2023/02/01 のログ
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◆万愛節◆

 ノーシス主教の祝日の一つ。古の時代に辺境の様々な異民族に対して積極的に宣教を行い、たとえ異なる神を信奉していたとしても、ノーシス主教の神の愛はあらゆる「人間」にもたらされると説いた「宣教者ワレン」の殉教の日、またその前後の期間を指す。
 ワレンはとある異民族(ナルラート朝において、この異民族は「ミレー族」であるという記録が発見されたと発表された)の宣教中に殉教したが、殺害される直前も博愛の精神で異民族に臨んだとされる。死後、ノーシス主教の聖人(*1)に列せられた。聖人マカリア(*2)とともに、ノーシス主教の信徒たちに深く尊崇されている。
 ノーシス主教の辺境への拡大に大きく寄与したワレンであるが、宣教の旅の中、各地で恋人たちに祝福を授け、婚礼の儀式を行い、お互いの「愛」を何より重視するように説いたという逸話も存在し、現代では恋人たちの祝福者という側面の方が人口に膾炙している。

 万愛節は、神の「愛」に感謝するとともに、ワレンの「愛」を重視した事跡にちなみ、それを敷衍する形で異性(あるいは同性)の間で「愛」を伝え合う祭りの日(時期)となっている。
 教会での特別な礼拝のほか、王都や各地の村などでお互いに贈り物――特に決まりはないが、菓子類などが一般的――を渡し、愛を伝える・確認することが広く行われており、街の商店なども万愛節に合わせた商品に切り替わることが多い。夜には恋人たちのための舞踏会等も催されることも珍しくない。
 ワレンが恋人たちの祝福者とされることから、主に恋愛感情を持つ者たちの間で贈り物の贈答が行われるものの、必ずしもその関係に限定されるものではなく、親子・友人・師弟などの間でも日頃の友愛に感謝するために同様の行為が行われることもある。
 なお、かつては贈り物を贈るという形式ではなく、男女で集まって輪になって踊りつつ、意中の相手に「歌」を贈ることで「愛」を告白し、神に感謝を捧げるというような祭りであったとされ、現代でも伝統を重んじる村や地方などでこの風習が残っている。

 ただし、この時期の恋人たちの祭と宣教者ワレンは本来無関係であり、この季節に行われていたミレー族の「歌垣(うたがき)」という習俗がその淵源である。
 ミレー族の歌垣の風習が王国民にも広がりはじめているのを見たノーシス主教は、信徒教化や宣教のために自ら取り込み改変し、宣教者ワレンと結びつけた。これが実態であったが、その事実は今では忘れ去られ、ミレー族の名前が出ることはない。
 ミレー族の歌垣は、この季節の夜に男女で集まり、主神たるアイオーンに感謝するとともに飲食歌舞を行うものであった。垣のように輪になって踊りながら、意中の相手の前で相互に歌を贈り合い、双方に合意がなされた場合は祭りの後に恋人になる、あるいは結婚がなされるという求愛・求婚の祭りであった。また、性の解放の場でもあった。
 歌垣はミレー族の多くの部族の間で広く行われてはいたものの、ミレー族の全てがこの習俗を持っていたわけではない。
 ナルラート朝以後、ミレー族奴隷化政策の中で、歌垣は淫らな風習と断ぜられて禁止され、廃絶した。王国側によるミレー族の歌垣の記録も抹消されたため、歌垣の詳細を追うことは困難である。
 なお、万愛節が本来ミレー族の歌垣が由来であるということを知る者は、王国民・ミレー族含めてほぼ存在しない。仮にその事実を知って公表したとしても、一笑に付されることになるだろう。かつての歌垣についてはミレー族の一部の古老が知るのみであるが、ごく一部のミレー族においては今も密かにこの風習を伝えている。

 上述したように、ノーシス主教において万愛節は聖なる日である。しかし、腐敗や退廃の蔓延るマグメール王国とノーシス主教においては、この聖なる祝日も陰謀や欲望のために利用されてもいる。貴族家などでは、年若い子弟たちを唆す形で政略結婚に万愛節を利用しようとすることも珍しくない。

*1 聖人
 ノーシス主教において模範とすべき倫理的な人物を指し、尊崇の対象となる。特に古代の聖人は神的な存在として一般民衆の信仰の対象となる場合もある。原則として聖人に列せられるのは対象者の死後である。列聖についてはノーシス主教の指導者たちの合議で判断される。聖人の認定に必ずしも殉教を要件とはしないが、特に古代の聖人は殉教者が多い。
 しかし、マグメール先代王の御代から、聖人は神的な存在ではなくあくまで「人間」であり、聖人の言行には至高神ヤルダバオートの意志が介在しているという神学がノーシス主教にて打ち立てられた。あるいは、聖人はヤルダバオートが「人間」として地上に仮現した姿であると説かれる場合もある。どちらにせよ、聖人の言行はヤルダバオートによって定められたものとなり、ヤルダバオートの恩寵が地上にもたらされたということになる。
 これにより、至高神ヤルダバオートへの信仰を第一とすることが以前にもまして強く主張されるようになったのである。聖人がヤルダバオートよりも信仰を集めることを阻止するための先代王の施策である。この施策は一定の成果を上げた。

*2 マカリア
 ノーシス主教における聖人の一人。詳細については、過去の神餐節についてのイベント告知を参照。

【PL向け情報】
 上に記載した通りの、主に想い人・恋人などの間で贈り物を贈るという習慣のイベントになります。ロールフックやフレーバー的なものとしてご自由にお使いください。王都などでも万愛節に合わせた商品展開や、舞踏会などが行われているようなイメージとなります。
 万愛節にかこつけて退廃的な目的の会合なども行われておりますので、それらについてもご自由にご想像いただき、ご利用いただければと思います。
 なお、「バレンタインデー」という名称ではないため、その点ご注意ください。

【期間】
 2月1日~2月15日。
 一応上記の期間で設定していますが、どうしても上の期間では当サイトを利用できないということであれば、上の期間でなくとも万愛節としてロールプレイをしていただくことも可能です。

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