゃうしな~……それは勿体ない」
などと軽口を交えていれば果実水が2つ、運ばれてくる
二人の前に置かれたグラスを手に取ると、乾杯しましょーと軽く掲げて
■メレン > 「そうね……ありがとう。ずっと書類相手の仕事って訳でもないから、学院とかでもたまに生徒さんと一緒に訓練くらいは……ね」
弓の扱いの基礎的な部分なので、実際の対魔族・魔物戦闘を想定したものとなればそれだけでは流石に足りない。
幸い、ギルド職員も現地調査に赴く可能性のある者は定期的に外の仕事も担う為本人が思うほど鈍る事はないのだが。
「トリーさんも、やっぱりそう感じる?……去年は絶対、こんな感じじゃなかったもの。
…………うん、本当に気を付けないと。……休憩は甘えだ!って言ってた先輩が、今まさに熱にやられて療養中なの」
はぁ~~…と愚痴をぼやきながら、貴方の助言には本当にその通りだとこくこく頷いて。
装備を外していく男の姿を見れば「疲れたでしょ」と気を遣う素振りを見せながら自身もぱたぱたと手で顔に風を送る。
元気よく果実水を頼む貴方の声を耳にすれば、「そうでもないのかな」と余裕じゃん と思ってしまいポツリ、呟いた。
「本当に私が帰っちゃってたら、どうするつもりだったの……。
でも、本当に過酷な依頼だったものね……。もっと国が補助金を出してくれたりすれば、送迎用の馬車とかも増やせるのに……。
だけどトリーさんが引き受けてなかったらいずれ、職員の誰かが引き取ってたと思うから。本当にお疲れ様でした」
炎天下の中で奮闘していたのは間違いないだろう。
冒険者たちの負担を減らせないかと悩む一面を見せながら、ある意味厄介な依頼を完遂してくれた貴方には胸の前で手を組んだまま
にっこりと微笑んで、労いの言葉を贈る。
「飲食スペースの人達も疲れてると思うし、のんびり待ちましょう。
トリーさん、お喋りだからあっという間と思うわよ」
■ケストレル > 謙遜というよりかはどこか自虐めいた笑みを浮かべて応える彼女に、またまたぁ、と笑って
「そうは言っても疲れてるだろうに目測の狂いも無かったし、ちょっと外で一射二射すりゃあ勘も戻るっしょ」
彼女の経歴に関しては元冒険者というのは聞き知っていたし、
冒険者の卵たちに教育やレクチャーなどをする姿をそれとなく眺めていた
後輩を教導する趣味を持つケストレルとしては、彼女の経験に基づく教え方は何かと参考になる部分も多いのだ
それだけにギルド職員として仕事に追われる姿を惜しくも思ってもいる
「ホント、毎年思うけど去年より暑いんじゃないのって感じ。
メレンちゃんも気を付けてねー、冷房利いた屋内でも知らず知らずの内に身体の水分って抜けてくから~」
ひらりひらりと手を振りながら腕甲や脚絆を外していく
身を護るために必要だけれど、暑いものは暑いと愚痴りながらも肩当て、ブレストメイルを外していき、解放感から大きく息を吐いて
「お、付き合い良いっすねえ。 じゃあ果実水2つ~!
いやはや、このまま事務手続きだけして帰ったら寂しくて死んじゃうとこだったっすわ……移動で半日、森ン中に半日、で帰って来る道程で半日っすもん」
注文は人が居ないギルドに面白いくらい響き、声を上げたケストレル自身が驚いて口を押えるほど
しかしすぐに奥から返事が返って来れば、にんまりと笑って眼鏡の職員へと向き直る
テーブルに乗せられた果実めいた膨らみはそれ単体でも目を引くが、
今のケストレルには部位よりも普段凛々しさすら覚える職員のお疲れモードな気の抜けた雰囲気の方がレアもの感があって
癒されますわあ、と内心。 テーブルに頬杖をつき彼女全体を眺めながら果実水が運ばれるのを待ちながら話を振る
■メレン > ちょっと歩くのも億劫なぐらいに疲れていたので、少し行儀が悪いがゴミ箱にポイっと投げつけて。
これで外れていようものなら舌打ちしながら死んだように渋々取りに行っていたことだろう。
「ううん、用事なら遠慮なく来てくれれば……―――
って……全然今のは関係ないわよ。だいぶ腕は落ちちゃったんだし……」
貴方の茶化す様子には、呆れた様子で真面目にツッコミを入れるが、どこか脱力した様子で力なく笑う。
現役時代の自分を忘れられず、裏方に徹した今ではもどかしさはあるが、男の見立ては決して大袈裟ではない。
新米冒険者や学生たちを何度もサポートし、教育も担うだけの豊富な経験を若いながらに蓄積している眼鏡娘は
戦場では体型に見合わぬ立ち回りを見せる。
恐らくは、貴方も何処かでそれを見ていたのかもしれない。
「そうだったの?……うん、大変な時期よね。熟練の冒険者さんでも、暑さで倒れちゃう人もいるみたい」
報告のつもり と聞けば、やっぱり と一瞬慌てるが、その後に続く言葉には内心でほっとする。
後始末……依頼を請け負った者は窓口で手続きや納品だけ済ませればよいが、ギルド職員はその後の対応でドタバタする。
決して軽い作業ではないので覚悟を決めつつあったが、貴方の緩い振舞いにつられて急がなくていいか と思い至る。
「じゃあ、せっかくだから。…うん、お酒じゃなくて水のほうなら」
遅くまで依頼を懸命にこなしてたのだろう、塩対応であしらうのも気の毒だ。
話し相手ぐらいなら と、テーブルに座ったまま何気ない雑談には乗る眼鏡娘。
キチンと着込んだつもりではあるが、己のむっちむちの体型は普段の着こなしでも誤魔化せないのに、
テーブルに胸が乗っかり、また衣服が汗ばんでいるせいで露骨に目立つ。
直している余裕はなかったのだが、あまりにも視線を向けていればコンプレックス故に気付いてしまうだろう。
■ケストレル > 「あら、それは申し訳ない。 じゃあ休憩の邪魔しちゃったすかね?
――おお、ナイスイン。 さすがはギルドの辣腕スナイパーっすね」
こちらに気付いて振り返った後、ゴミを華麗にゴミ箱へ放り込んだのを見てぱらぱらと拍手を送る
騎士には騎士の、冒険者には冒険者の、ギルド職員にはギルド職員の
それぞれにそれぞれの戦場があり、それらに優劣など付けようがないことを兼業冒険者のケストレルは知っている
だから一見少女に見えるけれどその実自分よりも年上である彼女をケストレルは少なくともギルドの建物内では他の職員と等しく扱う
――等しく気の抜ける崩れた敬語なのは、そこは御愛嬌だ
「いやね、報告のつもりで来たんすけど。 外が思ったより暑くってェ……先に何か飲んでこうかなって。
良かったらメレンちゃんも一杯どうっす? まだお仕事上がってないってんなら、果実水で、とか」
奢るよー、と軽い調子で笑いながら、ゆるりとテーブルの席に腰を下ろす
困りごとと言うほどじゃないけど一日半郊外での採取依頼に専念してたから人と話したくって、と小首傾げ
へらへらと人畜無害な笑みを浮かべているが、さり気無く彼女の気の緩んだ服装を視界に自然に納められる位置を陣取る
■メレン > スローペースで夜食……と言ってもソースをかけた肉をレタスとパンで挟んだ簡素なものだけを口にすれば、包み紙をくしゃくしゃ丸めて。
明日も明日で大変だし、後輩は遠慮なしにプライベートを優先するものだから参ったものだ。
流石に、トラブルのタネとなった者には責任を自覚させる為に休ませる事はしなかったが。
「……はっ!?」
扉に取り付けたベルの音から、来訪者の存在に気が付けばはっと起き上がり、慌てて眼鏡をかけて振り向く。
こんな時間に仕事を探しに来るものは少数だが珍しいという程でもない。
本当はもうすぐ切り上げて帰る時間なのだが。
相当この仕事が心身に沁みついてきたのか、爆速でジャケットを羽織って背筋を伸ばして振り向く。
「あら、トリーさんだったのね。ありがとう、まだ終わりじゃないけど今日のところは終わりにするつもり」
顔見知りの男に声を掛けられれば、普段の仕事の時と変わらぬきりっとした様子だったが少しだけ肩の力を抜いた様子で。
丸めた包み紙をゴミ箱へぽーいっ と投げてしっかりホールインすれば、よしっとガッツポーズしてジャケットのボタンを留めながら。
「依頼の完了手続きかしら?それとも、何か困りごと?対応は明日からになるけど、話だけなら聞いてあげられるかも」
首をかしげ、用件を確認する眼鏡娘。
仕事モードの表情はきりっとしているが、汗ばんでいるし胸元のボタンが留まってないままなのには気付いておらず。
依頼完了の手続き関連ならばカウンターへ案内し、そうでないなら動くのが面倒なのでテーブルの席を示してそこで話を聞こうと。
■ケストレル > 前日からの依頼をどうにか終え、その報告でギルドを訪れたのはもう夜もだいぶ更けた頃
意外と夜も蒸し暑く、報告の前に飲み物を一杯貰いたいと思いながらも扉を潜り、
随分と人気の無くなっているギルドを見回して思った以上に遅い時間である事を知るケストレル
ワイワイとしたコアタイムの喧騒もさることながら、この静かな施設内もこれはこれで趣があるなあなどと思っていたら
「―――あれ、メr……レンちゃんじゃないっすか。 今お仕事終わったとこで? お疲れ様~」
夜食中なのかテーブルでぐったりとしている姿に歩み寄ると、
軽く片手を上げ、へら~っと緩い笑みを浮かべながら声を掛ける
名前を呼ぶときに妙な間があったが、気にしてはいけない。 たぶん
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/深夜の冒険者ギルド」にケストレルさんが現れました。
■メレン > 大量の書類整理や承認作業、来訪者の窓口対応など多岐にわたる業務を終えた日の夜。
人の気配もないので、冒険者たちが待ち合わせや相談に用いる簡易なテーブルで遅すぎる夜食をとる眼鏡娘。
「紙以外の方法で登録者の情報を管理出来れば楽なのに……はぁ」
冒険者ギルドの運営ノウハウこそ確立されつつあるが、一方で情報管理においては紙面による原始的な方法。
既に廃棄していいのかどうか、誰も分からないちょっとカビ始めたような古い書類まで山積みとなって裏方へ保存している有様。
個人情報でもあるギルド登録した冒険者の名簿や実績管理票の扱いを巡り、新人たちと奮闘して何とか収拾をつけた頃。
疲労困憊の眼鏡娘はテーブルに豊満な乳房をどたぷん と乗せてげんなり。
「疲れた……。……ギルドの中で起こったトラブルだから残業しても特別な手当なんて出ないものね」
眼鏡を外し、きゅっきゅと拭きながらはぁ…とため息。
ドタバタ続きで汗をかいた。ベージュのジャケットを脱いで、中に着た白いシャツは汗びっしょりでインナーや下着までうっすら。
本当に激務だった。ぐったりして動く気が起こらない。